★阿修羅♪ > 経世済民82 > 336.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
透明感強まる金相場の考え方 小菅努 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/336.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 9 月 07 日 13:36:00: igsppGRN/E9PQ
 

透明感強まる金相場の考え方
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kosugetsutomu/20130907-00027917/
2013年9月7日 12時8分 小菅努 | 大起産業(株)情報調査室室長/商品アナリスト


9月6日に発表された8月米雇用統計は、中途半端な内容に留まった。9月17〜18日にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見付きの米連邦公開市場委員会(FOMC)開催が控える中、ここで強めに数値が出てくれば、同会合での債券購入縮小から米金利上昇・ドル高・資産価格低下の流れを起点に、金価格に対してはダウンサイド・プレッシャーが強まる可能性が高い情勢になっていた。

しかし、肝心の雇用統計では、非農業部門就業者数の伸びは前月比+16.9万人に留まり、一部で期待されていた+20万人を大きく下回るのみならず、市場予測の+18.0万人にも届かなかった。また、前月分も速報の+16.2万人から+10.4万人まで下方修正されており、「本当に雇用情勢は緩和策の縮小を支持する程に良好なのか」、疑問を投げ掛ける内容になっている。

http://rpr.c.yimg.jp/im_siggZO6aIKkyTCelYLr9O2oQFQ---x512-n1/amd/20130907-00027917-roupeiro-000-4-view.gif

それでも、9月の緩和縮小の流れには変化が生じない可能性が高いとみているが、850億ドルの債券購入を大胆に削減することが難しい情勢になったことは否めない。まずは50億〜150億ドル程度の小幅な縮小に留め、金融市場や実体経済が「緩和モルヒネ」を無くしたことに対してどの程度の禁断症状を見せるのかを慎重に見極めながら、08年から続く量的緩和政策の終了時期を探ることになるだろう。

米金利上昇・ドル高・資産価格低下の流れが大きく修正されるリスクは低い以上、ファンドが金市場における売りポジションを縮小する動きは徐々に限定されることになる。実際、6日に発表されたCOMEX金先物市場の建玉報告(COTレポート)によると、9月3日時点でファンドの売り残高は前週比+1,975枚の7万3,760枚と「増加」に転じている。ファンドの売り残高は7月9日時点の14万3,657枚をピークにその後は7週連続の減少になっていたが、8週間ぶりに増加に転じたことは、ようやく加熱気味になっていたファンド売りのポジション整理が一巡した可能性を示唆している。

http://rpr.c.yimg.jp/im_siggEw0tN99JFXx.Ps5ZkO_NuA---x512-n1/amd/20130907-00027917-roupeiro-001-4-view.gif

ここで米金利上昇・ドル高・資産価格低下圧力を手掛かりにファンドが再び売り込む動きを見せれば、金価格は2ヶ月にわたる調整高を経て、戻り売り再開となる。FOMCに向けての各種米経済指標やシリア情勢などが、緩和縮小開始を支持する内容になるのか、一歩一歩慎重に見極めるステージになろう。

もっとも、原油価格の高止まりが続く中、金市場が独歩安となって急落するような可能性も低い。シリア情勢を背景とした原油価格の急騰局面にはブレーキが掛かった形になっているが、WTI原油が平均で1バレル=105ドル前後に留まる間は、COMEX金先物相場は1オンス=1,300〜1,330ドル水準が下値目処になる。緩和縮小議論を背景に各マーケットはボラティリティを増しているが、CRB商品指数は総じて戻り歩調を維持しており、この状況下で購買力指標としての金価格のみが急落するのかは疑問視している。当面の戻り高値を確認した可能性が高まるも、まずは少しずつ売りアクセルを踏む段階になるだろう。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年9月09日 19:47:47 : niiL5nr8dQ
世界の住宅価格:4−6月は3年ぶり大幅上昇−アジア好調

