03. 2013年8月31日 10:24:38
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ファンタジー世界に逃げ出す“下流” 「知的な人間は漫画なんて読まないよ」 2013.8.24 19:00 知性がない人は、本も読まず、出世もできない--。読書習慣に関する調査結果からは、40代になっても年収500万円どまりの人と、上にいく人の決定的な違いが見えてきた。 調査概要/楽天リサーチの協力を得てインターネットを通じて1002人のビジネスマンより回答を得た。調査期間は2012年2月24〜27日。なお、アンケートは、プレジデントの名は秘して実施。 本を読む量に比例して、年収は増えるのだろうか。 プレジデント編集部が独自に行った年収別の読書傾向調査は、読書と年収に明らかな相関関係があることを示している。むろん、読んだら稼げるようになるという因果関係は証明できない。しかし、データが語りかけてくる事実はあまりにも残酷だ。 調査は、1002人のビジネスマンを対象に行い、年収500万、800万、1500万それぞれ334人ずつから回答を得た。年収によって若干年齢層に偏りがあり、500万と800万のボリュームゾーンは40代、1500万は50代が中心である。 回答者の属性をおおまかに言うと、500万は一般社員、800万は課長・係長クラス、1500万は部長以上に医師、弁護士、会計士などのいわゆる「士族」が少数混じっている。 以下、投資コンサルティング会社インスパイアのファウンダーにして社団法人HONZを率いる読書界の鬼才、成毛眞氏、そして幾多のベストセラーを世に送り出してきたエリエス・ブック・コンサルティングの代表にして、メールマガジン「ビジネスブックマラソン」の筆者、土井英司氏のおふたりによる的確かつ辛辣なコメントをいただきながら、読書と年収の赤裸々な関係を見ていくことにしよう。 読者はすぐさま本屋へ走るか出世を諦めるか、いずれかの選択を迫られることになるだろう。 ファンタジーに逃げる“下流”の人々 【土井英司】まずは「この1年間に読んで役に立った本」から見ていきたいと思います。 1500万の人を見ると『デフレの正体』『日本中枢の崩壊』などを読んでいて、社会、経済の全体像を捉えようとする姿勢がよく出ています。かなり、マクロな視野を持っていますね。さらに『ローマ人の物語』『三国志』などの歴史物も入っていて、国家規模の話に興味があることがわかります。 一方の500万の人は「日経トレンディ」や「あるじゃん」などを読んでいて、1消費者の視点が強いですね。 【成毛眞】僕は、1500万の人は刺激のない本を読んでると思うな。『三国志』なんてモロにおじさんの読み物だし、『7つの習慣』なんて日本では1996年に出版された本だからね。10年以上前の本を挙げてくるセンスって、よくわからない。 僕がいいと思うのは、むしろ800万の人。『もしドラ』を読んで触発されて、ドラッカー本人の著作を読んでいる。いかにも大企業でがんばってる企業戦士の読書という気がするね。『坂の上の雲』もマイケル・サンデルもテレビの影響でしょう。こういう刺激の受け方って、悪くない。本はミーハーな読み方をしたほうがいいというのが僕の持論です。ビジネスチャンスになる旬な情報を捕まえるのは、常にミーハー精神だからね。 【土井】500万の人は明らかにファンタジー、エンタメ中心です。『ONE PIECE』なんて漫画は思い切りファンタジーです。 【成毛】そもそも知的な人間は漫画なんて読まないよ。海外企業のマネジメントなんて、漫画本の表紙すら見たことないだろうねぇ。 【土井】『海賊の経済学』(ピーター・T・リーソン)という大変面白い本がありますが、この本によると海賊の社会は極めて平等な社会です。そうした社会に憧れるのは、ある意味、厭世的な姿勢だといえます。1500万の人が『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んで、ものごとは確率で決まるという冷徹な現状認識を仕入れているのとは大変な違いです。 上流は世の中を動かす法則や権力者の意図、そして政治に強い関心がありますね。苦境の時代こそ、現実を見据え、現実を変えていこうとしている。一方で、500万の人はファンタジーに逃げているように見えます。(山田清機=構成) ビジネスマンにとって価値ある書籍とは 2000人調査!私の土台を築いた「本・雑誌・著者」ランキング
PRESIDENT Online TOP > 暮らしなんでも事典 三浦 展激白!なぜ下流おじさんほど、『デブ』になるのか 「ジリ貧父さん」の教訓 2008年11月26日(Wed) アメリカでは低所得層ほど肥満が多いといわれるが、日本でも体形を見れば階層がわかる「体格格差社会」になりつつある。デブと下流の危険な相関関係を『下流社会』の著者が警告する。
