03. 2013年8月23日 21:01:59
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来週のドル/円、米金利の「上昇ピッチ」に神経質 2013年 08月 23日 19:13 8月23日、来週の外為市場で、ドル/円にとっては米金利の「上昇ピッチ」がカギになりそうだ。2月撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano) トップニュース 薄熙来被告、妻の証言に「正気とは思えない」と反発 アングル:新興国通貨安はドル円の「対岸の火事」か、影響限定的との見方 焦点:動揺するアジア新興国通貨、韓国ウォンと台湾ドルは底堅い 来週の日本株、円安進行なら1万4000円トライも [東京 23日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円にとっては米金利の「上昇ピッチ」がカギになりそうだ。9月に米量的緩和の縮小が開始されるとの予想のもと、急速に米金利が上昇すれば株安を通じて円買いになりやすい。一方、上昇がマイルドで株価が堅調に推移すれば、ドル/円は上値追いになるとみられている。 予想レンジは、ドル/円が97.50―101.00円、ユーロ/ドルが1.3250―1.3450ドル。 ドル/円は22日から上昇を始め、23日には99円前半をつけた。米10年債利回りは上昇一服となったものの、各国の株高基調が「復活」したことがドル/円の上昇につながった。海外のヘッジファンドは22日から買いを出していたとされている。 欧州系銀行のトレーダーは「日米金利差の拡大からドル/円の上昇は続く」とみている。 ただ、米金利の上昇が急ピッチの場合には、米実体経済への懸念につながり、株安を招きやすい。のみならず、インドルピーやインドネシアルピアなどファンダメンタルズのぜい弱な新興国の通貨急落にもつながる。 外為どっとコム総研のジェルベズ久美子研究員は「米国の金利が上昇しすぎると株価に悪影響が出て、全般的な円安の進行を抑制する動きにもなる」と警戒する。 米金利の上昇が緩やかで、株高トレンドも維持されるのがドル/円の上昇にとってはベストミックスとなる。 8月最終週に当たり、国内では輸出企業のドル売りが活発化する可能性がある。あおぞら銀行・市場商品部の諸我晃次長は「実需も100円近いところではけっこう売りニーズがあると思う」と話す。 ドル/円は22日から騰勢を強めたが、手がかり材料に欠ければ来週前半には利益確定の動きが顕在化する可能性もある。 9月には、国内外で重要イベントが相次ぐ。日本では4―6月期実質GDPの改定値が発表され、消費税引き上げをめぐる動向が焦点になる。17日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)では、量的緩和の縮小開始の有無、開始の場合にはその規模が注目ポイントになる。FOMCはとりわけ、グローバルマーケットの先行きを決めるものとして注目度が非常に高い。 シティバンク銀行・個人金融部門の尾河真樹シニアFXマーケットアナリストは、重要イベントが相次ぐ9月を前に、来週のドル/円は「ポジション調整的な動きになり、様子見が強まりそうだ」とみている。 (為替マーケットチーム) 関連ニュース ドルが対ユーロで半年ぶり安値、米量的緩和縮小めぐる不透明感で ドルが対ユーロで半年ぶり安値、米量的緩和縮小めぐる不透明感で 2013年8月20日 QE3縮小めぐり神経質な市場、根強い資金の米回帰観測 2013年8月16日 来週のドル/円は米株安やエジプト情勢の緊迫化で大幅下落リスクも 2013年8月16日 ドルが幅広く上昇、指標への楽観的見方でFRBの緩和縮小観測高まる 2013年8月12日
コラム:上がらない日本の長期金利、「不思議の国のアリス」は続くか 2013年 08月 23日 15:42 JST [東京 23日 ロイター] - 田巻 一彦
