★阿修羅♪ > 経世済民82 > 502.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
成長戦略・五輪の効果はこれから、今の日本は「買い」=首相(ロイター) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/502.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 9 月 17 日 13:52:13: AtMSjtXKW4rJY
 

成長戦略・五輪の効果はこれから、今の日本は「買い」=首相
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE98G01M20130917
2013年 09月 17日 11:09 JST


[東京 17日 ロイター] - 安倍晋三首相は17日、都内で開かれた内外投資家を対象としたカンファレンスにメッセージを寄せ、「明らかに今の日本は買い」とし、成長戦略・オリンピックの効果もこれからという今こそ、日本に投資すべきときと訴えた。

安倍首相は、アベノミクスによる「三本の矢」による経済政策で、15年にわたる日本経済のデフレと最近までの行き過ぎた円高という「景色が一変した」とし、その成果として2四半期にわたって年率3%以上の経済成長を実現していると語った。

その上で「明らかに今の日本は買い」とし、その理由を「大胆な金融緩和だけではない。日本企業の高いポテンシャルにある」と指摘。安倍政権が実行する成長戦略は「規制改革を突破口にして、そのポテンシャルを思う存分、発揮させるものだ」と語り、 政権与党のリーダーとして「成長戦略を必ず実行していく」と強調した。

さらに、前回の参院選で「決められない政治」の象徴とされていた、いわゆる「ねじれ国会」の解消、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を挙げ、「成長戦略の効果も、オリンピックの効果も、まだこれからだ、という今こそ、(日本に)投資すべき時だ」と訴えた。

(伊藤純夫)

        ◇

今の日本は「買い」=証券セミナーにメッセージ―安倍首相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130917-00000068-jij-pol
時事通信 9月17日(火)13時10分配信

 安倍晋三首相は17日、外資系のメリルリンチ日本証券が同日、東京都内で開いたセミナーに「明らかに今の日本は『買い』だ」とするメッセージを寄せた。理由として、大胆な金融緩和に加え、日本企業の高いポテンシャル(潜在力)を挙げ、「成長戦略は規制緩和を突破口にして、そのポテンシャルを思う存分発揮させる」と強調した。 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年9月17日 14:53:27 : niiL5nr8dQ
法人減税の前倒し視野、原発依存率は低下させていく=経産相
2013年 09月 17日 13:34 JST
[東京 17日 ロイター] - 茂木敏充経済産業相は17日、都内で開かれた内外投資家を対象としたカンファレンスで講演し、法人税そのものの減税前倒しを視野に入れ、投資拡大に取り組みたいと語った。

茂木経産相は、アベノミクスによって株価が上昇、円高が是正されているとし、「政権交代を経て日本経済はマイナスからプラスに転換した。日本経済には明らかに明るい兆しが見えている」と評価。ただ、こうした実感は「大手の輸出企業や日本の一部にまだ限定されている」と述べ、アベノミクスの「三本の矢」を着実に進めていくことの重要性を強調した。

<設備投資増へ異次元の政策打つ>

特に3本目の矢である民間投資を喚起する成長戦略が最も重要とし、成長戦略の推進で過小投資、過剰規制、過当競争の「3つの歪みを是正していきたい」と強調。このうち過小投資の是正については、民間の設備投資の改善が進んでいるものの、「まだ本格回復には至っていない」との認識を示し、「税制措置をはじめ、これまでと次元の異なる大胆な政策を打っていく」と語った。具体的には、生産性やエネルギー効率の高い設備への入れ替えなどに対し、即時償却や税額控除を認めるほか、省エネ投資への大胆な予算措置などを表明。その上で「これでも足りないということであれば、法人税そのものの減税の前倒しも視野に入れながら、この分野の問題に取り組んでいきたい」と法人税減税も選択肢であることを表明した。

<浜田参与、法人減税「財務省はもっと積極的に」>

同じカンファレンスで先立って講演した浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)も、日本の法人実効税率は「高い」との認識を示し、「(法人税を)下げていかなければ、租税競争に負けてしまう」と指摘。法人減税に消極的とされる財務省に対し、「日本経済のことを本当に考えれば、財務省は法人税減税にもっと積極的になるべきだ」と語った。

<福島原発、情報オープンにしていく>

また、茂木経産相は原子力政策に関し、福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を世界と共有し、情報も「世界に対して、しっかりオープンにしていかなければならない」と指摘。原子力に関する技術や人材を残すとともに「世界にも貢献していかなければならない」としながら、国内の原発依存率については「低下の方向で検討していきたい」と語った。

(伊藤純夫:編集 山川薫)


02. 増税反対 2013年9月17日 20:34:03 : ehcoR2LmdzYII : D9cvjI5T92
だから、成長戦略って何よ?

