03. 2013年9月20日 15:35:40
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ロイター企業調査:消費増税時の賃上げは業績次第、ベア回避8割超 2013年 09月 20日 07:09 JST [東京 20日 ロイター] - 9月ロイター企業調査によると、来年4月に予定されている3%の消費増税に対応して賃金引き上げを検討している企業は、現時点で13%にとどまった。48%は現状維持、37%は業績次第と回答した。賃金を引き上げるとしても、ベースアップを検討している企業は16%にとどまり、ボーナスなど一時金で対応する企業が60%と引き続き主流となっている。賃上げは全く念頭にないとの企業も24%にのぼった。 安倍政権は消費増税に伴う痛みを緩和するため企業に賃上げを促す政労使協議を開催するが、調査ではほとんどの企業が賃上げは業績次第として、消費増税には配慮しないと回答している。ただ今年度は増益を見通す企業が半数を超えており、業績を反映した一時金により、ある程度賃上げの動きが広がる可能性はありそうだ。 この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業に実施、調査期間は8月30日から9月13日まで。調査対象は400社、回答社数は260社程度。 <増税と賃上げは関連なし、半数は来春賃金据え置き> 3%の消費増税に伴う家計への負担に企業が配慮する余裕はなさそうだ。安倍政権は、増税による家計への負担増を緩和しようと、賃上げについて政労使協議を開催するが、9月ロイター企業調査では、ほとんどの企業が賃上げは業績改善の結果との原則を主張しており、政府の思惑と企業の認識のずれは大きい。 来春の賃金交渉について、回答企業のうち48%が「現状維持」。「長期のデフレにも関わらずこれまで水準を維持してきており、消費税上げへの対応が必要とは考えていない」(機械)といった立場だ。 「わからない」と回答した企業は37%にのぼるが、「業績を見た上で検討」(多くの企業)とのスタンスを示す企業がほとんどとなっている。 小売業からは「一時的な駆け込み需要により消費の前倒しが懸念され、最終業績が読みづらい」という企業もある。 いずれにしても「賃金改定と消費増税はそもそも別の問題」(サービス)といった意識は共通している。 一部に「社員の実質生活水準は維持したいと考えている」(電機)、「実質所得の増加が経済の成長を促す」(リース)との理由から、3%ないしそれ以上の賃上げを実施する予定の企業があるものの、全体の4%にとどまった。 「3%増税の7割が物価に影響すると考えられる」(情報通信業)などとして1─2%の賃上げを予定する企業は9%あった。 <増益企業6割、ボーナス対応も6割、ベースアップ検討は16%> 今年度の業績見通しについて聞いたところ、前期に比較して「かなり増益」が13%、「やや増益」が48%と、6割の企業が増益を見込む。当初計画と比べても、見通し通りの企業が56%、上方修正した企業も22%に上る。背景として「為替が大幅に円安にシフトした」(機械)との理由が輸出型業種で目立つほか、「大型の商談が多かった」(情報通信)、「取り扱い数量が増加」(運輸)など、実体を伴った例もある。 こうした業績アップが見込める企業が賃上げを実施する可能性があるものの、回答企業の6割は、ボーナスなど一時金で対応し、ベアは極力行わない、としている。賃上げは全く考えていないとの回答も24%を占め、ボーナスさえ上積みの余地はないとの方針の企業が4分の1に上る。 ただ一時金の上積みでは、円安効果の剥落や駆け込み需要の反動が来る来年度の業績が悪化した場合には、元の賃金水準に再び戻る可能性もあり、持続的な所得の増加は期待できそうにない。消費増税分だけでもベアを検討したいとの企業は8%、なるべく多くの部分をベアで対応したいとする企業も8%と、少数派だ。 <円安継続来春までが過半数、海外シフト強化> 今年度業績アップの要因の1つとなった年前半の円安傾向について、いつまで持続するか見通しを聞いたところ、「すでに終了しつつある」ないし「年内いっぱい」が4割、「来春まで継続」と合わせると65%と過半数を占めた。 また、為替変動への対応を聞いたところ、年内ないし来春までと、そう遠くない時期に円安効果が剥落すると見ている企業では、「海外への生産移転を進める」、「調達機能の強化およびグローバル化促進」(いずれも輸送用機器)、「事業拠点の集約実施」(機械)、「調達先を増やす」(建設)、「商品販売価格を維持するため、PB商品の生産地域を変更してコスト削減を行う」(小売)といった対応策を練っている。 