  9月9日(ブルームバーグ):世界の住宅価格は4−6月(第2四半期)に前年同期比で平均2.4%上昇し、過去3年で最も値上がりした。ドバイのほか、香港や中国本土などのアジア市場での価格上昇が目立ったと、英不動産ブローカーのナイト・フランクが明らかにした。
同社の9日発表によると、最も値上がりしたのはドバイで21.7%上昇。前期比では台湾の7.4%が最高だった。
欧州で値上がりが最も激しかったのはトルコで、前年同期比12.2%上昇。同地域で最も下がったのはギリシャで、11.5%値下がりした。
ナイト・フランクのアナリスト、ケイト・エバレットアレン氏はリポートで「2010年以来初めて、欧州では価格が前年比で上昇した」と指摘した上で、「過去12カ月で平均0.7%値上がりとの数字は、各国間で住宅価格に大きな格差がある現状を覆い隠している」と説明した。
発表によると、香港の住宅価格は前年同期比19.1%、中国は同14.8%それぞれ上がり、世界の中でも値上がりが際立ったが、前期比では中国は横ばい、香港は1.2%上昇にとどまった。
原題:Global Home Prices Climb Most Since 2010 as Dubai to ChinaRally(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ドバイ Zainab Fattah zfattah@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Andrew Blackman ablackman@bloomberg.net
更新日時: 2013/09/09 18:39 JST

 


 


 
中国株(終了):上海総合指数、昨年12月以来の大幅高 

  9月9日(ブルームバーグ):中国株式相場は上昇。上海総合指数 が昨年12月以来の大幅高となった。銀行株が高い。中国の輸出 が予想を上回る伸びとなったほか、一部の銀行には資本増強のため優先株の発行が認められるとの観測が投資家の間で広がった。
上海浦東発展銀行(600000 CH)は10%上昇。同行と中国農業銀行が銀行に優先株を通した資金調達を認める試験的なプログラムに参加する可能性があるとマネーウィーク誌が伝えた。
中遠航運(600428 CH)と上海国際港務(集団、600018 CH)も大きく上げた。上海自由貿易区の設置で上海市が世界的な貿易・海運の中心地になるとの期待が背景。
上海証券取引所の人民元建てA株と外貨建てB株の双方に連動している上海総合指数 は、前週末比72.52ポイント(3.4%)高の2212.52で終了。昨年12月14日以来の大幅な値上がりとなった。上海、深圳両証取のA株に連動するCSI300指数は同3.5%高の2440.61。
ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門でポートフォリオ管理ソリューション地域責任者を務めるデービッド・ポー氏は、優先株発行の見通しから、資本不足に伴う融資抑制や銀行システム弱体化といった懸念が和らいだと指摘した。  
原題:China’s Stocks Rise Most in Nine Months as Banks SpearheadRally(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Weiyi Lim wlim26@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Michael Patterson mpatterson10@bloomberg.net
更新日時: 2013/09/09 17:24 JST

 


 


 

焦点:通貨安による輸出増加を期待する新興国、効果は限定的
2013年 09月 9日 17:17 JST
[ロンドン 6日 ロイター] - 最近の通貨下落で、新興市場国では輸出の伸びが期待される。ただ、輸出増加がもたらすプラスの効果以上に、輸入インフレや為替相場安定に向けた利上げが景気に与える影響のほうが大きい。

インドルピーやブラジルレアルなど新興市場国の通貨は年初から12─20%下落した。株式も売られ、新興国からの資金引き揚げが続いている。

一方、政策当局者は、通貨安が経済の救済になると期待している。

中国や欧米の景気回復が順調に進めば、新興国の安価な輸出品に対する需要が高まり、その結果、インドやトルコの経常赤字は縮小すると見込まれれている。

インドルピーが対ドルで最安値を更新するなかシン首相は先週「ルピー安は経済にとりプラスだ。われわれの輸出競争力を高め、輸入を抑制する」と語った。

シン首相は確かに正しいかもしれない。教科書通りの経済学によると、20%の通貨下落は、輸出企業の国内労働コストや投入コストを20%押し下げ、競争力を高める。その結果、輸出は増加する。新興国はこうした輸出の伸びにより1997─2002年の通貨危機から劇的に回復した。

通貨安による効果は一部の新興市場国で既にみられる。キャピタル・エコノミクスによると、中南米の輸出は上半期に平均0.9%縮小したが、7月には前年比2.2%増に転じた。

