01. 2013年9月06日 15:21:56
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コラム:リスク山積の秋到来、一本調子の円安困難に=佐々木融氏 2013年 09月 6日 14:14 JST 佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長(2013年9月6日)今月に入って「日本株上昇・円安」の流れが再び始まったように見える。筆者はドル100円手前でもう少しもみ合いが続くと予想していたが、昨日あっさり7月25日以来の100円台に乗せてきた。 しかし、10月にかけては市場の不安定化を招きかねない要因が非常に多く、昨年11月から今年5月のような、ほぼ一本調子のドル円上昇はやや予想し難い。 1997年のアジア通貨危機、98年のロシア危機・LTCM破綻・日本の金融危機、2001年の米国での同時多発攻撃、02年のITバブル崩壊後の米株価最安値、08年のリーマンショックなど、世界の金融資本市場を大きく動かした事象の多くは9月から10月に発生している。市場参加者にとって、この季節は「悪い思い出」が比較的多い。 エマージング市場も引き続き不安定な状況にある。今後2カ月程度は、相場が思いのほか大きく動く可能性に細心の注意が必要だ。 そこで、ドル円相場の潜在的な主要変動要因について、以下に整理した。 ●6日:米8月雇用統計 最初の重要イベントはこれだ。もっとも、翌週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているだけに、この結果だけで方向感が出るとは考えにくい。 ●8日:オリンピック開催地決定 アルゼンチンのブエノスアイレスで行われている国際オリンピック委員会(IOC)総会は、現地時間7日(日本時間8日早朝)に2020年夏季オリンピックの開催地を決定する。東京に決まれば、日本時間の月曜日9日早朝から円は売られ、午前中から日本株は買われるだろう。もっとも、実際には7年も先の話であることから、動きは短期的なものにとどまると予想される。 ●9日:日本の4―6月期GDP2次速報値 1次速報値は前期比年率プラス2.6%であったが、JPモルガンはこれが同プラス3.6%へ上方修正されると予想している。強い数字が出れば日本株上昇・円売りで反応しそうだが、消費税引き上げはかなり織り込まれていることもあり、これも反応は限定的だろう。 ●9日以降:米軍によるシリア攻撃の可能性 シリアに対する軍事攻撃を認める決議案は米議会が再開する9日以降に上院本会議で審議・可決され、その後下院でも審議・可決される可能性が高いと考えられる。決議案は作戦期間を60日間に限定し、地上軍の派遣は認めないなど規模を制限したものとなっているが、攻撃が開始されたとのニュースが流れれば、短期的には円が買われることになるだろう。 動きは一時的なものにとどまると考えられるが、その後の展開がイスラエルやロシアなども巻き込み、また結果的に原油価格が高騰するといった事態につながると、リスク回避志向の高まりや世界景気の鈍化を通じて、投資家の円買い戻し圧力が強まり、ドル円の下落トレンドがしばらく続く可能性もある。 ●17―18日:FOMC 筆者は今回のFOMCで量的緩和(QE)縮小が開始されると予想しているが、市場はすでにこれを織り込んでいるだろう。QE1、QE2の時は、終了すると米金利は低下した。今回も同様の展開になる可能性はあると考えられ、そうなればドルはFOMC後にしばらく下落トレンドをたどるかもしれない。 もっとも、為替市場にとって一番重要なのは、QEではなく先行きの利上げ期待のほうである。6月のFOMCではメンバーの失業率や政策金利に対する見通しを受けて、米長期金利が上昇し、ドルも上昇した。 今回は新たに16年の見通しが示されることになるが、失業率に関する予想は一段と引き下げられ、政策金利予想は一段と引き上げられる可能性が高い。市場がこれに素直に反応するようであれば、米金利上昇・ドル上昇ということになるだろう。米金利とドルがどういう動きをして、19日の日本時間朝を迎えるかは、年末までのドル円の動きを占う上でも非常に重要であると考えられる。 <消費増税と法人減税は円安要因> 次に、ドル円相場に影響を与える10月以降の重要イベントを押さえておく。 ●10月2日:消費税引き上げ決定の可能性 安倍晋三首相は消費税引き上げについて、最終的な判断を10月初旬に行う。報道によれば、10月1日の日銀短観の結果を見て、その翌日の2日にも決定される可能性が高い。予定通り消費税引き上げが決断されれば、海外勢による日本株買い・円売りが再開するかもしれない。 ●10月上旬:環太平洋連携協定(TPP)交渉の重要局面 TPP参加をめぐる協議では、最終的にどこまで関税を撤廃し、自由化率を上げる必要があるかが明らかになってから、かなりの混乱が起こるのではないかと懸念している。 日本政府の交渉方針通り、重要5分野の農産品(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物)の関税が全て維持されるならば、自由化率は93.5%となる。しかし、米国などは95%以上の自由化率を望んでくる可能性がある。また、シンガポール、ペルー、チリの3カ国は、日本との2国間協議で関税の全廃を提案している。 TPP交渉は10月7―8日にインドネシアのバリ島で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を、交渉を進めていく上での重要なポイントと位置づけている。9月下旬から10月上旬に関税に関する交渉の内容が少しずつ漏れてくる可能性もある。 仮に重要5分野のうち、いくつかの品目で関税撤廃を余儀なくされることが明らかになれば、自民党内でもTPP参加に対する反対の声が高まり、政局が不安定化するリスクがある。このような事態は海外投資家から見て、日本株売り・円買い戻し材料と捉えられるだろう。 ●10月:法人税減税議論に決着か 一部報道によれば、自民党は早ければ10月にも税制調査会で法人税の実効税率引き下げの議論に着手するという。確かに外国人投資家は法人税減税をポジティブに捉えており、今後もその可能性が高まったと市場が受け止めるような政治家のコメントや報道が流れた場合には、日本株は上昇、円は下落という反応が見られやすくなるだろう。 ●10月半ばから11月初頭:米連邦政府の債務上限問題 ルー米財務長官は、8月26日に議会に書簡を送付し、米連邦政府による借金が10月半ばに借入枠の法定上限である約16.7兆ドルに達するとして、早期に上限を引き上げるように要請した(JPモルガンの米債券調査部は11月初めまでは持ち堪えられると見ている)。10月中にこの問題に対する懸念が高まれば、円が買い戻される可能性もある。 ちなみに、11年夏のケースでは、年初から債務上限問題が意識され、7月上旬が新たな借り入れができなくなる期限とされていたが、それが8月2日に延ばされ、結局その期限当日に債務上限が引き上げられた。もっとも、その3日後の5日にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は米国債の格付けを引き下げた。この年、ドル円は7月中旬から8月1日までに6%程度下落している。その後は介入警戒感や実際に円売り介入が行われたことで下げ止まった。米長期金利は債務上限が引き上げられた後、急速に低下傾向をたどった。 <サマーズFRB議長指名ならドル高は本当か> 最後に、時期ははっきりしないが、もう一つ注目のイベントを書き添えておきたい。米連邦準備理事会(FRB)の次期議長指名だ。 次期FRB議長は、大統領が「上院の助言と同意(上院出席議員の3分の2以上の賛成)」に基づいて任命を行う。大統領の指名は9月末から10月、上院での承認は年内となる可能性が高いだろう。 報道ではハーバード大学のサマーズ教授(元米財務長官)有利との声が優勢だが、オバマ大統領が10―12月の財政問題の解決を優先させるのであれば、政治的な衝突の少ないイエレン現FRB副議長を指名する可能性もある。 むろん、両氏の間にそれほど大きな政策の違いがあるとは考えられず、またそれ以外の経済・政治的要因のほうが市場へ与える影響も大きい。しかし短期的には、仮にサマーズ氏が指名されれば米金利上昇・ドル高、イエレン氏が指名されれば米金利低下・ドル安で反応する可能性が高いと考えられる。 *佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
来週は新興国市場に動揺広がれば円高リスクの再燃も 2013年 09月 6日 14:21 JST [東京 6日 ロイター] - 米量的緩和縮小(テーパリング)の開始時期をめぐる思惑、本邦GDP2次速報値、シリア情勢など、多くの未知数を抱える来週の外為市場では、テーパリング見通しが左右する新興市場の動向が焦点となりそうだ。
