02. 2013年9月07日 15:54:48
: niiL5nr8dQ
REAL TIME ECONOMICS2013年 9月 07日 09:35 JST FRB、次回会合での緩和縮小開始は微妙な決断に―8月雇用統計受けBy JON HILSENRATH 6日発表された8月の米雇用統計はまだら模様となり、17、18日に開く米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和の段階的縮小を開始するかどうかの決断は、非常に微妙な情勢となった。 FRBは現在の月額850億ドル(約8兆4000億円)に上る債券購入を柱とする量的緩和策の段階的縮小を年内に始めたいとの意向を持っており、次回会合ではその方向に向けた小さな一歩を踏み出す可能性がある。しかし、ここ数カ月の経済指標は明確さに欠け、経済や市場への新たなリスクが生じるなど、FOMC委員に決断の先延ばしを促す要因もある。 実際ここ数週間のインタビューや公の場の発言では、多くの委員が、次回会合の決断を前に新しく出て来る経済データをしっかり見極めたいとして、様子見姿勢を維持している。FOMC会合前に委員は恒例の水面下の議論をこの2、3日中に始めるが、政策の選択肢は狭まっているものの、結論は出ていない状況だ。 さらに、この日発表された8月の雇用統計は委員のジレンマを深める結果となった。失業率はFRBがこの量的緩和を開始した当時の8.1%からは下がって7.3%となった。しかしここ数カ月、雇用者数の伸びははかばかしくなく一部の委員が望む月20万人増のペースに届いていない。 多くの委員は失業率の低下を確認する意味で債券購入規模の縮小を始めたいとの意向を持っているが、その一方で、現在職に就いている、あるいは求職中の人の全国民に対する比率が落ちるなど他の雇用指標が一貫した弱さをみせているため、縮小決断に慎重になっている。 シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は6日、記者団に「予断を持たずに(FOMC会合に)臨む予定で、(最善の決断について)最も説得力ある意見に同調する」と述べた。 また、シリア情勢の不透明さもFRBの決断を難しくしており、その先延ばしの理由となる可能性もある。さらに間もなく始まる米議会での予算、債務上限枠協議や新興国の成長減速などのリスク要因もある。 ここに来て一部の委員の間で支持されている選択肢は、月次購入額をたとえば10億ドル減らして75億ドルにするなどの減額幅を小さくとどめた上で、次の縮小は雇用市場が改善を続け、物価上昇が現在の小幅な伸びから年率2%近くへ戻ることを条件とすることを可能な限り強調するという縮小開始だ。 アトランタ地区連銀のロックハート総裁は先月の講演で「私の考えでは縮小開始が9月であろうと10月であろうと12月であろうと、慎重な第一歩と理解されなければならない」と述べている 多くの委員がまだ決断せずにいるため、バーナンキ議長の意見が会合結果を決める可能性もあるが、議長は7月以来自身の考えを明かしていない。7月時点では債券購入を抑制する動きは雇用、成長、物価の改善の度合いによると述べた。FRBがそれまで明らかにしていた緩和開始条件の一部を満たすものの全部は満たしていないということだ。 ただ、縮小開始時期が9月であろうと年内のさらに遅い時期になろうと理論上は大差がないと多くの委員は考えている。FRBの予測モデルでは1月850億ドルの債券購入による長期金利の引き下げ効果は1%ポイントの200分の1から300分の1程度で、他の要因で簡単にかき消されてしまうためだ。 しかし、実際にはここ数カ月の市場の大きな変動をみて、FRBの行動から投資家がどんなシグナルを読み取るかは非常に重要だとの結論に委員は達している。そのため何らかの債券購入の縮小の開始が、FRBは購入の完全停止へ向け後戻りすることはないとのサインだと市場で誤って受け止められることを深く懸念している。その間違った解釈は長期金利をさらに上昇させかねないからだ。 10年物米国債の利回りは5月には1.6%だったが最近は3%まで上がって、住宅ローン金利の上昇を招き、住宅市場の回復に冷や水を浴びせた。 委員が最も問題視しているのは債券購入の減額が、2008年以来ほぼ0%に張り付いている短期金利をFRBが上げ始めるサインだと投資家が誤解することだ。