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65歳を過ぎても働く人が年金受給額を少しでも増やす方法とは(週刊ポスト) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/417.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 9 月 13 日 07:09:45: AtMSjtXKW4rJY
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130913-00000006-pseven-bus_all
週刊ポスト2013年9月20・27日号


 改正高年齢者雇用安定法が施行され、これから65歳まで働く人も増えていくだろうが、もちろん、厚生年金の被保険者期間である70歳まで働けば、その分、さらに報酬比例部分は増えることになる。

 もちろん、65歳以降も正社員として厚生年金に加入して働けば、「在職老齢年金」が適用され、給与と年金の合計が一定の上限額を超えれば、年金額がカットされる。しかし、65歳未満はその上限額が28万円だったが、65歳以上の場合はそれが46万円まで増額される。正社員として働きやすい環境になるということだ。

 基礎部分の加入期間の上限が40年であることを考えれば、65歳以降も働いて「上乗せ年金」をゲットする方法は、厚生年金に加入し、報酬比例部分を増やすなど限られた方法しかない。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が解説する。

「60歳以降も高収入が見込める人なら、可能であれば65歳までは厚生年金に加入しない働き方をすれば、年金は一切カットされません。そして65歳以降に再び厚生年金に加入し、『上乗せ年金』の積み増しを狙ってもいいでしょう。

 ちなみに、生命保険文化センターの調べでは、高齢者が理想とするゆとりのある月の生活費は36万6000円。つまり、月給と年金の合計額を46万円以下に抑えても、十分、悠々自適な生活を送れるのです」

 

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01. 2013年9月13日 10:56:54 : niiL5nr8dQ
2013年9月12日 橘玲
ほとんど問題にされない巨大な経済格差、"法外な幸運"を享受する産油国の実態[橘玲の世界投資見聞録]

 2011年9月に“We are 99%”のプラカードを掲げた若者たちがウォール街を占拠したとき、アメリカ人は「格差社会」に本気で怒っていた。

 サブプライムバブルが崩壊し、2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻すると失業率は10%に迫り、19歳から20代前半の若者の失業率は4割を超えた。2009年3月、米国政府から総額1800億ドル(約18兆円)の公費を投入された大手保険会社AIGが、幹部社員400人に対して総額2億1800万ドル(約210億円)、一人あたり平均5億円のボーナスを支払ったことが判明し、全米の怒りが爆発した。AIG側は「ボーナスは金融危機前から契約で決まっていた」「報酬を払わずに幹部社員に大量退職されると会社再建が頓挫し、結果的に公的資金が毀損する」と述べたが、そんな説明が受け入れられるはずもなく、幹部社員の自宅には抗議団体がバスで乗りつけ、脅迫や嫌がらせも相次いだ。

 米国市場のその後の回復でAIGに投入された公的資金は完済されたものの、これが「グローバル資本主義」のモラルハザードを象徴する事件であることは間違いない。

 その一方で、世界にはさらに巨大な経済格差がある。だが不思議なことに、それについてはほとんど問題にされることはない。

高級スポーツカーを導入したドバイ警察

 ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)のひとつで、1980年代に大型港湾を備えた経済特区と近代的な空港、フラッグキャリアとしてのエミレーツ航空などのインフラを整備し、2000年代に入ると中東における商業・貿易の中心として、さらには金融センターとして空前の繁栄を謳歌した。


高さ828メートル、人類史上もっとも高い“バベルの塔”ブルジュ・ハーリファ(2010年1月完成)   (Photo:©Alt Invest Com)
 世界一の超高層ビルであるブルジュ・ハーリファや“7つ星ホテル”バージュ・アル・アラブなど、ひとたびドバイに降り立てばそのゆたかさは一目瞭然だが、それに加えて今年4月、ドバイ警察がイタリアの高級スポーツカー、ランボルギーニをパトカーに導入したというニュースが世界を驚かせた。そればかりか、“ランボルギーニ・パト”が大きく報道されたことで気をよくしたドバイ警察は、フェラーリ、アストンマーチンと次々とスーパーカーを導入し、ついには世界でもっとも高価なブガッティヴェイロンの“16.4スーパースポーツ”の採用も決めた。2010年に時速431.072kmの最高速を計測し、ギネスブックの量産車世界最高速記録に認定されたこの車の価格は日本円で約2億円という。


何カ月か前の新聞に、中東の産油国に招聘された欧米人サッカーコーチの嘆きが掲載されていた。

 若いサッカー選手は、有名になって成功するために必死に努力する。しかしこの国ではサッカーチームは王族の持ち物で、プレイが気に入られると褒美が与えられるのだという。

 サッカーコーチはこう語っていた。

「彼らの自宅の車庫には(王族からもらった)フェラーリが何台も置いてあるんだ。世界の一流選手より金持ちの無名選手をどうやってモチベイトしたらいいか、僕にはわからないよ」

 ウォール街の所業のなかにはたしかに道義に反するものがあるが、大手金融機関の幹部となって年収数億円を稼ぐ立場にたどり着くには激烈な競争を勝ち抜かなければならないのもたしかだ。ウォール街のホームレスをゴールドマンサックスに連れていっても、いきなりビッグディールができるわけではない(だからといって高額報酬を正当化するわけではないが)。