新興市場に動揺が広がればリスク回避姿勢が強まり、円高リスクの再燃につながる可能性がある。 予想レンジはドル/円が97.00―101.00円、ユーロ/ドルが1.2900―1.3300ドル。 <テーパリング> 8月の米雇用統計が予想の範囲内であったとの前提で、9月中にも決定される米テーパリングは、為替市場のみならず国際金融市場の最大関心事だ。 為替市場では、テーパリング観測によるエマージング市場の動揺がリスクオフの流れを引き起こしやすく、円高圧力の源泉となってきた。 「テーパリング観測が強まっているので、これによってエマージング市場の動揺が大きくなれば、シリア関連の地政学リスクと合わせ、リスクオフで円高方向に振れる可能性がある」と三井住友信託銀行、マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は予想する。 同氏は、特に、通貨も含めて、インドやインドネシアの市場動向を注視している、と述べた。 <中国バブル> エコノミストは中国への影響についても警鐘を鳴らす。 「中国が不動産バブルを抱えている状況で、米国がテーパリングを行うことで、中国市場からドルの引き揚げが起こり、意図しない引き締め効果をもたらす」と東海東京証券、チーフエコノミストの斎藤満氏は言う。 そもそも、中国の理財商品は不動産の値上がりを前提とするCDO(債務担保証券)の要素があり、米国の緩和縮小によって中国の不動産バブルが破裂すれば、中国版のリーマンショックのような状況を引き起こしかねない、と同氏は警告する。 中国大手銀の1―6月期決算によれば、多くの銀行で不良債権額が増えたことが明らかになった。シャドーバンキングの代表的な財テク商品である理財商品の残高も増えた。 中国銀行業監督管理委員会は6月末時点の全体の残高を9兆0800億元としており、3月末から8800億元増加している。 <米金利上昇> 一方、債券市場ではテーパリングを見込んだ米金利の急ピッチな上昇が続き、米10年国債利回りは2011年7月以来の3%台、米2年国債利回りは2011年5月以来の0.53%台まで上昇した。 「テーパリングは市場で織り込まれているが、長期金利上昇の影響は、今後、実体経済に効いてくるだろう。住宅市場は回復したとされるが、パートタイムだけが増え、フルタイムの就業機会が閉ざされているアメリカで、本当に住宅需要があるのか」(機関投資家)と疑問を呈する声も上がっている。 いずれにせよ、米国の住宅市況や消費が真に力強い自律的な回復をしているのか、年末にかけて試されるとみられる。 <米雇用統計、本邦GDP> きょう発表予定の8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数の予想中央値が前月比18万人増、と予想外に伸びが鈍かった7月の16万2000人増から加速する見通しで、失業率の予想中央値は7.4%と横ばいの見込み。 今月17、18日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)前に発表される最後の雇用統計であり、市場の関心が高い。 ポジティブサプライズとなれば米金利上昇でドル/円の上昇余地がある一方で、ネガティブサプライズとなれば、米金利低下からドル/円に下落圧力がかかるとみられる。 9日の午前8時50分には本邦4―6月のGDP2次速報値の発表が予定される。10月上旬に迫った安倍首相による消費税増税判断を控え注目されるが、6日の黒田日銀総裁の会見では、増税の影響で経済・物価が下振れた場合は、柔軟に政策対応する姿勢があらためて示された。 (森 佳子
9月日銀金融経済月報、「景気は緩やかに回復」に上方修正 2013年 09月 6日 14:12 JST [東京 6日 ロイター] - 日銀は6日、9月の金融経済月報を公表し、景気の現状について「緩やかに回復している」とし、判断を引き上げた。上方修正は2カ月ぶりで、表現は2008年のリーマンショック後では最も強い表現になった。
日銀が金融政策を現状維持、景気判断「回復している」に上方修正 2013年9月5日 景気の現状判断、前月から据え置き=8月日銀金融経済月報 2013年8月9日 日銀決定会合で景気判断据え置き、政策現状維持 2013年8月8日 政府は景気「回復」明言に二の足、日銀との一体感にずれ 2013年7月24日
