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全員が取締役“ニート株式会社”の実力
http://gendai.net/news/view/110435
2013年08月31日 日刊ゲンダイ
ニートの息子を抱える親にとっては気になるニュースだ。中小企業をサポートするNPO法人「ヒトコトネット」が、新事業としてニートだけを集めて株式会社を設立しようとしているのだ。集まったのは北海道から沖縄まで、約340人。全員が取締役になり、年内の法人登記を目指すという。「どうせダメだろう」という声ばかりだが、この試み、あながち無視できない。
<人材活用のヒントがココにある>
同NPO法人の納富順一氏に聞いた。
「親は〈高校や大学を卒業したら、とりあえず働け〉と言いますが、終身雇用が崩れ、給料アップが見込めないとなると、一部の若者が昔のような働き方に違和感を覚えるのは当然。私たちはそういう違和感を持つ感性に可能性を見いだしたのです。今の雇用体系に嫌々ながらも、我慢して身を委ねている人より、ニートだけで会社をつくった方が新しいサービスができるのではないかと。それが、『NEET株式会社(仮称)』です」
厚労省によると、ニートは15〜34歳のうち家事も通学もしていない人のことで、全国に約63万人。6月の会社説明会には、ネット中継も含め3000人以上が集まり、約340人が登録した。彼らはネットを駆使して“白熱教室”さながらの議論を戦わせているという。
「メンバーは全国にいますから、会議はネット中心です。一人一人が〈やりたいこと〉〈できること〉〈事業として可能なこと〉〈事業には難しいこと〉〈仕事への関わり方〉〈利益の配分〉などを考え、時にはケンカもしながら、事業プランを練っています。私たちは、相談を受けたときのアドバイスは惜しみませんが、上から答えを与えることはありません。彼らは自分たちでやりたいことを探し出すと、率先して動くのです。ネット会議のための仕組みも、メンバーがつくりました」
<六大学卒はザラ、司法書士や会計士も…>
今後、ゲームや映像コンテンツの制作など、いくつかの事業に絞る。メンバーは各自の希望で、いずれかに関わる。1日何時間働くか。報酬はどれくらい欲しいか。その待遇は、事業ごとに一人一人異なる。NPOは事業ごとに、収益の数%を受け取る。いわゆる事業部制のイメージ。そうなると、法務や経理など裏方も必要だろう。
「集まったメンバーには司法書士や会計士などの資格を持った人もいて、彼らが法務や経理を希望しているので大丈夫」
意外なことだが、この集団、大卒だと六大学はザラで、理系なら修士課程修了が多い。TOEIC990点や学芸員、美容師、小型船舶1級取得者もいて、人材が豊富だ。彼らのやる気を引き出すコツが、自分たちで動きやすい会社の仕組みづくり。法人登記上の住所は必要だが、全員が集まる事務所は持たず、仕事はネットで完結させるのが基本だから、固定費はほとんどかけない。
「価値観の違いなどで離れるメンバーもいるでしょうから、最終的には100〜150人になるでしょう。彼らが負担可能な金額、ま、少なくとも1000円前後を出資し、全員が取締役になる。パワーバランスが崩れるので、メンバー以外の出資者は募りません」
やってみないと分からないが、面白そうだ。
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