人口激減・少子高齢化・可処分所得1割減少の日本に

成長産業が有るの?

衰退産業はほぼ全てだから分かるけど、成長産業は

見つからないな・・・


03. 2013年9月17日 21:05:29 : yy7D5jhcis
株屋のチンドン屋にまで身を落とした総理大臣第1号だ

04. 2013年9月17日 21:58:13 : PNl0Cw2SJ2
円高誘導発言は物価高に繋がるので困る人が出るが、株高は空売りしてる少数派の人を除いて基本的には困る人がいないので良いのでは。

昔、「汗を流さずに金儲けはけしからん。」ってホリエモンを非難した政治家がいたが様変わりですね。

企業の財務や年金問題等は株価が上昇すれば好転するので良い事ですよ。


05. 2013年9月18日 01:37:51 : niiL5nr8dQ
【第110回】 2013年9月18日 高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
2020年東京五輪の真の意義は「脱失われた20年」
“草食系マインド” からの転換をもたらす5要因
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト
東京オリンピックの
経済効果は3兆円?

 2020年の東京オリンピック開催が決まり、最も流布する経済効果は招致委員会が発表した直接的需要増加額1.2兆円、経済効果(生産誘発額)約3兆円である。一方、民間の試算は千差万別で、果ては150兆円までと広きにわたる。

 こうした試算は多かれ少なかれ、公共投資を行うときのような乗数効果を勘案したものだ。ここでは、こうした試算を正面から議論するのは趣旨でない。本論は、東京オリンピックの開催は当初の想定以上の効果があること、日本の置かれた環境にとって極めてタイミングが良く、脱「失われた20年」の効果があることを、次の5要因にまとめて考える。


第1要因:
2013年はバランスシート調整
3要素が揃う初の局面

 次の図表は、筆者が用いてきたバブル崩壊以降のバランスシート調整の概念図であり、その脱却に向けた基本形は次の3原則、すなわち、@過剰債務の肩代わり、A債務処理原資確保(多くの場合は自国通貨切り下げ)、B先行き期待改善である。

 筆者は今年を、1990年代以降、初めて以上の3条件が揃うタイミングとし、その結果、今年は脱「失われた20年」の第一歩とした。今回の東京オリンピック開催決定は、その3原則のなかで、B先行き期待改善にさらなる大きなサポートになると考える。


 図表2に示した3原則で、第一の債務肩代わりについては日本は国債を通じて実現でき、過去20年の「ダイエット」の結果、今や日本の民間セクター、企業や金融機関のバランスシートは世界一の健全性を誇るまでになった。

 日本の問題は残された2つの課題として、先の図表2の概念図の両側、円安に伴う外需確保での成長戦略と、マインド改善ができないことにあった。すなわち、今年、アベノミクスの成果は図表2で斜線を示した2ヵ所、自国通貨安とマインド改善に資する働きかけにあった。

 筆者が初めて「失われた20年」を脱却する第一歩としたのは、米国の2007年からのバランスシート調整がすでに6年近く経過し、債務調整に目処がつくことで、それまでのドル安圧力が転換し、円安に向いたことにあった。

 アベノミクスとはそれまでの外部環境、「向かい風」が「追い風」に転じた機を的確に捉え、転換を世に印象付ける意識改革、マインドコントロールだ。すなわち、先行き期待を改善させ、結果として資産価格を押し上げること、過去20年に日本がもった進化系の姿である「草食系」、先行き期待低下、デレバレッジ、デフレ意識の転換にあった。

