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特別レポート 大阪国税局だけじゃない国税OBが取ってくる「脱税」情報 (週刊現代) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/382.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 9 月 11 日 08:51:00: igsppGRN/E9PQ
 

特別レポート 大阪国税局だけじゃない国税OBが取ってくる「脱税」情報
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36937
2013年09月11日(水)週刊現代 :現代ビジネス


 現職調査官時代に培った人脈やノウハウを使って、企業に脱税を指南する国税OBたち。真面目に税金を納めている一般市民を嘲笑うかのように、私腹を肥やす彼らの驚くべき実態をレポートする。

■国税は何でも知っている

「すごいワルだが、仕事はできる―」

 それが細名高司(61歳)の、国税調査官時代の評判だった。

 8月28日、大阪国税局の上席国税調査官・平良辰夫が逮捕された。現在の容疑は脱税に協力した法人税法違反だが、捜査する大阪地検特捜部の狙いは別のところにある。それは、別件ですでに逮捕、起訴されていた国税OBの細名と現職の平良の「癒着」である。

 全国紙社会部記者が解説する。

「細名は今年6月に法人税法と所得税法違反の容疑で逮捕、起訴されました。顧問先の法人7社と1個人事業主に対し、計20回にわたって所得を低く申告させ、法人税と所得税約8600万円を不正に免れさせていたんです。それに加え、'09~'11年の間に、実質的な経営者を務める税理士法人『ナイスアシスト』の売り上げを仮装し、法人税約4000万円を脱税していた」

 平良が細名に国税の内部情報を横流ししていたことは、その一連の捜査の過程で発覚した。

「細名の顧問先の一つである大阪・ミナミのホストクラブの税務調査情報をまとめた内部資料が、家宅捜索をした細名の関係先から見つかったんです。そこから、細名の現職時代に東大阪税務署で先輩・後輩の間柄にあった平良の名前が上がり、逮捕へとつながりました」(前出の記者)

「マルサ(国税局査察部)の情報は取られへんけど、リョウチョウなら取れる」

 細名は以前から、顧問先の企業経営者にこう吹聴していたという。今回受け取っていたのは、その言葉通り、国税局資料調査課、通称「リョウチョウ(料調)」の資料だったと見られる。

 リョウチョウは、査察事案とまではいかないが、脱税の疑いが強いものに調査を行う、マルサへの登竜門とされる部署だ。

 では細名が入手したリョウチョウの資料とは何か。かつて、細名と机を並べて仕事をしていた、ある大阪国税OBが言う。

「複数見つかったと聞いていますが、ひとつは『税歴表』でしょう。国税が独自に作成した『税歴表』には、経営者が買った外車だったり、行きつけのクラブや愛人の有無といった生のデータが記載されています。さらに、『審理図』も渡されていた可能性が高い。これはグループ会社やダミー会社などを使った企業の不明瞭なカネの流れを記載した図解資料で、作成した調査官の能力が高いほど、より精密なものとなる。細名はそれらの内部情報が取れることを口説き文句に相手を信用させ、顧客を獲得していたようです」

 驚くべきは、細名が「脱税指南書」とも言えるこれらの内部資料をいとも簡単に入手できたことだ。

「たとえかつて先輩後輩の関係にあって、現在も親交があったとしても、現職がOBへ内部資料を流すなど滅多にありません。バレれば、クビは免れませんからね。それでも渡していたということは、現職にとって細名がよっぽど頭の上がらない存在だったということでしょう。カネをつまれたか、弱みを握られ脅されていたか。いずれにせよ、細名という男が、相当な『やり手』だということがうかがえます」(国税担当記者)

■調査相手と癒着する

 国税当局の権力の源泉は、企業の財務状況をすべて把握できることだ。なにか怪しい点があれば、査察に入り、場合によっては告発して刑事事件にする。

 人気ドラマ『半沢直樹』でも、国税の権力の強さが印象的に描かれていた。歌舞伎役者の片岡愛之助が演じるオカマの調査官、黒崎駿一が所属していたのも、まさに大阪国税局だ。