FRBは低金利を最低でも失業率が6.5%に落ちるまで続け、さらにそれよりも長く続ける可能性があると明言している。 委員らはこの言質を、資金借り入れや消費、投資や成長を加速させる長期金利を低く抑える策として、債券購入プログラムより強力な武器と考えており、これをさらに強化したいと思っている。 次回のFOMC会合後の声明も、バーナンキ議長の会見も失業率がさらに大幅に低下するまでは短期金利はゼロ近辺に据え置き、債券購入額のこれ以上の減額は何も決まっていないということを強調することになるとみられる。 失業率は、1年前に債券購入プログラムを開始した際のFRB予想よりさらに低下した。FRBは当時13年末の失業率を7.6%から7.9%の間と予想していた。現在は修正して7.2%か7.3%としている。 サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は今週の講演で「われわれは明らかに労働市場の実質的改善という試練を克服しつつある」と述べた。 ただ、その一方で今年の経済成長率はFRBの予想を下回っており、これがFRBの望む強い雇用成長に力不足ではないかとの懸念を生じさせている。 雇用統計前に準備されたエバンズ総裁の演説原稿では「われわれはそこへ到達したかと聞かれれば、私は断じてまだだと答える。緩和策を終了させる時期ではまだない」としている。 原文:Fed Officials Face Cliffhanger September Meeting After Mixed Jobs Report http://blogs.wsj.com/economics/2013/09/06/fed-officials-face-cliffhanger-september-meeting-after-mixed-jobs-report/?mod=WSJ_hpp_LEFTTopStories
FRB資産買い入れ、9月に月額700億ドルへ縮小すべき=連銀総裁 2013年 09月 7日 08:31 JST [オマハ(米ネブラスカ州) 6日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は6日、金融政策の「段階的かつ予見可能な」正常化を目指し、米連邦準備理事会(FRB)は今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産買い入れの縮小に着手すべきとの考えを示した。 さらに、FRBによる将来の利上げ開始について、当局者はコミュニケーションの向上を検討すべきとした。 総裁は講演で「資産買い入れ規模を現在の月額850億ドルから700億ドル程度に減らすことが、金融政策の正常化に向けた次の適切な一歩となる」と述べた。 また残りの買い入れについては、米国債とモーゲージ担保証券(MBS)の割合を同等にすべきとした。 「今月(17─18日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、月次の資産買い入れ規模縮小を決定することが適切であり、かつ先行きのガイダンスの明確化にもつながる」と語った。 ジョージ総裁は今年のFOMCで投票権を持つ。積極的な資産買い入策が金融の不安定や将来のインフレ高進を招くとの懸念を表明し、今年開かれたFOMCで毎回反対票を投じている。 労働市場の改善は一様ではなく、米国が完全雇用に戻ることは不確かとしつつも、緩和縮小に着手するにあたり、景気は十分に回復し、失業率を低下させてきたとの見解を示した。そのうえで「資産買い入れの縮小を遅らせても、不回避な調整が緩和されることはない。綿密な計画と明確なコミットメントをもって今行動すれば、金融政策をより正常な状態に戻す長いプロセスを開始することができる」と語った。 同日発表された8月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を下回る伸びにとどまるなど、おおむね軟調な内容となったものの、時間当たり賃金と平均週間労働時間が小幅上昇するなどの「明るい材料もあった」と指摘。講演後の質疑応答で「過去12カ月続いた有望なトレンドが今後も継続することを望む」と述べた。 また、FRBが将来利上げを開始する際、利上げペースなどに関する一段の情報を求める声が上がっていることを踏まえ、「将来の金利の道筋を明確化するひとつの方策として、FOMC声明に将来の短期金利に関する一段の情報を盛り込むことができる」と指摘。 当局者の金利見通しの中央値を公表することなどが考えられるとした上で「かなり長い期間維持されたゼロ付近にある金利から脱却するうえで、 何らかのガイダンスが必要となる公算が大きい。FRBが進めるコミュニケーション向上に向けた取り組みを強化する重要な方策となり得る」と語った。
