01. 2013年9月07日 22:53:09
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買ってはいけない!? 外国人が大量に買った株1――はじめに 日本の株式市場で外国人の存在感が増している。そのせいもあるのか、2013 年 3 月期の決算発表が 本格化した頃から「外国人が大量に株を買った企業はどこか」、「外国人はどのような企業を好むか」 といった情報を目にする機会が増えた。いずれも株の売買を推奨する旨は明記していないようだが、 情報の受け手側(読者)には株式投資の参考情報にしようと考える向きもあろう。果たして外国人の 後追いで株を買うと儲かるのだろうか。 そこで本稿では、外国人持ち株比率と企業の経営指標や株式収益率の関連性を調べた。その結果、 外国人が大きく買い越した企業は必ずしもその後の経営指標が他社より改善する訳ではないことや、 安易にこれら企業の株を買っても儲からない傾向がみられた。 2――日本株と外国人投資家の関係 1|日本株市場で存在感トップの外国人 東京証券取引所などが発表した 2012 年度の株式分布状況によると、「外国法人等」(以下「外国人」) が日本株を保有する割合(金額ベース)は、前年度比 1.7 ポイント増加して過去最高の 28.0%となっ た(図表1)。過去からの推移を見ると、1980 年代は事業法人や信託銀行(年金基金や投資信 託の保有分が多い)、生・損保などが日本株の殆 どを保有しており、外国人のシェアは1割に満 たなかった。しかし 90 年代以降、持ち合い解消 等により国内投資家が日本株の保有を徐々に減 らしたのと対照的に、外国人はほぼ一貫して保 有シェアを拡大し3年前から最大の株主となっ ている。 http://www.nli-research.co.jp/report/report/2013/09/repo1309-1.html 経済予測の上方修正からアベノミクスの効果を探る アベノミクスの効果を定量的に捉えることは難しいが、エコノミストの経済予測が安倍政権発足前後でどれだけ変化したかを見ることにより、その効果を探ってみた。 ESPフォーキャスト調査を用いて、政権交代前と直近の予測値(平均)を比較すると、実質GDP成長率は2013年度が1.45%(1.37%→2.82%)、2014年度が0.33%(0.23%→0.56%)の上方修正、消費者物価上昇率は2013年度が0.35%(0.08%→0.43%)、2014年度が0.39%(0.34%→0.73%)の上方修正となっている。 実質GDPの上方修正を需要項目別にみると、民間消費、公的固定資本形成、外需の上振れが大きい。また、当研究所のマクロモデルによる試算では、実質GDPの上方修正は円安、株高、公共投資増額でほとんど説明できる。 このことは、これ以上の円安、株高がなければ成長率のさらなる高まりが期待しにくいことを意味している。実際、一本調子の円安、株高が止まったことを受けて、7月、8月のESPフォーキャスト調査では、予測値の上振れが一服する動きが見られた。 円安、株高が止まった後も、成長率、物価見通しの上方修正が続くようであれば、エコノミストはアベノミクスを本物と見ていることになる。アベノミクスの真価が問われるのはこれからだ。 http://www.nli-research.co.jp/report/report/2013/09/repo1309-2.html 景気回復の本格化と不動産市況の着実な改善−不動産クォータリー・レビュー2013年第2四半期 2013/09/06
1――経済動向と住宅市場 2――不動産業の景況感と住宅市場 3――不動産サブセクターの動向 4――J-REIT(不動産投信)・不動産投資市場 ■introduction 5月以降、株式市場と為替相場が不安定な動きをする一方で、1-3月の実質GDP成長率が年率4.1%に上方修正されるなど、景気は内外需そろった高成長により回復軌道に入ったと考えられる。5月の新設住宅着工戸数は年率103万戸と約4年半ぶりに100万戸を上回った。景気回復や不動産価格・金利の先高感、消費税増税前の駆込み需要などから、当面、マンション販売は好調が続くと思われる。 