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中小企業に増税が重くのしかかる(画像処理しています)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130918/ecn1309180718001-n1.htm
2013.09.18 森岡英樹の金融スクープ
「消費増税分を価格に転嫁すればお客さまが離れ、売り上げが減ることは目に見えている。増税分は飲み込むしかない」
地方のある中小流通業の経営者がうなだれた。
本来、最終的に消費者が負担することから消費税と呼ばれるが、「消費増税」とは名ばかりで、実態は中小企業泣かせの「中小企業増税」となりかねない。
消費税は、「生産および流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度、その販売価格に上乗せされてかかり、最終的に税を負担するのは消費者となる」と一般的に説明されている。だが、実態は複雑で、絵に描いたようにはならない。
その象徴が「転嫁」の問題だ。消費税は原材料製造からはじまり、製品製造、卸売、小売、消費者の各段階で課税される。事業者が納付する消費税額の合計は、消費者が負担する消費税額と同じとなるのが建前である。しかし、中間段階で消費税額分が転嫁できず、中間事業者が負担する場合が少なくない。そのケースはまさに多種多様。小売業者が価格競争力を出すため、消費増税分を価格の引き下げで調整する戦略的なケースもあれば、増税分のコストを製品の納入業者に負担させる「下請けいじめ」のようなケースもある。かつ、その実態はなかなか表に出てこない。
特に、下請けいじめのような悪質なケースを取り締まるため、政府は「転嫁対策特別措置法」を成立させ、10月から施行する。そこでは禁止される4つの類型として、(1)減額または買いたたき、(2)購入強制もしくは役務の利用強制、または不当な利益提供強制、(3)税抜き価格での交渉の拒否、(4)報復行為−が示されている。具体的には「消費税の引き上げに応じる代わりに、うちの商品を買ってね」「公正取引委員会に告げ口したな。もう、お宅とは取引しないからね」といったケースである。
しかし、これらに違反しても罰則規定は、公取による「指導」「助言」「勧告」「公表」と穏当なものでしかない。「違反行為を公表されれば企業イメージや信用が失われる」が、罰金や営業停止などの厳しい懲罰はない。「公表されることを恥と思わない企業には、まったく意味をもたない」(自民党幹部)といえる。政府は「転嫁Gメン」を組織し、徹底した監視を強化するというが、効果は未知数だ。
消費増税の判断材料の1つである4−6月期の実質国内総生産(GDP改定値)は年率換算で3・8%増と高い伸びを示した。また、東京五輪招致も決まり、4月の消費増税は既定路線となった感が強い。しかし、資本金の少額な中小企業の業況は苦しいまま。財務省の法人企業統計では、中小企業の4−6月期の利益の伸びは2桁のマイナスである。また、消費増税分を転嫁できる中小企業は、資本が小さくなるほど少なくなり、売上金1000万円未満の中小企業では8割近い企業が「転嫁は難しい」と答えている。きめ細かな対策が不可欠だ。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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