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汚染水漏れが確認された福島第1原発の地上タンク(代表撮影)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130912/ecn1309120736001-n1.htm
2013.09.12 経済快説
東京での五輪開催が決まった。半年ほど前、かつて勤めた三菱商事の同期で現在ローソン社長の新浪剛史氏から「今回は東京が勝ちそうだと思うから、招致に力を入れている」という言葉を聞いて、半信半疑だったのだが、その通りの結果が出た。
「おめでとう!」
今回の招致レースでは、終盤になって、震災後の事故処理が続いている福島第1原発の汚染水漏れが発覚したことが大きな懸念材料となった。
本件に関して、ブエノスアイレスで最後のプレゼンテーションに臨んだ安倍晋三首相は、IOC(国際オリンピック委員会)の委員と報道陣の前で、この問題が「十分コントロールされており、東京は何の悪影響も受けていない」と言い切った。
2つのことを思った。
正直にいうと、はじめに浮かんだ言葉は「嘘つき!」だった。汚染水は現在十分なコントロールができていないから海に漏れており、東京電力の管内にある東京都民は、少なくとも事故処理の費用負担を含む計算根拠による電気料金を今後払う仕組みになっている。それに、今後、事態が悪化する可能性もある。
少し遅れて、もう一方で思った。冷静に考えてみるに、東京に五輪が来なくても、福島の事態が改善するわけではない。むしろ、政府は、五輪を無事に開催するために、福島の事故処理に、より熱心にならざるを得ないのではないか。
また、五輪のおかげで世界のメディアが福島の事故に注目することも、より良い。日本のメディアは政府とスポンサー企業寄りで頼りにならない。
ポジティブに考えると、東京五輪開催決定は、福島の問題の存在の故にこそ意義深いのだ。ただし、事態の収拾に失敗した場合には、日本の産物・製品への風評被害は世界規模のものになるし、有力国のボイコットなどで、五輪が失敗に終わった場合の国家的な権威の喪失は計り知れない。開催が近づいた頃に、日本の外交的ダメージを狙って動く国がある可能性も十分ある。こうした可能性にも対処した、積極的で徹底的な事故処理が必要だ。
そのためには、現在、東京電力が民間会社として連続的に存続していて、東電が主体で国が支援する形になっている、事故処理の経済的スキームを見直す必要がある。このままでは、民間会社である東電は事故処理費用をケチる動機を持っている(安普請の汚染水タンクを見よ)。
事故後、東電を会社更生法等で一度破綻処理するのがフェアで安心なやり方だった。しかし、(おそらくは)金融機関と政府の口約束と、財政資金ではなく将来の電気料金で事故処理費用を賄いたいと政府が考えたために、会社としての東電を生かしたスキームになり、事故処理における政府の立場と責任が曖昧になった。
五輪のためにも、東電を正しく処理すべきだ。 (経済評論家・山崎元)
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