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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38539
2013年8月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 :JBpress
投資家は今年に入ってからほぼ一貫して、コモディティー(商品)セクターを単純な図式だと考えてきた。次第に広がるコンセンサスによると、10年間に及ぶコモディティーブームの主要な原動力だった中国の成長と工業化は減速していた。
中国の減速が鉄鉱石や銅、ニッケルといった工業用コモディティーに与える影響は、間違いなく厳しいものになる。投資家は出口に向かい、工業用コモディティーから資金を引き揚げ、今年上半期に金属価格が15%下落する一因になった。
■中国製造業に好転の兆し、金属輸入が記録的高水準に
だが、ここ数週間、中国から出てくるサインは改善してきている。
貿易統計は、鉄鉱石や石油から銅鉱石、クロム鉄に至るまで、コモディティーの月間輸入量が7月に記録的水準になったことを示していた。景気指標として国内総生産(GDP)と密接なつながりがある大企業の工業生産は7月に前年同月比9.7%増と、2月以来最も急速なペースで増加した。
注目を集めるHSBCの速報調査は8月22日、中国の製造業が4カ月ぶりに成長していることを示していた。
こうした数字は、それまで弱気だった投資家の間で、中国に対する、そしてコモディティー全般に対する見方を再評価するきっかけになった。
「ムードは明らかに変わった」とドイツ銀行の金属アナリスト、グラント・シュポーレ氏は言う。
JPモルガンのコモディティー調査部門責任者コリン・フェントン氏は、コモディティーは「突如、新しいリスク領域に入り始めている」と言う。
実際、多くの工業用コモディティーの価格は6月末から大幅に上昇している。ロンドン金属取引所(LME)の銅の3カ月先物価格は7.8%、プラチナ価格は14%、鉄鉱石価格は18.2%上昇している。
■これまで投資家が悲観的になり過ぎていた?
だが、中国のコモディティー需要に関する信頼できるデータがほとんどないため、投資家の見方と現実とのもつれを解くのは難しい。
ムードの変化は、中国の状況が劇的に変化したというより、むしろ投資家による中国経済の再評価によるところが大きい、とトレーダーたちは言う。「中国は人々が思っていたほど悪かったことは1度としてない――人々は数カ月の間、あまりにも悲観的になり過ぎていた」とある金属トレーダーは言う。
先日中間決算を発表したグレンコアの幹部は、中国の需要は年間を通じて堅調だったと話していた。
グレンコアのニッケル部門責任者ケニー・アイヴス氏は、今年は中国のニッケル需要が11%増加すると予想していた。「中国が過去10年間のニッケル需要拡大の主要な市場だったと考えると、2013年に我々が目にする伸びは2007年以降のどの時点よりも大きくなるだろう」とアイヴス氏は言う。
実際、価格上昇の大部分は空売りの買い戻しが主導してきたと銀行関係者は言う。例えば、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、米国の銅取引における投資家の純ショートポジションは7月末から約75%減少している。
■中国の最終需要にも改善の兆し
だが、過去数カ月間、中国の最終需要が改善してきたことを示す兆候もある。
鉱業世界最大手のBHPビリトンのマーケティング責任者マイク・ヘンリー氏は先日、中国の鉄鋼生産は「力強い投資と力強い建設」のために同社の予想を上回って推移していると投資家に話していた。
現物市場の指標も力強さを示しており、銅のプレミアム価格――指標となる先物価格を上回って支払われる価格――は、過去最高水準まで上昇している。
国内外での中国に関するムードの好転は、コモディティー価格の新たな夜明けの到来を告げているのだろうか? 慎重ながら楽観的になっているトレーダーもおり、投資家は熱意を多少取り戻し始めていると銀行関係者は話す。
「年末までは若干強気だ」とあるシニア金属トレーダーは言う。
グレンコアの銅部門責任者テリス・ミスタキディス氏は、今年後半に金属需要が上向くと予想している。
だが、多くの人は依然として慎重だ。中国の需要が最も弱気な投資家を満足させるほど弱くはないとしても、中国が成長鈍化に向けた軌道上にいることに同意しない人はほとんどいない。
「中国はただ正常化しているだけだ」。シティグループの金属アナリスト、デビッド・ウィルソン氏はこう言う。「中国は今後も重要な消費国であり続けるだろうが、需要が大きく加速することはないだろう」
いずれにせよ、中国の需要軟化は弱気筋のシナリオの一部に過ぎなかった。投資家は、供給増加も予想していたのだ。
「実際、供給は増加し始めている」とドイツ銀行のシュポーレ氏。「需要はまずまずだが、供給増加を相殺するほど十分なものではない」
マッコーリーのコモディティーアナリスト、ダンカン・ホッブス氏は、需要はここ数カ月間力強く推移しているが、銅鉱石、マンガン、クロムのような取引所で取引されない――金融投資家がほとんどアクセスできない――コモディティーの価格は下落していると指摘する。
「投資家は、中国からの力強い需要に応えて価格がもっと回復力を示さなかったことに落胆しているはずだ。価格が反応するためには、中国の需要がもっと増える必要がある」
■地平線上にはまだリスク
最後に、現時点で中国の需要が拡大しているとしても、地平線上には依然リスクがある。最も明白なのは、中国周辺のアジア新興国を席巻している売りの嵐が中国のトレーダーの自信を簡単に打ち砕く可能性があることだ。
ある現物トレーダーは言う。「9月に投資家が戻ってきて再び非常に弱気にならないなんて、一体誰が言えるのか?」
By Jack Farchy
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