 だが一部の産油国に生まれれば、能力に関係なく誰でも無条件で大金持ちになれる。どちらがより理不尽で道義にもとる「格差」なのかは考えるまでもないだろう。


世界最大のショッピングモール、ドバイ・モール(2008年末完成)     (Photo:©Alt Invest Com)
「主権独立」と「内政不干渉」では解決不可能な現実

 ウォール街の高額報酬にアメリカ人が激怒するのは、金融機関がアメリカの会社で、その社員が「自分たちと同じ」アメリカ人だからだ(実際には外国籍の社員も多いが)。それに対して中東の産油国に住んでいるのは「自分たちとはちがう」ひとたちで、彼らがどれほど恵まれた生活をしていようが、自分たちとは直接の関係がないように感じる。

 ひとは自分の「なわばり」についてはものすごく敏感になるが(だから領土問題はあれほどこじれる)、「なわばり」の外の出来事には概して無関心で、シリアで化学兵器が使用されたことも、ドバイでランボルギーニのパトカーが走っていることも、日々のニュースのひとつにすぎない。

 こうした傾向をさらに助長するのが近代の「主権国家」というシステムだ。

 中世のヨーロッパは日本でいう戦国時代の状況で、いつまでたっても“天下”が統一されないまま多数の国が覇を競っていた。そのうえカトリックとプロテスタントのあいだで宗教戦争が始まったことでヨーロッパ全土を「帝国」として統一する望みは絶たれ、このままでは延々と無益な殺し合いがつづくほかないことが誰に目にも明らかになった。

 こうして1648年に、30年戦争の講和条約として、ヨーロッパのほとんどの大国が参加するウエストファリア条約がドイツのミュンスターで締結された。この条約によって、対等な「主権」を有する相互に独立した諸国家が(主権独立)、国内の統治を他国から干渉されないこと(内政不干渉)を条件として、「国際秩序」を形成する時代を迎えることになったのだ。

 現代社会も、基本的に、300年以上前のこの「近代」の枠組みのなかで動いている。だが急速なグローバル化の進展のなかで私たちは、「主権独立」と「内政不干渉」の原則だけでは解決不可能な現実を突きつけられることになった。

 その象徴がたとえばタックスヘイヴンで、(内政不干渉の原則に立てば)民主的な国家がどのような税制を採用しようが自由なはずだが、これを野放図に認めてしまうと他国の税収が大きな打撃を受けるので、大国連合(OECD)が小国の税制に「内政干渉」することが当然だと考えられるようになった。

 だがヨーロッパ内部でもオランダやアイルランドのように経済振興策として“タックスヘイヴン税制”を採用するところがあり、またイギリスのように他国の税制を利用した企業の税逃れを批判しながら、自身は自治領や旧植民地をタックスヘイヴン化してグローバルな金融ネットワークを構築している国もある。

 いずれにせよ、単純な「主権独立」と「内政不干渉」の原則だけではこの難問を解決できないのは明らかだ。

 主権の独立を突き崩すもうひとつの要因が「人権」だ。

 1970年代までは南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)は内政不干渉の名のもとに見て見ぬ振りをされていたが、今日では国家が明らかな人権侵害を行なうことは許されなくなった。旧ソ連圏や文化大革命下の中国、ポルポトのカンボジアなどで、国家権力が自国民に対してどれほど残虐な暴力を行使するかが明らかになったからであり、また1990年代に旧ユーゴスラビアやルワンダでの虐殺が広く報道されたからでもある。

 こうして、主権国家による制度的な矛盾や人権侵害に対しては国際社会によるなんらかのルールづくりが必要だというコンセンサスが生まれつつある(実際に新しいルールができるまでは数世代に及ぶ長い時間がかかるだろうが)。

 だが主権国家の“法外な幸運”はいまだ野放しのままだ。

"法外な幸運"を享受するドバイ

 中東産油国の王族が莫大な富を有するようになったのは第二次世界大戦後、帝国主義諸国が民族自決の権利を認めて植民地の権益を放棄してからだが、とてつもない富の集積が始まったのは2004年以降のことだ。この年に、これまで20〜30ドル台で推移していたWTI原油価格が40ドルを超えた。

 その後、原油価格は右肩上がりに高騰をつづけ、2005年に60ドル、2008年に100ドルに達し、同年6月には史上最高値の147ドルまで高騰した。世界金融危機で翌年2月には40ドルまで反落したものの、その後はふたたび騰勢を強め100ドル前後で高値安定している。

 原油価格は2000年代に入るまでは長期的に低落傾向で、1980年代から90年代にかけては20ドル前後だった。

 それに対して原油生産コストは、IEA(国際エネルギー機関)の推計によると、1バレルあたり平均12.5ドルだ(原油の探鉱・開発コストが4.8ドル、生産・操業コストが7.7ドル)。産油国は、10ドルで生産した原油を20ドルで売って、その差額を利益にしていた。


人工島パーム・ジュメイラにつくられたお城のようなアトランティス・ザ・パーム(2008年末完成)   (Photo:©Alt Invest Com)

