http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/262.html
Tweet |
消費税増税をめぐって、いわゆる有識者の会議が開かれた。多くは増税に賛成だが、有力な反対者もいる。その一人が片岡氏(三菱UFJ主任研究員)である。消費税増税は時期尚早と言う。また参与の本田氏(静岡県立大教授)や浜田氏(元イエール大教授)は景気の足を引っ張るから原則反対だが、妥協して1%ずつ段階的に上げるとよいという。
現在、景気は上向きかけているが、雇用、賃金、設備投資などの実体経済に結びついていない。もし今、消費税を上げると、景気は悪くなり、アベノミクスは失敗する。
これは妥当な見解だ。確かに円安で輸出大企業の経営は好転している。しかし、円安は輸入物価の上昇をもたらし、小麦、パン、電気料金、ガソリン、ガス料金等の値上げになる。庶民にとっては痛い話だ。また建設、建築業界は公共事業で景気が良いが、それがどれほどの波及効果をもたらすか疑問だ。現在の状況で消費税を上げると確実に景気は悪化する。
輸出大企業には、外国人から消費税は取れないから輸出戻し税がある。消費税が上がれば上がるほど多く還付される。中小企業は大企業からたたかれ、自腹を切る。小売業は競争が激しく、価格に転嫁できない。結局、価格は上げられず、税金だけが増える。収益が減れば賃金を下げざるを得ない。賃金は上がらず、一方、輸入価格は上がる。
さてそれなら、今は消費税を上げずに景気が回復した時に消費税を上げることができるのか。無理であろう。なぜなら上げたら景気が悪化するとわかっているからだ。同じことの繰り返しだ。つまり消費税増税と景気回復は両立しない。
どうするか。消費税それ自体を廃止することだ。確実に景気は良くなる。
アベノミクスはバブルの再燃を意図している。そうであるなら税制を1980年代に戻すべきだ。当時は消費税がなかった。消費税が導入されたのは1989年からであり、ここからバブルの崩壊が始まった。
勿論、バブル崩壊の原因には金利が2.5%から6%に引き上げられたことや公共事業の抑制もある。また銀行の土地融資への規制もある。このような規制と共に消費税導入も原因の一つと考えられる。
現在、金利はバブル期よりはるかに低い。公共事業の投資も多い。残されたのは消費税だけだ。そこで今求められるのはバブル期の税制に戻すことだ。次の数点が挙げられる。
@消費税を廃止すること。
A所得税の累進度を上げること。当時は最高税率60%で高額所得者に厳しかった。
B法人税を上げること。当時は40%台であった。
所得税は再分配の問題であるから、景気に悪影響を与えない。それどころか、高額所得者から低額所得者への所得移転であるから、消費が増え景気は良くなる。
法人税を上げることには異論があろうが、別の形で企業の負担を減らすとよい。例えば医療・介護を税方式にして所得税で賄えば、折半も消えて企業負担の軽減になる。厚生年金の脱退も認める。経営の苦しい会社は喜ぶ。
もっとも、1989年の消費税導入以前には物品税があり、10%ほどの税が自動車や電気製品、その他の高額製品に課せられていた。それを復活しないで法人税を上げるのであれば、問題はなかろうと思う。
消費税を廃止すると、社会保障の財源が問題になる。そこでリフレ派の主張どおり日銀に国債を買わせ、社会保障を充実させる。つまりインフレで困る人たちの生活を保障するのだ。
さらにここで一工夫する。贈与税の課税最低限度を今の110万円から5000万円にする(実際控除額は拡大されている)。日本には貯蓄が1500兆円あると言われる。その大半は老人のものだ。社会保障で老後の生活をそれなりに保障し、同時に贈与税を軽減すると、子や孫に、日常生活の物資はもちろん、車、マンションなどを買ってあげたり、贈与したりする。あの世にお金は持っていけないからだ。老人の消費より現役世代や年少者の消費が多い。
消費が増えるとインフレになる。インフレになると貨幣価値が下がる。そこで貯蓄のある人は、土地、株、金だけでなく、車、電気製品、衣類その他のモノに変える。すると景気が良くなる。企業は設備投資を行い製品をつくる。雇用も増え賃金が上がる。
実は、これがノーベル経済学受賞者・クルーグマンが意図しているインフレターゲット政策ではないのか。参与の浜田宏一もそれを行うつもりではなかったか。つまりインフレを起こして貨幣価値を下げ、タンス預金である現金(貯蓄)をモノに変えるというものだ。アベノミクスの理論的背景である。
消費税それ自体を廃止してバブル期の税制に戻せば、それなりに景気は回復するのではないかと思う。アベノミクスは消費税それ自体の廃止でそれなりに成功する。勿論、社会条件の異なる現在、団塊の世代ほどの住宅需要がない、土地神話は崩壊している、終身雇用・年功制も崩れかけている。だからバブルにはならないし、ならない方が良い。継続的インフレにはなり、その方が良い。
バブル期には赤字国債の発行が急激に減った。今回もし、景気が回復すれば税収も増し、それなりに国債発行を減らすことができる。そうでなくても、インフレ自体が貨幣価値を下落させ、国債残高を目減りさせることになる。
(安倍首相が採用することは絶対ないでしょうが、話として書いてみました。みなさん、いかがでしょうか。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。