http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/133.html
Tweet |
スクープ 中国人社員に機密文書を盗まれた日本の有名企業30社
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36795
2013年08月26日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
人事情報から製品情報まで トヨタ ソニー パナソニック キヤノン 東芝ほか
8月12日の日中平和友好条約締結35周年の記念日にも、8月15日の終戦記念日にも、日本を轟々と非難した中国政府。いまや日本は完全に敵国扱いだ。そんな中、2万3000社が進出している中国の日系企業でも苦悩が続く。機密文書が続々、インターネット上にアップされていることが発覚した―。
■社員の査定基準が丸々暴露された
〈出社後にオフィスで朝食を食べた社員は、0・5点減点。就業時間中に勝手に外出した社員は0・5点減点。遅刻・早退は1回ごとに0・5点減点。就業時間中に私的な長話をしたり、私的なインターネットやゲーム、株式情報のチェックをした社員は、1回発見されるたびに1点減点。オフィスで食べ物を口にしたり、退社時に消灯やパソコンの電源オフ、ロッキングを忘れた社員は、3点減点……〉
これは『百度文庫』に公開されている、中国のトヨタ社員の「月別査定基準」と題された資料だ。
この資料には、「販売台数」「販売営業額」「仕事の能力」「職業規範」「その他」という5項目にわたって、細かい社員の査定基準が、点数とともに記されている。冒頭に示したのは、「職業規範」の中の一部分である。
中国に進出している日本企業は、約2万3000社に上り、現地で約1000万人もの中国人を雇用している。そんな日系企業で、昨年秋の反日デモ以降、機密情報の流出が止まらなくなっている。中でもいま、「日系企業の機密の宝庫」と中国国内で囁かれているのが、『百度文庫』である。
中国のインターネット人口は、すでに6億人を突破した。そんな中国のネットユーザーたちが、最も多く利用している検索エンジンが、『百度』である。その『百度』のデータ共有サイトが、『百度文庫』だ。
つまりインターネットにさえ繋げば、誰でも自由に無料で閲覧することができる。もちろん日本からでも、中国語さえ読めれば、随意に閲覧できる。
本誌は今回、中国国内における日系企業の動向に詳しいBBT大学の田代秀敏教授の協力を得て、この『百度文庫』に機密資料が流出したと見られる日系企業の一斉調査を行った。
加えて、機密資料が『百度文庫』に流出している可能性がある会社に、流出の認識の有無と、対応策について問い合わせた。
■日本政府も流出対策に乗り出した
その詳細は、上の見開きの表の通りである。問い合わせた30社の多くは、「機密資料は流出していない」「機密の管理には最善を尽くしている」という回答を寄せた。一方、本誌の指摘によって「調査を開始する」と答えた企業もあった。田代教授が解説する。
「日本経済新聞が、中国で積極的に事業展開する国内主要企業『日経中国関連株50』を定めています。この50社を中心に、その他の中国進出している有力企業も加えて精査しました。具体的には、各社の中国語社名と『機密』というキーワードで検索をかけ、引っかかったものを一件一件確認していくという作業です。
その結果、企業機密が流出していると見られるのが、表中の30社でした。1位のトヨタ自動車は、何と9144件も検索で引っかかりました。8位のシャープまでは2000件以上が検索で引っかかっています。
その大半は、実際には機密性がない資料でしたが、安心することはできません。例えば、5228件が検索で引っかかった4位のキヤノン。その中から流出が確認された自社製品の修理マニュアルには、『機密情報の漏洩回避のため、厳重な監督のもとで使用すること』との注意書きが記されています。これは、ライバル社が修理マニュアルの分析から、製品の製造に用いた技術の詳細を探り当てられることを示唆しているのです」
こうした危機感から、日本企業の海外進出を支援しているJETRO(日本貿易振興機構)は、今年3月に、『中国における営業秘密 管理と対策』と題する60ページからなるパンフレットを急遽作成。中国でビジネス展開する日系企業に対して、警告を発してきた。
このパンフレットの共著者は、中国における日本企業の知的財産権保護問題の第一人者である上海擁智商務諮詢有限公司の分部悠介弁護士である。その分部弁護士が解説する。
「日系企業の情報漏洩は、退職した中国人従業員などが暴露する従業員漏洩型、提携先の中国企業が漏らす取引紛争型、ハッカーらによる第三者不正取得型などがあります。私たちが調査した中では、全体の78%が従業員漏洩型でした」
ではなぜ、日系企業に勤める一部の中国人従業員たちは、何のためらいもなく機密情報を漏洩するのか。
「それは直接的には、『百度文庫』のシステムがポイント制になっているからです。自分がアップした資料の閲覧数が多ければ多いほど、ポイントが貯まるシステムになっているため、より機密性の高い内部資料を、『百度文庫』上で暴露しようとするわけです。
しかし根本的には、中国において、無形財産の価値を認め、尊重しようという風土が形成されていないことが原因です。そのため個人が何の罪悪感もなく、自社の機密情報を、『百度文庫』などに掲載してしまうのです」(分部氏)
要は、日系企業に勤める一部の中国人従業員たちの倫理観が欠如しているというわけだ。
中国圏勤務16年の元三菱UFJ信託銀行北京事務所長・須賀努氏も語る。