 ターゲット企業の脱税の証拠をつかむため、主人公・半沢が在籍するメガバンクに査察に入り、「資料を出せ」と横暴に振る舞う―誇張があるとはいえ、企業に与える脅威にはリアリティがあった。

 企業側にとって、そんな国税は「最もケンカをしたくない相手」と言っても過言ではない。この企業の心理に、細名のような国税OBはうまくつけ込むのだ。

 前出の全国紙社会部記者が言う。

「内部資料を入手していたホストクラブを始め、細名の顧客は、ミナミの飲食店や風俗店といった、水商売系の店が多かった。叩けばすぐにホコリが出るこういった店の経営者にとって、内部資料をもった国税OBという存在は、顧問として税務の相談をする上で、全幅の信頼を寄せられる人間だったと想像できます」

 それらの経営者との細名の「裏人脈」は、現職調査官時代にすでに築かれていたと、前出の元同僚は言う。

「蛇の道は蛇ということです。細名はとにかく黒い噂の絶えない男で、現職時代からすでに副業をいろいろやっていました。たとえば、ストリップ嬢の派遣業みたいなこともやっていた。どこで知り合ったのか知らないが、元ストリップ嬢のオバハンと組み、全国のストリップ劇場に踊り子を送り込んでは、出演料の一部をピンハネしていたんです。ついでにストリップ嬢に税金対策も指南していました」

 それだけでなく、細名は自身が担当するキャバクラやクラブの経営者にも、脱税指南をしていた疑いがある。

 経営者に細名が教えたのは、源泉徴収をごまかす方法。ホステスの給料は、ほとんどが出来高払いの能力給で、原則1割は源泉で徴収される。しかし、細名が指南をしたクラブは『源泉徴収なし』を売り文句に、ホステスを集めていた。店がホステスの源泉を代わりに支払っているわけではない。元同僚が続ける。

「明らかな脱税行為を、細名が見逃してやっていたとしか考えられません。細名は大の麻雀好きで、浪速区のある雀荘に入り浸っていました。私も何度か誘われて麻雀を打ったことがあるんですが、あるとき、いかにも水商売風の男がメンツに加わった。すると、その男がおもむろに『細名さんにはいつもお世話になっています』と挨拶をしてきた。世話とは何か問いただすと、その男が細名の担当した調査先のクラブ経営者だとわかった。調査先の経営者が調査官と気軽に麻雀を打つなんて、通常ならまず考えられませんよ」

■カネ以外に興味はない

 こうして人脈を構築していった細名は、徐々にビジネスの手を広げていった。次に目をつけたのは、自身が調査をして弱みを握った企業からの見返りだ。

 いかに厳しい国税の調査とはいえ、決算期直前の取引の売掛金への計上し忘れは、注意して修正申告をさせるにしても、さほど大事にはしないのが慣例だ。なぜなら、決算期の申告漏れは、そのほとんどが意図的なものではなく、慌ただしさによる経理の単純ミスだからだ。

 しかし、細名は、

「何やこれは? 過去5年分、遡って調べるぞ!」

 と、申告ミスをした企業を執拗に責めたてた。

 税務署からそう言われれば経営者は震え上がる。そうなれば、細名の思う壺だった。

「5年遡るのを、2年にしたるわ」

 と、手心を加えて恩を売る。その見返りの一つは、税理士をしていた父親や弟を顧問にさせることだった。

「細名は同僚から『寸止めの細名』と陰で呼ばれていました。確かに、所得をごまかす先を見つけてくるのはうまかったのですが、そのわりに『増差所得(重加算税対象所得)』が低すぎたんです。ある程度までは調査するのですが、それ以上は明らかに追及の手を緩めていた。調査先と談合し、その見返りを暗に求めていたのでしょう」(前出・元同僚)

 細名は他の調査官が1年で達成するノルマを半年くらいで片付けていたという。そして、残りの半年間を使って、父親の手伝いや新たな顧問先探しに精を出していた。

「細名にとって、税務調査する会社は税金を徴収する先ではなく、私利私欲を満たすための『道具』でしかなかった。その証拠に、細名は国税の花形部署であるマルサには一切興味がなかった。ガサ入れをして、不正を明るみに出すマルサでは、弱みにつけ込んで旨味を得る細名のビジネスはできないからです。

