02. 2013年9月06日 17:45:53
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【日本株週間展望】続伸、米緩和縮小読む円安期待−五輪影響 9月6日(ブルームバーグ):9月第2週(9−13日)の日本株は続伸しそうだ。米国の量的金融緩和第3弾(QE3)の早期縮小観測を背景に、為替市場で円安・ドル高の流れが強まっていることが好感される。週前半は、2020年夏季五輪の開催地が東京に決まるか否かで、相場の反応が分かれる可能性もある。 明治安田アセットマネジメントの小泉治執行役員は、「米国でよほどのネガティブ・サプライズがない限り、17−18日の連邦公開市場委員会(FOMC)でQE3の縮小が決まるとの見方が優勢なまま行き、為替の円安傾向は変わらないだろう」とみている。その上で、1ドル=100円程度の水準が続けば、「輸出関連中心に業績安心感があり、相場はじりじりと水準を切り上げそう」と予想した。 第1週の日経平均株価 は、前の週末に比べ471円95銭(3.5%)高の1万3860円81銭と反発。上昇率は7月1週(4.6%)以来、2カ月ぶりの大きさだった。東証1部33業種は鉄鋼、海運、その他金融、証券・商品先物取引、ゴム製品、不動産、輸送用機器の上げが目立った。 足元で投資家が日本株に対するリスク許容度を高めている主因は、為替の円安進行だ。5日にはドル・円相場が7月25日以来の1ドル=100円台を回復。米景気の回復期待を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が月内に量的緩和の縮小に着手するとの観測が広がっており、米10年国債利回り は日本時間6日午後の時間外取引で2年ぶりの高水準となる3%台に乗せた。日本と米国の長期金利格差 は2011年4月以来の水準まで拡大しており、円売り・ドル買いを誘発している。 増益シナリオ不変、GDP改定値は上振れへ 大和証券が5日に発表した企業業績見通しでは、今期(13年度)の経常利益は前期比36.9%増の予想。前回6月予測の37.4%増からわずかに下方修正されたが、守田誠ストラテジストはこれまで進めた構造改革、コスト削減効果に円安効果が加わった「大幅増益シナリオに変更はない」と指摘した。同証では、14年度は今期予想比11.1%増と07年度の水準を超え、過去最高益の更新を見込む。 また、野村証券がアナリスト予想などに基づき集計した最新の業績見通しでは、経常利益額は13年度に前回ピークだった07年度の89%水準まで回復、14年度には07年度の水準にほぼ並ぶと予測する。同証による通期の為替前提は1ドル=98.9円、1ユーロ=128.2円。 9日には、4−6月の国内総生産(GDP )改定値が発表される。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は前期比年率で3.9%増、速報値は2.6%増だった。2日に発表された4−6月期の法人企業統計で、設備投資が3四半期ぶりにプラスになったことが反映され、GDPは大幅な上方修正が見込まれている。 年率換算で3.8%への上方修正を予想するUBS証券の青木大樹シニアエコノミストは、強い成長となった1−3月期と同じ伸びとなり、「市場は日本経済の堅調な成長を再認識するとともに、消費税増税が予定通り行われることをより意識するだろう」との見方だ。 シリア情勢懸念、東京五輪なら長期テーマに 一方、米国によるシリアへの軍事介入の可能性が懸念材料として挙げられる。オバマ政権が主張するシリアへの軍事行動が議会に承認され、軍事行動が開始されるようなら、投資家がリスク回避の姿勢を強めかねない。日本株の売買代金シェアで約6割を占める海外投資家が売り姿勢に傾けば、相場下落は必至。東京証券取引所の公表データでは、シリア情勢の悪化を背景に、8月第4週に海外勢 は1068億円売り越し、売越額としては3カ月ぶり高水準となった。 アルゼンチンで現地時間7日に行われる国際オリンピック委員会(IOC)総会では、2020年夏季五輪の開催都市が決定。「東京に決まることをかなり織り込んでいる気はするが、実際に決まれば、建設をはじめ関連銘柄が一層買われそう」と明治安田アセットの小泉氏。東京決定による短期の反応が終わった後も、「五輪関連の具体的な計画が決まるたびに、折に触れ相場の刺激材料になりそう」とし、落選時の「ネガティブ・インパクトの方が大きい」と言う。 このほか、日本株に影響を与えそうな経済指標では、国内で9日に8月の景気ウォッチャー調査や7月の国際収支、12日に7月の機械受注や8月の都心オフィス空室率がある。海外では、中国で9日に8月の消費者物価、10日に鉱工業生産や小売売上高が公表予定。米国は、13日に8月の小売売上高の発表を控える。 メジャーSQ また13日は、株価指数先物・オプション9月限の特別清算値(SQ)が算出される。8月以降、足元までの1日当たり平均の東証1部売買代金 はおよそ1兆7600億円と、年初からの平均2兆4600億円を3割近く下回る。売買エネルギーが低下する中、SQ算出を控えたデリバティブ(金融派生商品)の持ち高調整などが増えれば、相場が先物主導で上下に振らされるリスクは高まりそうだ。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 更新日時: 2013/09/06 16:22 JST
