03. 2013年8月26日 21:51:28
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コラム:ドル高とユーロ安を予感させる「秋の陣」への備え=斉藤洋二氏 2013年 08月 26日 12:21 JST 斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表(2013年8月26日)バカンスシーズンも終わり、金融市場ではいよいよ「秋の陣」が始まろうとしている。秋は株式市場でも為替市場でも、暴落や乱高下など大相場が演じられてきた。 波乱相場の季節性について仮説のひとつは、昼の時間が短くなり、人間が心理的に鬱(うつ)傾向を強め、その行動の結果が市場を変動させると説明する。また、他説では8月半ばから10月まで猛威をふるうカリブ海のハリケーンの影響を指摘する。微妙な均衡の上に立つ複雑な体系であるグローバル経済は、地球の大気の波動に共振するというものだ。 両仮説とも複雑性理論の範ちゅうに入り、科学的な証明は難しいが、少なくとも夏の出来事が秋の市場変動と大いに関係していることは確かなようだ。夏に市場が見過ごしてきた数々の出来事が、突如として暴力的に表面化するということだろう。 市場は合理的な人々で形成されておらず、ましてや効率的に運用されているわけでもない。それゆえに、波乱発生の季節性を全面的に否定することは難しい。理由は不確かとしても、秋に混沌が発生しやすいことだけは確かであり、夏場に無視してきたものの、実は臨界点に達している事象について思い巡らすことこそ、「秋の陣」を目前にして行うべきことだろう。 <ドイツ頼みのユーロに下落リスク> まず臨界点に達した可能性をはらんでいるのは、主要通貨の中で一時「最強通貨」となり、今も意外な底堅さを示しているユーロである。 ユーロドルは昨年7月24日の1.2042ドルから今年2月1日の1.3711ドルまで約14%も上昇し、現在も1.33ドル水準と約10%高となっている。ユーロ円にいたっては、同じ昨年7月24日に94.12円の安値をつけて以来、今年5月22日の高値133.82円まで約42%も上昇し、現在も132円近辺と約40%高である。 欧州は昨年の夏場まで、債務危機に喘ぐギリシャがユーロを崩壊の瀬戸際まで追い込み、世界を震撼させた。「喉元過ぎれば」の喩(たとえ)の通り、今やユーロの評価は一変した。 確かに、昨年9月の「新たな国債買い入れプログラム(OMT)」導入で重債務国の利回り上昇を抑え込んだ欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の手腕によるところは大きい。また、その「ドラギマジック」に加えて、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、そしてヘアカット(債務元本の削減)に応じた金融機関の努力と支援があり、それらが市場心理を好転させ、ポシジョンの巻き戻しを生んだといえよう。しかし、欧州が抱えてきた根本的な問題は解決したわけではない。これからもユーロを買い続けて良いものだろうか。 ユーロが崩壊の危機をひとまず乗り越えたことで、欧州が統合への自信を膨らませたことは確かだろう。実際、7月にクロアチアが28番目のEU加盟国となり、平和の保証と多額の補助金を得るところとなった。 また、ユーロについては、ラトビアが2014年1月に導入することが決まっているほか、リトアニアも15年の導入を目指している。すでにエストニアは11年1月に導入しており、実現すればバルト3国が勢ぞろいすることになる。東欧からは、ルーマニアやポーランドなどが10年代半ば以降の導入に向けて国内世論をにらみながら調整を進めていると見られる。 通貨統一による取引費用の低下に加えて、ECBなどから救済を受けられるようになること、さらにロシアの呪縛から逃れやすくなるメリットが、これらの国々のユーロ導入意欲を後押ししている。しかし、南欧諸国が直面したように、輸出競争力回復の対応策としての通貨切り下げという「切り札」を放棄するデメリットを過小評価しているのではないだろうか。また、ドイツはじめ欧州主要国は、域内の政治的安定と市場拡大を得る対価として、南欧諸国に続いて中・東欧諸国という新たな経済的重荷を背負うことになる。 一方、ユーロ圏銀行の監督体制と健全化スキームを一元化しようとする銀行同盟は未完成である。また、ECBは7月に従来の慣例を破って将来にわたる政策指針(フォワードガイダンス)を導入し、政策金利を当面、現行(0.5%)またはそれ以下の水準に据え置く方針を繰り返し示しているが、政策金利の下げ余地も他に取れる手段も限られており、手詰まり感は強まりつつある。 