上流と下流では、下流に属する人ほど太っている。身もフタもないことを言うようだが、まぎれもない事実である。 私は2年前、20歳から44歳の男性に、生活水準とBMI(体格指数)の関係について調査を行った(※)。 BMIとは、体重(キロ)÷身長(メートル)の二乗で求められる肥満度の指標で、25以上は太りすぎである。そしてその調査結果によると、生活水準が「上」であると答えた人のうちBMI25以上の人の割合は14.7%だったのに対し、生活水準が「下」の人では、27.2%がBMI25以上だったのである。 貧乏人はガリガリで、金持ちは太っているという図式は、もはや完全に過去のものとなった。いまや上流ほどスマートで、下流はデブというパターンが定着しつつある。アメリカでは以前から、「低所得層ほど肥満が多い」のは常識だった。そしてついに日本も、体形を見れば階層がわかるという「体格格差社会」に突入しつつあるのである。ではなぜ、下流に肥満が多いのか。原因のひとつには、やはり「意欲」の問題があるだろう。 私がつねづね指摘しているように、下流は人生全般に対する意欲が薄い。働いたり、勉強したり、結婚したりするエネルギーに乏しい。簡単に言えば、「下流は面倒くさがり」なのだ。だからこまめに体を動かしたり、自分で買い物をして、素材から料理したりすることを嫌う。したがって、ハイカロリーなわりに栄養価の低いファストフードや、コンビニ食ばかり食べる。面倒くささが高じると、食卓で箸を使うことすら億劫になり、パソコンや携帯を操作しながら片手でパンやおにぎりをかじる。しかしこれはまだいいほうで、お菓子の類を食事代わりにすることも珍しくない。当然、こんなものでは満腹感が得られない。そこで必然的に間食が増える。そしてますます太っていくという悪循環なのだ。 しかし太ったところで、彼らに「なんとかしなきゃ」という危機感は薄い。つまりダイエットをするのも面倒くさい。それでますます太るというわけだ。 ある看護師さんの話によると、「下流の患者ほど病気になっても治そうとしない」という。健康は、よりよい人生を送るための基本である。ところがその意識が低いということは、極端に言えば、「別にいつ死んだってかまわない」という投げやりな気持ちが潜んでいるとも考えられる。もしそうだとしたら、彼らにとって、標準体重をオーバーするくらいのことは、たいした問題ではないのだろう。 下流の人たちは準備や段取りが苦手 先日私は、ワーキングプアの若者代表として人気の作家、雨宮処凜と話す機会があり、そのとき何気なくこう言った。 「雨宮さんのまわりにいるようなお金がない人たちは、ハンバーガーとかカップラーメンばかり食べてないで、ジャガイモとかキャベツを茹でて食べればいいんじゃないの?」 『下流は太る!こんな暮らしがデブの素』(扶桑社)(写真左)『富裕層の財布 誰も知らないお金の使い方』(写真中)『日本溶解論 この国の若者たち』(プレジデント社)(写真右)など、三浦展氏は数々の“格差”に関する提言や執筆などを精力的に行っている。 写真を拡大 『下流は太る!こんな暮らしがデブの素』(扶桑社)(写真左)『富裕層の財布 誰も知らないお金の使い方』(写真中)『日本溶解論 この国の若者たち』(>>プレジデント社)(写真右)など、三浦展氏は数々の“格差”に関する提言や執筆などを精力的に行っている。 すると、「ああいう人たちは、ガスの火をつけたことがないんです」と言う。これには絶句した。つまり親が基本的な生活能力を教えていないのだ。子どもの教育に熱心な親は、勉強もさせるが、一方で体力づくりや食育にも熱心だ。しかし子どもに無関心な親は、子どもがゲーム漬けだろうとスナック菓子を食べすぎだろうと、どうでもいい。さらにひどい親になると、レトルトカレーを温めないでそのまま食べたりしているという。このような環境に育てば、食に関する知識も興味もなくなって当然だ。 したがって、育ち盛りの子どもがいるのに、「最近、手作りの料理が食卓に並ばなくなったな」という家庭は要注意である。母親ができないなら、父親が台所に立って料理のイロハを実践してみせる必要があるだろう。 私自身、毎朝必ず家族のために朝食を作っている。もっとも、ごはんと味噌汁、プラス1品程度だが……。それでも、自宅で素材から料理を作るということは、大げさに言えば下流に転落することを防ぐ、あるいは下流から脱出するための「階級闘争」の手段なのである。 実際、冷蔵庫にある材料で手早くおいしいものを作ろうと思ったら、計画性や応用力が必要だ。これは仕事も同じだろう。限られた時間や予算のなかで、ある程度の結果を出さねばならないのだから。 