「北京駐在時代に、部下の中国人に『他社の就業規則に関する情報がほしい』と言ったところ、部下が別の日系企業に勤める友人に頼んで、その企業の就業規則の現物を持ってきてしまい、扱いに困りました。親しい個人的関係は企業ルールを越えるのです」
■日本人の考えは甘すぎる
一方、「日本人の側にも責任がある」と指摘する専門家もいる。
中国の日系企業9000社を顧客とする会員制日本語ビジネス月刊誌『日商快訊』の発行人である深圳在住の加藤康夫氏だ。
「要は日本人の考えが甘すぎるのです。こちらへ来るほとんどの日本人駐在員が、平和な日本と同じ感覚で仕事をしています。おそらく、自社の機密が常時、漏洩していたとしても、まったく気づいていないのではないでしょうか。
例えば、わが社の会員データが入ったパソコンは、LANに繋いでおらず、インターネット回線すら繋いでいません。さらに厳重に施錠し、『このパソコンは厳重に保管されている』と記した顧問弁護士の証明書をパソコン脇に貼っています。中国ではパソコン一台にしても、そのくらいの警戒心を払わなければ、容易に情報漏洩してしまうのです」
深圳で会員制月刊誌ビジネスを始めて10年以上になる加藤氏は、これまで数多くの日系企業で、情報漏洩が起こるのを目の当たりにしてきたという。そして特に昨年秋以降、悪質な情報漏洩事件が多発していると指摘する。
加藤氏に、その一端を挙げてもらった。
事例1 広東省東莞の日系企業の中国人工場長が、5年間で500万元(約8000万円)も横領していたことが発覚し、懲戒解雇となった。するとその前工場長は、工場の金庫の中に保管していた設計図面をごっそり持ち出して逃亡。2週間後に、同じ広東省珠海にある、やはり日系のライバル会社に幹部社員として再就職していた。
事例2 上海にある日系の人材派遣会社の中国人幹部が退職。その際、3万人の会員データをコピーし、このデータをセールスポイントにして再就職活動を行った。その際、日本人面接官に「その会員データは違法入手ではないか」と指摘されると、次のように反論した。「中国の法律によれば、機密情報とは厳重に保管されているもののことで、私は誰もがコピーできるものを持ち出したにすぎないので、違法行為ではない」。
事例3 広東省の複数の日系企業の顧問弁護士をしていた日本語の堪能な中国人が、仲間と密かに特許会社を設立。顧客の日系企業の先端技術を次々に入手し、中国で特許を取得したり、中国の同業企業に売り歩いたりしていた。
加藤氏が続ける。
「中国はカネがすべての社会なので、カネになるものなら基本的に何でも流出します。特に日系企業の最先端技術に関する機密は危険です。中国企業は、技術を開発する時間と労力を省略するため、日系企業の機密情報をカネで買おうとする傾向が顕著だからです」
■中国の公安も動いている
それでは、中国でビジネスを続ける日系企業としては、どういった対策を講じればよいのか。前出の分部弁護士がアドバイスする。
「対策としては、まずは機密情報が入ったパソコン、プリンター、ファックスなど情報媒体の管理の徹底です。次に、社員との秘密保持契約の締結、競業避止、人材流出防止といった情報管理者に対する監督です。さらに、提携先の中国企業や退職者への警戒といった社外管理の徹底も必要です」
つまりは、「人を見たら泥棒と思え」という諺の通り、性悪説に基づいて、より総合的な危機管理を行わねばならないということだ。
上海で10社以上の日系企業の顧問弁護士を務めるベテランの中国人弁護士も証言する。
「現在『百度文庫』で流出している機密資料以外にも、本当に重要な機密資料は、水面下で密かに取引されています。
たとえば最近、ある大手日系企業の日本人社長から相談を受けました。この社長は以前、秘書の中国人女性を愛人にしていましたが、この愛人女性が会社の最高機密を持って退社し、かつ日本人社長を脅してきた。もし自社の機密を高額で買い取らなければ、『ある機関へ持ち込む』というのです」
「ある機関」とは、何と中国の公安だという。この弁護士が続ける。
「上海一帯の公安にとって、日系企業の動向は、何よりも欲しい情報です。なぜなら、3000人の工場を拡張するのか閉鎖するのかといった情報は、地元の雇用と税収、消費などに直結する重要問題だからです。そのため、日本人社長に愛人がいると分かると、その愛人をカネで釣って工作員に仕立てあげていく。これが最近のハニートラップのパターンです。
愛人以外にも、ギャンブル好きだったり、借金を抱えているような日系企業の中国人幹部がいれば、公安はすかさず忍び寄ってきます」
さらに最近は、日系企業はサイバーテロの恐怖とも戦わねばならない。
「上海に駐屯している人民解放軍の部隊が、アメリカ政府や企業に向けてサイバーテロを起こしていると、アメリカ政府が中国に抗議して国際問題になりました。いまのところ証拠は出ていませんが、サイバーテロは、日系企業に対しても行われていると見るべきではないでしょうか。
特に最先端技術を持っている企業の機密は、中国は国家として喉から手が出るほど欲しいからです」(同中国人弁護士)
思えば、日中間は互いにいがみ合っていて、中国にとって日本は敵国≠セ。そんな中でビジネスを強いられる日系企業の苦悩は続く。
中国で機密文書が流出した日本企業30社
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/b/5/570/img_b5dd98114b3f57d60c1fdb989f41ed11605979.jpg
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/3/7/569/img_3728087a71abf2e630f589470ec44e41586882.jpg
「週刊現代」2013年8月31日号より
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。