米量的緩和政策の縮小観測や世界的な景気回復への期待感を背景に、米独の長期金利が上昇基調を鮮明にしている。これに対し、日本の長期金利は0.7%台と超低水準で推移し、米独市場との連動性は完全に遮断されたかたちだ。 直接的には「黒田緩和」の手段として日銀が国債を大量に購入していることが効いているが、その日銀は2年で2%の物価目標を掲げており、実現性が高まれば、長期金利は上昇を始めるだろう。「その時」がいつ来るのか──。どうやらすぐには来そうにないという声が、市場では多くなる気配がある。 <米長期金利に3%突破観測> 22日のNY市場では、量的緩和第3弾(QE3)の縮小が9月から始まるとの思惑とは別に、利上げの時期がかなり先になるというこれまでの主流的な見方にも疑問符が付き、5年米国債利回りが1.68%台と2年ぶりの水準に上昇した。10年米国債利回りも2.89%台で取引を終え、いずれ3%を突破するのではないかとの見方が広がっている。 一方、欧州市場でも10年独連邦債利回りが一時、1.94%台と約1年半ぶりの高水準を記録した。QE3縮小の思惑やユーロ圏の経済指標好転を材料に、安全資産として買われてきた独国債から資金が流出した。 <日銀の国債大量購入で異次元の債券市場に> 米独の長期金利がはっきりとした上昇傾向を示す中、日本の長期金利は0.7%台という超低水準で安定的に推移し、世界の金融・資本市場で展開されている金利裁定機能が全く働いていないことを示している。言い換えれば、マネーの流れが、米欧債券市場と円債市場との間で全く遮断された格好になっているということだ。円債市場は、グローバルに俯瞰(ふかん)してみれば「異次元の債券市場」になっていると言えるだろう。 その最大の要因は、日銀が2年で2%の物価上昇という目標の達成に向けて、国債を大規模に買い入れていることだ。長期国債の日銀保有残高が年間50兆円増加するペースで買い入れを進めており、クリーナーが吸引するように市場から国債を買い上げている。 <都銀は4─6月期に国債残高22兆円減> 日銀が23日に発表した6月分の民間金融機関の資産・負債によると、都市銀行の国債保有残高は今年6月末に85兆8620億円となり、4月からの3カ月間に22兆0980億円の残高減少となった。 普通なら長期金利が跳ね上がるところだが、日銀が大量に買い入れていることで、長期金利は4月5日以降の乱高下を経て、足元では1%未満の水準での安定した動きとなっている。 <どこかで来る金利上昇の分水嶺> ただ、「不思議の国のアリス」のような別世界が、このまま継続するのだろうか。私は、どこかの時点で大きな分水嶺に到達するだろうと予測する。 なぜなら、大量に国債を購入している日銀自身が、2年で2%の物価上昇を達成するという目標を掲げているからだ。消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率2%と0.7%台の長期金利は、教科書的には両立しないと思われるからだ。 物価上昇率が1%に接近しそうになった際に、日本の長期金利が上がり出す可能性が考えられる。また、米独との連動性が遮断されていることで、上がり出したらテンポが急になるリスクもある。 <米国債の購入手控える日本勢> ところが、足元の市場をみていると、メガバンクの国債売却の勢いはやや一服した感もある。一つには、米国債の利回り上昇のテンポが国内銀行勢の予想を上回って速いため、米国債の購入を手控えていることがある。 米国債への資金シフトが思うように進まないのであれば、日本国債の売却をどんどん進めても、マネーをシフトさせる場所に困ってしまうということになりかねない。 また、ここにきて日経平均株価の足取りが、5月22日までの上昇基調から横ばい基調に転じていることも影響しているようだ。 日本の場合、期待インフレ率の代表的な指標であるブレークイーブン・インフレーションレート(BEI)が株価に連動しやすい傾向を示し、株価が上昇しないと物価上昇への期待感が盛り上がらない可能性も出てきているためだ。 <市場でささやかれる追加緩和のシナリオ> 市場で密やかにささやかれているのは、あるシナリオだ。株価が1万4000円台で上値を重くし、年末に1万8000円台まで上がることが難しくなってきた場合、インフレ期待が盛り上がらず、日本経済の回復への「期待」がしぼむ可能性がある。 「期待」の強まりで前向きの循環を動かしてきたアベノミクスと「黒田緩和」にとって、「期待」の弱まりが明らかになれば、戦力の逐次投入はしないとして、黒田東彦総裁が封印してきた追加緩和という手段も、選択肢として浮上するのではないか、という思惑が一部の市場関係者の間で浮上している。 追加緩和があるような経済情勢なら、金利はしばらく上がらないだろう──。そうした見方をする参加者が、少なからず金融機関の中にいるなら、「不思議の国のアリス」という現象が、予想外に長続きする展開もゼロではない。 |