南アフリカの輸出は7月に10%超拡大。ブラジルの農業製品の輸出はレアル安を背景に8月の1─3週間で大幅に増加した。

ただ、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの投資銀行は、新興市場国の今年と来年の経済成長率予想を大幅に引き下げており、輸出主導の景気回復に対する悲観的見方がうかがえる。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの東欧・中東・アフリカの為替・債券戦略部門代表、デイビッド・ハンター氏は「もちろん通貨安は輸出面でプラスだ。ただ問題は、為替や債券市場の動きは経常赤字よりもずっと速い。最終的に改善がみられるのは早くて年末になるだろう」との見方を示した。

<内需の弱さカバーしきれない外需>

新興国は、中国、日本、欧米で改善がみられる製造業購買担当者景気指数(PMI)を心強く思うべきだ。UBSアナリストのリサーチによると、新興国の輸出は、自国のPMIよりも、先進国のPMIとの関連性が高い。

ただ、UBSの新興国の債券・為替戦略部門代表、Bhanu Baweja氏は、最近の米国の輸入需要は、シェールガス開発の重機や輸送関連品など、新興国が通常は輸出をしないセクターに集中している、と指摘する。

加えて、欧米景気は回復しつつあるものの、賃金は依然低水準にとどまっており、購買力はほとんど上向いていない。当局データによると、米国の週間賃金は不変ドルベースで1995年からわずか6%の上昇にとどまっている。昨年の英実質賃金は2002年と同水準だった。

さらに、自国通貨を守るため金融引き締めを余儀なくされている国では、借入コスト上昇による国内の信用の伸びや消費への打撃が予想され、その結果、輸出主導型の景気回復の可能性は低い。

前出のBaweja氏は、多くの国では2008年の金融危機以降、輸出よりも信用が成長の主たるけん引役になってきたと指摘し、この状況が現在危機に直面していると指摘。「米金利の上昇に伴い新興市場国の金利も上昇する。輸出は回復するかもしれないが、内需は停滞する。輸出が弱い内需を補うほど力強く回復する可能性は低い」と語った。

<両刃の剣>

原油価格は新興国の景気を大きく左右する。通貨安では輸入原油価格や素材コストが上昇、企業の競争力は低下する。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの試算によると、国内で消費するエネルギーのほぼ全てを輸入に頼るトルコでは、通貨リラが10%下落すれば、インフレを15─20%押し上げる。そのため、価格競争力のほとんどは数カ月後にインフレで帳消しになる。

インドルピーは過去2年下落基調にあるが、輸出はほとんど伸びていない。それだけでなく、政府の燃料補助金負担は、ルピーの価値が対ドルで1ルピー下がるごとに、800億ルピー(12億ドル)膨らむとの試算がある。

HSBCグローバル・アセット・マネジメントの戦略部門代表フィリップ・ポール氏は「通貨安は両刃の剣だ」と指摘。インドでは、価格が上昇しても輸入需要はあまり変わらず、そのため、原油高は、財政やインフレ、経済成長に打撃を与える、と述べた。

(Sujata Rao記者;翻訳 伊藤恭子;編集 内田慎一)のない場合もあります)


 


 

 


 
人民元NDF、2週間ぶり大幅高−輸出の伸びが予想上回る 
  9月9日(ブルームバーグ):中国人民元のノンデリバラブル・フォワード(NDF)は9日、2週間ぶりの大幅高となった。8月の中国輸出の伸びがエコノミスト予想を上回り、同国経済が勢いを増しつつあることがあらためて示された。
ブルームバーグがまとめたデータでは、1年物のNDFは香港時間午後5時14分(日本時間同6時14分)現在、0.12%高の1ドル=6.2268元と、上昇率は8月26日以来の大きさ。上海スポット取引の元相場を1.7%下回る水準となった。
中国外国為替取引システム(CFETS)によると、人民元は上海市場でほぼ変わらずの1ドル=6.1210元で終了。ブルームバーグのデータによれば、香港のオフショア市場では、元は0.05%高の6.1107元。
原題:Yuan Forwards Rise Most in Two Weeks After Exports TopForecasts(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Fion Li fli59@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Regan jregan19@bloomberg.net
更新日時: 2013/09/09 18:49 JST
 


 


 
 


