http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/162.html
Tweet |
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20130828-00027629/
2013年8月28日 10時43分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
消費税増税の影響を探るヒアリングが26日から行われています。ヒアリングの対象は合計60人で、何と合計7回もヒアリングが行われるのだとか。
そして、専門家から話を聞く政府側のヘッドは何と麻生副総理が務めているのです。
何と熱の入ったことか!
但し、その一方で、ヒアリングの対象になっている顔ぶれをみると‥どんな意見を述べるか十分に予想が付く人も多いのです。
時間も限られているのに、どうしてそのような人々にまで敢て御足労願う必要があるのか?!
例えばハマコウ教授は、安倍総理のブレインですから、常日頃、様々なルートでハマコウ教授の考えが安倍総理に伝わっていると思われるのに、わざわざヒアリング対象に入っている訳なのです。
皆さんが、ハマコウ教授の立場であれば、どうしてわざわざ自分が呼び出されなければいけないのかと不思議に思うのではないでしょうか?
だって、俺の考えを良いと思ったから、アベノミクスを実践しているだろう、と。それに、消費税増税の影響についても、既に頻繁に俺の考えが世間に報道されているではないか、と。
ただ、その一方で、副総理自らがヒアリングする場に、自分が呼ばれるのは悪い気がしないのかもしれません。否、仮に呼ばれなかったとすれば、俺のことを無視しているのか、と思わないでもない。
いずれにしても、今月いっぱい、つまり8月31日まで毎日このヒアリングが続くのです。
そして、ヒアリングが続くとなれば、否が応でもメディアで紹介される。もちろん、回を追うに従って扱いが小さくなる可能性はあるものの、それと同時に、国民の間では、消費税について十分議論が尽くされたとの感が強くなる。
そうでしょう?
はい、そこの貴方! そうです、貴方です。少々夏バテぎみですか?
貴方に質問をします。
何故、このくそ忙しい大物政治家たちが、6日連続で、7回もヒアリングを行うようなことをするのか?
「それは‥やっぱり消費税増税の影響が心配だからでは?」
本当に、そうお感じになっていますか?
もし、国民の多くもそう感じているならば、政治家というか、財政当局の作戦成功!
しかし、副総理兼財務大臣の麻生さんは、今年の初め以来、一貫して増税を実施すべきという立場を崩していません。経済財政担当の甘利大臣にしても、経済界の意見を代弁する立場ですから、これまた消費税増税を否定するとはとても考えられません。黒田日銀総裁にしても、先日、自分の口から、消費税増税は、実施しても経済にはそれほど影響を与えず、予定どおり実施した方がいいと言ったばかり。
つまり、内閣のなかで態度がはっきりしないのは、安倍総理だけだと言ってもいいのです。
まだ、お分かりにならないでしょうか?
つまり、今やっているヒアリングは、出来レースとまでは言いませんが、一つのセレモニーと考えた方がいいということなのです。早い話、各分野の有識者60人を集めて意見を聴取するといっても、大体それらの人々が言うことなどほぼ予想の範囲内である訳です。
何故分かるのかって?
だって、有識者がどのような意見を持っているのかを常日頃十分把握しておくのが役人の務めだからなのです。逆に言えば、どのような意見を言うかが分かっているから、いろいろな意見を持った人を適当にちりばめ、そして、如何にも有意義なヒアリングが行われたように装うことができる、と。
しかも、副総理がヘッドになってヒアリングを行う訳ですよ。これ以上、熱の入ったヒアリングなどあり得ない。しかも、それが連日続く、と。
こうした光景が6日も続くと、流石のテレビ局と視聴者も、「もういいよ」となるのです。
要するに、言うだけのことは言った‥やるだけのことはやったという感覚を持たせることが大事。そうなれば、後の結果は、総理の判断に委ねるしかないではないか、となる。
これがもし、このような作業を抜きにして消費税増税を決めてしまえば、如何にも総理が国民の意見に耳を貸さなかったかのイメージを与えてしまう訳です。逆に、ここまで丁寧なヒアリングを連日続ければ、少なくても手続き論的には誰も異議を述べることができないでしょう。
私の言いたいことがお分かりになっていただけたでしょうか?
要するに、もう既に増税は決まったも同然である、と。そして、その増税を少しでもスムーズに進めるために今大事な儀式が行われているということなのです。
儀式だからと言って決してバカにはできません。
中身が良ければ形などどうでも‥とは行かないのです。形が整うことによって、人は自分を納得させることができる、と。
それに、念のために行っておければ、これだけ丁寧なヒアリングを行って増税を実施したからには、仮に増税の結果景気が悪くなっても、決して総理が悪く言われることはないのです。何故ならば、いろいろな人の意見を聞いた結果の増税であるからなのです。
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。