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ビジネスマン必読 孫? 稲盛? それとも… いまニッポンで「最高の経営者」は誰か
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36709
2013年08月21日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
元気のいい会社のトップは目がキラキラと輝いている。社長が誰よりも汗を流して働くし、熱く夢を語りながら利益も上げる。「経営不在」と言われて久しい日本にも、そんな経営者がたくさんいた。
■"指導力"より"始動力"
「高度成長期には手堅くまとめる調整型の経営者が求められていたが、いまは違います。トップ自らがグローバルに駆け回り、情報を収集し、新規事業の扉を開け、道を切り開いていくことが求められている。これからの経営者には"指導力"よりも"始動力"が必要とされているのです」(元経済産業省で青山社中筆頭代表の朝比奈一郎氏)
企業の栄枯盛衰が瞬く間に移り変わる激変の時代に突入した。そうした中で、経営者の力量が、企業の生き残りを大きく左右するようになっている。スティーブ・ジョブズ亡き後の米アップル社が株価を落としたように、経営者によって企業の評価が大きく変わってしまう恐ろしい時代だ。では、いま最も優れた日本企業の経営者は誰なのか。
緊急調査を実施し、経済や企業経営に熟知した国内外のプロ43名に「優れた経営者トップ3」を選んでもらった。結果をまとめたのが、次ページからの表である。さらに、各識者が選んだ1位=3点、2位=2点、3位=1点で集計し、「最高の経営者ランキング」も作成した(7ページ表)。
ダントツの1位に立ったのがソフトバンクの孫正義社長で、2位が日本電産社長兼CEO(最高経営責任者)の永守重信氏だ。ともに20代で会社を創業、その後30~40年と会社を成長させ続け、いまや世界に知られる企業にまで押し上げた。両氏が評価されるのは、その文句なしの実績だけが理由ではない。実はこんな共通点がある。
「ソフトバンクのグループ会社であるヤフーに在籍する知人に聞くと、午前中から孫氏による仕事の指示がどんどん飛んでくるらしい。莫大な資産を築いてなお、仕事への情熱が衰えていない証拠。永守氏もいまだ誰よりも早く出社し、元日の午前以外、一年中仕事をしている。両氏のあくなき努力の姿勢は群を抜いている」(S&S investments代表の岡村聡氏)
欧米の経営者たちは秒単位でスケジュールを刻み、プライベートジェットで世界を駆け巡り、トップ会談で交渉を次々とものにしていく。「経営者自らが最も働く」のは世界の常識で、これを実践しているのが孫、永守両氏だといえる。
社長室にこもってハンコを押すだけの経営者とは生きている世界が違う。もちろん、二人は「見えている世界」も違う。
プロが選んだ「日本の名経営者トップ3」@
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■人を活かす経営
「孫氏は会社の『30年ビジョン』を作る際、300年後の未来までを見据えて計画を立てている。永守氏は変化の激しい業界において、次にどのような分野が成長するかを見極めてスピーディーに関連企業を買収して、いずれも成功させている。一般的に企業経営者は短期的な目標に左右されやすいが、両氏の先見性と、その目標に対するブレのなさは目を見張るものがある」(岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏)
孫氏については、「ボーダフォン買収による携帯電話参入など、状況が煮詰まって危機が深まってくると、一点突破でそれを打開する手法は誰にも真似できない」(作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏)と、その大胆な決断力を評価する声も多い。いまや米巨大企業の買収を成功させ「世界一」を目指すその姿は、昭和ニッポンから世界に羽ばたいた松下幸之助や本田宗一郎を彷彿とさせるものさえ感じる。
プロが選んだ「日本の名経営者トップ3」A
