03. 2013年8月20日 17:04:31
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日銀の資産買い入れ、来年央までに拡大する確率は60%=調査 2013年 08月 20日 16:56 JST [東京 20日 ロイター] - ロイター調査によると、日本の景気は、公共プロジェクトや堅調な消費者支出を背景に年内は回復軌道を維持すると見込まれるものの、来年度には消費税増税が予定されており、回復のペースは鈍くなる見通しだ。一方、消費者物価は日銀の目標に届かないことが見込まれ、来年中盤までに日銀が資産買い入れを拡大する確率は60%と予想されている。 調査はエコノミスト21人を対象として8月13─16日に実施された。 今年度(2013年4月─14年3月)の日本の経済成長率は2.6%と見込まれている。7月の調査からはほとんど変わらなかった。 ただ、来年度(2014年4月─15年3月)は0.6%成長に減速する見通し。2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられることが予定されており、消費者支出を抑制するとみられる。7月の調査では0.5%成長が予想されていた。 調査によると、日本のコア消費者物価上昇率は消費税増税の影響を除き、来年度に0.9%となり、翌2015年度も0.9%と見込まれる。一方、日銀の最新の見通しではそれぞれ1.3%、1.9%となっている。 回答者17人の中央値によると、日銀は2014年中盤までに60%の確率で金融政策を一段と緩和する見通し。 その場合、資産買い入れ規模を10兆円拡大し、購入対象の焦点を上場投資信託(ETF)にあてる可能性がある。
コラム:数字が物語るアベノミクス期待の剥落=村田雅志氏 2013年 08月 20日 16:50 JST 村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン シニア通貨ストラテジスト(2013年8月20日) ドル円は、有識者と呼ばれる方々の当初の予想と異なり上値の重い動きを続けている。8月に入り反発する場面もあったが、100円を再び突破する勢いはなくなりつつある。 もともとアベノミクスと呼ばれる政策群で、ドル円が100円を超える水準まで持続的に上昇すると考えるのは無理があった。大胆な金融緩和の推進を主張する安倍晋三首相の意を汲んだ黒田東彦氏が日本銀行の総裁に就任し、アベノミクスの「第1の矢」とされる大胆な金融政策を打ち出したことを市場は材料視。ドル円は93円台前半から大きく上昇したが、その方向性に大きな影響を及ぼす日米金利差は8月半ばを過ぎても2年前の水準とほぼ変わっていない。 米国債利回りの上昇が限定的だったとの弁明も示されているが、そもそも超低金利状態にある円債利回りを日銀が半ば強引にさらに押し下げたところで、円を下押しする効果は限定的だったと考えるべきだろう。 「第2の矢」とされる機動的な財政政策も従来型の財政支出増と何ら変わることはなく、「第3の矢」とされる成長戦略にいたっては、市場が織り込めるほどの短期間で大きな成果が期待されるものは何もない。アベノミクスという新しいラベルを付け、市場の期待を刺激したのは良いが、中身については従来の自民党政権で実施されたものと大きく変わりはないことが明らかとなり、市場の円安期待も後退。ドル円の上値が重くなってきた、というのが素直な解釈と思われる。 アベノミクス信奉者は、企業の設備投資が増えると主張してきた。4―6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で2.6%増とまずまずの伸びだ。しかし、民間設備投資は前期比0.1%減と6四半期連続のマイナスを記録した。機械受注をみても、設備投資の先行指標とされる民需(除く船舶・電力)の7―9月期見通しは前期比5.3%減と大きく落ち込んでおり、設備投資が今後、増加に転じる期待は持ちにくい。 アベノミクス信奉者は、円安進展により輸出が増えるとも主張していた。しかし、輸出数量は現実には6月まで13カ月連続で前年割れとなっている。7月に入り前年比1.8%増となったが、米国景気の強さを考慮すれば、あまりに弱い。一方、輸出価格は昨年12月以降伸びが高まり、7月は前年比10.2%上昇と3カ月連続の2ケタ上昇を記録している。 