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日本の慢性デフレは“凍ったナイアガラ” 安倍政権の成長戦略の成否 (SankeiBiz) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/180.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 29 日 12:47:01: igsppGRN/E9PQ
 

金融資産は回復しても実体経済は細る日本(グラフ上)、フローとストックが連環する米国(グラフ下)


日本の慢性デフレは“凍ったナイアガラ” 安倍政権の成長戦略の成否
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130829/mca1308291146015-n1.htm
2013.8.29 11:45 SankeiBiz


【グラフとデータでひと目でわかるニッポン経済学】

 金融資産の大量かつ継続的な買い入れと通貨の大量発行を柱とする米国FRBの3次にわたるQE政策は、実体経済の押し上げに成功しつつある。一方、日銀は異次元緩和政策で脱デフレ、景気拡大の成果を収められるだろうか。安倍政権はそのためにも凍りついたマネーが流れだす成長戦略を打つべきだ。

 金融緩和を柱とするアベノミクスを推進する論者たちは、一般読者を納得させるほどの平易な説明ができていない。そこで作成したのが、次のグラフ2点である。上のグラフは、これまでの「15年デフレ」の間の日本の家計金融資産と名目GDP(国内総生産)を対比させた。

 金融市場が高度に発達した現代経済は、大きく分けると実体経済のフローであるGDPと金融資産というストックに二分される。グラフを見ると、15年デフレの間、この両部門の曲線はX型であり、相反するトレンドを描いてきたことがわかる。日本ではGDPが縮小しながらも金融資産は上昇カーブを描くのである。

 生産はすなわち所得、それが減り続けながらも金融資産が増える。金融資産が金利や株価上昇によって自己増殖しているからではない。日本の家計金融資産の54%(2012年現在)は現預金であり、金利はゼロ近辺、しかも株価は低迷。家計は実物にカネを使わず、現預金というストックに回している。預金を集める銀行は一般融資を減らし、国債で運用してきた。株価も不振だから、企業はストック市場から資金調達して設備投資に回すこともない。それどころか、企業自身、現預金を積み上げるだけである。

 このグラフが明示しているのは、ストック部門で貯まっては凍りついたように積み上がるマネーであり、それが実物のフロー経済に流れていかない。あたかも大河の水が崖を流れ落ちるとたん、巨大な氷柱となる厳冬期のナイアガラ瀑布のようになる。それが日本特有の慢性デフレである。

 下のグラフは米国のケースで、日本と大きく異なるのは米国マネー経済は決して厳冬のナイアガラではない点である。家計金融資産、GDPともリーマン・ショック直後は急減したが、ほぼ一貫して寄り添うように上昇軌道を描いている。米国では金融のストックと実体経済のフローはみごとに連動している。

 つまり、GDPと金融資産は連環しながら拡張する。ということは、FRB(連邦準備制度理事会)がドルを大量発行して資産を買い入れて株式や国債相場を引き上げていけば、フローの実物経済も上昇して行く。バーナンキ議長が企図してきたQE(量的緩和)政策は、実体経済である生産や雇用を引き上げることができる。QE政策を成功させられるだけの素地が、米国には備わっているのである。

 こうして日米比較すると、米国型のQE政策で日本が再生できるとは言いがたい。何よりも、マネーが凍りつく瀑布を溶かし出す策を総動員しなければならない。

 まずは、大胆なまでの量的緩和とインフレ目標の達成が欠かせない。インフレ目標は実質金利を引き下げ、金融資産として保持するよりも、実物への投資や消費に企業や消費者を向かわせる。量的緩和の副次的効果で円高は是正され、円安基調が定着する。企業収益は好転し、株価も上昇軌道に乗る。企業の国内投資が促され、富裕層は高額消費に足を運ぶ。

 だが、以上の政策は、依然として経済学の教科書的真実にとどまるかもしれない。なにしろ15年デフレに企業も消費者も順応し、デフレ体質に変じている。それを元の正常な経済体質に戻すためには、第2、第3の矢が必要だ。特に財政出動で有効需要を喚起するケインズ型政策にはかなり意味がある。デフレ圧力が完全に一掃されるまでは消費税増税も見送るべきだ。

 成長戦略も凍りついたストックのマネーが流れだす政策に重点を置くべきだ。国内設備投資を促進する減税に踏み切るのは当然だ。「規制緩和」は過大評価すべきではない。成長に結びつく保証はないし、逆に農業部門など柔軟性を失ってしまった個々の業種を混乱させ、逆効果になりかねない。実施するなら、「特区」方式でシンボリックな成功例を生み出すことから始めるべきだろう。アベノミクスが目指す方向は正しい。しかし、フロー部門とストック部門をつなぐマネーの大河が悠々と流れるようにするためには、まだ事足りていない。(ネットマネー)

 田村 秀男●たむら・ひでお 産経新聞社特別記者・編集委員兼論説委員。日本経済新聞ワシントン特派員、米アジア財団上級フェロー、日経香港支局長、編集委員を経て現職。『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『円の未来』(光文社)、『財務省「オオカミ少年論」』(産経新聞出版)、『アベノミクスを殺す消費増税』(飛鳥新社)など著書多数。今、政府・日銀の金融経済政策運営に対して数多くの有益な提言を行なう気鋭のジャーナリストとして注目を集めている。


