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PHP Biz Online 衆知(THE21) 9月12日(木)16時30分配信
「先の読めないことをひたすらプランニングするのはアホです」
大学のビジネススクールで教鞭を執りながら、学生の進路指導も行なっている小幡績氏は、いまの若いビジネスマンには「基礎力」と「実践力」が足りないと指摘する。では、先の見えない時代にビジネスマンはどのようにキャリアプランやライフプランを描けばよいのだろ、か。小幡氏に「ニッポンのビジネスマン」がとるべき成長戦略を語ってもらった。
◆「基礎力」は学校で「実践力」は仕事で◆
「基礎力」と「実践力」が、日本のビジネスマンから、いつの間にか、失われてしまったのではないでしょうか。
とくに、「基礎力」の衰退は目に余ると思います。
近ごろは、その「基礎力」のなかでも、国語教育の弱さが目立ちます。乱れた日本語が氾濫しているのが気がかりです。正しい、美しい、日本語を使ってもらいたい。英語も同様です。発音が下手でもいいので、流行の言い回しなどでなく、品のある言葉遣いを心がけるべきでしょう。
この「基礎力」は、学校以外では身につかないものです。
職場を離れて勉強をするのなら、基礎力を養ったほうがいい。本や新聞を読み、日本語や英語などの基礎語学力を磨くのがいいでしょう。
他方、「実践力」は、現場以外では身につかないものです。ロジカルシンキングといった思考法などは、学校ではなく、仕事を通じて学ぶべきだと思います。「いい仕事」をすることで初めて身につく武器になるのです。その意味では、自分の成長が今後見込めないような場合は、転職の大きな理由となります。
◆外資系と日系のどちらを選ぶか?◆
私はビジネススクール(経営大学院)で教えており、進路の相談を受けることがよくあります。
金融業界は依然人気で、外資系の投資銀行に行くか、日系の金融大手に行くか、と悩んでいる学生は少なくありません。華やかなイメージが若い感性に響くのか、外資系の会社の人気は根強いものがあります。高給だという理由もあるでしょう。
ただ、一概には言えないのですが、現場における実践を通じてビジネスの基礎を学べるのは、日系企業なのではないか、と思います。というのは、社員を「育てよう」という意識を会社が持っているからです。
とはいえ、日系企業がかつてのような終身雇用制度をとらなくなっているのも事実です。つまり、実践力を養う場は少なくなってきているのです。
そうであるならば、やはり、「自分が成長できるかどうか」が、進路選びの大きな判断基準になります。
そこで、ポイントとなるのは、「相手となる顧客と向かい合えるか」でしょう。顔を見て声を聞けることは「相手から学べる機会がある」ということであり、顧客の抱える問題を見つけて分析して解決する力を養えることになるのです。これは、キャリアを築くうえで、あって得はしても損はしないスキルだと思います。
外資系の会社と日系の会社を比べたとき、その機会がより多いのが、日系の会社なのです。外資系の会社、とくに金融会社は、上司の手伝いといった側面があって、数年間は「顧客から学ぶ機会」はなかなか得られないようです。
◆複線的な人生というもう1つのキャリア◆
私は、アドバイスは与えます。でも、決断は自分がするものです。キャリアもそう。自分でデザインしてもらいたい。
とはいえ、5年先も見えない不透明な時代です。そのようなとき、先の読めないことをひたすらプランニングするのはアホだと思います。どこかの国の成長戦略にも似ています。
ならば、目の前にある仕事に全力で取り組み、学べるもの吸収できるものを自分の血肉にするのがいいでしょう。
「基礎力」を学ぶために、学校に戻るのは、一考に値します。
ただ、40代以降に、会社を辞めて、学校に入り直すことは、相当な覚悟が必要でしょう。逆に、強固な覚悟があるからこそ、成功するとも言えますが。
なかなか会社を去れない場合は、「複線的な人生」を送ることもいいでしょう。「伏線的」ではありませんよ。(笑)
会社のキャリアパスを築きつつ、週末に新しい人生の行路を広げるのです。たとえば、週末に趣味に打ち込み、それを副業にして、ゆくゆくは生業にするといった具合です。
“金太郎飴”のようなエリートが増えている
私の場合、キャリアを深めるために、米国の大学院への留学を決めました。
有意義な学生生活でしたが、同時に米国のいわゆるエリート学生に対して、ちょっとばかりの失望を抱くようになりました。彼らのキャリア構築がつまらなく感じるのです。
有名な高校から、アイビーリーグに進み、著名なビジネススクールで経営学修士号(MBA)を取得する。就職はコンサルティング会社かインベストメントバンク(投資銀行)。そこから生まれるものは、同じ発想によるものだけで、厚みがまったくないのです。
成長の鈍化は否めないと思ったところ、これは米国だけが抱える問題ではないということに気がつきました。
東京の山の手に住み、大手町に勤めるエリート会社員を父親に持ち、東京の有名私立中学から東京大学に進み東京の大企業に入る、日本の若者の姿と重なるのです。
違う環境で育ち、違う行動原理や発想を持つ人々が、1つのチームとして企業で働けば、いろいろなアイデアが出てくるでしょう。だから、画一的な若者が目立つことにもどかしさを感じるのです。
そのような若者は、同質性を強めて、異質との共存への耐性が衰えています。環境の変化にも、時代の変化にも、発想の変化にも、うまく対応できない似たり寄ったりの若者が大量に生産されているのです。
日本の経済全体、社会全体に、暗い影を落としているのではないでしょうか。
地方が強くなれば日本全体が強くなる
そのような状況を前に、国は何をするべきか。どの分野に注力するべきなのか。いろいろな課題が山積しますが、私は教育にもっとお金を使うべきだと思います。
たとえば、小学生を受け持つ先生を3倍にする、というアイデアはどうでしょう。
ひとクラスの担任を2人(ベテランと新人の先生)にする。先生が独りで悩んだりすることなく、クラス運営を円滑に進めることができます。先生も育つことでしょう。
教える先生が心にゆとりを持てれば、生徒たちの成長にプラスになります。先生が興味のあることを勉強して、その勉強したことを生徒たちにアウトプットする、といった好循環が生まれることでしょう。
先生の数を3倍ほど大きく増やせば、子供の学習能力の向上につながります。放課後や夏休みに補習ができるでしょう。住んでいる場所や経済的な理由で、学習塾に行けない子どもも学べます。社会問題となっている託児所不足に対する解決策にもなるでしょうか。財源は、ハコモノを造らなければ、人件費は捻出できると思います。
そして、この「教育」の強化は、「地方を強くする」という意味にもとらえられるでしょう。そして、地方を強くするということは、東京を含め「日本全体を強くする」ということと同義です。
今や、地方で育つ子供の数が減っています。地方で子供を育てるには、その親がその地方に住まなければならない。望ましい仕事があり、魅力的な子育て環境にあり、同時に、親自身の生活も充実しないといけない。それが、できない状況にあるのが、日本の地方の姿なのです。地方を強化する政策が必要です。その1つに「教育」を大きく掲げたいと思います。(談)
<『THE21』2013年9月号より>
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