02. 2013年9月05日 17:33:20
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2013年09月01日09:17 カテゴリ経済 異次元緩和が「狂乱物価」の再来をまねくいよいよシリアで戦争が始まりそうだ。アメリカの爆撃そのものは限定的だというが、そのままシリアが黙っているはずがない。アメリカに報復することはできないので、ありそうなのはイスラエルに化学兵器で爆撃することだろう。それに対してイスラエルがシリアに報復する(今までも何度か爆撃している)ことはほぼ確実だ。 そこで終わればいいが、イランはかねてからシリアの同盟国であることを強調しており、シリアが一方的に攻撃される展開になったとき、イスラエルを援護爆撃するかもしれない。そうなるとイスラエルがイランの核施設を爆撃し、それに対抗してイランがホルムズ海峡を機雷封鎖すると、日本への原油輸入の8割が止まるばかりでなく、70年代のような原油価格の暴騰が起こるだろう。 oil 70年代の通貨供給と物価上昇率(%)出所:日銀 しかし当時、小宮隆太郎氏が批判したように、1973年の「狂乱物価」の主犯はOPECではなく日銀だった。図のように、第4次中東戦争の起こる1973年10月の前から10%を超えるインフレになっており、OPECは金余りに火をつけただけだ。日銀が40%を超える異常な金融緩和をしたのは、田中内閣の「日本列島改造」と、1971年の「ニクソン・ショック」後の円高を抑えるための調整インフレだった。 1979年の第2次石油危機のときは、日銀が迅速に引き締めたため、物価は8%しか上がらなかった。このときも世界的には2倍を超えるインフレになって英米経済は疲弊したが、日本は石油危機からいち早く立ち直って低燃費の小型車が爆発的に売れるようになり、日本経済が世界のナンバーワンといわれるようになったのだ。 この経験から考えると、170兆円以上のマネタリーベースが「ブタ積み」になっている現状は、日本経済にガソリンが充満しているようなものだ。小黒一正氏の計算のように貨幣乗数(マネーストック/マネタリーベース)が12ぐらいだとすると、インフレの火がつくと約2000兆円のマネーストックが市中に出る。これは名目GDPの4倍なので、400%のインフレになるおそれがある(日本は70年代に200%になった)。 ここ半年の実験で、黒田総裁の「念力」はきかないことがわかったのだから、もう有害無益な「異次元緩和」はやめ、資金を回収すべきだ。そうしないと、また狂乱物価が起きたら国民生活はめちゃくちゃになり、安倍内閣も倒れるだろう。下らない増税論議はもう打ち切り、中東の非常事態にそなえて原発の再稼働を急ぐべきだ。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51870268.html
2013年08月31日08:24 カテゴリテクニカル 黒田総裁の「念力」でインフレ予想は起こらなかった
きょうの午前10時からBS朝日の「激論!クロスファイヤ」で、また高橋洋一氏と討論する(収録はきのう)。テーマは「アベノミクスで日本経済どうなる!? 支持派VS批判派 論客激突!」ということだったが、それほど意見は違わなかった。 特に甘利経済再生相が「CPIがプラス0.7%になり、日本はデフレから脱却しつつある」と発言したことについては、高橋氏も「あれは間違い。コアコアではまだ−0.1%なのだから、改善はしているがデフレは脱却していない」と言っていた。 コアコアの上昇の最大の原因も円安で耐久消費財の輸入価格が上がったことや液晶テレビの価格戦争が終わったことなどが主な原因で、量的緩和とは関係ない。要するに、安倍政権が1月に激しくリフレ政策を打ち出してから半年以上たっても、金融政策によるインフレ誘導効果はほとんど出ていないのだ。 おまけに高橋氏や岩田氏が強調していた黒田総裁の「気合い」でインフレ予想を引き上げるという念力理論も、反証されてしまった。こうした事実も高橋氏は認め、「効果はすぐには出てこないので、あと1年半待ってほしい」とのことだった。 図1 岩田規久男氏の念力理論 しかしインフレ予想のような心理的効果が、2年もしないと出てこないということは考えられない(というか忘れてしまうだろう)。事実、岩田氏が念力理論を回帰分析したときは、図1のようにマネタリーベースの増加と同時に(正確には半年の平均)予想インフレ率(BEI)が上がり、相関係数は0.9以上ということになっていた。 ところが岩田氏のような細工をしないで全期間の時系列データで見ると次の図2のようになり、相関係数は0.47しかない。まったく関係がないともいえないが、特に最近はマネタリーベースが激増しているのにBEIは下がっており、黒田日銀の発足した今年4月以降だけをみると逆相関になっている。 MB-BEI 図2 MBとBEIの全期間にわたる推移 黒田氏が最大のねらいとしていたインフレ予想に関していうと、今までのところマネタリーベースを激増させたことによる「念力効果」はゼロ(あるいはややマイナス)と考えていいだろう。2年後に効果が出てくることも、図2をみる限り考えられない。 ただしCPIは今後、大きく上昇するだろう。きのうまで行なわれた消費税の「点検会合」でほとんどの出席者が増税を容認したので、来年4月には消費税率が予定どおり3%ポイント、再来年には5%ポイント上がることは確実だ。これによってCPIは4%程度上がるが、黒田総裁はそれとは別に2%のインフレを目標にしている。合計6%のインフレが実際に起こったら、国民生活に大きな悪影響を及ぼすだろう。 ただ今までの実績から考えると、コアコアCPIはほとんど上がらないので、来年は消費税の分だけ2%ほど物価が上がるだろう。これをもって「インフレ目標達成」という解釈に変えれば、岩田副総裁も辞任しなくていいし、増税の悪影響も最小限になる(消費増税のときは物価を下げるオペを行なうのが普通だ)。 要するに拙著で予想した通り、アベノミクスは安倍首相の「輪転機ぐるぐる」発言で投資家が元気になった偽薬効果がすべてで、黒田総裁の「実験」は失敗したのだ。これ以上、無謀な緩和を続けると、中東危機で原油が1バレル=200ドルを超えて第3次石油危機が来た場合、20〜30%のインフレになることも考えられる。黒田総裁はポパーの哲学に従い、反証された金融政策はおやめになってはどうだろうか。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51870164.html#more
2013年08月30日10:31 カテゴリ経済 輸入インフレが始まった
けさ発表された7月の消費者物価指数を図にしてみた(クリックで拡大)。 p4 総合CPIは0.7%のプラスになったが、日銀が指標とするコアコアCPIは−0.1%。内訳をみると、電気代の値上げと円安による石油製品の値上げが大きい。耐久消費財も円安要因の他に、液晶テレビの価格戦争が一段落して上がってきた――というわけで、輸入インフレが始まったと考えるのが妥当だろう。これを「デフレ脱却」と喜んでいいのだろうか? http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51870050.html |