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株式日記と経済展望
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そもそも、農家は高齢化して後継者もいないのに、なぜ農地を売却したり、
他人に貸そうとしないのか。農地に宅地への転用期待があるからだ。
2013年8月30日 金曜日
◆歴代政権が"ボロ儲け"を看過したせいで ニッポン農業は改革できずにきた/長谷川 幸洋 8月30日 現代ビジネス
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130830-00000001-gendaibiz-pol
?耕作放棄地が拡大したのは、農家の高齢化が進んで跡継ぎがいない、耕作しても儲からないなど理由がある。ともあれ、各地の農村は細切れになった農地と放棄地、大規模農地がばらばらと併存して、結果的に農地集約は進まない、企業の参入も進まない、という事態に陥っている。
?そこで、政府が農家と新規参入をめざす担い手の間に入る。機構(=農地集積バンク)がいったん借り受けて整備した後、新たに貸し出せば、相手が公的機関だから貸す方も安心、借りる方も安心で集積が進むはず、というのが農水省の目論見である。
?はたして、この絵は狙い通り成功するのか。それとも単なる「獲らぬ狸の皮算用」にとどまるのか。
?規制改革会議では、すでに多くの疑問や問題点が指摘された。最大の論点が何かといえば、公費の無駄遣いを防ぎつつ、新たな担い手とりわけの企業の新規参入が進むかどうか、である。
*** 次の世代でヤル気が出たらどうなるか ***
?まず農家の側からみると、自分にヤル気があって優良な農地なら、別に機構に貸す理由はない。自分はヤル気がなくて、荒れた農地なら貸してもいいだろう。
?では、機構が公費で農地を整備して、それを借りた企業が農業を始めて、儲かるようになったところで「やっぱり返せ。自分がやる、あるいは息子がやる」という話になったら、どうなるか。
?整備された農地は当然、価値が高まる。普通の企業でいえば、設備投資を公費で負担してもらったようなものだ。
?後で「返せ」というなら、国の負担で整備してもらった分は当然、もとの農家が負担しても良さそうなものだが、農水省は「負担を求めない」という考えだ。
?それでは、自力で整備した農家と比べて、モラルハザードにならないか。民法には、こうした事態を想定して「有益費償還請求権」という考え方もある。
?借家人が借家の利便向上に費やした費用は契約終了時に貸し手に請求できるという話だ。それと同じである。どうも既存の農家に甘い話なのだ。
?一方、借り手の側からみると、本当にヤル気のある企業に貸してもらえるかどうか。ここが最大の問題である。農水省の構想によると、実際に機構を運営するのは事業を委託する市町村や地元の農家、農協、農業委員会関係者らが中心になりそうだ。
?ひと言で言えば、彼らはほとんど「地元の人間」である。それで外部からの新規参入が進むだろうか。私は「進まない」と思う。
?なぜなら、地元の人間は基本的に地元の人間関係やら利害にとらわれやすい。
*** 排他的な農村ではよそ者は歓迎されない ***
?仮に「東京のあの会社に貸したい」と思う人がいたとしても「ふざけるな。何の関係もない『よそ者』を呼んで、この村をどうするつもりか」という反発が出るのではないか。農村には、まだまだ排他的な空気が残っている。
?機構はどうやって農地を貸し付けるのか。まずは、地元の農業関係者が話し合って「将来はこういう担い手が中心になってもらう」という将来像(農水省は「人・農地プラン」と呼んでいる)を作成する。
?それが条件になっている。機構は「農地の借り入れ希望者を公募する」という建前になっているが、地元関係者が作った将来像であれば、そこで「よそ者」の企業が歓迎されるとは思えない。
?それに、東京の会社はどうやって「あそこで、まとまった農地が出てきそうだ」という情報を入手できるのか。公費を投入するのであれば当然、機会の門戸はだれにも開かれていなければならないが、実質的に地元で話が決まってしまうのだから、東京の会社は門前払いになりかねない。
?そうなると、本来の目的である企業の参入促進による農業の生産性向上という話は絵に描いた餅に終わってしまう。ようするに、話のキモは機構が農地を貸し出すときに「だれが、どうやって決めるのか」という点にある。
?決める段階から「外の人間」を加えなければ、新規参入は進まないだろう。
?そもそも、農家は高齢化して後継者もいないのに、なぜ農地を売却したり、他人に貸そうとしないのか。
?普通の家計や企業が使っていない不動産や設備を持っていれば、荒れ果てるに任せてしまうよりも、少しでも有効利用を考えるはずだ。サラリーマンなら転勤するとき自宅マンションの賃貸を考える。それが普通だ。
*** 農家が土地を手放さないのは転用期待があるせい ***
?農家が土地を手放そうとしないのは、農地に宅地への転用期待があるからだ。自分の農地がいつか市街化区域に指定され、宅地に転用できるようになれば、その瞬間に土地の価格は何倍にも跳ね上がる。そういう期待が事前に価格に織り込まれているので、都市部の農地価格は通常の収益還元価格の4倍と言われている。