 
焦点:シリア危機下の投資戦略、米緩和縮小で困難に
2013年 09月 9日 16:55 JST
[ロンドン 6日 ロイター] - シリア情勢の悪化が招きかねない市場の変動から身を守ろうとする一部の投資家は、最高格付けの国債に代わる投資先として石油に注目している。

多くの投資家は、巨大な国債市場がもたらす流動性と引き換えにある程度の短期的な痛みに耐える構えだが、米国債と独連邦債の年間損失が1990年代半ば以降で最大になるとみられるなか、石油はより良い投資先として注目されている。

一部のアナリストは、米国の対シリア軍事介入に他国も加わる場合、原油価格が20%超上昇する可能性があると指摘する。UBSのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ラミン・ナキサ氏は「当社の原油チームは、全面戦争シナリオでは原油価格が1バレル=150ドルまで上昇する可能性があると考えている」とし、「われわれはエネルギーをオーバーウエートとしてきた」と述べた。

地政学的リスクが高まった、コソボ紛争、イラク戦争、リビア内戦に至る過去の危機では、流動性の高い米国債か独連邦債が完璧な投資先で、投資家は影響がより明確になるまで米国債や独連邦債に資金を待機させた。いったん影響が明らかになると、これらの市場は比較的速く上昇していた。

だが今回、投資家が資金をこのような国債に置いておく戦略の魅力は薄れている。米連邦準備理事会(FRB)が国内経済を刺激するため続けてきた大規模な債券購入プログラムの縮小を計画する一方、他の主要な西側諸国はようやく成長の兆しを見せている。

国債の信用度や、現金同様の取引が可能であるという安全資産としての重要な特徴に変わりはないものの、こうした状況が、事実上20年間続いた国債の上げ相場の終了につながった。

スイスフランや金などの他の安全資産も同様の問題を示す。スイスフランと金はともに、金融システムへの懸念を背景に相場が高すぎる事態に陥った。

石油と同様に、エネルギー関連株あるいは中東の紛争時に上昇する傾向のある通貨への短期的な需要は高まりつつある。これとは別に、オプション市場で、ボラティリティが現在の低い水準から上昇する場合の利益を狙った取引を設定することも、数少ない代替投資の一つとみられている。

先のナキサ氏は「地政学的イベントがあるとき、ボラティリティは常に急激に高まる。現時点では明らかにボラティリティは極めて限定されている」と述べた。

<不確実性>

過去10日間で、STOXX欧州石油・ガス株指数.SXEPは、STOXX欧州600指数.STOXXを約5%アウトパフォームし、多くの機関が石油・ガスセクターを「買い」推奨とした。ただ、上げ幅はまだ小幅にとどまっている。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントの英国株シニアファンドマネジャー、デレク・ミッチェル氏は「(シリアの状況は)恐ろしい人道上の惨劇だが、市場はこの話をまだ深刻には受け止めていない」と指摘する。

為替市場では、カナダドルとノルウェークローネが対円で上昇している。カナダとノルウェーは原油価格の大幅上昇の恩恵を受ける産油国である一方、日本は最大の原油輸入国の一つとして価格上昇の打撃を受けることになる。

1991年と2003年の米主導の対イラク戦争では、両ケースともに開戦前に世界の株価.MIWD00000PUSは下落したが、戦争の影響範囲が明らかになった後は上昇に転じた。

現在の主な懸念は、米国がシリア攻撃を開始した場合、シリアの同盟国であるイランが戦闘に加わるかという点だ。そうなれば、地域全体に戦火が広がり、深刻な原油供給問題が引き起こされる。また、今回の危機が、米国の行動に反対したロシア・中国と米国との関係にどう影響するかも懸念されている。

2011年のリビア内戦や1999年のコソボ紛争など、過去のより小規模な戦闘では、状況が緊迫するにつれて市場のボラティリティは高まったものの、株式や他の金融市場への影響は限定されていた。

ABNアムロのディディエ・デュレ最高投資責任者(CIO)は今回のシリア危機について、自身の基本シナリオでは市場にとって「短期の混乱」に終わり、世界経済の回復を妨げない、と説明した。

