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「検査マニュアル」で銀行を骨抜きにした金融庁
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130825/ecn1308250732000-n1.htm
2013.08.25
「金融庁はバブル崩壊後の不良債権処理を目的とした画一的な銀行検査を見直し、融資先が健全かどうかの判断の大部分を銀行に委ねる」という記事が17日、日経新聞の1面に掲載された。この措置により、技術力はあるのに決算上は赤字の中小・ベンチャー企業が資金を借りやすくなるという。
「金融庁よ、あんた、真面目に言っているのか」という気持ちだ。「銀行の判断を尊重する」といっても、銀行が自分で査定できるわけがない。
この20年近く、銀行は金融庁の機械的な「金融検査マニュアル」に基づく検査に従っていた。入行以来、そんな検査しか知らない銀行員が、40歳前後の中堅になっている。経営者の顔と事業計画を見て、「では、貸しましょう」と自信を持って言えるような人間は育っていない。
かつて松下電器(現パナソニック)が赤字になり、松下幸之助さんが苦労しているとき、住友銀行の支店長は自分の判断で貸した。経営者の人物を見て貸す、というようなことは、現在の銀行では起こらない。いま、そんな人を私は銀行で見たことがない。それを禁じていたのがまさに金融庁の検査マニュアルではなかったのか?
銀行は「抵当がないと貸さない」という悪しき習慣に毒されている。ベンチャー企業に抵当はない。記事では能天気に「中小・ベンチャー企業に対する支援が増える」なんて書いてあるが、簡単に信じてはいけない。
ベンチャー企業に関しては、こんな調査も発表された。帝国データバンクによると、大学発ベンチャー(大学の教員、研究者、学生が開発した技術を用いて事業化する企業)の2012年の売上高は、公表された536社のうち約7割が1億円を下回ったという。技術や特許、アイデアで起業しても、事業が軌道に乗らず、苦戦が目立つ。
大学発ベンチャーは大学等技術移転促進法が施行された1998年以降増え始め、03年、小泉政権下で最多となった。だが、以後は徐々に減っている。成功した企業も、東大のミドリムシの屋外大量培養研究を機能性食品などに活用した「ユーグレナ」など、2、3しか思い浮かばない。
中国のように校弁企業が多数できて、北京大学や清華大学などが競い合い、大学運営費の3分の1を配当金で充てていくというのなら気合も入るのだろうが、日本の場合、大学の先生自身が意欲を持っていない。だから、うまくいくわけがない。
文科省がつぎ込んだカネはどこに行ってしまったのだろうか。意欲ある先生や学生が事業をやれるシステムを作るのはいいが、国が音頭をとってカネを出すと、大抵うまくいかない。
私は、資産をため込んでいる高齢者がいわゆる“エンジェル”的にやっていくことで十分だと思う。安愚楽牧場やオレオレ詐欺にカネを取られるぐらいなら、将来性ある若者につぎ込んだほうが寝覚めがいいのではないか?
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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