円ほぼ全面高、株安で買い優勢−米雇用統計発表後の相場警戒 9月6日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円がほぼ全面高となった。日本株の下落が鮮明になったのに伴い、円買いが優勢となった。 午後4時5分現在の円は主要16通貨のうち韓国ウォンとニュージーランド・ドルを除く14通貨に対して上昇。米国の量的緩和縮小観測を背景に前日、対ドルで1ドル=100円台に下落した円は、この日の午前7時すぎに一時100円23銭を付け、7月25日以来の安値を更新したが、取引が進むにつれて上昇に転じた。 5日続伸で始まったTOPIX と日経平均株価 が、午前の取引開始から間もなくしてマイナスに転じると、円買い圧力が一気に強まった。ドル・円相場は午後の取引終盤に99円54銭まで円高・ドル安が進んだ。ユーロ・円 相場も一時1ユーロ=130円70銭と、前日に付けた8月26日以来の円安値132円15銭から大きく円が買われた。 この日のドル・円の動きについて、IG証券の石川順一マーケットアナリストは「日経平均先物の下落が影響した。米雇用統計というイベントを前にした警戒感から、ドルロングの行き過ぎを落とす動きもある」と指摘。「ただ、どんどん下げる感じではない。米金利の上昇を背景としたドル高・円安基調は変わらない」とも語った。 午後には米国の10年物国債利回り がアジア市場での時間外取引で、2011年7月以来となる3%台を付けたのを受け、ドル・円は一時99円95銭まで戻すなど、日米金利差に着目したドル買い需要があることも示唆された。ただ、株価低迷の継続で、ドル買い圧力は限定的だった。ユーロ・ドル相場は日中を通じて1ユーロ=1.31ドル前半で推移した。 雇用統計 米労働省は日本時間午後9時30分に8月の雇用統計を発表する予定だ。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は、非農業部門雇用者数が前月比18万人増となっている。7月は16万2000人増だった。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net;東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 更新日時: 2013/09/06 16:10 JST
来週の日本株は底堅い、相次ぐ重要イベントの結果次第では上値試す 2013年 09月 6日 15:59 JST [東京 6日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、底堅い値動きとなりそうだ。足元の円安や世界的なマクロ指標の改善を受け、企業業績の上振れ期待が再び高まっている。 注目される8月米雇用統計は、予想の範囲内なら波乱要因になりにくい。2020年夏季五輪の東京招致が決まれば投資マインドが高まり、日経平均は上値を試す可能性もある。一方、リスク要因はシリア情勢だ。米軍事介入が現実味を帯びれば市場はネガティブに反応するだろう。 日経平均の予想レンジは1万3400円─1万4200円。 6日発表の8月米雇用統計については、ロイターがまとめたエコノミスト調査で、非農業部門雇用者数の伸びが18万人(7月は16万2000人増)、失業率は4年ぶり低水準を記録した7月の7.4%から変わらないと予想されている。米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)の縮小を判断する上で重要な指標となるが、事前予想通り米経済の回復を示す内容であれば株価への影響は限定的とみられている。「すでに9月FOMCでのQE3縮小はある程度織り込んでいる。雇用統計が堅調でもリスクオフとはならず、円安・株高の流れが強まりそうだ」(みずほ証券クオンツアナリストの三野博且氏)という。日米金利差拡大による円安が株価を支えるとの見方だ。 7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年の夏季五輪開催地が東京に決まれば、建設、不動産株のほか、交通、観光、スポーツなど関連銘柄があらためて人気化するとみられている。日本株市場全体の見直しにつながるほか、秋以降のアベノミクスの成長戦略にも弾みが付くとの期待が高い。 一方、東京が五輪落選となれば失望売りは避けられない。週明けは関連銘柄を中心に売りが先行するとみられる。五輪招致が成長戦略実現に向けた起爆剤になるとの見方もあっただけに、海外勢や個人の投資マインドは低下することになりそうだ。 さらにシリア情勢もリスク要因になる。市場は米国の軍事介入が米下院で承認されても、攻撃は短期に終結するとの楽観シナリオに傾いているが、「実際に軍事介入が接近すればマーケットは再びネガティブな反応を見せる可能性が高い」(国内証券)という。 もっとも、足元のマクロ指標が世界的に改善傾向にあり、仮にイベントの結果が期待外れに終わっても株価調整が長引くとの見方は少ない。中国、欧州のPMI(購買担当者景気指数)改善に続き、米ISM製造業景気指数や8月米新車販売など米国指標も好調。9日発表の日本の4―6月期国内総生産(GDP)2次速報も上方修正が濃厚とみられている。「消費税引き上げの方向性が見えれば不透明感が後退。欧州、中国、米国の景気回復は日本企業の業績上振れにつながる。日経平均は8月28日の安値1万3188円で二番底を付けた可能性もある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)とみられている。13日に先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を控えているため仕掛け的な売買で上下に振れる展開は想定しておきたい。 (株式マーケットチーム |