<流動性高い資産を選好>

2008年の金融危機では、多くの投資家が価値が減少する保有資産を容易に手放せない事態に陥った。今回は、たとえ債券保有によって短期的に損失を被るとしても、投資家は流動性の高い資産を選好する可能性が高い。

「2008年の危機は間違いなく、本当に流動性があるものと、そうでないものについて、それまでと異なる見方をもたらした」と、ボストンを拠点とする資産運用規模220億ドルのルーミス・セイルズ・ボンド・ファンドのマット・イーガン氏は語る。同氏は「われわれはシリア問題を懸念しているが、正直に言うと、このような事態に際し、準備できることはあまりない」とし、「われわれは概して米国債が好きではないが、債券の世界では最も流動性の高い商品の1つでもある」と述べた。

さらに、カナダやノルウェーなど最高格付けを付与されている他の国が米国債に代わる投資先を提供しているとの指摘もある。


02. 2013年9月10日 00:24:05 : niiL5nr8dQ
石橋正一郎・江守哲の「世界が見えるコモディティ投資」 > 第55回 米国のシリアへの軍事介入と市場の行方(江守)

第55回 米国のシリアへの軍事介入と市場の行方(江守)

2013年09月09日

世界情勢が混沌としています。混迷が続くシリアで、アサド政権が一般市民に対して化学兵器を使用した疑いが強まったことから、米国を中心に軍事介入が検討され始めています。中東情勢の不透明感が一気に高まり、市場では株価が下落し、原油価格が上昇するなど、典型的な地政学的リスクへの反応も見られました。今回のシリア情勢を背景とした株価急落・原油高騰の第一幕はすでに終わり、ここ数日間は落ち着きを見せていますが、予断を許さない状況です。オバマ米政権は軍事介入を前提に米議会や同盟国などへの根回しを始めています。またケリー米国務長官も「アサド政権による化学兵器使用の証拠をつかんだ」と言明する一方、上院外交委員会では軍事攻撃が承認されるなど、アサド政権への圧力が強まりつつあります。

振り返れば、2003年3月に米国はイラクを攻撃しました。その際、米国はイラクが大量破壊兵器を保持しており、危険な状況にあることをその理由に挙げ、軍事攻撃を正当化しようと試みました。しかし、数年後にその大量破壊兵器が存在しなかったことが明るみになり、当時のブッシュ政権は強く批判されました。結果的に、攻撃はイラクの石油確保だったことが露呈したわけです。しかし、多数の死者が出るなど、米国の判断が誤りであっただけでなく、その後の復興にも想像以上の時間が掛かっています。石油の確保もままならないまま、結局はあの戦争の意義がどこにあったのかは、いまだにうやむやになっています。もちろん、米国自身がこれらの事実を公に認めるわけにはいきません。そのうえで、今回も批判を承知でシリア攻撃を実行しようとしているわけです。

しかし、前回のこともあり、オバマ政権はかなり慎重に事を進めているといえます。イラクの件を考えれば、より明確な化学兵器使用の証拠と攻撃を正当化できるだけの理由が必要と考えるのも無理はありません。オバマ米大統領が、前回のイラク攻撃の際の批判を避けるべく、今回は米国民の代表である米議会にその承認を得ることを優先させたことは評価できます。一方、軍事介入に強い意気込みを見せていた英国のキャメロン首相は議会に反対され、介入参加を断念しました。またドイツはすでに軍事介入への不参加を表明し、強硬な姿勢を見せていたフランスも、米国議会の承認の動向を見極めるとし、大幅にトーンダウンしています。オバマ米大統領は、議会の承認がなくとも、独断で軍事攻撃を決定できる強力な権限を保持しています。しかし、ノーベル平和賞を受賞してしまったがゆえに、今回のようなコンセンサスの形成を選択せざるを得なかったといえます。

この状況を利用しようとしているのが、米国の軍事介入を明確に批判しているロシアのプーチン大統領です。今回の件をきっかけに、米露の確執が再び強まれば、世界の枠組みに再び大きな変化がみられるかもしれません。また攻撃に反対しているのは中国も同じです。すでに大国といえるだけの経済力を持つだけに、国際社会における発言力は年々強くなっています。さらに国連の潘基文事務総長も、安全保障理事会で承認されない限り、米国の軍事攻撃は正当化されないと言明しています。米国の軍事攻撃にはかなり高いハードルがあることだけは間違いありません。