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永守氏にしても、「個々人の『能力の差』は5倍程度でも、『意識の差』は100倍にも広がると言い、社員の質を高めることを意識している。実際、20社以上を買収して一度も人員削減していない。だから、社員がついてくる」(マーケットバンク代表の岡山憲史氏)と、その有言実行力とリーダーシップへの評価が高い。社員を使い捨て同然に扱い自分だけ利益をむさぼる"ブラック経営者"とは、比べものにならないわけだ。
3位は、カルロス・ゴーン日産自動車会長兼社長と柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長。社内の会議を英語で行い、欧米流の徹底した合理主義を貫徹するグローバル経営者の代表格である。一見ドライに見られがちな二人だが、円高、デフレなどの「六重苦」といわれる外部環境を言い訳にして頭を抱えるばかりの日本人経営者を横目に、「やればできる」と手本を示したところに凄味がある。
プロが選んだ「日本の名経営者トップ3」B
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「ゴーン氏は世界に通じる『利益・顧客重視』の思想と、日本の企業文化の特色であるモノづくりの素晴らしさを統合する新しい経営手法を生み出した。柳井氏は良くも悪くもデフレ経済に適応した経営プラットフォームを構築した功績は大きく、まさに『失われた20年』を代表する経営者といえる」(上武大学教授の田中秀臣氏)
5位の小林喜光・三菱ケミカルHD社長と豊田章男・トヨタ自動車社長は、経歴の違いが際立つ。
小林氏は東大大学院からイスラエル・ヘブライ大学やイタリア・ピサ大学への留学などを経て、同社入社時はすでに28歳。研究畑という"傍流"から社長に大抜擢された。片や、豊田氏は創業一族の生まれで、53歳という若さで社長に就いたプリンスである。
プロが選んだ「日本の名経営者トップ3」C
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対照的な二人だが、経営者としての評価は近い。
「大きな企業をさらに大きくできる経営者は多くいるが、危機に陥った大企業を立て直し、さらに発展させられる経営者は少ない。いま日本に求められているのは後者のような経営者です」(テクノ・インテグレーション代表の出川通氏)
危機を乗り越える力。それが両者の強みである。
小林氏は社長就任後に不採算部門をバッサリ切り捨てると同時に、新たな「稼ぎ頭」として三菱レイヨンの巨額買収に踏み切ることで会社を新しい成長軌道に乗せた。事業部長時代にも、大赤字だった記憶媒体事業を採算部門へと大変革した。
豊田氏はリーマン・ショック後に社長に就任。さらに米国でのリコール問題、東日本大震災、タイの洪水など相次ぐ難題に直面しながら危機を乗り越え、昨年ついに世界販売台数で世界1位に返り咲いた。
「豊田氏の成功の秘訣は、御曹司だからといって『全部オレがやる』と出しゃばらないことにある。リコール問題のときは技術に詳しいプリウス開発者の内山田竹志・現会長に任せ、震災や洪水の際は生産を得意とする新美篤志・現相談役に頼った。就任当初は手腕を不安視する声もあったが、将来の日本を背負う若手ナンバーワン経営者になりつつある」(経済ジャーナリストの塚本潔氏)
ニッポンで「最高の経営者」ランキング
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徹底した現場主義、先を見る力、有言実行、社員を引き付けるリーダーシップ、危機を乗り越える力などなど―7位以下の経営者たちもこうした「資質」の持ち主ばかりである。
「鈴木修・スズキ会長兼社長は先駆して'80年代からインドに進出、いまや同国でトップシェアを誇る。80代と高齢の現在も実質休日返上で現場を走り回り、即断即決で会社を率いる姿は経営者の鑑」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)
「長谷川閑史・武田薬品工業社長は、海外の巨大製薬会社のM&Aに成功しているが、当初は『やりすぎではないか』と社内で危惧する声もあったと聞く。そこでブレずに、確信を持った方向へと率いた」(中央日報東京総局長の金玄基氏)
