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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130906-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 9月6日(金)6時16分配信
先の参院選で自民党が大勝したことで、自民党安倍晋三政権が長期政権になることが確実になりました。しかし、安倍政権が推進するアベノミクスの恩恵を感じられないという話も聞こえてきます。これから日本経済はどうなっていくのでしょうか?
私は、今年の秋までは景気が良くなる可能性があるが秋以降は波乱含みだ、と見ています。俗に「景気は人の気分がつくる」といいますが、まさにそれを示すかのような指標があります。ネット調査最大手マクロミルがHP上で無償提供している調査データ「MACROMILL WEEKLY INDEX」(http://www.macromill.com/weeklyindex/index.html)の「景気」がその1つです。これはいわば消費者マインドをグラフ化したもので、現在の日本人がどのように景気を感じているかをリアルタイムに知るには良い指標です。
「景気」の「今の景況感」は、現在の景気感を表した指標で、「今後の景況感」は今後の景気感を表した指標です。20歳〜69歳までの男女1000人の調査データをもとに算出しています。今年5月までは「今の景況感」「今後の景況感」ともに上昇傾向にありましたが、5月以降は若干の下降傾向にあります。つまり、5月までは多くの人が「景気が良くなる」と思っていたのですが、6月から「それほど景気は良くならない」と思うようになったというわけです。
このグラフの推移は、みごとに日経平均株価と連動しています。一般人の景気の“気分”と株価が連動しているとは実に面白い現実です。逆に言えば、景気の“気分”を上手にキャッチできれば、今後の株価の動きも予想できるということになります。
では、なぜ5月から下降傾向となったのでしょうか?
その理由は2つあります。1つは5月に起きた株価大暴落です。安倍政権が誕生して以来、上げ一辺倒だった株価の暴落で、多くの人はアベノミクスへの信頼性に疑問を持つようになりました。
そしてもう1つが消費税増税です。ちょうど株価大暴落のあたりから、一般世帯の収入が増えていない段階の増税は景気後退を招く、という議論が活発化しました。連日報道されるようになり、消費者の財布の紐も固くなり始めました。その“気分”を反映して消費者マインドも下降していたのです。
●秋までは景気が良くなる要因
ではなぜ私は、秋までは景気が良くなる可能性がある、と予測したのでしょうか?
それは別の指標を見ているからです。内閣府が発表している「景気ウォッチャー調査」です。これは、日本全国あらゆる業界の現場にいる2050名の意見を分析したものです。2050名の中には商店街店主もいれば、タクシードライバー、新聞社広告担当、職業安定所職員、不動産関係者、製鉄関連会社社長、会計事務所職員、金融関係者、流通業従事者、専門学校就職担当等々、生々しいビジネスの現場の方々が調査協力しています。
「景気ウォッチャー調査」は、いわばビジネスの現場の“気分”を反映したもので、より正確に経済の先行きを予測するには格好の判断材料となります。この最新データを読み解けば、秋までは景気が良くなる要因がいくつかあることがわかります。
7月の「景気ウォッチャー調査」は、過去7年間で最も高い水準の数値が出ています。自民党へ政権交代した時期からみても10ポイントほど上昇していて、民主党政権時代に比べれば明らかに現場では「景気が良くなりつつある」という実感を得ているようです。とはいえ、消費者マインドの変化と同様に、今年の5月の株価大暴落以降、景気判断を慎重にする傾向が出ています。
しかし、「景気ウォッチャー調査」の詳細なデータを精査すると、景気浮揚の好材料が揃ってきていることがわかります。1つは自動車業界で、もう1つは住宅関連です。
今年の秋には各自動車メーカーの新車発表が待っており、そのための材料調達や設備投資が増えていることがわかります。現場では秋口から関連中小企業の仕事も増えるという予測もあり、期待感が高まっています。自動車関連の求人募集も増加傾向にあります。
また、住宅関連も秋口に向けて需要が増えると予測していて、好況感が続いています。建築材料の出荷量が増えていることから、秋口に向けて景気が良くなっていくのは確実です。さらに、住宅購入とともに家具などの耐久消費財の需要も増えるという予測もあります。家電では4Kテレビの期待感も高まっています。
経済の牽引となる自動車業界と住宅業界ともに好材料が増えてきているので、私は秋までは景気が良くなっていくという予測を立てているのです。しかし、これも条件付きです。その条件とは、消費税増税が決定される、という条件です。
つまり、自動車も住宅も、消費税増税を見据えての“駆け込み需要”を見込んでいるからです。消費者マインド的には消費税増税はマイナスに働きますが、自動車や住宅の業界にとっては特需になるのです。もし消費税増税を見送れば、これらの業界の予測は外れ、ますます不透明な状況になるでしょう。そういう意味で、安倍政権は消費税増税によって一時的な景気浮揚効果を選ぶのか、長期的な視野で消費税増税を見送るのかの選択を迫られているのです。
鈴木領一氏/ビジネス・プロデューサー
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