米FRB、経済見通し改善なら年内にQE縮小可能=シカゴ連銀総裁 2013年 09月 7日 03:01 JST [グリーンビル(米サウスカロライナ州) 6日 ロイター] - エバンズ米シカゴ地区連銀総裁は6日、米経済見通しが改善すれば、連邦準備理事会(FRB)は年内に資産買い入れ規模の縮小に着手できるとの考えを示した。買い入れ縮小に踏み切る具体的な時期については触れなかった。 米労働省がこの日発表した8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が16万9000人増となり、市場予想より小幅な伸びにとどまった。失業率は7.4%から7.3%に低下したが、FRBが今月にも量的緩和縮小に踏み切るかどうかをめぐり慎重な見方が出ている。 総裁は17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)について「虚心坦懐に臨むことが一層重要となる時期だ」と指摘。景気はこれまで改善してきたとし、「改善は十分と納得することも可能だ」と述べた。 住宅市場は、このところの金利上昇に十分耐えられるほど堅調との見方を示した。 雇用情勢について総裁は、労働参加率が再び低下したことに失望感を表明、人口要因だけが低下の背景にあるのではないとの見方を示した。 フェデラルファンド(FF)金利については、あと2年間はゼロ近辺に据え置くことが必要になる公算が大きいとした。 総裁は金融機関主催のイベントで、「私の想定では、われわれが年内に(資産買い入れの)割合を縮小し、その後何段階かで停止に向かうことになるような形で経済の見通しが実現するだろう」と述べた。 「段階的縮小を始めるには、今後発表されるデータが第3・四半期に景気の勢いが増したと示すだけでなく、インフレを抑制している一時的と考えられていた要因が本当に一時的だったと示すという確信が持てるならば私にとってベストだ」と述べた。エバンス総裁は今年のFOMCの投票権を持つ。 総裁は、米国の経済成長が2014年までに3%を超えることに期待していると述べ、インフレ率はFRBが目標としている2%にゆっくりと近づくとの見方を示した。 「経済のファンダメンタルズ(基礎的要因)は大きく改善した。循環的な回復過程が進展している」と指摘。 ただ、「米経済は健全で正常な状態に戻るにはまだ道のりは長い」とも述べ、依然500万人程度の雇用不足があると指摘した。エバンズ総裁はFRB内でも「ハト派」とみられている。 総裁は、FRBはインフレ率がFRBの2%目標に近づくことを確実にするため、物価の傾向を注意深く監視する必要があると述べた。また、2%は目標であり、上限ではないと強調した。 「2%の目標に戻るまでには長い時間を要する可能性がある。私は金融政策について自身の決定をする際に、注意深くわれわれの進展を見守るつもりだ」と表明した。
米株は横ばい、雇用統計でFRBの量的緩和縮小見通し変わらず 2013年 09月 7日 08:13 JST [ニューヨーク 6日 ロイター] - 6日の米国株式市場は振れの大きな展開となった後、ほぼ横ばいで引けた。米雇用統計はさえない内容だったものの、米連邦準備理事会(FRB)が今月資産買い入れ規模の縮小を開始するとの見方は後退していない。
一方、西側諸国のシリアへの軍事介入の可能性をめぐる懸念が続いている。 ダウ工業株30種.DJIは14.98ドル(0.10%)安の1万4922.50ドル。 ナスダック総合指数.IXICは1.23ポイント(0.03%)高の3660.01。 S&P総合500種.SPXは0.09ポイント(0.01%)高の1655.17。 週間ではダウが0.8%、ナスダックが2%、S&P総合500種が1.4%それぞれ上昇した。 6日発表された8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比16万9000人増と、市場予想よりも小幅な伸びにとどまった。失業率は7.4%から7.3%に低下し2008年12月以来4年半ぶりの低水準となったが、労働参加率の低下を反映したものとみられている。 