?収益還元価格とは、ざっくり言えば、たとえば「賃料の25年分」が土地代になるという考え方である。一年間の賃料が120万円を想定できる土地であれば、その土地の価格は120万円×25年で3000万円だ。逆に言うと、土地の賃料120万円は土地代3000万円の4%になる。これは普通の水準である。
?ところが、農地の価格は「収益還元価格の4倍」つまり「賃料の100年分」と言われている。なぜ、そうなってしまうかといえば「宅地に転用した後、売ればボロ儲けできるでしょ」とみんなが思っているからだ。
?実はここにメスが入らないと、農地はいつまで経っても、農家が抱え込んで市場に出てこない。自分が死んでも息子に残せば、暮らしは安泰と考えるのは人情である。
*** それでも農水省は手を打たない ***
?ここをどうするか。本来、政策というのは、そういう問題の根本にさかのぼって考える必要がある。そこを考えて手を打ってこなかったのは、歴代政権の責任である。
?今回の枠組みでも、農水省がそういう点に斬り込む様子はまったくない。
?それどころか、農水省は基本的に機構の枠組みをブラッシュアップして秋の臨時国会に法案を提出する構えだ。予算も機構関連だけで655億円(その他を加えると1039億円)を要求するという。
?農業については、まだまだ重要な論点が山のようにある。今回は第1弾だ。いずれ、続編を書いていこう。
(私のコメント)
農業問題は土地問題であり、農地の宅地転用が大きな問題になっている。今まで零細農家だったところが農地が宅地として売りに出せれば一躍億万長者になることができる。大都市近郊にはこのような土地長者がごろごろしており、だれも農地を手放そうとはしない。後継者がいなくても農地として放置していれば固定資産税もほとんどかからない。
耕作地を放置していても、減反政策に協力しているだけという理由も出来て補助金ももらえる。減反政策というばかげた制度が永続しているのもおかしなことですが、米には市場原理が働かないからだ。米価が市場価格より高く設定されるのは農家への補助金と同じですが、政治的に決定されるからおかしなことになる。
先日は大規模専業農家でも後継ぎがいないので耕作が放棄される農地の問題が出ましたが、農業をやるつもりがなくても、いつかは宅地転用されてショッピングセンターなどに貸し出されれば定収入が得られるようになる。つまり農地として放置していても固定資産税が安くて相続ができて、宅地転用すれば一躍億万長者になれるから誰も手放さない。
日本政府がいつまでも高速道路開発や新幹線建設に熱心なのも、高速道路ができれば高速道路用地として売却で儲かるし、インターチェンジが出来ればショッピングセンター用地としての利用価値も出てくる。ところがバブルの崩壊でその動きが止まりましたが、乱開発された跡地が放置されている。
バブルの頃は国道沿いの土地がショッピングセンターやコンビニやパチンコ屋などが並んでいましたが、不況が長期化して国道沿いの商業施設は借り手のないまま放置されている。ゴルフ場なども作りすぎて廃業したゴルフ場が日本各地にたくさん放置されている。これらも耕作放棄地として見ることができます。
先日も大規模な耕作会社の例を紹介しましたが、農地があちこちに点在しており集約化が進んでいない。集約化が進めば大型耕作機械が使えますが、小規模な農地が点在して効率的な運用ができないでいる。問題は耕作放棄地でも貸に出さない農家が多いことであり、放置していても平気なのは農地の固定資産税が只のように安いためだ。そして宅地転用できるチャンスを待っている。
過疎地の農地については宅地転用のチャンスもないわけですが、中山間地が多くて大規模農業にも向かない農地が多い。日本の農地の43%が中山間地の農地であり、耕作機械の搬入すら難しい農地がある。だから過疎化が進んで耕作が放棄されるといった現実もある。しかし米作りにこだわらなければ傾斜地でも野菜や果実栽培などに転用すれば利用は可能だ。
長谷川氏が論じているのは平地農業であり、多くを占める中山間地の農業は近代化が難しい。ましては傾斜地だと水の管理も大変であり水路ひとつとっても管理が大変だ。このような中山間地では農業の大規模化も難しく、農地は細かく分散されていて集約化も難しく、宅地転用の見込みもないから過疎化で農家がなくなれば放置された状態になる。
しかし発想の転換を図れば中山間地でも大規模化が可能であり、中山間地は平地よりも高台にあるから耕作期間をずらす事ができる。たとえば田植と稲刈りの時期だけが忙しい場合でも標高差があれば田植えと稲刈りを時期をずらす事で少人数でも大規模化が可能だ。野菜作りでも平地野菜と高原野菜とでは時期をずらして出荷出来て無駄がない。さらに日本は南北に長いから南部と北部で田植えや稲刈りをずらす事が出来る。
このように頭を使えば標高差や南北の気候の違いを生かせば、田植えや稲刈りの時期をずらして効率的な耕作活動が可能だ。小規模な兼業農家では2週間ほどしか田植えや稲刈りで耕作機械を使えませんが、気候差を生かせば二か月間田植えをして二か月間稲刈りで耕作機械を使えば4か月稼働することができる。このような事は耕作専門会社ならすることができる。アメリカやオーストラリアのように大平原がなければ大規模農業ができないというのは頭がないからだ。
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