 ところが大規模で埋蔵量豊富な油井を持つ中東の産油国はそれよりずっと生産コストが安く、サウジアラビアで3ドル(開発コスト1.5ドル+操業コスト1.5ドル)、その他の中東産油国の生産コストも5ドル以下とされている。この生産コストの安さが、アラブの国々の富の源泉だった(角和昌浩「シェール革命が進むも原油価格の大暴落は起こらない」〈水野和夫+川島博之編著『世界史の中の資本主義』所収〉。

 アラブの大富豪たちはこれまで、1バレルあたり5ドルで生産した原油を20ドルで売っていた。それでもあれだけゆたかだったのが、わずか数年のあいだに同じ生産コストで売値だけが100ドル超に上がったのだ。単純計算で利益は約7倍となり、使い切れないほどの富が流れ込んできた。そこで彼らは、まずは自分の国に超高層ビルや豪華ホテルを建て、次いでロンドンで不動産バブルを起こし、プレミアリーグのサッカーチームを買収し、スーパーカーのパトカーを走らせるようになった。

 駆け出しのサッカー選手の例でわかるように、いまでは裕福なのは一部の王族だけではない。国民のすべてが、毎年1億円の宝くじに当たるような異常な世界になっているのだ。

 もちろん私は、このことをもって「石油資源を共有にして世界の貧しい人々に分配せよ」という極論を述べるつもりはない(それではフセインと同じになってしまう)。しかしその一方で、同じ資源価格の高騰がエジプトで政治的混乱を引き起こし、シリア内戦のきっかけをつくったことも間違いない。

[参考記事]●商品価格の高騰がアラブの革命を引き起こした

 虚飾に満ちたドバイのゆたかさを目にすると、「近代」が生み出したとてつもない矛盾に思わず考え込んでしまう。そしてこの「格差」を解消する方途を、私たちはなにひとつ持っていないのだ。


2010年末に訪れたときは、不動産バブル崩壊の影響であちこちで工事がストップしていた。   (Photo:©Alt Invest Com)
http://diamond.jp/articles/tachibana-print/41600?page=4

http://diamond.jp/articles/-/40933


02. 2013年9月13日 16:30:44 : niiL5nr8dQ
#老後に農業は非現実的?


サラリーマンに農業は無理なのか

「自然を相手にする仕事」という大きな壁

2013年9月13日(金)  吉田 忠則

 農業再生の切り札として、企業参入が必要だという声がたくさんある。先進的な経営手法を持ち込めば、前近代的で非効率な農業を立て直せるはず、という発想だ。たしかに、日本の農業にとって企業的な経営センスはいまより必要だろう。だがここで立ち止まって考えたほうがいいことがある。そもそもサラリーマンに農業は可能なのだろうか――。


ネギのグループを目指す、こと京都の山田敏之社長
 「あいつに会うと、嫌みばかり言ってる」。農業生産法人、こと京都(京都市)の社長、山田敏之はこう話す。「あいつ」とは、今年独立した元従業員の田中武史を指す。12年間、山田の右腕として働いた生産部門の責任者だ。「嫌み」はもちろん冗談。「あいつ、やめてから断然いいネギつくるようになった。腹立つなあ」とうれしそうに笑う。

 こと京都は、アパレルメーカーをやめて実家を継いだ山田が2002年に立ち上げた。九条ネギを中心に生産から販売、加工まで手がける有力農業法人で、従業員は30人弱いる。九条ネギではライバルがほとんどない規模に成長したが、会社が大きくなるほど、気になってきたことがある。「社員は一生懸命働いてる。それなのに楽しそうじゃない」。

サラリーマンには難しい「農家の働き方」

 理由を考えているうち、気づいた点がある。「農家の働き方は本来、ネギにも人にもいいはずだ。だがそれがサラリーマンには難しい」。例えば夏。朝は4時ごろ起きて仕事を始め、昼前に長めの休憩に入る。再開は午後3時ごろで、終わるのは夜8時。「暑い真昼に作業するのは、ネギにも人にもよくない」。だがこういう働き方を社員に求めるのは難しい。一方で、ふつうの会社員と同じ時間帯で仕事をすると「暑くてつらい」。

 問題は社員のモチベーションにとどまらない。「農家の働き方」ができないから、どうしてもまわりのプロの農家に質で負けることがある。「早くうまくなれよ」と言ってはきたが、技術でカバーできる問題とも思えない。そこで山田が出した結論は「もう、おまえら独立させることにした」。独り立ちしたら、農家と同じように働くという読みだ。

 実際、独立1号の田中は山田の期待通りに成長した。もともと自分で農業をやりたいと思っていたが、こと京都で働くうち、「いろいろ見えてきて、無理だと思うようになっていた」。農業で利益を出す難しさを知ったのだ。いつの間にか年も40代半ばになっていた。だが1年ほど前から「やっぱり挑戦してみたい」という気持ちがわいてきた。

 以前はどちらかと言うと、線の細い印象だった。いまは黒々と日焼けし、髪も長く伸びた。深夜2時過ぎに起きて準備を始め、4時から畑に出ることも珍しくない。「もうだれも助けてくれない。必死度は、こと京都に勤めていたときと比べ、正直言って違います」。見違えるほど精悍(せいかん)になった田中について、社長の山田は「ものをつくるのが好きだったんだ」と目を細める。