他方で、円安傾向が「14年いっぱい」ないし「15年以降も継続」すると見ている企業は36%となり、一部の企業からは「調達先について国内企業活用を拡大する余地が増えてくる」(ゴム)、「海外拠点工場からの調達の一部を日本からの輸出に変更することを検討」(電機)、「事業拠点の立地や原料調達先は現状通り国内で賄う」(輸送用機器)といった戦略を立てている。 ただ、円安傾向が数年続くと見ている企業でも「生産の地産地消とグローバル最適化」との基本戦略を変えない企業が輸送用機器を中心に目立つ。 <アベノミクスの経済効果、はく落する場合の契機は「財政再建への不信」> アベノミクスの経済効果が今後はく落するとしたら、何がきっかけとなるかとの質問では、「政府の財政再建姿勢への不信」が30%でトップとなり、「世界経済減速」(25%)、「消費増税実施」(20%)を上回った。 (ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志)
日銀総裁、異次元緩和に「確かな手応え」 2013年 09月 20日 14:27 JST [東京 20日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は20日、都内で講演し、日本の景気・物価は日銀が掲げる2%の物価安定目標に向かって順調に推移しているとし、4月に導入した異次元緩和の効果に「確かな手応えを感じている」と語った。
景気回復の持続には内需の堅調継続と海外経済の動向が鍵を握るとし、政府の財政再建に向けた取り組みにも期待感を表明した。 <景気回復持続、内需と海外経済が鍵> 黒田総裁は、日本経済の現状について、企業・家計の双方で「所得から支出という前向きの循環メカニズムが次第にしっかりと働いてきている」とし、「2%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている」と断言した。 その上で、今回の景気回復は輸出と生産の増加を起点とした「典型的なパターン」とは違い、「個人消費や公共投資といった内需の堅調さを背景に、非製造業部門が回復を主導しているのが大きな特徴」と指摘。景気回復を持続させるには、内需の堅調が続くことに加え、出遅れている輸出、生産、設備投資の改善が必要とし、そのためには海外経済の動向が「鍵」と語った。 <海外経済は持ち直しへ、新興国を注視> その海外経済は、欧米の改善傾向を中心に、全体として「次第に持ち直していく」との見通しを示し、中国経済については「不確実性が高いが、堅調な内需に支えられ安定した成長が続く」と展望。新興国経済に関しては、米国の金融政策運営をめぐる思惑などで「金融市場の動きが実体経済に悪影響を与えるリスクがある」とし、「現時点で深刻な事態にまで至るとはみていないが、引き続き注視する」と語った。 <デフレ期待が定着、欧米とは違うチャレンジ> 黒田総裁は日本と欧米の経済・物価情勢の違いについて、欧米の消費者物価指数は「長い目でみれば2%を中心とした動き」になっており、「インフレ期待がアンカーされている」と述べる一方、日本は15年におよぶデフレの中で「人々の間に物価は上がらないという見方が定着している」とし、「日本は(欧米と)別の種類のチャレンジを抱えている」と指摘。こうした日本の「錨(いかり)」を断ち切るには、従来のような「景気を良くして物価上昇率を上げる」というアプローチだけでは2%の物価安定目標を持続的に達成することはできない、と語った。 <異次元緩和、世界的にも前例ない挑戦> 具体的には、現在マイナスの需給ギャップをプラスに持っていくことが必要としながらも、「それだけではデフレ脱却にたどりつき難い」とし、日銀は「人々の予想インフレ率を引き上げる」ことを狙って異次元緩和を導入したと指摘。こうした政策を「世界的にも過去に例のない課題に対する挑戦」と位置づけた。定着している「デフレ期待」を払しょくすることは「容易なことではない」としたが、予想インフレ率の高まりなど政策効果はすでに発揮されつつあると強調。「これまでのところ確かな手応えを感じている」と自信を示した。 <長期金利安定、日銀の国債買い入れと財政への信用> 黒田総裁は講演の後、質疑に応える形で、景気回復や海外金利の上昇にもかかわらず日本の長期金利が低位安定している背景について、日銀による巨額の国債買い入れが金利の上昇圧力を抑制しているとし、今後も買い入れ継続で「効果が累積的に強まる」との見解を示した。また、財政再建に向けた取り組みを市場や国民が信用していることも要因に挙げ、持続的な財政構造の確立に向けた政府の取り組みを「強く期待している」と表明した。 (竹本 能文、伊藤 純夫;編集 山川薫) |