それでも、最終的には米国はシリアへの軍事介入を行うでしょう。その過程で原油相場高騰の第二幕が開くことになると思います。ただし、今回の米国の軍事介入では、最大90日間、地上部隊の投入なしという制約付きです。現時点でイラク戦争のような長期化を想定する必要もなさそうですから、WTI原油で115ドル程度がめどになりそうです。それよりも懸念されるのが、リビアなど中東・アフリカ地域からの原油輸出量の減少です。すでに世界の石油消費量の3.5%程度が消失しているとされています。このような状況を受けて、サウジアラビアは9月の産油量を増やすとしていますが、懸念は残ります。先進国を中心に在庫が減少するようだと、戦略石油備蓄の放出などが検討される中で原油価格は一段高になるかもしれません。

当面は不透明感が強まる中、株式もコモディティもボラティリティが高くなりそうですが、過去のデータを分析すると、9月から10月は株式を買うのに最適な時期でもあります。米国の軍事介入をきっかけとした急落は、格好の押し目買いの機会になりそうです。一方で9月の月間上昇率が高い金は、そのタイミングで一旦手仕舞うのがよいかもしれません。もっとも、金については今後も上昇するとみていますので、10月の安いところで買い直すことが、手仕舞い売りの前提となりそうです。


江守 哲
アストマックス投信投資顧問株式会社 
コモディティ運用部・シニアファンドマネージャー
商社、外資系企業等を経て、現在まで20年超のコモディティ市場経験。


03. 2013年9月10日 08:05:52 : niiL5nr8dQ
【第294回】 2013年9月10日 真壁昭夫 [信州大学教授]
リーマンショックから5年、世界経済は蘇ったか?
「超金融緩和」という劇薬の投与が終わるとき
悪夢のリーマンショックから5年、
世界経済は本当に蘇ったのか?

 2008年9月15日、米国の大手投資銀行であったリーマン・ブラザーズが破綻した。世界最大の倒産劇として、間違いなく歴史の1ページを飾る出来事だった。リーマンの破綻をきっかけに、世界経済は大幅な落ち込みを経験した。

 一時は、1920年代の大恐慌が再びやって来るとの見方があった。しかしその後、米国や欧州、わが国さらには中国までもが積極的な経済対策を打って、何とか世界経済が奈落の底に沈むことは回避された。

 現在、リーマンショックの発祥地である米国は、ようやく不動産バブルの後始末に目途が立ち、今月のFRBでQE3(超金融緩和策)を縮小できるというところまでこぎつけた。

 一方、ユーロ圏諸国の中には、依然としてバブルの後始末に目途が立っていない国もある。ギリシャには、今後も追加支援策が必要になるとの見方もある。

 リーマンショックで米国経済が沈んだ後、4兆元(約60兆円)の大規模な景気対策で経済を押し上げた中国は、その後の約3年間、米国に代わって世界経済を牽引した。

 しかしその中国も、大規模な景気対策による供給能力の積極的な拡張のマイナス面が顕在化しており、過大な供給能力に悩みながら、国内消費主導の経済へとモデルチェンジを図っている。世界第2位の経済大国のモデルチェンジは、容易ではない。時間がかかるだろう。

 わが国は1980年代後半のバブルの学習効果もあり、2000年代の世界的な不動産バブルにまみれることは免れた。しかし、人口減少や少子高齢化、さらには産業の地番沈下などで景気低迷が長期化した。

 約3年間の民主党政権が終わり、経済再生を目指す自民党政権に代わったこともあり、経済は少しずつ回復基調を歩み始めている。これから、わが国や世界の経済は、どのような方向に向かって進んでいくのだろう。

震源の米国経済は回復基調に復帰
欧州・中国のバランスシート調整

 80年代に大規模なバブルを経験したわが国は、97年11月にバランスシート調整の最終局面である金融機関の経営悪化(金融システム不安)を経験した。その後、金融機関は不良債権処理に邁進し、処理に目途が立ったのが2002年3月期だった。結果的に5年の時間を要した。

