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http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20130916-00028149/
2013年9月16日 11時11分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
消費税増税問題が事実上決着したかと思っていると‥今度は、その消費税増税と引き換えに持ち出された景気対策を巡って意見が分かれていると言います。
つまり、景気回復に水を差すことを極力抑えようとする安倍総理と、今や財務省のよき理解者になったかに見える麻生副総理が景気対策を巡って火花を散らしているということです。
そう言えば‥麻生副総理は、以前から法人税の減税に消極的だったですよね。それに投資減税についても。投資減税でなく、一括減価償却を認めたらどうか、なんて‥
ところで、安倍総理の方は、5兆円程度の規模の景気対策を要求しているように報じられていますが‥その5兆円という規模はどこから出てきたのでしょうか?
今の消費税率は5%で、そして、消費税の税収は約10兆円です。
従って、その消費税率が8%に引き上げられれば、消費税の税収は16兆円になることが見込まれるのですが‥そうして、6兆円を国民から追加として召し上げるということは、6兆円分の購買力を奪うことになるので、だったら、6兆円とは言わないまでも、6兆円より1兆円少ない5兆円程度の規模の景気対策が必要になるというか、適当であろうという計算なのでしょう。
それなら、差し引き1兆円を国民から追加的に召し上げることにしかならないから、景気に対する悪影響は最小限度に留まる、と。
いずれにしても、増税法案は既に成立していることではあるし、増税はどうしても避けられない訳ですが‥但し、その一方で、景気に対する配慮をしたいという気持ちも分からないではありません。
では、やっぱり安倍総理が考えているような景気対策を打ちだすべきなのでしょうか?
でも、そうした景気対策こそ、まさに無駄の固まりなのです。
何故ならば、先ず規模が先に決められるから。そして、実施の時期が先に決まるから。つまり、中身を十分に吟味もせずに、各省庁にやりたい事業を求めるようなことをするから無駄な事業ばかりになってしまうのです。
通常は、あれだけシビアな主計局の査定が、景気対策の中身を決める場合には、一転、むしろ主計局の方から、早く要求書を持って来いと請求される始末。つまり、このようなシステムが、我が国の借金を膨大なものにした真の原因であると言っていいでしょう。
従って、幾ら景気への配慮のためとはいえ、私は、追加的な財政出動を行うようなことに賛成することはできないのです。
では、何もしないのか?
景気への配慮が足りないと、いろいろ煩いので、私としても一つの提案をしてみることにします。
私の提案とはこれです!
今、課税売上額が1千万円以下の事業者は、消費税の免税事業者になっているのですが、これを来年4月から暫くの間、全ての小売業者を免税事業者にすべきだという意見です。
全て小売業者を免税事業者にしろ!
これが私の意見です。ただ、誤解のないように言っておきますが‥来年4月から、消費税を5%から8%に引き上げるのは予定どおりに行っては如何でしょうか。あくまでも増税は予定どおりに実施する。しかし、全ての小売店は、消費税を国に納めなくてもよい、と。
全ての小売店が国に税を納めなくて済むというのであれば‥その分、消費者に消費税を転嫁することはしないでしょう。
さあ、如何でしょうか?
消費者は、大助かりだと思うのではないでしょうか?
だって、そうでしょう? 幾ら消費税の増税が来年4月から実施されるとはいえ、消費税を国に納める必要がなくなった大型スーパーなど全ての小売店が、お客に消費税分を請求する訳にはいかないでしょう?
そして、そうなれば、消費者も暫くの間、消費税の支払いから解放されると思う‥というか、消費税を支払わずに済むと錯覚してしまう。
いいではないですか、錯覚だろうとなんだろうと、景気は気からなのですから。
私たち消費者が小売店で商品を買う時に、それがどんなに零細なお店だろうが、逆にどんなに大きなお店であろうが、消費税を請求されることはない。何故ならば、小売店は国に消費税を納めないのだから。
このような感覚が国民の間に広がれば、皆ハッピー。決して景気に水が差されるようなことはないでしょう。
しかし、その一方で、国には消費税が入ってこないので、財政の健全化には逆行するのではないか、なんて今、貴方はそのようなことを考えたのではないでしょうか?
心配は要りません。全く心配の必要なし。
というのも、かなりの消費税が入ってくるからです。
例えば、全国の小売店が、平均して販売価格の8割程度の価格で商品を仕入れていると仮定しましょう。最終消費者に商品を販売する小売店は、仕入れの段階で、消費税を含めた価格を支払います。そして、その消費税分は確実に国に納められるからなのです。
例えば、小売店がメーカーから1個80円の商品を仕入れて、それを消費者に100円で販売していたとします。1個売り上げる毎に、小売店は20円の儲けを得る訳です。
では、5%の消費税が課せられたらどうなるのか?
小売店は、メーカーから1個80円の商品を税込みで84円で仕入れて、そして105円で販売することになるでしょう。差し引き21円になる訳ですが、小売店は、消費者から5円の消費税を国に代って受け取る一方で、自らは仕入れの段階で4円の消費税を支払っているので、新たに国に納める分は、差し引きの1円で済むのです。
これが現在の姿です。
では、消費税が8%に引き上げられ、そして、小売店が免税事業者になると、事態はどうなるのか?
仮に、小売店が消費税を現在と同じように国に納める必要があれば、小売店は、メーカーから1個80円の商品を86.4円で仕入れ、そして、それを108円で販売するので、消費者から8円の消費税を受け取る一方で、既に仕入れの段階で6.4円を支払っているので、差し引き1.6円を支払えばいいのです。
そして、仮に全ての小売店が免税事業者になれば、全ての小売店は、もはや国に消費税を納めることは一切必要なくなります。では、一切消費税を納めることが必要ないということは、一切消費者に消費税を負担してもらうことがなくなるのか?
でも、小売店は、仕入れの段階で6.4円の消費税を負担しているので、その負担分を価格に上乗せしなければ、自分たちの取り分が少なくなってしまうのです。従って、国に消費税を納入する義務がないとはいえ、自分で支払った消費税分を価格に上乗せするでしょう。但し、どれだけを価格に上乗せするか、また、できるかは全く予想ができません。商品の売れ行きに左右されるとも言えるでしょう。
いずれにしても、知らず知らずのうちに商品の価格に仕入れ段階の消費税が上乗せされることになるのです。
恐らく、6.4円分の消費税を税引で100円の価格に上乗せし、106.4円程度で販売するのが基本パターンになるでしょう。
こうして、通常であれば、その商品が1個販売される度に6.4円の消費税が国に入ることが想定されるのです。元々は、8%に税率を引き上げて8円が入る予定であったので、幾分少なくはなるのですが‥しかし、5円しか消費税が入ってこない現状よりは増えるのです。
そして、消費者は、今後暫くは消費税を支払わなくて済むものと錯覚をしてしまうかもしれないから、景気を悪くすることもない、と。
どうですか? この案を採用しませんか?
全ての小売店を免税業者にしろ!
それが一番いい!
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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