http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/127.html
Tweet |
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64132118.html
★「天木直人氏の視点ー(2013/08/25)★ :本音言いまっせー!
きょう8月25日の日経新聞に太田泰彦という編集員が
「けいざい解読」というコラムでこう書いていた。
TPP交渉の本丸が見えてきた、それは損得の分かり易い関税交渉
ではなく、非貿易分野だ、その代表が国有企業を規制するルールづくり
である、と。
TPP交渉の米国の意図が日本の市場開放にあることは、少しでも
TPP交渉の背景を知っている者にとっては明らかである。
何をいまさらこんなことを書いているのか、と思ってこの解説記事を
読み進むうちに、極めて重要な事が書かれていることに気づいた。
それは、西室泰三日本郵政社長がアフラックと提携した本当に理由に
ついて書かれていたくだりである。
日本郵政とアフラックの提携が電撃的に発表されたのは、日本が
TPP交渉に初参加した7月末であった。
当時の報道では、がん保険分野で米国の要求に譲歩し、その見返りに
TPP交渉で米国の圧力をかわすための取引だと書くものが多かった。
それが事実であれば度し難い対米従属だと私は7月27日のメルマガ
第555号で書いた。
ところがその後も米国の日本に対する圧力は減らない。
どういうことだ。
そう思っていたら7月31日の読売新聞が報じた。
民営化したまではよかったが日本郵政の経営ははかばかしくない。
このままでは株式上場は困難だ。収益向上に役立つなら米保険会社の
下請けでも何でもやるということだ、と。
それを私は8月12日のメルマガ第605号で「アフラックとの提携
でわかった日本郵政の窮地」と題して書いた。
そして今日8月25日の日経の太田泰彦解説委員の記事である。
太田編集委員ははっきりとこう書いている。
・・・TPP交渉の本丸の代表例は国有企業を規制するルール作りで
ある。日本国内でこの流れを最も敏感に察知していた経営者は日本郵政
の西室泰三社長だろう。TPPで国有企業と認定されれば、経営の手足
を縛られ企業として成長が望めなくなる。先手を打って国有企業の枠か
ら逃れる必要がある、と危機感を抱いたはずだ。そのためには株式上場
の前倒ししかない。上場を果たすには『稼ぐ力がある』と見なされる
必要がある。西室社長が敵対関係にあったアフラックと提携協議を
進めた真意はここにある・・・
TPP交渉はメディアさえもその本質をつかみきれない複雑さがある。
米国の深謀遠慮がある。
日本の官僚たちではとても日本の国益は守れない。
こんな交渉の妥結を急ぐ必要はまったくない。
各国の利害がまとまらず立ち消えになったほうが日本のためであると
いうことである。
◇
見えてきたTPPの本丸(けいざい解読) 関税離れ「攻め」再考
http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS2300B_T20C13A8NN1000/
2013/8/25付日本経済新聞 朝刊
自由貿易は「ウィン・ウィン」だとされる。相手も自分もお互いに勝者であり、敗者はいないという意味だ。交渉で相手国に市場開放を迫るとき米政府の当局者はこの言葉を好んで使う。
日本の政治家は、もう少し正直かもしれない。「攻めるべきは攻め、守るべきは守る」。安倍首相はこう語り、ブルネイの環太平洋経済連携協定(TPP)会合に交渉チームを送り出した。交渉である以上、少しでも自国の得になるよう戦略を練るのは当たり前だ。
損得を測る目安は、関税が最も分かりやすい。首相は何をどう守るかを明言していないが、コメや麦など聖域とされる農産物5品目の関税を指すと、政界では暗黙の了解になっている。
聖域を守ることが交渉目標であるかのような錯覚に、日本全体が陥っていないだろうか。交渉の中身に目を凝らせば、TPPの本丸が別の場所にあることが分かる。
国有企業を規制するルールづくりは、その代表例だ。出資や融資保証などの優遇禁止や、価格設定の自由を制限する案が机上にあるという。
日本国内でこの流れを最も敏感に察知していた経営者は、日本郵政の西室泰三社長だろう。TPPで国有企業と認定されれば、経営の手足を縛られ、企業として成長が望めなくなる。先手を打って国有企業の枠から逃れる必要があると、危機感を抱いたはずだ。
そのためには株式上場の前倒ししかない。上場を果たすには、国内だけでなく海外の投資家から「稼ぐ力がある」と見なされる必要がある。
西室社長が敵対関係にあった米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)と、水面下で提携協議を進めた真意は、ここにある。縮小する郵便事業に固執せず、新たな郵便ネットワークの商業価値を内外に誇示する狙いが透けて見える。
国営企業の定義は今後のTPP交渉で決まる。日本郵政が規制対象となるかどうかは、協定に記される文言次第だ。安倍政権が同社の経営安定を望むとすれば、無事に自立できる形で協定の中身を詰める作業が「守り」の交渉目標となる。
ルールづくりの「攻め」の一例には、電子商取引がある。無法地帯と呼ばれるネット上のビジネスに、国際ルールのひな型を描くのがTPP交渉だ。たとえば米アップルのサービスを利用して、日本の消費者が米国から音楽をダウンロードする場合、その行為は貿易の輸入と同等か。それとも国境を越えたサービスの購入なのか、知的財産権の使用に相当するのか。
日本にはアップルやグーグルのような成長企業が登場しない……。そう嘆く前に、日本のベンチャー企業が羽ばたく土俵を築くのも、「攻め」の仕事だ。
相手の関税をできるだけ下げさせ、自分の関税は可能な限り守る。こうした昔ながらの駆け引きは、重要ではあるが、21世紀の通商秩序を目指すTPPのほんの一部にすぎない。関税の発想から離れて「攻め」と「守り」を考え直したい。
(編集委員 太田泰彦)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。