しかし下流の人たちは、この種のちょっとした準備や段取りをするのが苦手だ。 以前、私のところに「下流3人組」のようなアルバイト学生が来ていた。彼らは美大生で、パソコンを使ってデザインをするからCD-ROMを大量に使う。 私なら残り2〜3枚になったところで20枚パックを買い足すけれど、彼らは最後の1枚がなくなるまで、補充するという発想がない。結局、夜中にドン・キホーテまでタクシーを飛ばすようなことをしているのだ。つまり、目的合理的に「こうなったら、ああなる」と予測して行動することができないのである。 下流が太る原因のもうひとつは、知識の欠如だ。 たとえば食品パッケージの裏に印刷してある成分表やカロリー表示を読んだことのある人は少ないのではないか。たとえ下流といえども、「こういうものは体に悪い」という認識があれば、食べるのを控えるかもしれない。しかしそれを阻むのがテレビだ。彼らは民放テレビをよく見ているが、テレビ局にとって食品会社は大事なスポンサーのひとつだから、あまり都合の悪い情報は流さない。その代わり、食欲を刺激するようなコマーシャルを四六時ちゅう流している。 自分の贅肉も削減できないヤツ 実は下流の特徴はもうひとつあって、それは「欲望をコントロールする力が弱い」ということだ。彼らは「いま、すべきこと」よりも、「いま、自分がやりたいこと」を優先させてしまう。だからこそ太るし、だからこそ所得が低いのだが、それが本当に心からの欲望なのかといえば、決してそうではない。 彼らは企業の販売戦略に踊らされているだけだともいえる。いまは24時間、そこかしこで食べ物を売っているし、どこを向いても広告が目に入る。よほど意思を強く持たなければ、易きに流れてしまう。こんな世の中では、いつ肥満への坂道を転げ落ちてもおかしくない。 しかもいまや太っていることで、能力や人格まで、実際より低く見られることすらあるのだ。 もともとアメリカでは「太っている人は自分の体も管理できない人。ゆえにデブは管理職失格」という見方があった。日本でも、厚労省がメタボ対策を打ち出したこともあり、これからはますます「おデブ=ダメ人間」のような判断をされることが一般的になるに違いない。となれば腹にでっぷり脂肪のついた部長が「ムダを削減しよう」と言ったところで、説得力がない。「自分の贅肉も削減できないヤツが、何を言ってる」となる。すでに政治家への評価は政策云々よりも、見た目が重視されるようになってきている。 もし小泉純一郎があんなにスリムでなかったら、どんなに改革を訴えたところで、「その前におまえの体を改革しろよ」と言われるのがオチだったかもしれない。元トリンプの吉越浩一郎氏やワタミの渡邉美樹氏がリーダーシップを発揮できるのも、スマートな体形によるところが少なくないのではないか。 こんなにも見た目が個人の評価に直結する社会になったのは、いったいなぜか。私はその一因が、女性の社会進出にあるのではないかと睨んでいる。 かつて男は仕事さえできればそれでよかった。しかし女性は、もともと美しくあることが要求されていた。したがっていま社会で活躍中の女性は、外見にも気を使い、なおかつ仕事もがんばるのが当たり前だ。この価値観が、男性にも応用されつつあるのではないか。だからというわけではないが、このたび私も3キログラムの減量に挑戦し、成功した。やはり太ってしまったら、即ダイエットをするに越したことはない時代なのである。 ハンバーガーセットを頬張り、空腹をしのぐ片岡さん。通りがかりの人が自然と避けていく。 写真を拡大 ハンバーガーセットを頬張り、空腹をしのぐ片岡さん。通りがかりの人が自然と避けていく。 片岡守さん(仮名)、53歳、独身。5年前友人と設立した会社が行き詰まり、消費者金融から生活費を借りたのが下流転落のきっかけ。平日は小さな広告代理店の正社員として働きつつ、土日は近所のスーパーでアルバイトの日々。 「太っている下流はまだ甘い。極貧が加わると、だんだん痩せてくる。85kgあった体重が、食糧不足で10kg減った。最後は、米さえあれば何とかなる」。バイトまでしているなら借金も返せるはずでは?と尋ねると、「沖縄の子持ちの彼女に毎月13万円送金している」とか。 「月末になると電気、ガス、携帯が止まるけど、水道は止められたことはない」と語る表情はなぜか得意げ。困窮生活に適応しすぎて、そこから脱出する意欲を失い、楽しんでいるようにさえ見える片岡さん。やっぱり下流脱出は永久に不可能か。 ※「男性仕事・生活調査」 調査主体:(株)カルチャースタディーズ研究所、(株)イー・ファルコン 調査実施:(株)ネットマイル (『下流は太る!』(扶桑社)より)
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