 こと京都は日本のネギの最大勢力になることを目指し、経営規模を拡大してきた。九条ネギに代表される青ネギでみれば、いまは日本の消費量の100分の1で、年1000トン弱。山田はこれを関東が主産地の白ネギも含め、4万トンに増やすという目標を掲げている。

 だがこの目標を、1社で実現するのは非現実的。そこで山田が取り組んでいるのが農家のグループ化だ。社員の独立を後押しするのも、その一環。「いいものをつくって、自分の収入を増やしたい」という農家の“本能”が発揮されれば、つらい作業にも向き合える。今年4月からは新たに就農希望者を受け入れ、5年後に独立させる仕組みもつくった。いま7人が独立を夢見て研修中だ。

 本稿のテーマに戻ろう。サラリーマンに農業は可能か――。山田のように脱サラし、会社員の時に培ったノウハウで成功する道は、かつてなく開けている。山田が加工から販売まで手がけ、九条ネギというブランドをフルに生かして成長した発想の根っこにはアパレル時代の経験がある。だがその下で働く社員がやる気を持てるかどうかはべつの話だ。


大手電機メーカーのサラリーマンから農業の世界に入ったソイルパッションの深川知久氏
 こうした例はほかにもたくさんある。2009年に静岡県で就農した深川知久は、もとは大手電機メーカーに勤めるサラリーマン。有力生産者グループの野菜くらぶ(群馬県昭和村)を知り、その仲間に入る形で農業の世界に入った。「仕事は休日返上で、不安もある。でもリターンはすべて自分に返ってくる」。

 規模拡大も順調だ。面積は20ヘクタール。すでに1人でこなせる広さではなく、農業法人のソイルパッション(菊川市)を立ち上げ、社員を4人雇っている。そこで抱えた悩みが、2〜3年で作業をおぼえると、社員が独立してやめてしまうことだ。これが農業者の“本能”だろう。自分でつくってもうける醍醐味は人の下ではなかなか味わえないのだ。

 深川はそれでも、これからもずっと一緒に働いてくれる社員がほしいと思う。そこで考えているのが、分社化のような形にして成果を給与に反映させる仕組みづくりだ。「農業だから安月給でもいいという時代ではない。やったことに待遇が連動し、社員が5年先、10年先まで見通せるようにしたい」と話す。

法人の農業進出が増えても成功例が乏しい理由

 2009年の農地法改正で、農地を借りる形でなら参入が自由になってから、1000を超す法人が農業に進出した。それでも目立つ成功例がないのは、株式会社による農地の購入がまだ認められていないからでは断じてない。初期投資がかさみ、しかも天候に左右されやすい農業で、短期的に利益をあげるのが難しいことが第一。それと関係するが、働き方も会社員と同じではうまくいかない。

 高齢化と放棄地と担い手不足の三重苦に悩む農業にとって、外からの参入が増えることは再生のきっかけになるだろう。いまの農業に欠けるのは効率的な経営管理。経費と利益すら把握できないようでは「もうかる農業」などおぼつかない。だから企業参入は再生の大きな柱になる。だが「自然」という農業特有の課題は企業にも立ちはだかる。

 カイワレやトマトやパプリカのように、工場のような施設でつくれるなら、規則正しい働き方も可能だろう。だが多くの作物はいまも「お日さま」という無償のエネルギーに依存する。人の思い通りにならない自然といかにうまくつき合うかが、今後も農業で成功するためのカギをにぎる。

 資本力のある企業の参入は、これからの農業には間違いなく必要だ。では企業の持つ様々な経営資源をどう農業にアレンジするか。山田が目指す生産者のグループ化を、もっと大規模に進めるのも1つの手だろう。いまのところ成果に乏しいが、IT技術を本格的に農業に活用することも可能になるかもしれない。いずれにせよ、「農業は遅れている」という先入観だけ抱いて参入すれば、多くの企業はやけどを負う。(文中敬称略)

このコラムについて
ニッポン農業生き残りのヒント

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加が決まり、日本の農業の将来をめぐる論議がにわかに騒がしくなってきた。高齢化と放棄地の増大でバケツの底が抜けるような崩壊の危機に直面する一方、次代を担う新しい経営者が登場し、企業も参入の機会をうかがっている。農業はこのまま衰退してしまうのか。それとも再生できるのか。リスクとチャンスをともに抱える現場を取材し、生き残りのヒントをさぐる。


03. 2013年9月14日 12:42:27 : niiL5nr8dQ
賃金の動向について〜最近の所定内給与・特別給与の変化:マンスリー・トピックス NO.023