第2要因:
バブル崩壊以降、
日本が初めて共有した中期目標

 先行き期待を長期にわたり維持することが容易でないなか、2020年という具体的な中期目標を2020年東京オリンピックで国民が初めて共有することの効果は、予想以上に大きい。日本は今回の東京オリンピックでバブル崩壊後、初めて5年、10年という中期的先行き展望をもったのではないか。

 しかも、2020年はすでにプライマリーバランスの黒字化が公約されており、様々な目標が設置されており、そうした目標が「北極星」のように求心力を帯びることになる。

第3要因:
東京オリンピックは
公共投資としては筋がいい

 開催が決まったあと、ある財務省関係者と議論した際、「東京オリンピックの支出は公共投資としては極めて筋がいい」としたコメントが印象的だった。一般的に公共投資の問題は、単年度の需要の積み上げに止まりその効果の波及が限られることにある。

 政府もこれまで「何ヵ年計画」のようなプランを示しながらの支出を行ってきたが、その計画は「絵に描いた餅」のように扱われ、波及効果は生じにくかった。それが、公共投資への不信、無駄論につながり、2009年には「コンクリートから人」へのかけ声のなか、「公共事業は悪」の固定観念ができ上がってしまった。

 一方、今日の状況は、年初から脱「失われた3年」として、民主党政権下の「コンクリートから人」で振れすぎたバイアスの修正といえる。公共事業を行うに当たっては、できるだけ国民が納得する成長期待に結びつくものが望ましく、それには東京オリンピックはうってつけだ。少なくとも乗数効果は、通常の公共投資を上回るものが多いだろう。

第4要因:
東京オリンピック2020
はタイミングがいい

「東京オリンピック2020」は、1990年のバブル崩壊以降、日本が「草食系的」進化を遂げてしまったバイアスを「肉食系」の先行き期待引き上げに戻す、最もいいタイミングにもたらされた。

 オリンピックの実施には、これまで様々な弊害が指摘されてきた。2016年のリオデジャネイロオリンピックの問題は、ブラジルが2000年代以降のバランスシート拡大でバブル的状況にあったなか、インフレ、経常収支赤字化でマクロバランスを崩す「肉食系」状況にあるなかでの問題だ。

 オリンピックの実施は「肉食系」の過大な期待状況を加速し、副作用を大きくする問題にある。同様の問題は、アテネが2004年の経済ピークで行ってその後のバランスを崩したこと、2008年の経済高揚のピークで北京が行ったことでも生じた点だった。

 一方、日本は「草食系」に進化したなか、2020年東京オリンピックは、その状況からの覚醒に適したものでもある。

 今日の日本の「草食系」問題は、メンタルな病にも類似している。一般的に、医学的にも無理に「頑張れ」として空元気を迫るのは逆効果だ。そこでは自らが有するものを自覚し、自信を確保しつつ先行き期待を一歩一歩改善させるしかない。

 そうした観点から、1964年の東京オリンピックを振り返りつつ、過去50年余の日本の自信を取り戻すことの意義は大きい。

第5要因:
東京オリンピックと資産効果

 開催が決まった直後、9月9、10日の2日で日経平均は653円、東証株式市場の時価総額は406兆円から421兆円まで約15兆円上昇した。日本の国富としては1000兆円を越える不動産があり、そのうち法人所有の約500兆円分は、先の株式と同じ幅の価値の上昇があったとすれば、資産価格が30兆円くらい上昇したことになる。

 それは、冒頭に示した東京都のオリンピック招致委員会が発表した3兆円の資産とはケタが違う震度が2日で生じたと考えることもできる。オリンピックの効果が先行き期待の改善にあるとすれば、その効果が最も生じるのは資産価格にあるのではないか。

 アベノミクスのポイントは、結局円安と資産効果にある。それは本来、「みずもの」「期待先行」「期待外れ」の側面もあるが、そこに皆が納得する具体性を与えたオリンピック効果は大きい。

東京オリンピックによる国富の回復

 下記の図表3は、日本の国富の推移である。今年年初、内閣府は国民経済計算で2011年末の日本の国富を発表したが、4年連続で低下した。2005年を底に改善していた日本の国富は、2007年末をピークに2011年末まで低下傾向が続いている。こうした状況は、日本の失われた20年、または今日政策課題となるデフレ脱却とも緊密に結びつくと考えられる。