 さらに言えば、マルサだけでなく、税務署内でチームを組んで一つの企業の税務調査を行う、『トクチョウ(特別調査)』も煩わしいだけだったようです。チームを組めば当然、個人プレーはできないですからね。トクチョウの一員に指名された細名は、会議中も上の空で、よく統括調査官から叱られていました」(同前)

 細名の悪事が明るみに出たのは'98年。自身が申告漏れを指摘した企業に実弟を紹介したことが発覚し、懲戒免職となる。しかし、それすらも計算通りだったという見方もできる。なぜなら、国税調査官が、税理士資格を得るには、「23年間の勤務実績」が必要だからだ。'75年に国税局に入局した細名が資格を得たのは、ちょうど23年後の'98年。もはやいつクビになろうと、痛くはなかったのだ。

「将来は税理士事務所を開業すると口癖のように言っていましたからね。国税にいる間にできるだけ『顧客』を見つけることが目的だったあの男にとって、調査官としての仕事はもう十分だったんでしょう」

 驚くべきことに、現職時代に培った人脈を活かし、税務署の調査に圧力をかける国税OBは、大阪だけでなく全国に存在している。国税OBでありながら、税理士試験を受けて税理士になったという異色の経歴の持ち主である松嶋洋氏は言う。

「私が東京国税局に勤務していた頃、給料の源泉徴収をしていない企業に税務調査が入った際、追徴課税の対象額が1億円ほどに上ったことがありました。ところが、その会社の顧問を務める税務署長経験者のOB税理士が国税局の担当者に『何とかしろ』と言ったところ、課税対象額が1000万円になったんです。税務署は絶対にないと言いはりますが、圧力とそれに迎合する現職はいまだに存在しているんです」

 こうした「メリット」があるからこそ、後ろめたいことのある経営者たちは多額の顧問料を支払って国税OBを迎え入れる。一方、一部の国税調査官は、現役時代から「寸止め調査」を繰り返し、あらかじめ退職後の「寄生先」に目星をつけるのだ。

「ある税務署長は、現職時代からすでに顧問先を複数持っていました。私が知るだけでも、顧問料だけで、月に300万円以上はもらっていた。この人物は、細名よりも階級が上だったこともあり、大手企業にも顔が利いた。それだけに、かなりオイシイOB生活を送っているようです」(前出・細名の元同僚)

■家族ぐるみでタダ飯を食う

 こうして利権をむさぼる国税OBがはびこる遠因には、国税局内の厳然たる「身分制度」がある。かつて税務署長は20代後半の大蔵省、財務省キャリア官僚が務めていた。一方、細名を含めほとんどの調査官はノンキャリだ。当時を細名の元同僚が振り返る。

「キャリア署長の歓迎会や飲み会の経費は、ノンキャリが出し合っていました。キャリアはそれが当たり前だと思っていて、自腹を切ったのは一人もいなかった。それどころか、『タダ飯』だからと、家族を連れてきた奴までいた。そいつには小学校低学年の娘がいたんですが、宴会の席でその子が40代後半のノンキャリを指して、『この人、パパの家来?』と言ったんです。そのノンキャリは、真っ赤になった顔で無理矢理笑っていた。そして、飲み会のあと、歯を食いしばってポロポロ泣いた。私も心の中では悔しさで胸が苦しいほどだった。

 なかには、歯を食いしばったまま、真面目に勤め上げるノンキャリもいる。だが、その鬱屈した思いから、『オレもオイシイ思いをしてやる』と間違った方向に進む調査官がいるのも事実です」

 キャリアの天下りがなくなったのと同様、'09年度をもって、国税局によるOBへの顧問企業の「あっせん」もなくなった。そのため、食い扶持を失い、現職との癒着に走る傾向が強まっている。

 大阪地検特捜部は、今回の事件を「秋の陣」として、徹底的に捜査する姿勢を見せている。細名と平良の間に金品の授受があったことを明らかにし、収賄罪での立件を目指す。それは、全国にいる「細名予備軍」の国税OBたちへの、強い警告でもある。

「週刊現代」2013年9月14日号より


 

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