1.はじめに
我が国の景気は 2013 年に入り持ち直しに転じているが、本年1−3月期、4−6
月期のGDP速報をみると、過去の持ち直し局面と比べ、個人消費の寄与が大きく
なっている。もっともこれまでの消費の好調さは資産効果やマインドの改善を背景
としている側面が強く、今後、引き続き個人消費が上向きのトレンドを維持するた
めには、雇用の拡大とともに賃金の上昇がカギとなってくる。また、賃金の持続的
上昇はデフレ脱却を実現するための重要な基盤でもある。
そこで、本稿では、今回の景気持ち直し局面において、賃金の上昇がどのような
形で生じつつあるのかを確認するため、2013 年に入ってからの所定内給与1
の動向と 今夏の特別給与2の動向について分析する。

2.所定内給与の動向
(賃金改定はおおむね6月までに決定)

本稿の一部では、4−6月期の所定内給与について分析を行うが、多くの企業が
4−6月期に給与の改定を行うことをあらかじめ確認しておく。日本の企業の賃金
改定3は一般的に会社側と労働組合側による協議の上決定される。年初から「春季生
活闘争」と呼ばれる労使交渉が行われ、妥結した企業から賃金改定を適用する。


1
労働協約、就業規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給さ
れる給与でいわゆる基本給などのことを指す。
2
賞与等の一時金のことを指す。
3
賃金の改定には、賃金水準を引き上げる「ベースアップ」、賃金水準を引き下げる「ベースダウ
ン」、企業の昇給制度に従って行われる「定期昇給」、能率手当や役付手当等の「諸手当の改定」、
ある一定期間につき、一時的に賃金を減額する「賃金カット」が含まれる。


決定した賃金改定の適用時期を月別に確認すると、調査産業計では6月までに 85.3%
の企業が妥結された賃金の改定を適用している。特に製造業の適用時期は早く、そ
の中でも機械・輸送については 98.2%が6月までに賃金の改定を適用している(図1)。

図1 産業別賃金改定の適用時期別企業割合
(2013 年のベア実施率は上昇)
(備考)1.厚生労働省「平成24年賃金引上げ等の実態に関する調査」により作成。
2.賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業についての数値。


今年度の賃金引上げ状況を確認するために、賃金水準の引き上げを意味する「ベース
アップ(以下、「ベア」という)」を実施した企業の割合を確認する。厚生労働省調査、
日本労働組合総連合会(以下、「連合」という)調査いずれにおいても、リーマンショッ
ク前は 20%を超える企業がベアを実施していたものの、リーマンショック後は厚生労働
省調査では 10%前後、連合調査では 10%を下回る水準で推移してきた。しかし、2013
年の連合調査では 10.7%と5年ぶりとなる二桁の水準に達している(図2)。

図2 ベア実施率の推移
(備考)厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」、日本労働組合総連合「春季生活闘争」
により作成。2013年「春季生活闘争」については、8,770の組合に対して集計を行い、既に協定が妥結し
ている5,575組合のうち594組合(10.7%)が賃金改善を獲得している。3

(一般労働者の所定内給与は増加)

多くの企業で6月までに賃金の改定を適用していることから、以下では 2013 年4
−6月期に焦点を当て、実際の賃金動向について見てみよう。

まず、全ての就業形態を合計した所定内給与をみると、2013 年4−6月期は前年
同期比 0.4%減と前年を下回っている。もっともこれは、比較的賃金水準の低いパー
トタイム労働者(以下、「パート」という)が労働者全体に占める割合が高まってき
ていることが押下げ要因として働いたためと考えられる。そこで、所定内給与を一
般労働者の賃金要因、パートの賃金要因、パート比率要因に分解して確認したとこ
ろ、一般労働者の賃金要因は 2013 年4−6月期においてプラスに寄与しており、伸
び率は前年同期比で 0.1%増と前年を上回っている(図3)。

図3 所定内給与の就業形態別寄与度分解 (備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。4


(非正規雇用者の増加が所定内給与の減少に影響)
一般労働者の所定内給与の上昇は確認できたが、4−6月期の伸びは前年同期比
0.1%増にとどまっている。こうした弱い伸びの背景として、一般労働者の中に正規
雇用者と非正規雇用者が混在4しており、正規雇用者と比べて賃金水準の低い非正規
雇用比率が上昇していることにより、一般労働者の平均賃金を押下げている可能性
があると推察される5

4
「労働力調査」においては、勤め先での呼称によって雇用者を区分しており、「正規の職員・従
業員」以外の者をまとめて「非正規の職員・従業員」としている。また、「毎月勤労統計調査」
では、常用労働者(期間を定めずに、又は1か月を超える期間を定めて雇われているもの等)
のうち、パートタイム労働者(一日の所定労働時間が一般の労働者より短い者等)以外の者を
一般労働者としている。


なお、労働力調査(詳細集計)によると、非正規雇用比率は近年上昇傾向にあり、
2013 年1−3月期は 36.3%、4−6月期は 36.2%と 1984 年から調査を始めて以来
最も高い水準にまで達している。非正規雇用者の増加要因を把握するため、非正規
雇用者数の増加に対する年齢別寄与を見ると、2013 年以降各年代で増加傾向にある。
特に、55 歳〜64 歳で非正規労働者数が増加に転じ、雇用形態別に見ると、パート・
アルバイトに次いで、契約・嘱託が増加要因となっていることには、2013 年4月よ
り施行された高年齢者雇用安定法の改正が影響していると考えられる6