 

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コメント
 
01. 2013年8月29日 13:18:26 : nJF6kGWndY

>米国FRBの3次にわたるQE政策は、実体経済の押し上げに成功しつつある。一方、日銀は異次元緩和政策で脱デフレ、景気拡大の成果を収められるだろうか

米国は、元々潜在成長率が高く、さらにシェールオイルの神風があり
経済成長と言っても、株高と不動産投資という資産効果に偏り、実体経済への投資や、賃金上昇は、これまで同様小さいことは指摘しておく必要がある

日本の場合、これに比べると、巨額の累積赤字の増加は加速し、超少子高齢化と人口減、中国トラブル、原発停止と円安資源価格上昇でエネルギーなどコスト増が進み、潜在成長率は低下が続いている

しかも既得権者の抵抗が強く、過剰で非効率なインフラ投資と社会保障、税制・規制改革停滞などなど、

多くのマイナス要因がある課題先進国だ


つまり、よほど大胆な改革や再分配政策を行っても、せいぜい多少、衰退を押しとどめるだけで、

基本的には現役世帯の生活水準の低下速度が遅くなる程度と見るのが妥当か


02. 2013年8月29日 16:56:31 : niiL5nr8dQ
消費増税でも景気の好循環維持、海外経済に不確実性=森本日銀委員
2013年 08月 29日 16:24 JST
[盛岡 29日 ロイター] - 日銀の森本宜久審議委員は29日、盛岡市で講演と記者会見を行い、異次元緩和の効果を発揮するには日本財政への信認確保が重要と語った。消費増税の判断では、政府が海外を含めた日本財政への評価も見極めて決めると思うとし、予定通りに消費増税が実施されても景気の好循環は維持されるとの見解を示した。

米国の金融政策をめぐる思惑が金融市場や新興国・資源国に与える影響などに十分な注意が必要とし、新興国からの資金流出をリスクとして指摘。海外経済は持ち直しに向かっているとしながらも、不確実性があるため、注視していく姿勢を示した。

<消費増税、財政への評価見極め政府が判断>

森本委員は、政府の消費増税判断について、海外を含めて日本の財政状況に対する関心が高いとし、増税判断によって財政がどのように評価されるかについて「政府も見極めて判断するだろう」と語った。日本の財政状況は「厳しい状況にある」との見解を示し、「財政に対する信認が低下するような場合には、長期金利が景気・物価と整合的でない形で上昇する可能性がある」と懸念。異次元緩和の効果を発揮していくためにも財政健全化への市場の信認を確保していくことが重要と述べ、政府に対して「財政健全化の道筋を明確にし、財政構造改革を推進することを期待している」と要請した。

<日本経済は想定通りの動き>

消費増税の景気への悪影響を軽減するため、日銀による追加緩和の思惑が一部で浮上していることについては、「日本経済には所得から支出へという好循環がみられている。(日銀の)想定通りに経済は進んでいる」と強調。予通りに消費税率を引き上げても「生産・所得・支出の好循環が維持される」とし、先行きも「基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想している」と語った。一方、予定通りに増税が実施されなかった場合の市場への影響については「どういう捉え方になるのか、市場の見方であり、コメントは控える」と述べるにとどめた。

<異次元緩和、おおむね意図した効果>

今年4月の異次元緩和導入から5カ月弱が経過した。森本審議委員は「実体経済や金融市場には前向きな動きが広がっている」とし「全体としておおむね意図した効果があらわれつつある」と評価。予想物価上昇率も上昇基調にあるとの見方を示し「実質金利は低下方向にある」と語った。今後も金融緩和の効果を強めていくには「実質金利を低めに維持していくことが重要」とし、日銀による大規模国債買い入れが進む中で「金利に対する押し下げ圧力は累積的に強まっていく」と強調。こうした中で投資家や金融機関が長期国債から貸し出しなど他の資産に運用をシフトするポートフォリオ・リバランスの動きも「着実に広がっていく」と語った。

<米緩和縮小、新興国から資金流出するリスク>

不透明感が強まりつつある海外経済については「全体として徐々に持ち直しに向かっており、先行きも緩やかな回復に転じていく」としたが、新興国経済が伸び悩む中で「景気の回復テンポは総じて緩慢なものにとどまる」と指摘。新興国経済の減速や中東情勢など地政学リスクが意識される中で「海外経済は不確実があり、しっかりウオッチしたい」述べ、緊迫化するシリア情勢についても「しっかり状況を注視する」と語った。

その海外経済の不確実性では、米金融政策をめぐる思惑が金融市場や新興国・資源国に与える影響などを指摘。FRBは資産買い入れの縮小について議論を始めており、市場にもFRBの考え方が徐々に浸透しつつあるとの見方を示したが、今後も新興国・資源国などから資金が引き揚げられるリスクがあると警戒感を示した。

(伊藤純夫)


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