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2013年08月29日 在野のアナリスト
日産が自動運転車、を2020年までに販売をめざす、としました。しかし非現実的な面が否めません。例えば事故をおこした場合、自動で標識、信号をよみとる装置をつけたメーカーの責任なのか、それとも自動運転に任せたドライバーの責任なのか、読みとり難い標識、信号を所管する自治体の責任なのか、非常に曖昧となります。販売員は責任をとりたくないため、責任を負わない旨の説明をするでしょう。すると、ドライバーとしても怖くて使えません。自治体も、かすれた文字、見え難い標識、人なら判断できる範囲で整備してきたこれまでと異なり、再整備や維持管理の負担が重くなってしまいます。
それを搭載することで、唯一幸せになれるのが運転するはずだった人、です。それ以外の誰もが不幸になる、こうしたシステムが普及するはずがありません。自動運転車、ではなく、補助としてのアラームや速度超過を自動で抑える、といった形の技術なら話も分かります。むしろ、そんな技術の研究開発費のせいで、車が高級品であり続けるなら、日本のモノ作りは新興国に負けるでしょう。
昨日、総務省が日本の総人口が3月末時点で前年同月比0.21%減、1億2639万3679人と発表しました。65歳以上が24.40%で過去最高、生産年齢人口が62.47%、年少人口が13.13%でともに過去最低です。フォーブスに面白い記事があり、日本は失われた20年どころか、人口減社会にも関わらず、企業の収益は伸びているし、緩やかなデフレは良い傾向で、類稀な成功国家だ、と載っていました。
全面的に賛成はできませんが、安倍ノミクスが唱える『デフレは悪』説とは、真っ向から対立する意見です。近代的成長理論の創始者として知られるソローは、経済成長率の半分は技術進歩で説明できる、とします。しかし日本のここ20年でみると、技術革新は目覚しいもののGDPはほぼ横ばいであり、ソローモデルから外れています。むしろ日本は技術進歩、流通改革などを消費者に還元するスタイルであり、それがデフレの原因でした。ただし、その流れは小泉改革で変わっています。
労働市場の流動化により、賃金デフレが始まり、慢性デフレに陥ってしまった。さらにその対策が金融緩和だったため、解消されずに来ています。安倍政権は賃金がもうすぐ上がる、という言い方をしますが、金融緩和と財政出動では絶対に不可能です。その国の経済が悪いので、金融緩和するのであって、設備投資がすすまない。企業は海外の成長をとりこもうと海外に移転、それが収益の伸びとなって反映されます。財政出動は技術進歩とは無縁です。ソロー氏の語る労働と資本でいえば、労働人口の低下に伴い、技術進歩で補う一方、資本だけ大量に供給しても、意味がありません。
日本は食糧危機や、労働力の過剰に早くからとりくむ、すばらしい国だとフォーブスの記者は持ち上げます。しかし労働体系や、食糧危機には対応できても、むしろ対応できずに悪化の一途をたどるのが、従来型の社会保障です。つまり日本は、人口減少社会であり続ける限り、いつかは社会保障に革新的な変更を必要としますし、それができないなら人口増加社会に転じる必要がある、ということなのです。自公政権は、その失敗の歴史をくり返している、とさえ云えるのです。一方で、その対策として増税による歳入増を模索する、という知恵のない人間がもっとも陥りやすい失政を犯そうとしている。それが現在の日本です。そこを読み誤ると、失われた20年ではなく、失われるのは成長の原資、という根本的な問題を引き起こすことになるのでしょうね。
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