 この5年の期間には、それなりの意味があるようだ。米国のリーマンショックは、バランスシート調整の最終局面の入り口だ。それから5年の歳月が流れ、米国経済にはようやく回復に向かう道筋が見えてきた。そこには、“シェール革命”という大きなプラス要因が存在したことも見逃せない。

 その5年間、米国のFRBは緊急避難の方策として、思い切った金融緩和策を実施した。具体的な内容は、輪転機でドル紙幣を印刷して市中に供給したのである。量的緩和策だ。最初の量的緩和策(QE1)では約1兆1000億ドル、QE2では約6000億ドル、そして現在のQE3では1ヵ月間に850億ドルの流動性を供給した。

 潤沢な資金供給によって何とか景気の下支えを行い、株式などの金融市場を安定させることで、大恐慌という最悪のシナリオへから逃れたのである。わが国も欧州も、同じように大胆な金融政策によって、金融市場の混乱や景気の落ち込みを回避してきた。

 ただ、政策効果の発現という意味では、諸国間にばらつきがある。ユーロ圏諸国の中には、ギリシャなどのようにバブルの後始末の目途が立たない国があり、バランスシート調整を終えるにはまだ時間が必要だろう。

 中国は、不動産バブルがまだ完全に崩壊する前の状態だ。今後、“シャドーバンキング”などの問題が顕在化するにしたがって、経済全体のバランスシート調整が本格的に始まることになると見る。

 金融緩和策の効果については、経済専門家の間でも様々な見方や論争がある。金融当局が潤沢な資金供給を行っても、産業界が元気を取り戻さない限り、本当の意味での経済回復を望むことは難しいとの考え方がある一方、思い切った流動性の供給によって、経済は自立的に回復への道を歩むことが可能との見解もある。

出口を模索するQE3に異次元緩和
「超金融緩和策」の意味とその効果

 ただ、1つ確かなことは、潤沢な資金供給によって金融市場に大きな影響が及ぶことだ。あり余るほど供給される資金の一部は、投資資金となって株式や不動産市場に流入する可能性がある。多額の投資資金が流れ込むと、株式や不動産の価格を安定させる効果が考えられる。

 株式や不動産の価格が上昇すると、当該資産の保有者は“含み益”を持つことが考えられる。“含み益”を持った人の心理は楽観的になり易く、そうした人々がお金を使うことが想定される。いわゆる“資産効果”である。

“異次元の金融緩和策”を伴ったアベノミクスによって、昨年末以降、株価が上昇したこともあり、わが国の個人消費は底堅い展開を示している。特に、高級時計や宝飾品などの高額商品の売れ行きが好調だった。

 一方、主要国の経済状況を見ると、金融政策が期待されたほどの効果をもたらしていない部分もある。ユーロ圏経済は、まだ明確な回復のプロセスが見えてこない。米国やわが国の経済は、とりあえず回復に向かっているものの、その歩みはいかにも緩やかだ。

 逆に、金融緩和策の弊害を無視すべきではない。金融当局が巨額の流動性を供給するため、株式や一部の商品市況にバブルが発生しやすくなっていることだ。

 1つの例を挙げると、今年4月4日、日本銀行が“異次元の金融緩和策”を発表して以降、わが国の株氏市場は、80年代のバブル期にも見られないほどのペースで上昇した。その後、米国の金融緩和策縮小の思惑の台頭によって急落した。当時の上昇を振り返ると、“ミニバブル”が発生していたことは否めない。

 リーマンショックから5年が経過した現在、米国のFRBは金融緩和策の縮小に踏み出そうとしている。その背景には2つの要因がある。

 1つは、米国経済に回復に見込みが立ったことだ。緊急避難の金融緩和策がなくても、米国経済が独り立ちして、回復への道を歩めるとの読みができたのである。

 もう1つは、金融緩和策の弊害を考えると、いつまでも現在の政策を続けられないことだ。現在の金融緩和策を続けると、株式や不動産などの市場で再びバブルが息を吹き返すことが懸念されるのである。