しかし大半のアナリストは、雇用統計の内容にも関わらず、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で債券買い入れペースを縮小するとの見方を堅持している。6日の雇用統計発表後にロイターが実施したプライマリーディーラー調査では、18社中13社が9月の買い入れ縮小を予想し、8月時点の18社中9社よりも増えた。 主要3指数は上昇して始まった後、下げに転じ、S&P総合500種は一時0.9%近く値下がりした。その後は値を戻したが、取引終了にかけて再び値を削る展開となった。 投資家は、引き続きシリア情勢を注視している。 シリアへの軍事介入が起きた場合の供給混乱への懸念から原油先物価格が上昇。この日、米原油先物は2%高の110.53ドルで引けた。 個別銘柄では、携帯電話通信塔運営のアメリカン・タワー(AMT.N)が4.6%高。同社はグローバル・タワー・パートナーズを48億ドルで買収することで合意した。 オンライン証券大手イー・トレード・ファイナンシャル(ETFC.O)も4.6%上昇。同社は4日、銀行子会社の資本を幅広い事業目的に活用することが規制当局から認められたと発表した。ゴールドマン・サックスはイー・トレードの投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に引き上げた。 ニューヨーク証券取引所、ナスダック、NYSE MKTの3市場の出来高は約58億4000万株と、年初来の1日平均の約62億5000万株を下回った。 ニューヨーク証券取引所では上昇銘柄数が1691、下落銘柄数が1242となった。ナスダックでは上昇銘柄数1210に対し下落銘柄数が1298。 (カッコ内は前営業日比) ダウ工業株30種(ドル).DJI 終値 14922.50(‐14.98) 前営業日終値 14937.48(+6.61) ナスダック総合.IXIC 終値 3660.01(+1.23) 前営業日終値 3658.78(+9.75) S&P総合500種.SPX 終値 1655.17(+0.09) 前営業日終値 1655.08(+2.00)
8月米雇用統計:識者はこうみる 2013年 09月 7日 00:14 JST [6日 ロイター] 米労働省が6日発表した8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が16万9000人増となり、市場予想より小幅な伸びにとどまった。
失業率は7.4%から7.3%に低下し、2008年12月以来4年半ぶりの低水準となったが、労働参加率の低下を反映したもので、米連邦準備理事会(FRB)が今月にも量的緩和縮小に踏み切るかどうかをめぐり慎重な見方が出ている。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●緩和縮小観測、強まることも弱まることもない <ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクの地域首席投資担当者、デーブ・ローダ氏> 7月分が大幅に修正され、全体の傾向が少し変わったが、(今回の指標は)労働市場が鈍いながらも回復しているというわれわれの見方におおむね沿った内容のようだ。 米連邦準備理事会(FRB)の景気見通し全般と一致する形で、非常に段階的だが、指標は改善へと向かっている。 勢いは増しておらず、伸びは鈍い状況だ。 この状況を踏まえて(金融緩和を縮小するとの) FRBへの期待が強まることも弱まることもない。 ●11月の緩和縮小、現実味増しつつある <シャプドレーヌ・フォーリン・エクスチェンジのマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏> (7月分などの)修正があったことが今朝の話題だ。(7月分は前回発表より)5万8000人下方修正され、8月も(エコノミスト予想を)1万1000人下回った。純ベースで見れば(合わせて)6万9000人も下回り、米政権にとって大きな打撃だ。 エバンズ米シカゴ地区連銀総裁が今日発言したように、9月の金融緩和縮小はないという見方が一層強まった。緩和縮小は指標に左右されるからだ。11月の縮小が現実味を増しつつある。今朝の指標は良いものとは言えない。 景気回復の兆しに市場が沸き立ち、大規模な緩和サイクルの終了についての観測が流れ始める。