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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130913-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 9月13日(金)4時32分配信
政府は8月26〜31日の6日間、60人の有識者から法律通り消費税率を引き上げるかどうか意見を聞く「集中点検会合」を開いた。結果は7割超の44人が「予定通りの引き上げ」を支持した。
この会合、安倍晋三首相が最終判断する際の参考にするのが狙いだが、首相の方は迷いに迷っているようで、タイムリミットの10月初めまで熟慮するらしい。
9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会で、2020年のオリンピックとパラリンピックの開催都市が東京に決まった。決定を踏まえ、安倍首相は「(経済)成長には明らかにプラスだ」と強調したが、消費増税の判断には「直接、関係はない」と語り、熟慮を続ける姿勢を崩していない。これでは“決められない政治”に逆戻りと言わざるを得ない。
先の参議院通常選挙で、国民はアベノミクスを掲げる“自民党一党独裁時代への先祖返り”を選択した。少しでも経済的に豊かになることを期待しているのだが、それに応えるにはアベノミクス “3本の矢” のうちの“成長戦略”の成否が最大のカギを握っているのは、これまでも指摘してきた通りだ。
しかし、アベノミクスは、野田佳彦・前民主党政権が12年8月に成立させた消費税増税法も前提にしている。野党時代の自民、公明両党との合意の上で立法したからだ。しかも、“3本の矢”のうちの“財政出動”ができたのは、社会保障財源の確保を狙った消費増税の実施を想定してのことだ。
増税法は14年4月に消費税率を現行5%から8%に、15年10月から10%に引き上げる2段階方式になっている。ただ、附則に実際の引き上げは「経済状況を好転させることを条件」との条項があり、政治判断で見直しできるのだ。首相の選択肢は3つある。
まず第1は、来年4月の引き上げを先送りするという政策判断だ。デフレ脱却のため、景気に水を差すような増税はすべきでないという考え方だ。主に、首相ブレーンの浜田宏一内閣官房参与(エール大学名誉教授)や“お友達”の本田悦朗内閣官房参与(静岡県立大教授)らが主張している。
先送りすれば、日本経済がデフレ脱却して向こう2、3年は名目で3%以上の経済成長を実現できる確証があるなら、その判断も納得できる。しかし、その確証は全くない。デフレ脱却ができなければ、円安のマイナス面が今まで以上に国民生活に打撃を与えるばかりか、国債の下落(長期金利の上昇)というリスクも高まる。この展開になった場合は、増税どころの騒ぎではなくなり、給付のカットが現実味を帯びて来る。
第2は上げ幅を圧縮、例えば来年4月から1%ずつ5年間かけて上げるというような妥協策だ。これもブレーンらの案だ。引き上げに伴う駆け込み需要を5年に平準化できる、それに、企業のシステム対応のためのソフト変更など投資を増やせるという利点がないわけではない。
しかし、事務負担が増え、余分な投資負担を強いられる企業が、賃上げなどに消極的になるマイナス面がある上、第1の選択肢と同様の問題がある。つまり、1年目にデフレから脱却できなければ、2年目以降の引き上げは困難になり、日本の財政状況へのマーケットの評価は厳しくならざるを得ない。
第3は予定通りに3%上げる選択肢だ。経済界や連合などの労働界もこの立場だ。来年4月以降、駆け込み需要の反動で景気が減速する懸念がある上、引き上げ時にマスコミが大々的に“生活に大打撃”“消費者が悲鳴”などと報じ、政治的にマイナスイメージを植え付けられる恐れもある(この恐れは引き上げ幅を圧縮しても同じだろう)。
しかし、予定通りなら、すでに織り込み済みなこともあり、マーケットでは不安材料視される可能性は低く、日本売りに繋がる懸念は薄らぐ。また、財政面にゆとりができるので、引き上げ時の景気へのマイナスの影響を財政面からテコ入れすることもしやすくなる。
上記3つの選択肢のどれを選べば、アベノミクスの至上命令、デフレ脱却のためにベストなのか。結論をいえば、不確定要素が多すぎてわからない。しかも、有効な成長戦略が打ち出せなければ、いずれの場合もデフレから脱却できない可能性がある。3つとも「前門の虎、後門の狼」という状況にあるのだ。
“増税を喜ぶ国民はひとりもいない”という現実を前に、決断の基準は二つある。ひとつは目先の支持率の維持、もうひとつは5、10年先を見据えた国力の維持--。消費増税の実施を巡る政治判断は安定多数の議席を持つ政党政治家、安倍首相の胆力を試している。
大塚将司
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