(図4・図5)。
図4 非正規雇用者数の前年比寄与度分解 図5 雇用形態別非正規雇用者の 前年比寄与度分解
(正規雇用者の所定内給与は 2005 年以来の伸び)
(備考)総務省「労働力調査(詳細集計)」により作成。5

以上のように 2013 年に入り非正規雇用者は増加しており、一般労働者の平均賃金
の押下げ要因となっている可能性がある。このため、一般労働者の所定内給与につ
いて、正規雇用者及び非正規雇用者の賃金要因、非正規雇用比率要因に分解すると、
非正規雇用比率要因は、2013 年4−6月期に前年同期比 0.6%ポイント減となって
おり、2四半期連続して平均賃金の押下げ要因となっている。
非正規雇用者比率の影響を除いた正規雇用者自体の賃金要因の寄与をみると、
5
戸田・帯刀(2012)を参照。
6
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成 24 年法律第 78 号)」で
は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止や継続雇用制度の対象者が雇用される企
業の範囲拡大等が規定されている。

2013 年4−6月期ではプラスの寄与、伸び率では前年同期比 0.8%増となっており、
2005 年 10-12 月期以来の高い伸びを示している。非正規雇用者については、正規雇
用者と異なり、出勤日数による影響を受けている可能性もあるため、その影響を除
く必要がある。このため、出勤日数を一定と仮定したときの非正規労働者の所定内
給与の寄与を算出すると、2010 年以来となる前年同期比プラスとなっており、非正
規雇用者においても賃金の改善がうかがえる(図6)。
なお、こうした賃金の改定は、ベアのほかにも年齢構成の変化による影響も受け
ると考えられる。このため、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の年次データ
を使用して、正規雇用者かつ一般労働者の年齢構成変化の影響について確認した。
この結果、年齢構成による影響は、団塊世代の退職による大幅な年齢構成変化によ
り平均賃金が押し下げられた7
2007〜2008 年を除き、おおむね前年比 0.2%ポイント
の寄与で推移している。2013 年4−6月期の正規雇用者の賃金改定率が前年同期比
0.8%増加しており、このうち年齢構成による影響が 2012 年と同程度であると考え
れば、ベースアップも相当程度行われていると推察される(図7)。

図6 一般労働者所定内給与の雇用形態別寄与度分解
(備考) 厚生労働省「毎月勤労統計調査」、「賃金構造基本統計調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」
により作成。6

7
戸田・帯刀(2012)において、定年を迎えた 60 歳の雇用者の賃金は、退職、継続雇用のいずれ
の場合も平均賃金に対して押下げ要因に働いているとの指摘がある。


図7 一般労働者(正規雇用者)所定内給与の年齢構成変化による影響
(製造業、運輸・郵便、卸・小売の伸びが顕著) (備考)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」により作成。7


次に、一般労働者の正規雇用者の所定内給与について業種別の動向を確認すると、
2013 年4−6月期で幅広い業種において上昇が見られ、特に製造業(前年同期比
1.3%増)、運輸・郵便(同 2.7%増)、卸・小売(同 1.5%増)において高い伸びが
確認できる。製造業に関しては、昨年末以降の為替の円安方向への動きなどを反映
して、自動車産業を中心に業績が大幅に改善したことが要因と考えられる。また、
運輸・郵便については国内旅行の増加、卸・小売については個人消費の持ち直しや
エネルギー・資源価格の上昇が背景にあると考えられる。また情報通信業について
は、2013 年も前年比 1.3%増と高い伸びを示している8
(図8)。
8
情報通信産業は、2011 年度は同 2.6%増、2012 年度は同 1.1%増と比較的堅調に伸びており、
2013 年度に特別の動きではない。

図8 正規雇用者の業種別所定内給与
(製造業の所定内給与は前年度の企業収益に連動)

このように製造業を中心として幅広い業種で賃金の上昇が確認できたが、企業は
賃金改定の決定にあたりどのような要素を重視しているのかを調べてみる。賃金改
定の決定にあたり重視した要素別企業割合を確認すると、半数以上が「企業の業績」
と回答していることが確認できる(図9)。
そこで、一般労働者の正規雇用者の所定内給与と前年度の経常利益との関係を見
ると、おおむね前年度の経常利益との相関関係が確認できる(図 10)。

図9 賃金改定の決定にあたり最も重視した要素別企業割合

(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」、「賃金構造基本統計調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」によ

り作成。

(備考)1.厚生労働省「賃金引き上げ等の実態に関する調査」により作成。

2.賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業についての数値。8

図 10 産業別の一般労働者(正規雇用者)所定内給与と前年度経常利益との関係
(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」、「賃金構造基本統計調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」、
財務省「法人企業統計」により作成。9

3.特別給与の動向

以上のように所定内給与については、2013 年4−6月期に、製造業を中心とした
幅広い業種で増加していること、また、企業収益が所定内給与と連動していること
が確認できた。
一方、特別給与については、より業績に連動させて変動させると考えられること
から、これまでの特別給与の推移や規模別・業種別の額などを見ることで、今夏の
特別給与の特徴やその要因を概観することとする。
(1)現金給与総額の推移
(現金給与総額は、特別給与の増加により6月・7月ともに前年比プラス)
まず、現金給与総額は 2013 年6月・7月については特別給与が大きくプラスに
寄与したことにより、6月は前年同月比 0.6%増、7月は同 0.4%増となっている
(図 11)。