 ここに示された国富を形成する要素は株式と不動産であるが、その低迷が日本の停滞をもたらした。国富低迷は海外環境に加えて、「失われた3年」とした政策バイアスが加わったものである。

 ただし、それだけでなく、1990年代以降のバランスシート調整が10年以上経過したなか、デレバレッジに伴う財務的なバランスシート調整は目処が付いたものの、日本人が抱く心理的バイアス、「草食系」への進化が国富拡大とは逆の効果を与えてしまった。

 株・不動産価格の上昇を単に「バブル」と決めつけるだけでなく、国家として「国富拡大」を掲げることも今後のマインド転換には必要と考えられる。東京オリンピックの最も大きな効果は、自信の回復に伴う「国富回復」にあるのではないか。
http://diamond.jp/articles/print/41790


06. 2013年9月18日 02:42:25 : niiL5nr8dQ
「3兆円の経済効果」を吟味する

オリンピックと日本経済

2013年9月18日(水)  小峰 隆夫

 毎回同じことを言うが、私は大学院で経済政策、日本経済論を講じている。講義ではなるべくホットな話題を教材として使うよう心がけているのだが、日本経済にはその教材が次々に現れるので、大変ありがたい。

 今回は、オリンピック・パラリンピック(以下、単にオリンピック)という話題が登場した。2020年、東京でのオリンピック開催が決まり、それが経済を活性化させるという期待が高まっている。この議論は、その結論がどうかということよりも、結論に至る過程で多くの興味深い論点を含んでいる。そこで、例によって、私がこれからの授業の中で取り上げようと思っている論点を紹介してみたい。

論点1 東京オリンピックの意義をどう考えるか

 具体的な議論に入る前に、私が東京オリンピックについてどのように考えているかを明らかにしておこう。この部分は経済的な議論ではないので、飛ばしていただいても構わない。

 まず、私は、かねてより、東京へのオリンピック招致に批判的であった。前回の東京オリンピック(1964年)当時、高校生だった私は、ナマで開会式を見ているし、さらには、マラソンでゴール直前まで2位だった円谷選手がイギリスのヒートリー選手に抜かれるところもナマで見ている。

 この時の東京オリンピックは、まさに戦後から奇跡の復興を遂げ、先進国の仲間入りを果たしつつあった日本が、いわば世界にお披露目をする場であった。オリンピックに合わせて千駄ヶ谷、代々木に競技場を整備したことはもとより、新幹線を開通させ、都心に高速道路網を建設した。「日本でもこれほどの世界的な催しをやり遂げることができる」というところを見せようと頑張り、それに成功したのだ。

 この経験があるので、私にはオリンピックは、一流国への仲間入りを果たしつつある国が、自らの地位を世界に認識してもらうための場だという思いが強い。1988年のソウル、2008年の北京はまさにそれだった。すると、既に一流国の一流都市の地位を獲得している都市が開催地となることは、新規参入国のお披露目の機会を奪っていることになる。オリンピックは、目覚しい成長を遂げつつある国・都市がさらに発展するための飛躍となる機会となるべきだ。これが私の基本的な思いだ。

 では、東京開催にはそれに代わるだけの意義があるのだろうか。「震災からの復興を世界に見てもらうためです」という意義が強調されているようだが、前回の招致(2009年)は震災前だったのだから、いかにも後付けの理由だし、本当にそう思うのであれば、東北で開催すべきだ。それに東北はまだまだ復興していないし、2020年にどんな姿になっているかも分からない。逆に、これからもっぱらオリンピックに目が行き、資源がオリンピックに投入されるから、東北の復興にはマイナスだとさえ思う。

 すると残る理由は「経済活性化」しかない。ニュースでも盛んに経済効果が議論されているところを見ていると「何だかんだ言っても、要するに経済刺激効果を期待しているわけですね」と言いたくなる。それが本音だとすれば、金儲けのことしか考えていない国のように思われて悲しい気がする。

