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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130908/dms1309080735008-n1.htm
2013.09.08 「日本」の解き方
米国などの金利が上昇傾向にある一方、日銀の量的緩和実施後に乱高下したとして騒がれた日本の長期金利はすっかり落ち着いている。当時騒いでいた人たちは、いまになって「消費税増税を延期したら金利が上昇する」という始末だ。
筆者は大蔵省(現・財務省)の官僚時代に国債課課長補佐として、国債の入札をほぼ毎週実施したほか、国債整理基金オペを行ったり、年末には国債発行計画などを作成していた。その時、国債取引を行う30社以上の銀行や証券会社の担当者から、各金融機関のポジションやマーケットの状況を毎日ヒアリングしていた。いわゆる「ポジション・トーク」を毎日聞いていたわけだ。
これらのトークは多種多様で、マスコミが流すような単純なものでなかった。マスコミは1、2社くらいしか取材しないで書くので、あたかも市場の人がみな同じようなトークをしているかのように見えるが、30社以上から聞くと、方向性が見えないのが普通だった。
彼らが発行当局者と話すのは、少しでも当局者から情報を入手したいからだ。そのために、極めて従順な態度である。もちろん実際に従順であるかどうかはわからないが、表面的にはそう見える。当局者の気まぐれは、彼らの商売の邪魔なので、そのリスクを少しでも減らそうとしていたようだ。なお、当局者の些細(ささい)な話でも、自分に都合よく他の人に流していた。まさしく自分が有利になるような「ポジション・トーク」だ。
いま金利が落ち着いている中でも、市場関係者はそれなりの理由をつけて解説するだろう。しかし、それも「ポジション・トーク」なのであって、短期的な金利の動きは誰にもわからないというのが真実だ。
もちろん、「長期的な視点に立てば、名目長期金利は名目GDP(国内総生産)成長率と大差はない」というセオリーはある。最近、経済は好調とはいえ、対前年同期比でみれば、2013年1〜3月期の名目成長率は▲0・8%、4〜6月期でようやく0・5%になったにすぎない。この観点から見れば、一時の乱高下があったとはいえ、長期金利が0・5〜0・9%のレンジで動いているのは、経済成長率と相応である。
さらに、過去10年間の長期金利の動きを見れば、今年2月から6月の乱高下といわれたような金利の動きは、1〜2年で1回程度は起こっていることがわかるだろう。
「長期的な視点にたてば、名目長期金利は名目GDP成長率と大差はない」というのは、あくまで自然体での話である。足下をみると、日銀は市場から国債を購入することで強力な金融緩和を実施している。ということは、当面の国債の需給関係からみれば、日銀は圧倒的な国債購入者である。しかも、日銀は通貨発行を原資とするわけで、それに長期的に対抗できる民間主体はない。
量的緩和の開始前後には、日銀も民間金融機関にも不慣れがあって、金利が乱高下したが、日銀が主役の国債市場になりつつある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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