アングル:消費増税対策に1%還元案も、家計・企業に直接テコ入れ 2013年 09月 6日 14:44 JST [東京 6日 ロイター] - 政府や自民党内で消費税率を予定通り来春に3%引き上げることを前提とした景気対策の議論が進み始めている。 官邸周辺の一部では、財政出動だけに頼らず、経済底上げを図る企業減税と家計へのテコ入れ策を組み合わせて、1%分を還元する案も浮上。昨年の3党合意に従い給付金を支給するほかに、所得減税の一時的実施案も議論の俎上にのぼる可能性がある。対策の規模について民間からは3兆─5兆円との指摘もあるが、消費増税1%分程度の還元策で3兆円弱との試算も浮上している。 <小刻み増税は困難、対策は下支えと成長戦略の組み合わせ> 消費増税の判断は安倍晋三首相が10月上旬に行うこととなるが、先月31日まで行われた消費増税判断のための有識者による点検会合について、出席者からは「予定通りの実施にゴーサインを与える会合」との印象が聞かれたほか、政府側出席者も「増税実施を前提に、タイミングとやり方の意見を聞く会合」と位置づけている。 増税方法については、1%ずつなど小刻み増税を推奨する意見も何人かから提案されたが、産業界の反対をはじめ、法律修正の手続きなど、政治コストが相当高くつくことへの指摘も多かったため、当初は小刻み増税が望ましいと考えていた政府側出席者の一人も「ほぼ芽がなくなった」との見方を示す。 むしろ官邸関係者の間では、3%の実施を前提に、増税に伴う景気の落ち込みには財政出動による公共事業、増税の負担を受ける家計へのてこ入れ、経済活性化に向けた成長戦略としての企業減税、という3つの組み合わせを検討する声が浮上している。関係者の一人は、安倍首相が10月上旬に増税実施を決断すれば、秋の国会ではこうした対策の組み合わせを議論したいとしている。 <大規模財政出動回避のため、家計への還元策も浮上> 3つの組み合わせのうち、公共事業など財政出動だけで景気をさせるとなると、3─5兆円程度と相当大規模な金額が必要とエコノミストの間では試算されている。しかし、増税で歳入は膨らむものの、大規模な財政出動は、財政再建の観点から好ましくないとの指摘も少なくない。 そこで浮上しているのが、家計への負担を緩和するための所得対策と企業減税による経済活性化策だ。 予定通りの消費増税で概ね9兆円程度の負担が生じる家計に対し、昨年の3党合意では低所得者に給付金を支給することになっているが、ここへきて、所得減税による一時的な還元策が浮上している。 点検会合で政府側の出席者だった高橋進・経済財政諮問会議民間委員は先月27日の会合で「(消費税率を)3%上げるが、そのうち1%分を財政支出ではなく、所得減税、法人減税で戻すのはどうか」と浜田宏一内閣官房参与に質問。浜田氏は「まったく賛成」と答えている。 政府が財政出動するよりも、家計や企業を直接てこ入れすることで、民間経済を底上げしようと狙いだ。アベノミクスの恩恵が少ないにも関わらず、きちんと納税している中所得者層にも還元できるメリットもある。さらに、消費税1%分の還元策であれば概ね2.7兆円程度となり、財政への影響も小幅に抑えられるとみている。 企業向け減税では、すでに投資減税に向け与党税制調査会が動き始めている。加えて、中長期課題とされてきた法人税減税についても、復興増税の1年前倒し廃止により、同時に実施される可能性もありえるとの声も関係者から聞こえている。法人減税はキャッシュフロー増加に直結するため、それを設備投資や賃金に回すことへの期待もある。 <政府内には、所得減税に否定的な見方> ただ、政府部内には時限的な所得減税については否定的な見方が多い。ある政府筋は「時限的所得税減税は現実問題として難しい。(時限措置を)なかなか戻せない。であれば、むしろ、歳出面で、『給付金』で対応するほうが政策としては合理的だ」としている。 森信茂樹・中央大学教授も所得税を払っていない低所得層への対策が焦点の時に「所得税減税では逆進性対策にならない」とし、所得税減税は「難しい」と指摘。低所得者対策は「簡素な給付金」での対応が望ましいとしている。 <甘利経済再生相「十二分な対応が必要」> 増税による景気悪化を防ぐための今年度補正予算について、自民党税調幹部の宮沢洋一参議院議員は5日、BSフジの番組で、年末に今年度補正予算を決めることになると明言した。 具体策について宮沢氏は、消費税引き上げに伴う住宅ローン減税の拡充措置を講じても効果が限定的な所得層を対象とする住宅取得に関する給付措置や、逆進性の強い消費税導入時の暫定的措置として実施が決まっている「簡素な給付金」などの低所得者対策をあげ、「成長戦略に資する財政出動も、もろもろ入ってくる」と見通した。 具体的な規模感については、先週の集中点検会合でも、予定通りの3%引き上げに対して1%分の激変緩和措置を求める声がある一方、「5兆円程度」(岩田一政・日本経済研究センター理事長)との指摘までまちまち。甘利経済再生相は点検会合最終日の31日に「足らずに失敗することはあっても、やり過ぎて失敗することはない」と述べ、十二分な対応が必要との認識を示している。 税制面からの対応では、自民・公明両党の与党税制協議会が秋の臨時国会に提出が予定される投資減税案について9月中のとりまとめを確認。