加えて、実体経済面では、4―6月期のユーロ圏の成長率は前期比0.3%(年率換算1.1%)と7四半期ぶりにプラスに転じたが、その回復力は依然弱い。さらに、5月、6月と失業率は12.1%にとどまり、若年層で見ればスペインやギリシャは約60%と雇用情勢は一段と深刻化している。ギリシャ以降の債務不安のドミノ現象は、フランスにも及ぶ気配を見せており、欧州の盟主であるドイツ頼みの構図は固定化しつつある。 その肝心のドイツでは、9月22日、総選挙が行われる。メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第一党を占めても、これまでと同様に自由民主党(FDP)との中道右派で過半数を占めることは難しいとの見方もある。連立内閣組成は混乱する可能性があり、ドイツの政治情勢は波乱含みだ。 ドイツ人は南欧諸国への税金の垂れ流しに対する不満を高めている。選挙を挟んで、これまで深く潜行してきた欧州の債務問題など様々な負の側面についての議論が活発化し、金融市場へ波及する可能性を秘めている。現在のユーロ高トレンドが変化するシナリオには要注意だ。 <米金融政策の不透明感晴れ、円は脇役に転落か> 一方、大西洋をまたいだ米国の量的金融緩和策(QE)縮小、すなわちテーパリングは5月以降相場をかく乱し、「出口戦略」の難しさを改めて認識させた。その時期と縮小幅をめぐる思惑はすでに臨界点に達している。 この問題と表裏一体にあるバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任人事について、オバマ大統領による指名そして上院の承認の帰趨は、金融市場の波乱材料となる可能性が高い。 本命と目されるのが、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長、そしてサンフランシスコ連銀総裁を歴任したジャネット・イエレンFRB副議長だ。金融緩和を推進するハト派で、バーナンキ議長を補佐してきた。各社の調査でも順当な人事とされ、市場では過半がその就任を期待しているようだ。 ただ、節度なくQEを推進した張本人のひとりとして、就任に反対するキャンペーンが共和党や金本位制論者などから湧きあがっている。また、FRB議長職は大統領とともに今まで女性の登用はなく、米国社会において「ガラスの天井」が突き破られるのか否かも併せて注目しておきたい。 対抗馬のローレンス・サマーズ元財務長官は、第一期オバマ政権下において国家経済会議(NEC)委員長を務めた経緯からもホワイトハウスと近く、金融危機への対応など行政手腕が期待されている。ただ、同氏が就任すれば、早期に金融緩和解除に舵を切りそうだとも見込まれており、株式市場などにはその就任を懸念する向きが多いのも確かだ。 ともかくFRB次期議長人事は9月中、遅くとも10月には決定される見込みで、テーパリング問題の決着が近づくにつれて金融市場は一時混乱するとしても、前途を覆い続けてきた不透明感を晴らすことになるだろう。あく抜けした市場は、ドル高トレンドを形成する可能性が高いのではないだろうか。 翻って日本。消費税問題は、構造改革に向けたアベノミクスの本気度を問う「踏み絵」となる。万一、先送りや小刻み実施などが行われることになれば,一気に円高に振れる可能性を有している。いずれにせよ、昨年11月より9カ月にわたり株買い・円売りを誘発してきた「安倍トレード」は、相場のモメンタムを失いつつあることは否めない。 今後の円は、出口戦略の進行に伴う金利高を背景に強含む米ドル、そして下落リスクが増大したユーロを見ながら一進一退する脇役となるのだろう。 *斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。
メルケル独首相、ギリシャ債務の追加的減免の可能性否定 2013年 08月 26日 17:44 JST [ベルリン 25日 ロイター] - メルケル独首相は25日、ギリシャの追加支援問題について、さらなるヘアカット(債務元本の減免)は必要にならないとの見方を示した。来月の総選挙を意識し、国内の有権者に安心感を与えることを狙ったとみられる。 ショイブレ独財務相は先週、選挙イベントで、ギリシャには追加プログラムが必要になると述べ、物議を醸している。メルケル首相はそれまで、ギリシャへの追加支援を議論するのは時期尚早と述べていただけに、それ以降、ギリシャ問題が選挙戦の支配的なテーマになっている。 ドイツは9月22日に連邦議会(下院)選挙を控えており、メルケル首相は、ドイツの負担を懸念する国内有権者の反発を買わないよう、ギリシャに関する問題については口を閉ざしてきた。