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連合の安永貴夫副事務局長(左)と経団連の川本裕康常務理事(写真:産経新聞)
どうなる「派遣労働者」 経団連vs連合 制度改正の是非を問う
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130915-00000515-san-bus_all
産経新聞 9月15日(日)9時30分配信
【金曜討論】
派遣労働者の働き方の見直し論議が進んでいる。政府は、厚生労働省の有識者研究会が8月下旬にまとめた労働者派遣制度の大幅な見直しを求める報告書をもとに、年内に労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で結論をまとめ、来年の通常国会で労働者派遣法の改正をめざす考えだ。だが、派遣労働に対する労使の考え方は大きく異なる。経団連の川本裕康常務理事と連合の安永貴夫副事務局長に聞いた。(早坂礼子)
≪川本裕康氏≫ 常用代替の防止は廃止を
−−法改正への基本スタンスは
「失業のない円滑な労働移動の実現には経済活動の活性化と労働市場の柔軟性確保が不可欠で、派遣制度は重要だ。自ら派遣という働き方を選んでいる人もいるし、必要な労働力を迅速に確保したいという企業もある。双方のニーズを踏まえ、より良い制度に見直していくべきだろう」
−−具体的にはどうあるべきか
「現行の派遣法には、正社員が派遣労働者に代替されることを防ぐ『常用代替の防止』という考え方が根幹にある。だが、国際化の進展や女性や高齢者の活躍などにより、日本の労働市場は法律が制定された昭和60年から大きく変化してきた。派遣労働者の数も労働市場全体の約2%程度にすぎず、法の制定時に懸念された、仕事を派遣にとって代わられる事態はあまり生じていない。常用代替の防止は廃止を含めて議論すべきだ」
−−研究会報告は26の専門業務区分の撤廃を盛り込んだ
「26業務とは、通訳や財務処理など専門知識を必要とし、正社員の仕事を奪わない、常用代替にならないと考えられている仕事だ。当初は13だったが順次拡大して26になった。時代の変化で専門性が薄らいでいる業務もあれば、問題なく派遣が活用されている業務もある。26業務に従事する派遣労働者は平成23年6月現在で約64万人に上り、撤廃すると雇用に影響を被る人が出る可能性もある。一部の専門性が求められる業務は残していくべきだ」
−−報告は、有期契約の派遣期間を「業務単位」から「人単位」に見直すことも提案している
「現行ルールでは『同一の業務』で派遣を受け入れる期間は最長3年のため、Aさんが2年で辞めると、代わりに来たBさんは1年しか働けない。派遣可能期間を“人”単位に変えれば、このような事態は生じない。ずっとわかりやすいし、派遣労働者間の不公平感の解消にもつながる」
−−見直し論議で経団連は人材派遣業への参入条件の変更も求めた
「現行制度は常時雇用される特定労働者派遣事業を届け出制、一般派遣事業を許可制と区別している。だが、届け出制だと事業内容をチェックすることが十分にできず、自ら届け出ない限りいつまでも存続する。法令を順守し教育訓練や福利厚生がきちんとしている優良事業者を育成するためにも、すべてを許可制にすべきだ」
−−労働側は派遣労働者と正社員との均衡処遇を主張している
「派遣労働者の賃金は市場相場など外部要因で決まることが多く、内部要因が中心になる正社員の賃金決定と大きな違いがある。職務給を前提とする欧米と違い日本はまだ年功型賃金が多く実務的に難しい。見直しは不要だ」
≪安永貴夫氏≫ 労働者の処遇改善が先決
−−研究会の報告書をどうみている
「ほとんどが人材派遣業界の主張に沿った内容だ。雇用安定やキャリアアップなど派遣労働者保護の姿勢が打ち出されているのは評価できるが、100点満点の40点だ」
−−最大の問題点は
「見直し対象を派遣元と有期契約を結んだ派遣労働者に限定し、無期契約は『常用代替防止』の対象外として、いつまでも派遣労働が続けられるとしている点だ。雇用の原則は『期間の定めのない直接雇用』であるべきで、間接雇用を常態で認めるのはおかしい」
−−26業務の撤廃はどうか
「26の専門業務には事務用機器操作やファイリングが入っている。いまどきパソコンが使えない従業員は少ないと思うので、専門業務の区分は時代に合わせて一部を見直すべきだろう。それでも常用代替の防止という現行の派遣法の精神にのっとり、専門業務であるか否かで常用代替を防止しようとする考え方自体は維持すべきだ」
−−派遣労働者はどうあるべきか
「派遣という働き方そのものを否定はしない。一時的に働きたい、専門的知識を生かしたいなど、労働者自身が選択している側面もある。ただ不安定な雇用で賃金などの処遇が低く、教育訓練の機会も少ないなど、派遣労働は多くの問題を抱えている。厚労省の労働経済白書でも、本来なら正社員で働きたいのに、不本意ながら派遣を選んでいる人は派遣労働者全体の44%に達している。こうした声に耳を傾け、もっと世界の潮流を見て考えるべきだ」
−−具体的には
「連合は7月下旬に独仏の労働者派遣制度を現地調査した。欧州連合(EU)指令では、派遣労働は臨時的なものであり派遣先の労働者との均等待遇を原則にすべきだとしていた。だが日本にはこの原則がない。必要なときに安価で雇い、長期間使い続けることもできる日本の派遣労働者は雇用の調整弁にしかなっていない」
−−派遣の処遇を改善すべきだと
「もともと派遣労働者と派遣先の正社員の処遇には大きな差があり、派遣は、正社員にみられる年齢による賃金変化もほとんどない。日本の派遣労働者は、処遇が低いうえに雇用が不安定という2つのリスクを背負わされている。派遣の処遇改善を図れば、使い勝手のよい安価な労働力や雇用の調整弁として派遣労働者を利用しようとする動きがなくなり、派遣労働者の雇用の安定にもつながるはずだ」
−−デフレ解消にも役立つか
「困っている人にお金を回せばすぐさま消費に回るが、お金のある人に回しても貯蓄するだけだということはさまざまなデータで指摘されている。まじめに働く労働者の処遇を上げれば、大いに消費が喚起されるはずだ」
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