(ところが)最新の経済指標は鎌のような働きをして、回復の兆しを初期のうちに切り落としてしまった。シリア情勢の不透明感とともに今日の統計によって、米連邦準備理事会(FRB)は当面、状況を見守り続けることになるだろう。 ●FRBは今月のQE縮小見直しへ <ディシジョン・エコノミクス(ニューヨーク)のエコノミスト、ケアリー・リーヒー氏> 明らかに弱い内容だった。非農業部門雇用者数は16万9000人増と予想を下回ったほか、おそらくはそれよりも重要なこととして、過去2カ月分の雇用者数が下方修正された。3カ月平均でならした雇用者数の伸びは14万8000人と、1年間で最も低くなっている。 米連邦準備理事会(FRB)としても雇用トレンドは和らいでいると認めざるを得ず、それだけでも、FRBは今月の債券買い入れ縮小について再考を迫られるだろう。
2013年 9月 06日 23:03 JST 更新 8月の米非農業部門就労者数は16.9万人増、失業率は7.3%に低下 【ワシントン】米労働省が6日発表した8月の非農業部門就労者数(季節調整済み)は前月比で16万9000人増加したが、7月の増加幅は10万4000人に下方修正された。雇用の回復は力強さを得ておらず、連邦準備制度理事会(FRB)の金融刺激策縮小を巡る計画が複雑になる可能性がある。 画像を拡大する image Reuters ニューヨーク市で開催された就職フェア(2012年10月) 失業率は7.3%となり、前月の7.4%から小幅に低下した。 8月の非農業部門就労者数の増加幅は過去12カ月の平均である18万4000人をやや下回り、市場予想の17万5000人増にも届かなかった。7月は当初発表に比べ7万4000人少ない10万4000人と、過去1年強で最も少ない数字となった。雇用回復に軟化の兆しが現れたとも言える。 8月の雇用は引き続き、小売りと娯楽・接客業に集中した。小売りは4万4000人増、娯楽・接客業は2万7000人増だった。だがこれらの業種は賃金・生産性とも低いため、雇用の回復が経済全体を押し上げるには十分でないとの懸念を強めている。 全業種の平均時給は前年同月比で2.2%の上昇にとどまった。 最近の雇用創出ペースは人口の伸びをカバーするには十分だが、失業率を急低下させるには至らず、失業者数は1100万人以上に上っている。
日本の消費増税へ言及なし、G20議論の舵は成長重視へ 2013年 09月 7日 04:17 JST [東京 7日 ロイター] - ロシアのサンクトペテルブルクで行われた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は6日、主要国の財政再建に向けた行動計画をまとめた。日本は財政再建に必須な消費増税を盛り込まない中期財政計画を提出したが、他国からの表立った批判はなし。
新興国の景気減速という難問に直面したG20の議論が、一段と成長重視へ舵を切りつつあることが浮き彫りとなった。 今回のG20首脳宣言は、冒頭から世界経済の最優先課題を「成長強化と雇用創出」とし、経済成長をより重視する姿勢を強調。各国の中期的な財政再建策は「債務の対国内総生産(GDP)比を持続可能な流れに維持しつつ、短期的な経済情勢も考慮しながら、成長や雇用創出の促進につながるよう、弾力的に実施される」とし、各国の事情を勘案して行うべきとする7月の財務相・中銀総裁会議の内容を踏襲した。 安倍晋三首相は初日の会議で、日本の経済再生が世界経済への「最大の貢献」と表明。中期財政計画の実施を通じて健全化目標の達成を目指す方針も掲げたが、2日目に首相の代理として代表を務めた麻生太郎財務相は、一連の会議で「総じて(各国首脳が)言っていたのは経済成長。財政緊縮に向かう発言は減っている」ことを明らかにした。「(財政)緊縮をやってみたが、各国が同じような問題を抱えた。経済成長・財政再建の両立を考えないといけない。この半年間で流れが変わりつつある」という。 今回の首脳宣言で日本は、英国とともに「成長が強まっている」との評価を受け、成長に比重を置いたG20各国首脳の間から、日本の経済・財政政策に「強い期待と高い評価が寄せられた」(財務相)。待ったなしの財政再建に向けた消費増税の最終判断を前に、成長軌道の持続もG20から求められた日本が進む道は容易ではない。 (基太村真司 編集:吉瀬邦彦)