来週以降、議論を本格化させ、生産性向上を促す設備投資促進税制や事業再編促進税制などの具体化を詰める。 一方、産業界の要望が強い法人実効税率の引き下げについて自民・宮沢氏は「今の日本の財政状況、経済状況からすると、まず、必要な政策減税をしていくことにならざるを得ない。従って、復興の付加税までいかない話だ」と述べ、否定的な考えを示している。 日本の法人実効税率(東京都の場合)は国税と地方税の合計で35.64%と、国際水準に比べて高い。加えて、14年度末までの3年間は、東日本大震災の復興特別法人税として法人税額の10%を上乗せしており、企業の実質的な負担水準は38.01%となっている。政府が消費増税の是非をめぐって有識者に意見聴取した「集中点検会合」でも、復興の付加分の廃止による実質的な法人税率下げを求める声が上がっていた。 (ロイターニュース 中川泉 吉川裕子 編集 石田仁志
日本株5日ぶり反落、五輪不透明や円安一服−不動産など売り
9月6日(ブルームバーグ):午前の東京株式相場は5日ぶりに反落。2020年夏季オリンピックの開催地決定を控え、東京招致への不透明感から直近の上げが目立っていた不動産や建設、セメントなど内需関連株中心に安くなった。米国の雇用統計を控える中、為替の円安一服も加わり、高く始まった輸出関連株も軟調。 TOPIX の午前終値は前日比10.50ポイント(0.9%)安の1147.34、日経平均株価 は158円69銭(1.1%)安の1万3906円13銭。 香港のバンテージ・キャピタル・マーケットのエクイティ・デリバティブ・ヘッド、シチュアート・ビーヴィス氏は「きょうの売りはアグレッシブな売りというより、リスクマネジメントという用心深い動きだ」と指摘。米雇用統計は、「緩和縮小を進めるかどうかを決める鍵。米10年債への注目も集まっており、金利3%ではマーケット心理に悪影響を及ぼしている」と話していた。 きょうの日本株は上昇して始まったものの、前日まで4日続伸した反動に加え、日本時間今夜には米国の金融政策に影響を及ぼす8月の雇用統計発表、アルゼンチン現地時間の7日には東京が立候補する20年夏季オリンピックの開催都市決定を控え、徐々に持ち高整理の売りに押された。週明け9日の取引開始前には、消費税増税の実施判断に向け重要視される日本の4−6月国内総生産(GDP)の改定値公表もある。日経平均の下げ幅は一時、200円を上回った。 マドリードに勢いの報道 幅広い業種が下げる中、特に下げが顕著だったのは不動産。東証1部33業種の下落率で1位、TOPIXの下落寄与度で2位だった。20年夏季オリンピックについて、海外メディアの間ではマドリードに勢いが出ているという見方が出ている、とNHKは報じた。スペインの現地紙エル・ムンドは、国際オリンピック委員会(IOC)の委員98人のうち、50人がマドリードを支持したと報じた。 SBI証券の鈴木英之投資調査部長によると、「マーケットはISM非製造業の雇用指数の結果などから、米雇用統計は極端に心配していないため、きょうはむしろオリンピックの結果の方を気にしている」と言う。マドリード優勢との報道もあり、「落選すると、日本株全体が調整に入る可能性もある」と懸念を示した。 午前の東京外国為替市場のドル・円相場は、早朝に一時1ドル=100円20銭台まで円安方向に振れた後、99円70銭台まで動きが反転。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、米雇用統計は18万人の雇用増、失業率は前月と同じ7.4%が見込まれている。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、きのうの米経済統計を受けて「米景気の回復は勢いを増してきており、マーケットは早期の量的緩和縮小が確実だろうと織り込んできている」とした半面、仮に米雇用統計が予想より大きく下振れすれば、「株安・円高につながる」と見ていた。 東証1部の業種別33指数 は、鉄鋼を除く32業種が下落。不動産、パルプ・紙、水産・農林、その他金融、証券・商品先物取引、保険、繊維、石油・石炭製品、サービス、建設が下落率上位に並んだ。不動産や建設は、8月月初から前日までの33業種のパフォーマンス上昇率上位に並び、いずれも同期間のTOPIXの上昇率2.3%を上回っていた。水産に関しては、韓国の水産物規制による影響も不安視された。 東証1部の売買高は概算で11億6643万株、売買代金は8728億円。値上がり銘柄数は297、値下がりは1326。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 更新日時: 2013/09/06 12:00 JST |