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五輪会場に近いことでも注目が高まる東京・豊洲の高層マンション(本社チャーターヘリから)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130914/dms1309140730000-n1.htm
2013.09.14
2020年東京五輪の決定で、マンションを中心とした不動産業界がわいている。特に開催施設が集中する湾岸エリアの勢いがいい。メディアの露出も増えて人気が高まるばかりだが、実はこのエリアでも明と暗があるという。本紙で「マンション業界の秘密」(毎週金曜、夕刊フジ9面)を連載する住宅ジャーナリストの榊淳司氏が大胆に予測する。
五輪開催地が東京に決まった。不動産業界も大喜びしている。お祭りムードに乗って住宅が売れ出すからだ。
五輪関連でもっとも資産価値が上がるエリアは晴海と勝どき(ともに中央区)。1万7000人が収容できる晴海の選手村は、五輪が終わると国際交流拠点と住宅に転用されるという。
そうでなくても、現在の晴海・勝どきエリアはタワーマンションの供給ラッシュが続いている。五輪が開催される7年後までに、このエリアだけで人口が数万人増えると予想でき、終了後に選手村が住宅に生まれ変わるとすると、さらに1万人以上が増えそうだ。
この数万人分の消費需要をまかなうために新たな商業施設が必要になってくる。当然、不動産の価値が高まるので、物件の価格は上昇するだろう。
「(勝どきを通る)清澄通りは8年から10年後、青山通りや銀座通りとまでは言いませんが、それらに準ずるほど華やかなストリートに変わりますよ」
開催地決定直前、テレビ局のインタビューに対して、何度も同じことを話したものだ。
一方、競技会場が集中する江東区の湾岸エリアはどうなるのか。
こちらもマンションが売れ出すことは間違いない。ただ、注意したいのはほとんどの競技会場は五輪後に撤去されるか、規模を縮小して転用される。晴海のように大規模な住宅が残されるわけではない。それに、豊洲や有明で現在分譲されているタワーマンションの価格は、五輪開催を織り込んでいるかのように高い。
前回の東京五輪は1964年だった。その当時、街はまだ成長過程にあり、人口も増えていた。だから、五輪によって選手村や国立競技場に近い表参道や原宿は大きな変貌を遂げた。
ところが7年後の東京は、街の縮小過程にあるはずだ。原因は言うまでもなく人口減。近年、「コンパクトシティ」という概念がもてはやされているが、マクロの視点で見ると東京も例外ではない。湾岸の埋め立て開発は、その流れに逆らって新たなベッドタウンを作ろうとしている。
五輪は、確かに江東区の湾岸エリアに耳目を集め、開発を刺激するだろう。しかし、10年、20年という長期的視点で見れば、不動産の価値は下がらざるを得ない。交通利便性がさほどよくないのに今の価格が高すぎるからだ。
したがって、銀座に近い晴海・勝どきエリアの不動産は資産価値の上昇が期待できるが、江東区の豊洲・有明エリアは人気を集めても、中長期で見ればその価値は脆弱と言える。
一時的な人気に惑わされて購入した場合、10年後、20年後には悔やむことになるかもしれない。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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