G20首脳会議が閉幕、世界経済の危機脱却宣言「時期尚早」 2013年 09月 7日 04:36 JST [サンクトペテルブルク 6日 ロイター] - ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は6日、世界経済には改善がみられるものの、新興国市場の動揺が拡大するなか、危機を脱したと宣言するのは時期尚早とする首脳宣言を採択して閉幕した。
米連邦準備理事会(FRB)が早ければ今月にも踏み切るのではないかともみられている金融緩和の縮小については、その影響をめぐる認識で新興国と先進国との間に温度差もみられた。 しかし結局、長期間の金融緩和に伴うリスクや意図せぬ副作用に引き続き留意しながら、各国中銀とも金融政策の将来の変更を「注意深く調整し明確に伝達」すると確約、7月のG20財務相・中央銀行総裁会議で出された声明に沿った内容となった。 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は首脳宣言の内容を歓迎すると同時に、「先進国と新興国の双方は、(緩和縮小の)波及的な影響を効果的に封じ込めるため、国内で直面する課題に対処する必要がある」との見解を示した。 G20は2009年に世界的な金融危機への対処で結束。ただ現在は、米国で景気回復の勢いが加速する一方、欧州はようやく底入れの兆しを見せ、新興国からは緩和縮小観測のあおりを受け資金が流出するなど各国の経済情勢は一様ではなく、G20各国の間で立場の食い違いが出ている。 こうしたなか、インドなどの新興国は先進国の緩和縮小による影響に対する懸念を示していたが、首脳宣言で「波及的な影響」に関する言及があった以外、支援は得られなかった。 主催国ロシアのプーチン大統領は記者会見で、「世界経済情勢は5年前と比べて改善している。経済成長は回復しているが、引き続き非常に大きなリスクが存在している」と述べた。 財政健全化と成長促進のバランスについては、成長面をより重視する姿勢を継続。2010年にカナダのトロントで開かれたG20サミットで合意された財政健全化に向けたコミットメントについて、ドイツなどの国が強化を主張していたが、焦点は成長支援に移ったことで、聞き入れられなかった。 首脳宣言は「中期的財政戦略は、債務の対国内総生産(GDP)比を持続可能な流れに維持しつつ、短期的な経済情勢も考慮しながら成長や雇用創出の促進につながるよう、弾力的に実施される」とした。 また、2014年にG20議長国となるオーストラリアがシャドーバンキング(影の銀行)に対する規制強化、および保護貿易主義の制限に向けた期限の延長などを提案。成長支援の分野で新たな討議項目が提示された。 5日から2日間にわたり開かれた今回のサミットでは、1日目の夕方にプーチン大統領を議長として世界経済情勢について討議。新興国の成長鈍化懸念が出るなか、取りまとめが困難な討議となった。 ロシア財務省の国際部門を統括するアンドレイ・ボカレフ氏はロイターに対し、「最も困難で時間がかかったのは、世界経済情勢の評価に関する議論だった」と述べた。 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は5日に首脳会議を開催。5カ国が為替相場の安定を目的に創設する外貨準備基金の規模を1000億ドルに設定することで合意した。ただ、世界の外国為替市場の規模を踏まえるとBRICS基金は大海の1滴に過ぎない。また、最終的な合意が得られるのは早くても来年になると見られている。 新興国について首脳宣言は、「新興市場諸国は金融市場の変動が高まるなか、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の改善や外部衝撃への弾力性拡大、金融システムの強化など、成長支援や安定性維持に向け必要な措置を講じることで合意した」としている。 今回のサミットで日本とインドは6日、2国間の通貨スワップ協定の交換限度額を150億ドルから500億ドルに拡充することで合意。麻生太郎副総理兼財務・金融相とシン首相が会談し、サミット終了後に共同声明を発表した。 共同声明は「日印両国は、これが新興国を含む世界の金融市場の安定に貢献することを期待する」としている。 これまでのG20サミットではユーロ圏債務危機に揺れる欧州が中心議題になることが多かったが、欧州経済が好転の兆しを見せ始めるなか、今回は過去3年のサミットで初めて欧州問題が大きな議題とならなかった。 バローゾ欧州委員長は「今回のG20サミットでは、欧州はもはや焦点とはならなかった」と述べている。
