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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130829/dms1308290729000-n1.htm
2013.08.29 「日本」の解き方
このところ、日中貿易が減少している要因について、中国商務省の報道官は、為替の円安とともに「日本政府と政界要人が中国に関する問題で誤った言行をし、中国の国民感情を傷つけた」として沖縄県・尖閣諸島の問題や閣僚の靖国神社参拝などを念頭に日本を批判。「中国の消費者が日本商品を購入する積極性に影響しており、日本から中国への自動車や家電、部品などの輸出減少を招いている」と強調した。
数字を整理しておこう。2013年7月に発表された財務省貿易統計(円ベース)を日本貿易振興機構がドル建て換算したところ、13年上半期の日中貿易について、輸出614億3317万ドル(対前年同期比16・7%減)、輸入858億4096万ドル(同6・1%減)総額1472億7413万ドル(同10・8%減)であった。貿易総額の対前年同月比で見ると、昨年6月以降、13カ月連続して減少状態になっている。
中国の報道官の発言のうち、円安が要因というのはその通りである。しかし、日中の政治摩擦が中国消費者の日本離れを招いているというのはおかしい。
まず、貿易額をドルベースで見ると、円安のために数字が少なく見える。これは円安になっても、数量の調整はすぐ行われないが、為替レートの変化のペースが速いための減少で、「Jカーブ効果」という。ちなみに、13年上半期の日中貿易について、円ベースで見ると、輸出5兆8375億円(同0・6%減)、輸入8兆1116億円(同11・4%増)、総額13兆9491億円(同6・1%増)と減少状況ではない。
もっとも、Jカーブ効果だけで、2013年上半期のドル建ての日本の対中国輸出減少は説明できない。中国人民元は事実上ドルペッグなので、中国の他に米国も入れて分析する。
13年上半期について、日本の対米輸出はドル建てで6・5%減、円建てで11・5%増と、それぞれ、対中国輸出を10%程度も上回っている。これは、米国の経済好調と中国の経済停滞を示している。米国の対中国輸出の伸びと、中国の対米国輸出の伸びを比較すると、前者のほうが大きいので、中国の経済停滞は相当なものであることがわかる。
こうしたことから、中国の報道官の「政治摩擦説」がおかしいことが示唆される。時系列で見ても、尖閣諸島問題で日中間の関係がギクシャクし出したのは、10年はじめごろからだが、当時は日本の対中輸出は増加していた。減少し始めたのは11年10月からだ。
また、日中貿易の主要商品でみても、中国の報道官のお粗末さがわかる。日本の対中輸出の減少は、自動車の42・8%減などが原因だが、ドイツや韓国も低迷しており、要因は中国の経済停滞である。
さらに問題は、この経済停滞は中国の安価な農村労働力が底をついたからという可能性が高いことだ。そうだとすると、中国経済は大きな壁にぶち当たったことになり、相当な改革がないと克服できない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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