図 11 現金給与総額の寄与度分解
(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成。2013年7月は速報値。

2013 年の6月及び7月の特別給与は、ともに前年同月比 2.1%のプラスとなって
おり、3年ぶりの増加となった。特別給与を一般労働者及びパート労働者の特別給
与、パート比率に分けて見ると、パート比率の上昇が特別給与の押下げ要因になっ
ている一方、一般労働者の特別給与は押し上げ要因となっており、伸び率は6月が
前年同月比 2.6%、7月が同 2.3%の増加となった(図 12)。

図 12 特別給与(6〜8月)の就業形態別寄与度分解

(3)企業収益が特別給与に与える影響

(経常利益が1%改善すると、ラグをもって特別給与が 0.12%改善)
ここでは、企業収益が特別給与にどのような影響を受けるのか分析するために、
前年度と前々年度の経常利益に対する当該年度の特別給与の弾性値を推計した。結
果を見ると、調査産業計では、弾性値が 0.12 となり、前年度と前々年度の経常利益
が1%改善すると、当該年度の特別給与が 0.12%改善することがわかる。また、業
種別に見ると、統計的に有意に推定された業種については、全て弾性値がプラスと
なっており、業種別に見ても、前年度以前の経常利益が改善すると当該年度の特別
給与が増加する傾向にあることがわかる(図 13)。

(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。2013年7月は速報値。

図 13 特別給与に対する経常利益の弾性値9

(4)事業所規模、業種別の特別給与

(建設業、金融業・保険業、運輸業・郵便業などで特別給与が増加)
2013 年4−6月期の特別給与を業種別にみると、建設業、金融業・保険業、運輸
業・郵便業などで前年比から大きく増加している(図 14)。建設業については、復興
需要や緊急経済対策等の公共投資、首都圏の再開発を中心とした建設需要の高まり、金
融業・保険業については、昨年末から続く株高の効果などで企業収益が改善してい
る。また、運輸業・郵便業でも、昨年末から続く円安の効果により外国人旅行客が
増加したことなどから企業収益が改善している。一方、電気・ガス業については、
原子力発電所停止に伴い業績が厳しいことなどから大幅に特別給与を削減している
(図 15)。
前回の景気持ち直し局面との比較では、製造業の特別給与額の増加幅が小さくな
っている 10

1 0。2013 年についても、昨年秋以降の為替相場の円安傾向により製造業の
9
長期的に、経常利益に対する特別給与の割合が低下する結果となったことについては、今後の分
析の課題である。
10内閣府「景気動向指数の改定及び景気基準日付について」において、第 14 循環における景気の
谷は 2009 年3月であると判定されている。

(備考)1.財務省「法人企業統計」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。
2.業種別弾性値は下記式により算出。

ln(Bonus(t))=10.39+0.080ln(Profit(t=1))+0.040ln(Profit(t=2))-0.027NRR(t)-0.08D(t)
(係数は調査産業計の値)

Bonus:夏季賞与 (円)(6〜8月特別給与)
PRofit:経常利益(百万円)

※推計にあたっては、経常利益のラグパターンについてアーモンラグ法を用いている(次数2、前年・前々年の2

期間、終点制約有り)

NRR:非正規雇用比率(%)D:リーマンダミー(2009年〜2012年についてD=1とした)

推計期間:1990年〜2012年(食料品、情報通信、運輸・郵便、卸・小売、不動産
については2000年〜2012年)
※白抜きの業種は有意ではない。

3.非正規雇用比率の2001年以前は2月調査の値、2002年以降は1−3月期の値。
4.夏季賞与は6〜8月の特別給与の平均値。12

収益が改善しているが、2010 年については、2009 年から始まったエコポイントの活
用によるグリーン家電普及促進事業やエコカー減税といった政策効果があったため、
特別給与の改善幅は今回よりも大きくなっていると考えられる11

図 14 業種別の特別給与(6・7月)(前回の景気持ち直し局面との比較)
図 15 2012 年度の経常利益の対前年度比の伸び(業種別)

(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。2013年7月は速報値。
(備考)1.財務省「法人企業統計」により作成。
    2.電力・ガスは前年度経常利益が1.0兆円の赤字であったため、伸び率を算出できなかった。


11 財務省「法人企業統計」によると、2009 年度の経常利益は輸送用機械で前年比 142.5%増、電
気機械で前年比 78.3%増となっているが、鉄鋼の大幅減少などにより、製造業全体の経常利益
は 10.5%減となっている。


(中小企業で特別給与が増加)