首相はこの選挙で再選され、3期目を務めることになると予想されている。 首相は、フォークス誌とのインタビューで、ギリシャがさらなる支援を必要とする可能性については否定せず、ユーロ圏当局は2014年に再びギリシャの状況を調査することになるだろうと述べた。ただ、ヘアカットは見込んでいないと言明した。 選挙後にギリシャの状況がより明確に分かるようになるかという質問に対し首相は、「選挙は関係ない。わたしははっきりとヘアカットについては警告している。これはユーロ圏に不確実性のドミノ効果をもたらすことになる」と述べた。 ギリシャ国債の民間債権者は昨年、多額の債務減免を余儀なくされたが、欧州の各国政府や欧州中央銀行(ECB)はこれまで、損失負担を拒否している。ドイツ政府は、ユーロ圏加盟国政府が保有するギリシャ国債のヘアカットは違法だと主張している。 25日の世論調査では、メルケル首相の中道右派連立政権の支持率が左派政党の支持率の合計と同水準となり、これまでの若干のリードを失った。首相が自由民主党(FDP)との連立を続けることが困難になれば、野党・社会民主党(SPD)との大連立に傾く可能性がある。 野党はこれまでも、ドイツの有権者が今後さらにユーロ圏のために負担を強いられることになるという事実をメルケル首相が隠していると批判しており、今回の選挙戦で追加支援問題がテーマになったことでさらに勢いづいている。 SPDの対抗馬であるシュタインブリュック元財務相は、1週間後に行われるテレビ討論などでギリシャ問題について首相を追及する考えを示した。 同氏は地元紙Suedwest Presseに対し、「(政府は)睡眠薬を配り、ユーロ圏の安定化にはコストがかかるということを秘密にしようとした」と述べた。 ただ、世論調査では、ギリシャ問題はメルケル首相にとって脅威ではあるものの、野党はギリシャ支援を議会で支持しただけに、この問題から恩恵を受けることはないかもしれないとの見方が示されている。 ギリシャのストゥルナラス財務相は、25日付のプロトテマ紙に対し、ギリシャはユーロ圏諸国から100億ユーロの追加支援が必要になるかもしれないが、条件付きになるとは予想していないと発言した。同財務相はまた、追加的ヘアカットの可能性は否定した。 ショイブレ独財務相は25日、一般市民との会見で、ギリシャ問題について質問攻めに遭った。 独財務相は債務減免の可能性については否定しながらも、ギリシャ支援国は2014年に、必要ならば「さらなる措置を決定することになるだろう」という考えをあらためて示した。「かなり高い確率でそのようなことになると見込まれているのは事実だ」と述べた。 ECBのアスムセン専務理事は、2回目のヘアカットについての議論は有害だと指摘している。独ウェルト・アム・ゾンターク紙に対し、「繰り返される議論は、現状のプログラムの下で予算の調整やさらなる成長のために何が必要かということから注意をそらすことになる」と述べた。 エコノミストの間では、ヘアカットはいずれ不可避との意見もある。 エッティンガー欧州委員は24日、長期的にはヘアカットの可能性を否定しないと述べている。
ギリシャ、追加支援100億ユーロが必要になる可能性=財務相 2013年 08月 26日 09:32 JST [アテネ 25日 ロイター] - ギリシャのストゥルナラス財務相は、25日付のプロトテマ紙に対し、ギリシャはユーロ圏諸国から100億ユーロの追加支援が必要になるかもしれないが、条件付きになるとは予想していないとの見方を示した。
現行のギリシャ向け支援プログラムは、来年前半に終了する予定となっている。ギリシャはその後2014─15年、約110億ユーロの資金不足に陥ると見られている。ユーロ圏諸国は、ギリシャが市場からの資金調達が可能になるまでは、追加的な支援を行うと表明している。 財務相は「ギリシャに追加支援が必要になるならば、規模は100億ユーロ程度だ」と指摘。「新規の救済ではなく、新たな(緊縮)条件のつかない経済支援策だ。すでに2016年までのターゲットが設定されており、それ以外の措置や目標が要求されることはない」と述べた。 市場では、ギリシャへの追加支援観測が広がっている。ドイツのショイブレ財務相が20日、ギリシャには第3次支援が必要になる、との見方を示したほか、エッティンガー欧州委員は24日、ギリシャへの新たな支援は100億ユーロを若干上回る規模になる、と述べている。 ギリシャはすでに、2010年以降2度の支援を受けており、欧州連合(EU)などによる融資は、合計2400億ユーロに達している。