G20首脳、日本の経済財政政策に強い期待=麻生財務相 2013年 09月 7日 01:32 JST [サンクトペテルブルク 6日 ロイター] - 麻生太郎財務相は6日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)終了後に記者会見し、各国首脳から日本の経済・財政政策に対し「強い期待と高い評価が寄せられた。今回のサミットの大きな成果だ」と強調した。
安倍晋三首相はサミットで、成長戦略や中期財政計画を説明し「強い日本経済の再生が、世界経済の成長に対する最大の貢献だ」との考えを重ねて強調。日本がサミットへ提出した中期財政計画には、未決定の消費増税が盛り込まれていないが、財務相は他国からの批判は「なかった」と話した。「日本は中期財政計画に沿って、健全化を推し進めることにコミットした」という。 <財政再建重視から潮流変化> 今回のG20声明は、経済成長をより重視する姿勢を再度表明。「中期的な財政戦略は、債務の対国内総生産(GDP)比を持続可能な流れに維持しつつ、短期的な経済情勢も考慮しながら、成長や雇用創出の促進につながるよう、弾力的に実施される」とした。 財務相も一連の議論の中で「総じて(各国首脳が)言っていたのは経済成長。財政緊縮に向かう発言は減っている」ことを明らかにした。「(財政)緊縮をやってみたが、各国が同じような問題を抱えた。経済成長・財政再建の両立を考えないといけない。この半年間で流れが変わりつつある」という。 ただ、財務相は同時に、日本の債務問題への危機感もあらためて強調。「財政均衡、正常化に引き続き努力しないといけない。国債が暴落して信用が落ちたとき、財務省も日銀も対応できない。そのことは常に考えないといけない」と述べ、成長と財政再建の両立を掲げる安倍政権の政策は、G20が掲げた「方向性に合っている」と主張した。 <シリア情勢、G20で意見集約できず> シリア情勢は会議で議題となったにもかかわらず、声明での言及は見送られた。財務相はその理由を「会談の中でまとまらず、十数カ国が発言して調整に時間がかかっている」ためだと解説した。
情報BOX:G20各国首脳の発言 2013年 09月 7日 09:03 JST [サンクトペテルブルク 6日 ロイター] - ロシアのサンクトペテルブルクで5─6日の2日間の日程で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議での、各国首脳、政府高官の主な発言は以下の通り。 ◎ロシアのプーチン大統領 各国の中期的財政健全化戦略を確認するとともに、経済成長を支援する政策を推進していく必要があるとの見解で一致することができた。 世界の経済情勢は5年前に比べ改善したようにみられる。経済成長は回復しつつあるが、依然として極めて大きなリスクが存在する。 そのため、ロシアはG20議長国の任期が始まって以来、とりわけ投資促進や効果的な規制の導入、市場の信頼感改善によって、成長を刺激し、新規雇用の創出に取り組んできた。 (シリアが軍事介入を受けた場合には)支援する。現在もシリアを支援しており、武器提供や経済的に協力している。困難な状況に置かれているシリア市民に支援を提供するため、今後は人道支援でも一層協力したい。 相手の主張に耳を傾け、論拠は理解しながらも、見解は一致しない。私はオバマ氏の主張に同意せず、オバマ氏も私の意見に同意しない。ただ、相手の意見を聞き、分析しようと努力はしている。 ◎オバマ米大統領 アサド政権の化学兵器攻撃が米国の差し迫った、かつ直接的な脅威と率直に主張することができなかったため、議会の承認を求めた。米国、もしくは同盟国にとり直接的な脅威であったなら、議会の承認を求めずに行動していた。 私は戦争を始めるためではなく、止めるために選ばれた。就任以降の4年半、国際的責務を遂行し米国民の安全を確保する上で、軍事力への依存度低下に注力してきた。だがわれわれが重視することを守るため、時に困難な選択をしなければならないことも認識している。今回の(シリア)問題はその1つだ。 多くの首脳が、アサド政権が化学兵器攻撃を行ったとするわれわれの見方を支持している。 (シリアへの軍事介入をめぐる)この問題について国連安保理は機能していない。