論点2 3兆円の経済効果を吟味する

 東京オリンピック招致成功のニュースを見ていると、しばしば「オリンピックで経済にプラスの影響が期待されている」という部分が続き、その中で「3兆円の経済効果があると言われていますが…」という部分が続くことが多い。この「3兆円の経済効果」というせりふは、私に言わせれば「枕詞」である。「オリンピックを開催することには経済的プラス効果がある」と言いたい人は、「何か具体的な数字が欲しい」と考える。すると、東京都が公式に「3兆円の経済効果」と言っている。そこで、その3兆円を何気なく使うのだが、使った人はその3兆円がどのようにして計算されたものかなどということは調べない。

 この数字は、東京都が本年6月7日に発表した「2020年オリンピック・パラリンピック開催に伴う経済波及効果は、約3兆円、雇用誘発数は約15万人」という資料に出ているのだが(都庁のウェブサイトで現物を見ることができます)、これをチェックした人は少ないのではないか。こうして「3兆円」という数字が一人歩きし始め、だれも疑わなくなり、単なる枕詞になっていくのだ。

 この東京都の原典を見ると、授業で取り上げてみたい論点がたくさん出てきて、不謹慎だがちょっと嬉しくなってきてしまう。以下その主な論点を紹介しよう。

 第1に、3兆円という数字が正しいとすると、これはずいぶんと「小さい」数字である。私の授業を受けた人は、この段階で「数字を見たら、その規模感をつかんでおくことが重要だ」ということを知ることになるだろう。

 この点について東京都の文書を見ると、分析対象期間は「2013年〜2020年」となっている。2013年度も含めると8年間で3兆円だから、年平均は4000億円以下だ。2012年度の名目GDPが約475兆円だから、年平均ではGDPの0.1%にも足りない。2013年1月に決まった緊急経済対策では5.2兆円の公共投資が追加されているが、オリンピックの効果はこれの13分の1以下ということになる。

 私の正直な感想は「これはまた思い切って控えめな試算を出したものだ」というものなのだが、マスコミはいかにも「3兆円もある」と言わんばかりだ。報道するなら「8年間でたった3兆円」「経済効果はほとんど期待できない」と指摘すべきだろう。

 第2は、「生産誘発額」と「付加価値誘発額」の違いについてである。この点を議論することによって、私の授業に出た人は「経済にとって本当に重要なのは付加価値である」という重要な点を学ぶことになるだろう。

 東京都の文書では、まず、需要増加額として1兆2000億円(100億円以下は省略)という数字が登場する。これは、施設整備費、観戦客の支出額、家計の消費増(テレビの購入など)などを足したものである。これは確かに、オリンピックを開くことによって増えた需要である(厳密にはそれも怪しいのだが、この点は後述する)。これはGDPを増やし、成長のプラス要因となる。

 次に、文書では、「経済波及効果」という項目が登場し、「2020年開催に伴う経済波及効果(生産誘発額)は、(中略)全国総計で約2兆9600億円」という記述がある。これが「波及効果3兆円」の根拠である。

 さらに当該部分の表中には「付加価値誘発額」として、全国で1.4兆円という数字も出ている。このへんで、この文書を見ている人は段々混乱してくるだろう。「需要増加額」「生産誘発額」「付加価値誘発額」はそれぞれどんな関係があり、どう使い分けているのだろうか。

 簡素化して説明すると次のようになる。例えば、東京都がオリンピックのために1億円の施設を建設したとする。建設業者には1億円が支払われるから、建設業者の生産は1億円増加する。これが「需要増加額」である。

 建設業者はこの施設を作るために、鉄骨を4000万円とコンクリートを4000万円使ったとする。すると、鉄鋼業とコンクリート業でそれぞれ生産額が4000万円増える。鉄鋼業は鉄を作るために、鉄鉱石と石炭を1000万円ずつ使い、コンクリート業者はセメントと砂利を1000万円ずつ使ったとしよう(輸入はなく全て国産と仮定)。さて、この段階で、当初の需要増加は1億円だったのだが、経済全体の生産額は2億2000万円増えることになる。これが「生産誘発額」である。