8位の新浪剛史・ローソンCEOと9位の小島順彦・三菱商事会長には、こんな逸話が残る。
「仲介業から自らリスクをとる投資業へ業態転換を成し遂げ、失われた20年に商社の黄金時代を築いたのが小島氏。その小島氏は若手人材も多く育成しており、その一人が三菱商事から子会社のローソン社長に抜擢した新浪氏だった。ローソンには新浪氏の先輩がたくさんいたが、小島氏が『新浪の言うことを聞け。嫌なら本社に戻ってこい』と、新浪氏が仕事をしやすい環境を作っていた」(経済ジャーナリストの嶌信彦氏)
顔の見える経営者がいなくなったと嘆かれるが、まだまだ素晴らしい経営者はたくさんいる。本文では紹介しきれなかったトップたちについては、表で詳しく紹介しているので是非ご覧いただきたい。
注目の経営者6名の採点表
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■カルロス・ゴーン 三木谷浩史 孫正義 稲盛和夫 柳井正 渡邉美樹 注目の経営者、○か×か
数々の敏腕経営者の中から、今回、とくに注目を集め業績が評価される6名を編集部が選出した。彼らを「経営者として採点するなら何点か」。前章の43名の専門家に採点してもらい、その平均点を示したのが上の表である。
85・2点という高得点でトップに輝いたのが、ソフトバンク社長の孫正義氏だ。前述したとおりだが、孫氏が評価されるのは、なんといってもその大胆さにある。
7月に米国の大手携帯電話会社スプリント・ネクステルを買収したことなどで株価が上昇、時価総額が8兆円を突破した。
「自らの事業的野心を常に挑戦というカタチで明示し、極めて高いレベルの成長期待を市場に与え、ジャパニーズドリームを社会に抱かせている」(セゾン投信社長の中野晴啓氏)
稲盛和夫氏は、現職を退いているため前章のアンケートでは目立たなかったが、こちらの結果は82・4点で2位。京セラやKDDIを創業し世界的企業に成長させたことと、「ナショナル・フラッグであるJALの再上場に貢献した」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)点が大きな業績。だが、何よりもその人間力が多くの人に影響を与えている。
「『企業はつまるところ人の集まりである。それが発展するか、衰退するかは人々が信頼感に結ばれ、おのおの最善を尽くすかどうかによる。そして、信頼感は何よりも経営者のあり方にかかっている』。これが、稲盛氏の揺るぎない精神です。経営者の育成にも力を注ぐ。企業の成功者としてだけでなく、人間として多くの人から尊敬されている」(マーケットバンク社長の岡山憲史氏)
76・7点の柳井正氏は、ユニクロを世界的な企業に成長させたことが高く評価されるが、「後継者が育っていない(育ちにくい)」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)という点がマイナスに。74・6点のカルロス・ゴーン氏は、日産自動車を急回復させたが、「錬金術に長けた金融関係者のような印象を受ける。利益のためなら『なんでもあり』」(経済ジャーナリストの塚本潔氏)というコストカッターとしての印象はぬぐえない。
楽天を日本最大級のショッピングサイトに成長させた三木谷浩史氏は69・7点、居酒屋チェーンから介護・福祉にまで幅を広げたワタミの渡邉美樹氏は、47・8点。その業績は申し分ないが、経営以外の活動に力を入れたことで評価が分かれた。
「三木谷氏は、今回の参院選でも候補者の応援演説をしたり、政治に深くかかわりすぎている。もう少し本業に専念してほしい」(中央日報東京総局長の金玄基氏)
渡邉氏も、参院選への出馬が減点材料に。「経済人として政治家転向は失格」(ジャーナリストの志村嘉一郎氏)、「若いときに苦労しているだけに、今になって名誉欲や権力欲に執着しているように見える」(ジャーナリストの井上久男氏)という声が目立った。
「名経営者」と持て囃された人物が、一度の間違った言動で評価を急落させることもある。経営者の評価は、売上高や利益の大きさだけで決まるのではない。人間としての魅力にも目を向けてみると、また違う「経営者の姿」が見えてくるのである。
「週刊現代」2013年8月17日・24日号より
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