化学兵器使用の禁止規則を本気で維持したいなら、国際的な対応が必要だ。これは安保理を通じてはできない。 ◎中国の習近平国家主席 シリア危機に対しては、政治的な解決のみが正しい対処法となる。軍事介入は問題の根本的な解決にはつながらない。 行動を起こす前に関係各国が再考することを期待している。 ◎潘基文国連事務総長 1日失うごとに罪のない多数の市民の命が奪われている。 ◎国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事 必要に応じ、緩和的な金融政策を維持することが適切だ。 非標準的な金融政策から脱却する際、出口戦略が秩序立ち、明確なコミュニケーションを伴って行われることを確実にする必要があると、G20が認識したことに満足している。 (緩和縮小に伴う)影響の波及を効果的に管理するため、先進国と新興市場国はともに国内の問題に対処していく必要がある。これらの影響が世界経済に著しい影響を及ぼす可能性を踏まえ、IMFは引き続き、こうした分野における問題に取り組んでいく。 資産の再調整や価格の見直し、通貨の一部再評価などが起きていることに疑問の余地はない。こうした動きは、1)非標準的な金融政策やそれら政策の縮小に伴うすべての影響を考慮する必要がある、2)すべて国が潜在的な危機を想定し、防止に向けた措置を講じる必要がある、という2つの課題を示している。われわれは現在こうした危機下にはない。危機を回避することを望んでいるし、各国が必要な措置を講じれば、回避可能であると考える。 ◎欧州委員会のバローゾ委員長 今回のG20では、欧州はもはや注目の的ではない。それどころか、われわれの努力を心から評価する言葉をかけてもらっている。成果が出始めているとの認識が広がっている。 油断してはならない。失業率はまだ高い。欧州でも、その他の地域でも極めて重要なのは、この回復を長期的に持続可能なものにするようあらゆる努力をすることだ。
2013年 9月 07日 07:29 JST 世界経済の回復は弱すぎ、下振れリスク残る=G20首脳宣言 記事
ロシアのサンクトペテルブルクで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議は6日、首脳宣言を採択して2日間の日程を終えた。各国首脳らは世界経済の回復が「あまりに弱く」、さらに弱体化する可能性もあるため、経済活動の促進と雇用創出に「断固たる行動」を取ると約束した。 宣言では、経済協力開発機構(OECD)がまとめた多国籍企業の租税回避・脱税に関する対策と、インフラ部門の民間投資促進策を承認した。 G20 …
2013年 9月 07日 07:39 JST ロシアがリセッション入り、4-6月期GDPは前期比0.3%減 記事 【モスクワ】ロシア連邦統計局が6日発表した4-6月期国内総生産(GDP、改定値)は、製造業と建設業の活動縮小が足かせとなり、前期比で減少した。これでロシアはリセッション(景気後退)入りしたことになる。 4-6月期GDPは前期比0.3%減で、1-3月期(同0.2%減)に続くマイナスとなった。リセッションは一般的に、2四半期連続のGDP縮小と定義されている。 4-6月期GDPは前年同期比では1.2%増 …
2013年 9月 06日 20:49 JST 英国民の金利上昇期待、2008年以来の水準に低下=中銀調査 記事 【ロンドン】イングランド銀行(英中銀)が6日発表した調査で、1年以内の利上げを予想する国民の割合が8月に2008年以降の最低となったことが明らかになった。低金利の維持を掲げた中銀の戦略が、実を結びつつある様相を浮き彫りにした。 この調査は8月に、英国民2050人を対象に実施した。このうち向こう12カ月以内に金利が上昇すると回答したのは29%で、5月に実施した前回調査の34%から低下した。8月の数値 …
2013年 9月 06日 19:16 JST 7月の英貿易赤字は大幅拡大、鉱工業生産は停滞=ONS 記事
【ロンドン】英国統計局(ONS)が6日発表した統計で、7-9月期の英国経済の出足は鈍かったことが明らかになった。7月の鉱工業生産は停滞し、欧州連合(EU)域外への輸出は過去4年強で最大の減少幅を記録した。 今週すでに発表済みの景況指数(PMI)は製造業、建設業、サービス業いずれも7-9月期の堅調ぶりを示したが、この日の経済指標は対照的に市場予想を下回った。 7月の財の貿易収支は99億ポンド(1兆5 … |