 その弊害を防ぎながら米国経済の回復を支えるには、時期を見て、緩和策を徐々に縮小する以外方法は見当たらない。FRBは、まさに今それを行なおうとしている。

主要国の経済正常化に伴って
金融政策の弊害が目に付き始める

 ただ、金融緩和策の縮小によって避けられない問題も出てくる。まず、資金供給を絞ることで、株式や為替などの金融市場が不安定化することだ。投資資金の流入が細るため、株価は不安定な展開になり易くなるだろう。また、世界に分散した投資資金が米国に回帰することが予想されるため、為替市場にも変化が出る。

 特に、海外からの資本流入への依存度が高いインドネシアやインド、ブラジルなどの新興国の金融市場は、大きな影響を受ける。それらの国に流れ込んだ短期の投資資金は、本国に回帰することが想定される。

 その結果、株価や為替は下落しやすくなる。結果として、当該国の経済運営にも支障が発生する事態も懸念される。実際、足もとでそうした傾向が顕著になっている。

 リーマンショック以降、世界経済は主要国の緊急策としての金融政策に支えられた面が大きかった。しかしこれからは、主要国の経済が正常化するにしたがって、金融政策の弊害の部分が目につくようになるだろう。そうなると、早晩緩和策は縮小することになるはずだ。

 問題は、緩和策という劇薬の投与を中止しても、各国経済が独自に回復への道を歩める強さを持っているか否かだ。それを実現するためには、経済の実力を高めることが必要不可欠だ。わが国には、金融・財政政策で時間を借りている間に、経済の実力を高められる政策運営が必要だ。





【第12回】 2013年9月10日 芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員]
シリア情勢緊迫化で原油上昇も
介入後は早期終結期待で下落か
 シリア情勢緊迫化を受けて、原油価格は一段高となった。8月26日に米政府は「化学兵器をアサド政権が使用したことにほぼ疑いの余地はない」との見解を示し、27日にはオバマ大統領からの命令があればシリアを攻撃する準備ができているとの米国防長官の発言が報道された。

 29日にも攻撃開始との見方もあったため、事態の急展開を予期した原油相場は上昇した。本稿執筆時点では、9月5〜6日のG20の場を利用して、オバマ大統領が各国首脳とシリア情勢について意見交換する予定だとされている。


拡大画像表示
 そもそも、夏場の原油市況は、エジプトの政情不安やリビアでの武装勢力によるパイプライン閉鎖などが相次いだことや、米国の原油在庫が減少傾向にあったことから、上昇基調で推移していた。

 米国の量的緩和縮小観測から株式も含むリスク資産全般が売られる中で、上昇要因が目立つ原油に買いが集まりやすくなった面もあった。そこに、米欧によるシリアへの軍事介入の観測が強まったのだった。8月終盤に欧州北海産のブレント原油は117ドル台、米国内陸産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は112ドル台まで上昇した。

 しかし、シリア情勢を材料にさらに原油相場が上昇することはなさそうだ。米欧による軍事介入があっても限定的な規模になるとの見方が優勢になり、中東全域が混乱する可能性も小さくなっている。過去の湾岸戦争やイラク戦争の例を見ると、実際に軍事行動が起きると戦争の早期終息観測などから原油相場は下落した。

 また今後、北半球では、ドライブシーズンが終わって、暖房向け需要も出てこない時期になり、原油の需給が緩和しやすい。FRB(米連邦準備制度理事会)が量的金融緩和を縮小するとの観測も、原油や金など商品全般の売り材料とされる。

 ただ、過去の例を見ると、米国の金融緩和が解消されて市場金利が上昇するような局面では、国際商品市況は上昇傾向を維持している場合が多い。米国を中心に世界経済の拡大が続き、国際商品は需給の引き締まりから上昇しやすいためだ。FRBは、景気回復を阻害しないように配慮しつつ、金融緩和の解除を行うのが常である。上述のように、目先の原油相場は下げやすいが、他の商品市況はむしろ上昇基調に転ずるだろう。

 そうした中で、シリア情勢による一時的な金融市場の混乱がFRBの金融政策に及ぼす影響に注目すべきだ。金融市場の混乱が続けば、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)における量的緩和の縮小決定は見送られるだろう。ドル安を促し、原油など商品市況を押し上げる可能性がある。金融市場が安定を取り戻せば、こうした商品高は量的緩和の縮小が遅れた弊害と見なされそうだ。

 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
http://diamond.jp/articles/print/41432


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民82掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