東京のオフィス市場は、Aクラスビル賃料が前期比▲3.9%と、前期の大幅上昇(+15.8%)の調整からわずかな下落となった一方、大型ビルの空室率下落が顕著で賃料も2期連続で上昇した。今期、Aクラスビルの賃料回復は足踏みしたが、景気回復の本格化に伴いオフィス市況は着実に改善しており、2014年初めまで好調な賃料上昇が続くと予測する。首都圏空港の発着枠の拡大や円安の進展から5月の訪日外国人客数は前年比+31.9%と大きく増加し、ホテルの客室稼働率も2007年以降の最高水準で推移している。高級賃貸マンションでは競争力の高い物件で稼働率の上昇が見られるようだ。 J-REITによる活発な物件取得は第2四半期も続き、上半期累計取得額は1.4兆円で既に昨年一年間の1.7倍に達している。景気回復や円安を背景に外資系企業による取引も回復してきており、不動産投資市況は引き続き堅調に推移すると考えられる。さらに9月初めの国際オリンピック委員会総会で、東京が2020年夏季オリンピック開催地に選ばれた場合、 中期的に消費や投資の拡大が期待できる。 http://www.nli-research.co.jp/report/report/2013/09/repo1309-3.html 米債安 日本国債も金利上昇 http://www.bk.mufg.jp/report/mksc2013/market_2013_36.pdf 最近聞かなくなった「ユーロ圏失業率、過去最悪を更新」、「ギリシャ金利急騰」 2013年9月5日(木) 第一生命経済研究所 経済調査部 エコノミスト 藤代 宏一 TEL 03-5221-4523 このところ欧州サイドから連日のようにグッドニュースが届く。ユーロ圏PMI(製)の2年ぶりとなる 50回復(7月:50.3、8月:51.4)やGDPの7四半期ぶりプラス転化などが代表的だ。他にも消費者信頼感 指数や小売売上高といったデータも基調は明確に上向いている。鉱工業生産もドイツを中心に強い。そして 毎月恒例だった「ユーロ圏失業率、過去最悪を更新」といったニュースも最近は目にしなくなった(13年3 月以来12.1%で横ばい)。連日のように欧州からバッドニュースが届いた昨年までと比較すれば、大きな進 歩と評価できる。 こうしたなかで特に注目されるのは、金融市場の落ち着きだ。もはやギリシャ金利がニュースのヘッドラ インを飾ることはほとんどない。筆者は5月以降、米・英・独金利が上昇トレンドを形成した際に、イタリ ア・スペイン等の周縁国金利もその余波で金利上昇トレンドに回帰してしまうのではないかと懸念していた が、実際(今のところ)それは杞憂に終わっている(図)。金利上昇圧力に晒されているにも拘らず、重債 務国金利の対独スプレッドは着々とタイトニングしている。 あまり注目されていないが、筆者は今次局面のTaperingと過去2回のQE終了局面との比較という観点か ら欧州市場の緊張緩和を重視している。リーマン・ショックの生傷が癒えていなかったQE1終了時は比較 対象から除くとしても、QE2終了時には米株下落、米金利低下の裏で重債務国の金利が急騰し信用不安が 拡大した(図)。この時期の欧州は11年4月にポルトガルが支援を要請、市場の疑心暗鬼はイタリア、スペ インに広がりを見せており、金融市場は極度の緊張感を帯びていた。QE2終了後の米株安と欧州の信用不 安増幅が重なったのは、偶然の一致のようにも感じるが、FEDの散布する過剰流動性が重債務国の国債に 向かわなくなったことも遠因と考えられる。
ところが、今回はTapering観測が高まるなかでも重債務国(GIIPS)金利が落ち着いており、エマージング 市場とは対照的に欧州市場の緊張緩和は一段と進展している。こうした中で、欧州株も8月中旬に多くの国 が年初来高値を更新した。足もとではやや調整気味だが、それでも年初の水準は大きく上回っており、資産 効果すら期待できる状況にある。不動産価格も一部の国で持ち直しの兆しがみられており、家計のバランス シート調整圧力は弱まっている。通貨ユーロに至っては世界的にドル高期待が醸成されるなかでも強含んで おり、債務問題は為替市場でサブテーマに退いている感がある。 市場参加者の脳裏には過去2回におけるQE終了後の苦い経験があるが、当時とは金融市場の環境に雲泥 の差がある。