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次期FRB議長候補について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52512339.html
2013年09月17日 在野のアナリスト
FRBの次期議長に有力視されていたサマーズ氏が、辞退という形でレースを下りました。民主党の一部議員から推され、ホワイトハウスもほぼ固まっていた人事でしたが、シリア情勢に続き、オバマ案件が連続して議会から拒否された恰好です。大物の名、剛腕ともいわれるその指導力に期待してのことですが、クリントン政権時代の緩和政策により、後のサブプライムショックを生んだ、という批判が民主党内にもあり、万人ウケする候補ではなかったことが大きかったのでしょう。
しかしこれで、FRBの議長レースが混沌としました。イエレン副議長が最有力、とみられますが、ハト派ゆえに敵は少ない。一方で発信力の弱さ、政権とのパイプのなさが取り沙汰されています。しかし逆にみれば、既存の経済学はまったく通用しない時代であり、FRB副議長という実務に携わる職にいる人間が、従来の施策を引き継ぐ形しか、万人に受け入れられる候補にならない。泡沫ながら、最適との見方もできます。市場が早くからイエレン氏を推したのは、今の金融相場の継続を望んでのことですが、その期待にも沿う形です。しかし今の米国は、急速にジャンク債市場に資金が流入、それが次の危機を起こすとの警戒から引き締めに走っており、イエレン氏でもその流れは変わりません。
問題は引き締めの速度、規模とされます。月850億$の買い入れ規模を、100〜200億$程度下げるのでは? とみられます。しかしFRBはこのQE3の間に資産を4倍以上、3兆6000億$以上にふくらませており、これを償還まで待つと自然に減少していく仕組みです。ただし、改めて債務上限問題を抱えるように、米国は財政赤字を拡大しており、FRBが償還、再投資に回さないと厳しい現実があります。モーゲージ担保証券(MBS)に回していた400億$は削れても、450億$の国債購入に回してきた分に食い込む段階になると、国債市場は動揺する可能性があります。今回、引き締めの内訳も重要であり、バーナンキ議長が指摘する来年半ば、とするフォワードガイダンスがどう変わるかも鍵です。
日本にも多大な影響がある次期FRB議長ですが、先進国より、新興国が戦々恐々としています。QE3縮小の可能性を示唆しただけで、相場の流れは変わっている。今は新興国より、先進国の安定性が見直されており、この流れに呑みこまれると、破綻する国も出てくるかもしれません。
短期では、日本には為替へのインパクトが大きい。引き締め規模が大きく、金利差が拡大すれば円キャリーの拡大により、円安誘導が起こり易い。一方で、引き締め規模が市場期待に沿わなければ、今の円売りポジションの大きさからみても、円高に巻きもどされる恐れがある。しかし、日本は経常黒字であり続ける限り、恒常的には円高志向が強いのであって、円安になるのは円キャリーや、ヘッジファンドがポジションを積み上げる段階でしか、起こり得ない事象だといえます。
製造業は海外への生産拠点の移転で、海外で利益を保有し続けることが、以前と比べれば多くなっています。これだけの貿易赤字でも、黒字企業が日本に利益を還流しなくても、今の100円の水準は抜きにくい。それらもすべて、経常黒字によって得たインカムゲインは日本に還流される率が高く、それが相殺してしまうからです。毎月分割型や、利益再投資の仕組みを嫌う日本人の気質が、結果的に円安誘導を模索する投資家層にとっては、不利な面があるのです。次期FRB議長が誰になるにしろ、日本の金融相場が進展するには、もっと違う材料が必要となってくるのでしょうね。
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