 さて、この時、建設業者が生み出した付加価値は2000万円(1億円マイナス原材料費の8000万円)、鉄鋼業とコンクリート業の付加価値もそれぞれ2000万円、鉄鉱石、石炭、セメント、砂利の生産者の付加価値はそれぞれ1000万円である。これら付加価値の合計は1億円となり、当初の需要増加額に等しい。各業界は、労働者に報酬を支払い、自らの企業の収益を得、税金も払うのだが、その原資となるのがこの「付加価値」である。

 しかし、経済は循環している。各業界で労働者に報酬が支払われると、労働者の所得が増え、その所得は消費となって使われる。その金額が4000万円だとしよう。この4000万円は経済にとっての新たな需要であり、それが新たな付加価値を生む。すると、経済全体で生み出された付加価値の合計は1億4000万円となる。これが「付加価値誘発額」である。

経済効果は「付加価値誘発額」の1兆4000億円

 以上のように解説してくると、「経済成長という観点からは、生産誘発額を見ることには意味がなく、意味があるのは付加価値誘発額である」というやや驚くべき結論が得られる。つまり、生産誘発額が当初の1億円より大きくなるのは、中間投入を何度も重複計算しているからだ。前述の例では、鉄鉱石の1000万円は、鉄鉱石の生産額、鉄鋼の生産額、建設業の生産額それぞれに含まれている。要は、こうした重複の度合いが大きいほど生産額誘発額が大きいというだけの話である。しかし、どんなに生産誘発額が大きくても、付加価値の合計は当初の需要増加額に等しく、その付加価値が経済成長をもたらすのだから、生産誘発額の大小は成長には無関係となる。

 東京都は約3兆円の生産誘発額をもっぱら経済効果として強調しており、種々マスコミもそれをそのまま使っているが、使うのであれば付加価値誘発額の1兆4000億円を使うべきだったということになる。

 第3に、需要増加額についても「それは純増なのか」という疑問がある。この点を議論することによって、私の授業に出た人は、「部分均衡的な発想を避ける」ことがいかに重要かを学ぶことになるだろう。

 東京都の文書では、施設整備やテレビの売り上げ増加を需要増加額としている。しかし、これが本当に需要の増加かというと、必ずしもそうではない。ほかの需要と置き換わる(代替効果という)」という面があるからだ。

 例えば、オリンピックのための施設整備が行われた場合、それは本来ほかの分野で使われるはずだった予算を回したのかもしれない。その場合は、オリンピックがなかったとしてもその予算は何かに使われたはずだから、オリンピックによって需要が増えたとは言えないことになる。オリンピックを見るためにテレビを買った場合も、「今年はボーナスでテレビを買ってしまったので、家族旅行は取りやめ」ということになったとすると、これも需要が増えたとは言えないことになる。

 海外からの観戦客の増加はどうか。さすがの私も、これはオリンピックによる需要の純増と考えていいのではないかと思っていたのだが、日本経済研究センターの桑原進主任研究員と議論していたら、この点も怪しいということが分かってきた。ロンドン・オリンピックが開かれた2012年の例を見よう。

 イギリス政府の資料によると(“Visits to the UK for the London 2012 Olympic Games and Paralympics”Office for National Statics,19 April 2013、現物はこちら)、2012年のロンドンへの外国人の来訪者数(1泊以上した外国人の数)は、前年比1.1%増えた。しかし、これは、それまでのペースとほとんど同じか、むしろ低めだった(2009から2011年のロンドンへの来訪者数は7.6%増)。これは、大会期間中は大会関係者がホテルを抑えてしまうので、一般観光客の収容能力が減ること、本来訪れたはずのビジネス需要が減ること、もともとロンドンの収容力に限界があったことなどによるものであろう。

 この議論を授業風に説明すると、「オリンピック関連需要がそのまま経済全体にとっても需要増となる」という考えが必ずしも正しくないのは、それが「部分均衡的な発想」に基づいているからだ。部分均衡的な発想というのは、ある部分が変化した場合の影響を見る時に、変化した部分以外は不変と仮定する発想のことである。オリンピック関連施設が建設された時、ほかの分野の予算は不変であると仮定すれば、関連施設の建設は需要の純増となる。しかし、オリンピック向けの予算が増えれば、ほかの分野の予算が不変ということはなく、ほぼ間違いなくある程度は削られるだろう。「部分均衡的な発想は避ける」これが経済学の基本的な教えの一つなのである。