過去2回のQE終了局面では、欧州市場からのバッドニュースがQE効果息切れが懸念される 米国市場に打撃を与え、それが巡り回って再び欧州市場を揺るがす負の連鎖が生じた。欧州は悪役であった が、今次局面ではその悪役が不在だ。この点を重視するのであれば、Tapering(観測)がグローバルなリス クオフを招く可能性は低いと判断される。このまま欧州債務問題が沈静化を継続すればという前提付にはな るが、過去2回のQE終了局面とは異なり今回はソフトランディングが期待できるのではないだろか。 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima/pdf/s_1309e.pdf
最近聞かなくなった「ユーロ圏失業率、過去最悪を更新」、「ギリシャ金利急騰」 2013年9月5日(木) 第一生命経済研究所 経済調査部 エコノミスト 藤代 宏一 TEL 03-5221-4523
このところ欧州サイドから連日のようにグッドニュースが届く。ユーロ圏PMI(製)の2年ぶりとなる 50回復(7月:50.3、8月:51.4)やGDPの7四半期ぶりプラス転化などが代表的だ。他にも消費者信頼感 指数や小売売上高といったデータも基調は明確に上向いている。鉱工業生産もドイツを中心に強い。そして 毎月恒例だった「ユーロ圏失業率、過去最悪を更新」といったニュースも最近は目にしなくなった(13年3 月以来12.1%で横ばい)。連日のように欧州からバッドニュースが届いた昨年までと比較すれば、大きな進 歩と評価できる。 こうしたなかで特に注目されるのは、金融市場の落ち着きだ。もはやギリシャ金利がニュースのヘッドラ インを飾ることはほとんどない。筆者は5月以降、米・英・独金利が上昇トレンドを形成した際に、イタリ ア・スペイン等の周縁国金利もその余波で金利上昇トレンドに回帰してしまうのではないかと懸念していた が、実際(今のところ)それは杞憂に終わっている(図)。金利上昇圧力に晒されているにも拘らず、重債 務国金利の対独スプレッドは着々とタイトニングしている。 あまり注目されていないが、筆者は今次局面のTaperingと過去2回のQE終了局面との比較という観点か ら欧州市場の緊張緩和を重視している。リーマン・ショックの生傷が癒えていなかったQE1終了時は比較 対象から除くとしても、QE2終了時には米株下落、米金利低下の裏で重債務国の金利が急騰し信用不安が 拡大した(図)。この時期の欧州は11年4月にポルトガルが支援を要請、市場の疑心暗鬼はイタリア、スペ インに広がりを見せており、金融市場は極度の緊張感を帯びていた。QE2終了後の米株安と欧州の信用不 安増幅が重なったのは、偶然の一致のようにも感じるが、FEDの散布する過剰流動性が重債務国の国債に 向かわなくなったことも遠因と考えられる。
ところが、今回はTapering観測が高まるなかでも重債務国(GIIPS)金利が落ち着いており、エマージング 市場とは対照的に欧州市場の緊張緩和は一段と進展している。こうした中で、欧州株も8月中旬に多くの国 が年初来高値を更新した。足もとではやや調整気味だが、それでも年初の水準は大きく上回っており、資産 効果すら期待できる状況にある。不動産価格も一部の国で持ち直しの兆しがみられており、家計のバランス シート調整圧力は弱まっている。通貨ユーロに至っては世界的にドル高期待が醸成されるなかでも強含んで おり、債務問題は為替市場でサブテーマに退いている感がある。 市場参加者の脳裏には過去2回におけるQE終了後の苦い経験があるが、当時とは金融市場の環境に雲泥 の差がある。過去2回のQE終了局面では、欧州市場からのバッドニュースがQE効果息切れが懸念される 米国市場に打撃を与え、それが巡り回って再び欧州市場を揺るがす負の連鎖が生じた。欧州は悪役であった が、今次局面ではその悪役が不在だ。この点を重視するのであれば、Tapering(観測)がグローバルなリス クオフを招く可能性は低いと判断される。このまま欧州債務問題が沈静化を継続すればという前提付にはな るが、過去2回のQE終了局面とは異なり今回はソフトランディングが期待できるのではないだろか。 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima/pdf/s_1309e.pdf |