ギリシャ、2014年下期に債券市場に復帰する可能性=財務相 2013年 08月 26日 16:24 JST [ベルリン 26日 ロイター] - ギリシャのストゥルナラス財務相は、2014年上期にギリシャがプラス成長に回復し、基礎的財政黒字を達成した場合、同国は14年下期に債券市場に復帰する可能性があると述べた。
26日付の独紙ハンデルスブラットに掲載されたインタビュー記事の中で語った。 同相は「2014年下期に新たな債券発行を通じて市場を試すことができれば大きな成功だ」とし、「最初は様子を見るため小規模(な発行)になる」と述べた。 30億─50億ユーロ規模になる可能性についての質問には「おそらく、それ以下になる」と答えた。 同相はまた、ギリシャは再び債務再編が必要にはならないと指摘。現在の国際支援プログラムの条件緩和など他の手段を通じて債務負担を軽減することが可能との見解を示した。
インタビュー:アベノミクス下でも国内増産は困難=東洋ゴム社長 2013年 08月 26日 21:16 JST [大阪 26日 ロイター] - 国内タイヤメーカー4位にある東洋ゴム工業(5105.T)の信木明社長は26日、ロイターとのインタビューで、今後の投資方針について、アベノミクスで潤う国内事業ではコスト体質の強化を進める一方、景気が上向いている最大市場の米国では重点的に生産を拡大する姿勢を明らかにした。
同社の2013年中間期決算は、円安・原材料安の追い風を受け、1─6月期としては売上高、営業・経常利益で過去最高を更新した。だが、同社長は需要増の見込めない日本国内では増産投資は行わず、生産性向上などにつながる投資に注力すると述べる一方、米国については「他地域に影響されず成長していく」とみて、供給能力の強化を積極的に進める考えを示した。 <稼ぎ頭の米国で基盤強化> 同社は今月9日、米国でのタイヤ生産能力を増強すると発表した。200億円を投じ、米国タイヤ生産子会社が持つジョージア州現地工場の建屋を拡張。生産能力を年650万本(乗用車用タイヤ換算)から15年8月には年900万本(同)に高める計画だ。これにより、15年度に世界で4500万本(同)のタイヤ生産体制を構築する中期経営計画の目標は、ほぼ達成する見込みとなった。 信木社長は、米国経済はシェールガス革命などで、市場としての優位性がさらに高まる可能性があると話す。同社にとって北米は今期売上高予想の36%を占める主力市場。これまで「技術はあっても(生産)能力がなく、(収益拡大に向け)ブレークできない部分があった」という。米国では生産能力増強後も、追加投資を検討し、さらなる受注拡大を目指す方針だ。 半面、年間2600万本(同)の生産能力を持つ日本国内の生産体制については、円安や需要回復を背景にフル操業に近い状況。しかしながら、国内タイヤ需要の大幅な増加は見込めない現状がある。アベノミクスで景気回復基調の中にあるものの、日本については生産性の向上や省人化を進めながら、「より高度な製品を作る」拠点との位置づけだ。 <中国メーカーなどを提訴> 東洋ゴムは今月、中国やタイなどのタイヤメーカー・販売・輸入業者22社が同社製タイヤのデザインにおける特許を侵害しているとして、米国への輸入販売を差し止めるよう米国際貿易委員会(ITC)に申し立てた。信木社長は「現地の代理店に混乱を与えている。放っておくと長い目で見て良くない」とし、メーカーとしては当然の行為との認識を明らかにした。 一方、同社の中国事業については「大きな市場で、ポテンシャルもある」と分析。現時点では年200万本(同)の生産能力にとどまっているが、今後の追加投資には同社製タイヤの販売動向の見極めが必要と指摘。「価格競争にさらされないような、品質で買ってもらえる戦略が非常に重要だ」と述べ、安定的な収益確保を目指す考えだ。 (長田善行 編集:北松克朗)
朝の15分ドラマ、ゴールドマンの誤発注でオプション市場混乱 8月22日(ブルームバーグ):ラッセル・インベストメンツのスコット・マイデル氏が20日、米株式トレーディングの業務を開始してから20分後、電話が鳴った。かけてきたのはゴールドマン ・サックス・グループの社員で、株式オプションの注文を送らないでほしいというのが用件だった。 各社のトレーディングデスクに混乱の嵐が吹き荒れていた。株式デリバティブ(金融派生商品)の価格が理由もなく乱高下していたからだ。米国の12のオプション取引所の1つでコンピュータープログラムがおかしくなったのだと皆が考えた。26ドルだった価格が1秒後に1ドルになっていた。 電話の相手は、技術的な問題のためにゴールドマンではオプション注文を処理できなくなっていると説明した。