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早くも、2020年に『東京オリンピックの開催』が書き込まれた 総務省の未公表ロードマップ
総務省が非公式文書に明記 東京五輪の経済効果は7兆円以上で4K・8K放送の普及は前倒し!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37001
2013年09月17日(火)町田 徹 :現代ビジネス
「4K、8K放送の経済波及効果はビジネス部門(企業間の取引)に限定しても約7兆円。オリンピック招致委員会が見込んでいる外国人観光客の来日や競技場建設などの直接的な効果(2兆9600億円)の2.3倍になる。成長戦略の目玉にもなり得る政策で、前倒しすべきである」---。
先週の本コラムで指摘しておいた通り、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催の決定を受けて、早くも総務省が今年5月末に決めたばかりの「超高精細放送(4K、8K放送)」の実用化策の前倒しを非公式に模索し始めた。
その有力な動機になっているのが、2020年のオリンピックの東京開催が決まったことを受けて、複数の幹部が筆者に語った冒頭の議論である。
■早くも模索が始まる超高精細放送普及の前倒し
具体的な前倒し策には、通信衛星(CS)、放送衛星(BS)に限定して、来年度から2020年度までの7年間で3つのステップを経て普及させる計画だった現行の実用化策の繰り上げや、関連技術の開発支援の強化、街頭などでのパブリックビューイングの機会の拡大などが含まれる可能性が大きい。
1964年の東京オリンピックが当時の白黒テレビをカラーテレビに置き換えていく好機になった前例があり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を4K、8K放送の普及の起爆剤にしたいと、同省は「2匹目のドジョウ」を狙っている。
ただ、ある種の映像マニアを対象に限られたチャンネルで試験的な放送を展開して、技術面での国際競争力の維持・向上を狙う性格が強い現在の実用化戦略を改めて、一般家庭への幅広い普及を視野に置くものに切り替えるには、国民的なコンセンサス作りが必要だ。
■2匹目のドジョウを捕まえて1964年の前例を踏襲できるか
放送できるチャンネル数の早期の拡大、財務的な余裕のない民放とケーブルテレビ会社の設備投資の積み増し、そして廉価な端末の市場への投入による一般家庭への受像機の普及など、課題も目白押しである。降って沸いたような好機を、「安易な便乗商法」と揶揄されることなく、成功につなげられるかどうか、予断を許さない。
「4K、8Kテレビ」は、表示パネルの画素数が現行の地デジ(2K、フルハイビジョン)のそれぞれ4倍、8倍あり、より繊細な高画質を映し出すことが可能になる。受像機の技術開発・製品化は目覚ましく、東芝が2011年に一部ハイエンド機での販売を開始したのを最初に、ソニー、シャープも追随した。
しかし、受像機はあっても、コンテンツがビデオのようなパッケージ商品主体で、テレビでの番組の放送がないため、普及には大きな制約があるとみられていた。
こうした状況を放置できないと真っ先に動いたのが、放送を所管する総務省だ。
放置できないとした"公式"の理由は、近年、陰りが目立つテレビ受像機の国際競争力の維持・向上だ。特に、同省は、韓国で2012年に4Kの実証実験のための放送が始まったことに危機感を募らせていた。
ただ、関係業界によると、地デジ化の実現で大きな役割を終えた格好の放送行政の新たな存在意義作り、あるいは"失業対策""継続的な予算確保"といった側面や、エコポイント終了に伴う家電メーカーの不満解消といった観点も決して小さくはなかったという。
ばらばらだった関係業界の方向性を集約するため、同省は昨年秋、有識者を集めた「放送サービスの高度化に関する検討会」を設置。そして、今年5月末には、4K、8K放送の普及のロードマップを示す「スーパーハイビジョンに関する検討結果について」をとりまとめた。
■ブラジルW杯、リオ五輪、そして東京五輪というロードマップ
その内容は、まずブラジル・ワールドカップが開催される2014年に東経124、128度の軌道上にあるCS、ケーブルテレビ、インターネット放送の3つで4K放送を開始。次いで、ブラジル・オリンピック・パラリンピックの開催年である2016年に、4K放送を110度CSに拡大するとともに、8Kのパブリックビューイングの設備整備に着手。