次に特別給与の動向を事業所規模別にみると、2013 年の特別給与は、500 人以上
の事業所で前年比 2.2%増、100〜499 人の事業所で同 0.2%増、5〜99 人の事業所
で同 4.2%増となっている。直近の景気持ち直し局面である 2010 年は、リーマンシ
ョック後の反動増から全体的に特別給与の対前年比の上昇幅が大きいが、同年は資
本金規模の大きい事業所で経常利益が改善しており、このことから事業所規模の大
きい事業所においてより特別給与の上昇幅が大きくなっている。一方、2013 年につ
いては、資本金規模が小さい事業所においても 2012 年の経常利益が改善していたた
め、2013 年6月・7月の特別給与は従業員規模が小さい事業所でも改善している(図
16、図 17)。

図 16 事業所規模別の特別給与(6・7月)(前回の景気持ち直し局面との比較)
図 17 資本規模別の経常利益の伸び(前回の景気持ち直し局面との比較、対前年比)
(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。2013年7月は速報値。

(5)小規模事業所における企業業績と特別給与の関係

(小規模事業所では、建設業、運輸・郵便業などで特別給与にプラスに寄与)

次に、特に小規模事業所(5〜99 人)における特別給与に焦点を当て、事業所規
模別に見た特別給与の対前年度比に対する業種別寄与を見た。その結果、建設業が
1.7%ポイントと最も大きく寄与していた。また、運輸・郵便業(0.7%ポイント)、
学術研究・専門・技術(0.7%ポイント)、学習支援業(1.1%ポイント)などもプラ
スに寄与していた(図 18)。

図 18 事業所規模別特別給与(6・7月)の業種別寄与度分解
(備考)厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。2013年7月は速報値。


(それぞれの業種が特別給与総額に与える影響は、パート比率により異なる)

また、小規模事業所の特別給与と前年度収益の関係を業種別にみると、特別給与への
寄与が大きくかつパート比率が低い建設業、運輸・郵便、学術研究等については、2012
年度の売上高利益率がプラスとなっていることが確認できる(図 19)。したがって、前
年度の好調な企業収益を受けて、当該年度の特別給与を引き上げられたものと推測され
る。
一方、宿泊・飲食業については、2012 年度売上高利益率が前年比で大幅なマイナスに
なっているが、業種全体の特別給与総額への寄与は限定的である。これは、宿泊・飲食
業がパート比率の高い業種であるため、そもそも特別給与を支払う対象者が少なく、収
益の変動があったとしてもそれが業種全体の特別給与総額に影響を与えていないものと
考えられる。特別給与に対する経常利益の弾性値の分析(図 13)でも分かるように、当

該年度の特別給与はそれ以前の企業の収益の状況によって変動し、業種全体の特別給与
総額に与える影響はパート比率の差異によって大きく異なっていると考えられる。

図 19 小規模事業所(5〜99 人)の特別給与と前年度収益・パート比率
(備考)財務省「法人企業統計」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。2013年7月は速報値。

3.まとめ

本稿では、2013 年に入ってからの景気持ち直し局面において、賃金がどのような形で
上昇しつつあるのかを確認するため、2013 年に入ってからの所定内給与の動向と今夏の
特別給与の動向について考察を行った。さらに、賃金が企業の収益にどのように影響を
受けているのかについて分析を行った。本稿で得られた主な結果は以下のとおりである。
○2013 年4−6月期の所定内給与については、全ての就業形態を合計すると前年か
ら減少しているが、パート比率の上昇の影響が大きく、一般労働者については対
前年同期比で増加していた。さらに、近年非正規雇用者が増加傾向にあるため、
その影響を除いて一般労働者でかつ正規雇用者の所定内給与の動向をみると、
2013 年4−6月期は 0.8%増と明確に増加となった。これには、年齢構成の変化
による平均賃金の増加の影響も入っていると考えられるが、それを考慮してもな
お企業によるベースアップが相当程度行われていることが推察される。
○企業の収益と賃金の関係を分析したところ、前年度の企業の経常利益が増加する
と、当該年度の一般正規雇用者の所定内給与が増加する傾向にあることがわかっ
た。また、特別給与についても、多くの業種で前年度及び前々年度の企業の経常
利益が増加すると、当該年度の特別給与が増加することが推計された。
○特別給与については、今年の6月、7月で3年ぶりに前年同月比で増加となった。
今回の特別給与の特徴としては、比較的従業員規模が少ない事業所についても
2012 年に業績が改善していたため特別給与が増加していること、建設業、金融業・
保険業、運輸業・郵便業などでの業績の改善、特別給与の増加が顕著であったこ
となどが挙げられる。

以上の分析を踏まえると、2013 年1−3月期や4−6月期の企業収益の改善を受けて、
2014 年度の所定内給与や夏季賞与も引き続き増加が期待される。 17


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
(参考文献)
厚生労働省「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成 24 年法律第
78 号)の概要」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/
dl/tp0903-gaiyou.pdf)
戸田卓宏・帯刀雅弘(2012)「賃金の動向とその物価への影響について」マンスリートピックス
No.8(2012)、内閣府
http://www5.cao.go.jp/keizai3/monthly_topics/2012/0614/topics_008.pdf
内閣府(2011)「景気動向指数の改定及び景気基準日付について」
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/111019siryou4.pdf
内閣府(2013)「平成 25 年度年次経済財政報告」
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/index_pdf.html

http://www5.cao.go.jp/keizai3/monthly_topics/2013/0913/topics_023.pdf


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