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絶好調続く軽自動車にチラつく”増税の影” 国内市場を牽引する軽に、高まる優遇見直し圧力
http://toyokeizai.net/articles/-/19069
2013年09月09日 丸山 尚文 :東洋経済 記者
軽乗用車の快走が続いている。業界団体が発表した8月の販売台数統計によると、軽乗用車は前年同月比で10%もの増加を記録。震災ショックが一段落した2011年10月以降、エコカー補助金の反動減が大きかった今年5、6月を除くとおよそ2年にわたりプラス成長が続く。普通・小型乗用車(登録車)は、補助金切れ以降はほとんどマイナス続き。乗用車新車販売に占める軽自動車の割合は上昇し、足元は40%に届こうかという水準だ。
■新車相次ぎ活性化
軽自動車の人気が続いた理由は急速に進んだ商品力の向上だ。かつての軽といえば、価格や維持費は安いが、走りや中身はそれなりだった。
しかし、ダイハツ工業、スズキの2強体制の世界に、ホンダが超ハイトワゴン(車高1.7メートル超級)「N BOX」で本格再参入した11年末から様相が大きく変わってきた。N BOXは広い室内空間だけでなく「さすが登録車メーカーらしい質感」(競合社販売員)と評価も高く、今に至るまで販売上位をキープする。
ホンダに刺激される形で、ダイハツ、スズキとも主力車種のモデルチェンジを前倒しするなど対抗。スズキはブレーキの減速エネルギーを再利用して低燃費化を図るシステム、ダイハツは緊急時の自動ブレーキなど、それぞれハイテク機能を盛り込んで反撃に臨んでいる。
6月には日産自動車と三菱自動車が、共同開発した新型ワゴン(車高1.6メートル級)「デイズ」(日産)、「eKワゴン」(三菱)を投入。紫外線カットガラスや360度視界のモニター(日産のみ)など、軽の主力顧客層である女性を意識した装備を搭載、クラストップの低燃費(発売当時)も引っ提げて割って入った。両社とも販売目標を大きくクリアする順調なスタートを切っている。
積極的な新車投入はまだまだ続く見込みで、勢いに乗るホンダは年内投入予定のワゴンタイプに加え、スポーツタイプなど15年までに5車種を追加。日産・三菱連合も1月には超ハイトワゴンを発売し、2社合計シェア20%の獲得に挑む。
業界トップながら、新参組に押される格好でじりじりとシェアを落としているダイハツも、10月に根強い人気の超ハイトワゴン「タント」をフルモデルチェンジ、14年にはスポーツタイプも投入する。三井正則社長は「開発のスピードを速め市場ニーズに素早く応えることでトップ維持にこだわる」と力を込める。
絶好調の軽自動車市場だが、にわかに懸念材料も浮上している。税金の引き上げ問題だ。
■増税は弱い者いじめ?
装備・性能の充実が進み車両価格では小型登録車並みかそれ以上も珍しくなくなった軽。しかし、自動車税は軽が年7200円(乗用自家用)と、最低でも3万円弱(同)する登録車に比べればかなり割安で、その他の租税や保険料も安い。これが軽の基本的な優位性となっている。
この軽優遇に対して、税収確保や非関税障壁との観点から、見直しの圧力が強まっているのだ。総務省の検討会の中では、軽自動車税の低さを疑問視する声が大勢を占める。軽優遇はかねがね問題視されてきたが、今回は消費増税やTPPなどとも関連づけられており、無傷とはいかない可能性もある。
業界の重鎮であるスズキの鈴木修社長は低所得者の購入が多い軽を狙い打ちにした増税は「理屈抜きに弱い者いじめだ」と言う。その一方で、その他のメーカーが声高に叫ぶ向きはない。ダイハツやスズキほど軽への依存度が高くないからだ。各社とも軽自動車税の引き上げは避けたいが、それが業績に与える影響は大きくない。
増税となれば、販売にブレーキがかかるだろう。特にダイハツとスズキは、やきもきする状況が続く。
(撮影:尾形 文繁 週刊東洋経済2013年09月14日号)
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