そして、2020年のオリンピックにあわせて、4K放送をBSにも広げるというものだった。
総務省の未公表ロードマップには、ワールドカップ、ソチ、リオの文字も
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/2/4/600/img_24cb59df3432c8c20d1cfc307ae29d8a66710.jpg
並行して、官民共同の受け皿団体を作り、4K、8K放送の実現に不可欠なスタジオ編集技術、送信時の圧縮技術などの技術開発を国費で補助する施策も打ち出した。
ちなみに、この実用化策のミソは、民放各局の追加投資を極力抑える方針を盛り込んだ点にあった。
例えば、2020年に4K放送に使用するBSの周波数を、地上波テレビの暫定的な難視聴対策に使われている部分に限定することによって、既存の衛星や地上波の放送には影響を与えないとしているのだ。背景には、リーマンショック後の経済の低迷のあおりを受けて民放各局が地デジ投資コストの回収に四苦八苦していたことへの配慮がある。
また、消費者の視点も考慮した。高価な地デジ対応の受信機を購入したばかりの一般消費者に配慮して、「地デジ対応等の過程で既に2K対応のデジタル受信機やアンテナを購入した視聴者であって、新たに高精細・高機能な放送サービスを求めない者に対しては、そうした機器の買い換えなどの負担を強いることは避ける必要がある」との文言を盛り込んだのである。
■BSでは4K放送を前倒し、研究予算は増額の公算
こうした姿勢を覆すかのように、総務省が一段と前のめりの普及策を模索し始めたきっかけが、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京での開催決定があったことは言うまでもない。
この決定を受けて、安倍首相が各閣僚に対して、内閣をあげて東京五輪の体制整備に取り組むように促したことから、総務省は渡りに船とばかり前のめりになっているという。
今後、具体策として省内で検討課題に上って来そうなのは、2020年に開始予定だった4K放送のBSでの開始時期だ。
地デジの難視聴対策が2015年に完了することもあり、その空きチャンネルを使って大幅に予定を前倒しして放送を開始できないか探ることになるという。
また、昨年度の補正予算で総額31億円あまりを投入した研究開発予算について、今年度の当初予算では14億円に減額していたが、増額要求を掲げていくこともポイントになるという。
さらに、郵便局や公共施設に、4K、8K放送が受信できる受像機を設置して、消費者の購買意欲を刺激したり、日本を訪れる外国人に視聴してもらいテレビ関連インフラを含めた輸出拡大のためのショーウィンドウにする案もあるという。
ただ、今年5月末の「スーパーハイビジョンに関する検討結果について」のとりまとめに消極的だったNHK、民放、ケーブルテレビ各局の賛同を容易に得られるかどうかは依然として不透明だ。
■積極的なNHK、慎重な民放、反発するCATV
NHKは当初から、世界の最先端技術となる8K放送の開発に軸足を置いており、その一歩手前の4K放送を本気でサポートする意欲に乏しいという。
逆に、民放各局は、BS放送が受信できるテレビを持ちながら、地上波限定より割高なNHKの衛星受信料がネックになって伸び悩んでいるBSの受信者拡大など、追加の設備投資が不要な増収策に躍起になっており、4K放送のための新たな設備投資には引き続き慎重である。
また、ケーブルテレビ局には零細な第3セクターが多く、まだ2K対応も十分でないのに、1足飛びに4K、8K放送への対応を迫られても身動きが取れないとの反発が少なくない。
一方、早くも主力の50〜60インチ級の4Kテレビの旧型モデルがディスカウント通販業者などを中心に1インチ5000円前後と受像機の低廉化が進んでいることは、消費者の購買意欲を高める材料になるかもしれない。
が、100インチを超す8Kテレビは全国に7、8台の試作機しかなく、現時点で1台当たり1億円前後、量産段階に入っても500万円以下には下がりにくいとされ、庶民にとっては高嶺の花という状況が続きそう。8Kテレビは、3次元テレビが不要なほど奥行きも表現できるというが、幅広く普及するにはかなりの時間を要しそうである。
どこまで4Kを普及させるのか、消費増税をしようという財政難の中でどの程度国費を投入できるのかなど、国民的なコンセンサス作りを急ぐべき課題が山積みとなっている。
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