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http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20130911-00028028/
2013年9月11日 11時57分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
安倍総理が、消費増税を決定するに当たり、経済対策をとりまとめるよう関係閣僚に指示したのをご存知でしょうか?
で、どのような内容がその経済対策に盛り込まれそうであるかと言えば‥
・低所得者に1人1万円を配る。
・住宅購入者に現金を給付する。
・投資減税を行う。
・高速道路料金の割引を延長する。
どう思いますか? 賛成しますか?
率直に言わせてもらうならば、一体全体政治家の頭の中はどうなっているのかと言いたい!
そうでしょ?
国民にお金を配ったり、高速道路の料金を割引するなんて‥親の敵とまで言っていた民主党の考え方と、どこがどう違うのでしょうか?
1人1万円配ると言っても、所得制限をかけているから、とでも言うのでしょうか?
しかし、そもそも麻生さんが総理だった時に、お金を支給するから、市役所に振込先の預金口座を連絡せよなんて通知がきたことがありましたよね。
何故、こんなバカげたことを繰り返すのでしょうか?
総理の言い分は、増税によって景気の腰折れがあってはならないということなのですが‥だったら、最初から5%の税率を8%に上げるなんてことにしなければよかったではないですか。景気に配慮して、5%を6%に上げるとでもしておけば、現金をばら撒くような景気対策を打つまでもないのです。
それに、そもそも1人1万円を配ったからといって、それが実際に消費に回るとでも考えているのでしょうか? 麻生さんが総理だった時に実施した、定額給付金の効果はちゃんと測定されているのでしょうか? 誰もあの時、効果があったなどとは言わなかったと思いますが‥
では、効果がないのは分かった上で1人に1万円を支給するのか? だったら、もう一度言いますが、消費税率の引き上げを小幅にすれば済んだことではないですか?
一旦徴収して、そして、対象は限定しながらも、その徴収したお金の一部をまた、国民に戻すという大変無駄な作業をするだけのことなのです。
そんな無駄なことをしていて‥どうして日本経済が高成長路線に復帰することなどあり得るでしょう。
公共事業に無駄が多いと言われますが、消費税を引き上げた上で、そして、そうして徴収した税の一部をまた国民に支給することほど無駄なことはないではないですか?!
それに‥自民党も、5%を8%に、そして、さらに10%に引き上げる法案に賛成したのでしたよね?
そもそも何故増税が必要なのか考えて欲しい! 増税が必要なのは、国の借金が大きくなり過ぎたからでしょう?
では、何故借金が大きくなり過ぎたのか?
それは、1970年代の後半頃から、景気対策の財源を確保することなどのために大量の国債の発行が恒常的なものになってしまったからでしょう?
細かいことを言えば、景気対策のためだけに国の借金が増えたとは言いません。いろいろな要素が関係しているでしょう。しかし、最も大きな理由は、ケインズ政策を信じて、当時の大蔵省が積極財政路線に舵を切ったことです。
ケインズの考えによれば、1の財政出動をすれば、その乗数倍だけGDPが増大する、と。だから、乗数効果の大きい事業を行うことによって景気がよくなり、その結果、財政出動のために投じた資金も景気がよくなることによって税収増という形で回収できるというものであったのです。
もちろん、若い世代の人は、そのような経緯があったことなどご存じないでしょう。
上げ潮派とか、積極財政派とか呼ばれる人たちが、最近、再び勢いをましているようですが‥そうした人たちの主張は既に実験済みであるのです。そして、実験の結果はと言えば、1000兆円の借金の山ができただけなのです。
そして、それほど巨額の借金を抱えてしまったので、増税も止むを得ないという結論になったのです。
しかし、それにも拘わらず、増税をすると景気が悪くなるからと言って、景気対策を打つと言う。
バカも休み休み言って欲しい。
そうやって景気対策を打つから、そのための財源が必要となり、また、国債の発行残高が増えてしまうのです。
私も含めて、国が現金を支給すると言えば、それを拒む人はいないでしょう。
だって、自分だけ受け取りを拒否しても、バカみたいなものですから。どうしてもらわないのと、皆から言われるのがオチでしょう。だから、自分も現金をもらう。しかし、そうやって現金を受け取るから、国の借金がまた増える。そして、借金が増えるから、またまた増税が必要になる。
いつまでそのようなことを繰り返すのでしょうか?
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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