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http://jp.reuters.com/article/JP-game/idJPTYE97N00L20130824
2013年 08月 24日 11:18 JST
[ケルン(ドイツ) 22日 ロイター] - 実車を再現したリアル感が特徴の人気レーシングゲームの新作「フォルツァ・モータースポーツ5」は、ゲームソフトメーカーと自動車メーカーの共生関係を示す一例だ。
自動車メーカーは若いゲームファンを魅了し、未来の新車購入者の獲得を図っている。独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE: 株価, 企業情報, レポート) の高級車部門「アウディ」もその一つ。
ゲームのプレーヤーは、現在は金銭的に新車を購入する余裕はないかもしれない。それでもアウディは将来的にブランド・ロイヤルティーを得るために同ゲームのスポンサーとなっている。
フォルツァの新作はマイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)の新型ゲーム機「Xbox One」用として発売が予定されている。ゲームの中では、アウディRS7が風光明媚な旧市街を疾走する。
アウディのプロダクト・プレイスメントの責任者カイ・メンシング氏は「若者だけではない。ビデオゲームのアウディはコアなターゲット層にも届いている」と指摘。「映画と違ってゲームはインタラクティブで、ストーリー展開は前もって決まっていない」と述べた。
一方、日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート) はソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)の「プレイステーション」向けゲーム「グランツーリスモ」に電気自動車(EV)「リーフ」や、スポーツカーの「フェアレディZ Z34」などを配している。
同社の欧州マーケティング担当のガレス・ダンズモア氏は、「われわれは、レーシングドライバーになる過程を提供している」とコメント。ゲームと連動したレーシングドライバー養成プログラム「GTアカデミー」のファイナリスト、ルーカス・オルドネスがル・マン24時間耐久レースで表彰台に立ったことにも言及した。
日産のデジタル広告費は過去5年で3倍になり、今年は5億ドル(約494億円)を上回るとみられている。これは同社の広告費全体の約4分の1に当たる。
ダンズモア氏は「GTアカデミーは、ゲームコミュニティーをブランドに引き寄せる効果的な戦略だ。今年、100万人がゲーム内でEVを運転した」と付け加えた。
<プロダクト・プレイスメント>
プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)は、ゲーム内広告は今年、世界全体で28億ドル規模になると試算。自動車メーカーは、ゲームの方が映画より安価で、ゲーム開発者に車のスペック情報を提供することでライセンス料を集めることもできるとしている。
ゲーム業界のアナリスト、ブライアン・ブラウ氏は、自社の車がゲームのパッケージに使用されたり、ストーリーに深く溶け込んでいれば、自動車メーカーは100万ドル規模の出費はいとわないとの見方を示す。「広告主は、こういった夢中になれるようなテクノロジーに大きな関心を寄せている」という。
また自動車メーカーは、若者の需要を刺激する必要がある。
欧州最大の自動車市場ドイツでは、新車販売全体に占める21─39歳のシェアは2009年から毎年減少し、19.8%から16.2%にまで落ち込んでいる。
しかし、車の販売台数が約300万台で頭打ちとなる一方、ビデオゲームの販売は3年連続で増加。また、定期的にゲームで遊ぶドイツ人2600万人の4分の1以上は、税引き後の月収が3000ユーロ超と平均以上の収入を得ていることも見逃せない。
自動車メーカーにとって、このことは顧客層の拡大を意味しており、専門家もゲーム内のプロダクト・プレイスメントは、ブランドのPRには非常に効果的なツールだと声をそろえる。
米ゲーム大手エレクトロニック・アーツのデイブ・マッデン氏は、「ゲームは人を引き付け、最大限の集中を要する環境を与える。それに比べ、テレビでスーパーボウルを見ている場合は、フェイスブックやツイッターに投稿するなどしてマルチタスクになる」とゲームの利点を挙げた。
(原文執筆:Christiaan Hetzner記者 Harro Ten Wolde記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)
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