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安倍首相は、予定通り来年4月に消費税増税を行うことを決断した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
消費税増税は、百害あって一利アリ!?財務省の権力を増やす財政再建より、減らす財政再建を
http://toyokeizai.net/articles/-/19614
2013年09月16日 ムーギー・キム:プライベートエクイティ投資家 :東洋経済
「へー、やっぱり消費税上げるんや。五輪招致成功で支持率が上がってるからって、今後もやりたい放題やろうな・・・」
さて先日、朝の5時に目覚めてヤフーニュースをぼけっと眺めていたら、安倍首相が消費税8%への増税を断行するとのニュースが流れていた。別に私は日本にあまりいないので財布は痛まないのだが、なんなのだろう、この違和感は・・・。
そこで早速熱いシャワーを浴びて最後に一本残っているヤクルトを飲んで頭をシャキっとさせ、今日も元気にできたてほやほやの新鮮なコラムを親愛なる読者の皆様にお届けしたい。
■そもそも8%に上げたところで何も解決しない
さて、来年4月に消費税が8%に上げられ、8兆円の新たな負担を国民に求めるとのことだが、すでに負債のストックが1000兆円を超え、また毎年のフローでも2020年には(名目成長率3%というバラ色算定でも)財政赤字が50兆にもの上るといわれる状態で、この規模の消費税像はそもそも、焼け石に水である。
将来的には消費税が30%水準にならないとプライマリーバランスが達成できないともいわれるが、8%に消費税をこの“ようやく消費が回復してきた”タイミングで上げることに何の意味があるのだろう。
安倍首相は政治的に財務省とかに気を遣わなくてはならず、すっかり財務省の増税キャンペーンに絡め取られた、と嘆く人もいるが、竹中平蔵氏など安倍氏の周辺の経済ブレーンは総じてこのタイミングでの消費税増税に批判的なので、この増税への踏切は意外だった。実体経済のためというより政治的配慮での増税では、と勘繰ってしまう。
結局、増税前の “政治の痛み”ってどうなったのか
そもそも大幅な社会保障改革や国有資産の売却、肥大した公的機関の痛みを伴う大リストラが必要なわけだが、その昔いらっしゃった野田首相による“議員削減”って、一体何だったのだろう。単に支持を失った民主党の議員の数が選挙で削減されただけではないか。
そういえば風前の灯政党・維新の会も参議院廃止を含めた大幅議員削減を謳っていたが、無力か負けそうな政党に限って議員数削減を選挙の前だけ声高に叫ぶパターンに流石に嫌気がさしてしまう。
安倍政権の3本目の矢は、既得権益に大ナタを振るう大胆な構造改革を断行できるかにかかっていたわけだが、一本目の矢の金融緩和、二本目の矢の財政拡大と同様、三本目の矢の増税も、言ってしまえば誰にでもできる意思決定であり、ただでさえ世界有数に高い税金と社会保障を払わされている国民からすれば「政治家の痛みは先送りで、また国民にだけしわ寄せか!」とさぞかし政治不信を募らされていることだろう。
ちなみに“消費税増税絶対阻止”とか何十年も叫び続けて結局無力な泡沫政党の皆さんは、政策に何の影響もなく税金で食べさせてもらっていることを恥に想い、とっとと再編・統合なさってはいかがか(といっても再編の核になれるリベラルの大物が全く見当たらないのだが。福島さんと山本太郎さんが接触して・・・とか、“どれだけ力弱い再編”なんだと)。
■財務省にだけ、一利あり?
ちなみに今回、3%消費税を上げてそのうち2%を経済対策に回すというのも、まさに驚きである。確か消費税って、社会保障の特定財源という議論がされていたはずだ。それなら単に1%上げてくれ、という感じである(まぁもちろん、富の分配効果・政治的効果が変わってくるのだが)。
なにより3%を国民から吸い上げ、2%分を政府の手を通じて分配するところに政治の介入による公的部門のさらなる肥大化と、特定利権の拡大という弊害が待ち受けている。世界各国がビジネスのやりやすさと魅力を高めるために減税を競っている中で、アジア最高峰の税率を誇る、企業の海外流出に直面している国がさらにこのタイミングで税金を上げようとしているこの違和感。法人税の引き下げとセットで出すならまだわかるが、決定されるのはつねに官が肥大化する話ばかりだ。
財務省の皆様におかれましては、権力を増やす方向での赤字削減だけでなく、権力を減らしてリストラすることによる赤字削減にも真面目に取り組んでほしいものである。
■増税賛成派でも、今回の消費税増税には反対する理由
私は実は長期的な、“適切な方法での消費税増税”には実は賛成している。一部の金持ちに重税を負わせて、ポピュリズムに走って実質無税の国民が多数を占める国は、有史以来、成功したことはない。特に金持ちが世界中に自由に移動できて、実際日本の企業経営者や富裕層が続々とシンガポールなどに移住している中、税金の負担を狭く深く一部の金持ちに重税を強いていたら、単にお金の無いヒトだけが残る社会になるのが目に見えている。
実際ヨーロッパでも金持ちが集まっているのは税金が極端に低いスイスやリヒテンシュタインであり、同じくアジアでは香港やシンガポールなのだ。
税制を決めることは国のあり方を決めること、とはよく言ったもので、 “広く薄くみんなから財源を調達する消費税”が、“企業や富裕層に世界有数の高い税金を背負わせて海外に脱出される”よりも人に頑張るインセンティブが生まれ、結局みんなが豊かになる道である。ただしこのコラムで議論してきたように消費税増税は“適切な上げ方”がなされるべきで、法人税引き下げや政治家や官に痛みのともなう抜本的なリストラを先送りしながら、そもそも効果のない金額を、非効率が増す形で増税するのには大反対である。
なお、この“消費全増税反対”の理由は、左派政権が言うところの“消費税反対”の理由とは全く異なっていることにご注意いただきたい。むしろ彼らとの主張とはまったく逆で、法人税を引き下げ、累進の所得税最高税率を引き下げ、代わりに消費税を引き上げることこそ、日本がさらに豊かになる道筋であり、政治家は環境認識として“資本と労働者の国際的な流動性が高まっている”意味を理解して税制の議論をしなければならない。
これで私は外交や歴史認識で右を敵に回し、経済政策で左を敵に回し、まさに四面楚歌で友達が全然おらへんわけだが、「東洋経済オンライン」の読者の皆様だけは「消費税増税はその他政策との適切なパッケージで出すべき」という一点に関し、同調いただけなくても気持ちは分かっていただけると信じつつ、杭州の西湖から帰ってきて直後にコラムを書き終える上海の早朝であった。
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