論点3 経済効果についての基本的な疑問

 以上、東京都の試算に基づいて考えると、一般に経済的波及効果として言われている3兆円という金額にはあまり意味がなく、付加価値という観点から見ても、とても日本経済全体を活性化するような金額にはならないということを見てきた。

 ただしこれはあくまでも、東京都の試算に基づいて考えた場合である。経済波及効果についてはほかにもさまざまな試算が出現しつつあり、中には150兆円という巨額の数字まで表れている。これらほかの試算については、それぞれを精査してみるしかない。

 しかし、金額がどうなったとしても、私はオリンピックの経済効果について、次のような基本的な疑問がある。

 第1に、これを機会に日本経済を再生するのだという議論がある。例えば、オリンピックを機会に都内の高速道路を作り直すという議論がある。確かに、高速道路が日本橋の上を取り巻き、景観を最大限損なっているのを見るのは悲しいものがあり、できれば元に戻してほしいと私も思う。しかし、本当にそれが必要だと考えるのであれば、オリンピックがなくてもやるべきだ。

 本当に必要なことはオリンピックの有無にかかわらずやるべきだし、逆に、オリンピックのような時だからできたという部分には、平時であれば無駄だとされる部分が入り込みやすいということにもなる。

 第2に、オリンピックによる経済の活性化は、ある程度期待できるとしても、一時的なものだ。これは、地域振興と同じだ。しばしば、NHKの大河ドラマの舞台となった地域には、観光客が増え、その地域でもこれを地域おこしに使おうとする。それはある程度は成功するのだが、その効果が長く続くことは少ない。ドラマが終わり、次のドラマが始まると、人々は来なくなってしまうからだ。イベントによる経済活性化効果は、イベントの間だけであり、短期的なものである。これが地域おこしが教えることなのである。前回のオリンピックの時も、オリンピックの時(1964年10月)を景気の山として、その後景気後退局面に入っているのも気になるところである。

 第3に、これまでの議論全体をぶち壊すことになるが、こうした経済的効果の議論は、検証不能であり、しょせんは「言いっぱなし」になりがちである。東京都の試算を見れば分かるように、オリンピックの経済効果を計算するには、「どの程度の需要増が生まれるか」「そのうち、どの程度が代替効果によって打ち消されるのか」「第1ラウンドで生み出された付加価値が、どの程度第2ラウンドの付加価値を誘発するのか」等々について多くの仮定を置く必要がある。その仮定の置き方によって、経済効果は無数のバリエーションを持つことになる。

 そして、オリンピックが終わった後になっても、これらの試算が正しかったのどうかを検証することは難しい。厳密に経済効果を測るには「オリンピックがあった場合の経済」と「それがなかった場合の経済」を比較する必要があるが、経済は実験ができないので「なかった場合の」経済を示すことができないからである。

 経済は実験ができないことを考えると、オリンピックの経済効果のような議論については、そもそも最初から厳密な経済学的議論だとは受け取らない方が良い。これが、やがて行われようとしているオリンピックと日本経済についての私の授業の最後の結論になるだろう。

連載をまとめた本が出版されました

『日本経済論の罪と罰』
 〈私が注意すべきだと思うのは、「経済の枕詞」である。私が「枕詞」と呼ぶのは、我々が議論を始めるときに、冒頭で一般的な問題意識を述べるような場合に登場する何気ない表現である。(中略)こうした何気ない表現の中に誤った常識が含まれることが意外と多い〉(本書「はじめに」より)。
 今回のコラムでも言及がありましたが、何気ない「枕詞」が本質を見えにくくしている例が多くあるようです。日本経済の将来と巷で流布する「誤った常識」を危惧する著者による本書では、人口減少問題、公共投資主導型の経済成長論、反TPP論などについて論じます。ぜひお読みください。


このコラムについて
小峰隆夫の日本経済に明日はあるのか

進まない財政再建と社会保障改革、急速に進む少子高齢化、見えない成長戦略…。日本経済が抱える問題点は明かになっているにもかかわらず、政治には危機感は感じられない。日本経済を40年以上観察し続けてきたエコノミストである著者が、日本経済に本気で警鐘を鳴らす。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