ラッセルで2370億ドル(約23兆4000億円)余りの運用に携わるマイデル氏は、迅速な説明対応をありがたいと思った。一方で、自分たちの取引が執行されるのか取り消されるのかが分からず、コンピューターエラーに腹を立てた市場参加者らは世界中に多数いた。 トレーディング会社のエントロピー・キャピタル(サンフランシスコ)のダニエル・ブレイディ社長は「取引をしてから7時間たってもまだ、成立したのかどうかが分からなかった。カウンターパーティーにとってフェアではない。数時間もポジションがどうなっているのか分からない。困ったことだ」と話した。 NYSEユーロネクスト傘下のAmexオプションズは障害発生の約2時間後に、規定通り「影響を受けた取引の大半は取り消されると考えている」と発表した。株式で昨年58億ドルの収入を稼いだゴールドマンは、損失は同社のリスクリミットの範囲にとどまり、財務に重大な影響は与えないとの見解を電子メールで発表した。 「いつでも誰にも起こり得る」 世界の金融市場が複雑さを増すのに伴い、トレーディング事故は増えている。米国株の取引は現在、世界中からアクセスできる50以上の電子プラットフォーム上に分散している。オプションの取引高は過去10年で5倍余りに膨れ上がり、清算機関のオプション・クリアリング(OCC)によれば、昨年は1日当たり1670万枚が取引された。 証券会社、ライトスピード・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、ベン・シュワルツ氏(シカゴ在勤)はインタビューで、「ゴールドマンに限らず、どの金融機関でもどの銀行でも、いつでも誰にでも起こり得ることだ」とし、「直ちに迅速に対応したのは評価される」と話した。 頭文字IからK トラブルの最初の兆候はニューヨーク時間午前9時半の取引開始の3分後に現れた。ナスダックOMXグループが保有する2つの取引所が、NYSE・Amexオプションズを迂回して注文を出すと発表した。取引所は他の取引プラットフォーム上のエラーを検出すると、問題が解決するまでその取引所に注文を送るのをやめるよう、自衛策が施されている。その後5分の間にシカゴのCBOEホールディングスの取引所や、カンザス州レネクサに本社を置くバッツ・グローバル・マーケッツなどからも警告が出た。 ゴールドマンの広報担当、デービッド・ウェルズ氏よれば、午後には既に複数の取引所が誤発注による取引を選び出す作業に取りかかっていた。障害は証券コードの頭文字がIからKまでの銘柄の価格に及んでいた。 説明を受けた関係者が匿名を条件に述べたところによると、ゴールドマンのソフトエアのエラーは取引開始の瞬間から意図せぬ注文をまき散らした。株式オプション需要への対応を図るためにゴールドマンが利用している内部システムが、不正確なプライスリミットの注文を取引所に送信していたという。 ラッセルのマイデル氏は、ゴールドマンは問題に「よく対応した。率直な姿勢と透明性を評価したい」と述べた。ウェルズ氏は21日、ゴールドマンはこの記事のためにコメントすることは控えると述べた。 シティグループ トレード・アラートとブルームバーグのデータによると、取引開始後15分に送られた大口注文500件のうち、405件が証券コードの頭文字I−Kの銘柄で価格1ドルでの注文だった。データによると、28%に相当する約113件が取り消されている。取り消された取引の67%はNYSE・Amexオプションズでの取引。ナスダック・オプション市場が18%、インターナショナル・セキュリティーズ・エクスチェンジが12%だった。 事情を直接知る関係者1人によると、米銀シティグループ は誤った取引から利益を得ようとした。同行は誤った価格でのオプションの売買で数百万ドルをもうけていたが、取引所が取り消したため利益の大半は消えたという。シティの広報担当のダニエル・ロメロアスピロス氏はコメントを控えた。 原題:Options Market Has Biggest Disruption Since April on BadTrades(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael P. Regan mregan12@bloomberg.net;ワシントン Nick Taborek ntaborek@bloomberg.net;ニューヨーク Alex Barinka abarinka2@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Lynn Thomasson lthomasson@bloomberg.net 更新日時: 2013/08/23 04:23 JST |