日本の輸出企業は円安が進展しても外貨建ての輸出価格を引き下げて輸出数量の拡大を狙うのではなく、円建ての輸出価格を引き上げることで採算性を向上させる姿勢を続けている。輸出数量を増やさない以上、設備投資を拡大させる必要もない。 輸出企業に限らず、日本の製造業は設備投資を増やす状況にない。6月の製造工業稼働率指数は前月比2.3%低下の95.8とリーマンショック前の2008年前半の水準から2割以上も落ち込んだままである。日銀短観の生産設備判断DIをみても、製造業はプラス12とリーマンショック後も設備過剰感がほとんど解消されていない。円安になっても輸出企業は生産を大きく拡大させる意向がなく、設備の稼働水準は低く、設備過剰感は続いたままの状況のなか、円安進展で設備投資の増加を期待するのは合理的な考えとは思えない。 <円安で吸い取られた家計の購買力> 円安の進展で日本の株価が上昇したことを評価する見方もある。ただ、上述したように円安が永続的に続くとは期待できず、円安主導の株価上昇は難しくなっている。日経平均株価が5月23日の場中に記録したピーク(1万5942円)どころか、1万5000円すら上抜けできないことをみれば、円安による株価上昇に限界があることは容易に理解できる。 円安と株高によってもたらされた消費者マインドの改善も完全に頭打ちである。内閣府が発表する消費者態度指数は7月に43.6と2カ月連続の低下。景気ウォッチャー調査では現状判断DIが52.3と4カ月連続の低下となった。個人消費は1―3月期、4―6月期とともに前期比0.8%増と雇用者所得を上回る伸びとなったが、マインドの改善が頭打ちである以上、今後は消費の伸びが所得並みになると見込むのが自然だろう。現に家計調査における実質消費支出は1月から4月まで大きく増加したものの、5月、6月は2カ月続けて前年割れとなっている。 6月の完全失業率は3.9%と、08年10月以来4年8カ月ぶりに3%台に低下した。アベノミクスの効果だと喧伝する方もいるが、雇用が継続的に増加しているのは医療・福祉のみで、円安の恩恵を受けているはずの製造業は雇用を抑制したままである。金融緩和で医療・福祉の雇用が増えるとは考えにくく、足元の雇用環境の改善は少子高齢化の進展という大きな流れの中で労働市場の流動性が増したおかげと考えた方が自然だろう。1人当たり賃金(現金給与総額)は、数多くの方が指摘するように伸びが限定的。結果として4―6月期の雇用者報酬は前期比0.3%増にとどまっている。 円安の進展はコストプッシュ型の物価上昇を促している。6月の消費者物価は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年比0.4%上昇と1年2カ月ぶりのプラス。上昇幅は08年11月の1.0%以来の大きさとなった。 内訳をみると、消費者物価を大きく押し上げたのは電気代、ガソリン代、ガス代といった輸入物資。現に4―6月期の日本の交易損失は20兆円と統計開始以来、2番目に大きな規模に拡大している。アベノミクス信奉者は、日本がデフレからインフレの流れになりつつあると喜んでいるのかもしれないが、輸入物価の上昇を中心とした物価上昇は消費者の購買力を悪化させている。円安の進展は結局、輸入物価の上昇で吸い取られた家計の購買力が、日本の輸出企業や産油国といった海外に移転するだけとなっている。 金融緩和の強化や公共投資を中心とした財政支出の拡大は、市場のボラティリティを拡大させ、社会のムード・期待を一時的に変えたかもしれないが、日本の企業部門はムードに踊らされることなく冷静な対応を続けた。一方、家計部門は高揚感の中で半年程度、消費を増やしたかもしれないが、ようやくアベノミクスの本質に気づき始めた。 3党合意で計画通りに実行されるはずだった消費税率引き上げの是非が安倍政権周辺で今さら議論され始めたのは、アベノミクスの限界に彼らも気づき始め、消費税をネタに社会のムード・期待を新たに変えようとしているためなのかもしれない。 *村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。 ドル97円前半、株安で豪ドル/円は一本調子の下げ 2013年 08月 20日 16:50 JST [東京 20日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル安/円高の97円前半。午後、日経平均株価.N225が下げ基調を鮮明にすると円買いが強まった。 豪ドル/円はほぼ一本調子で下落した。米量的緩和の縮小を警戒してインドルピーやインドネシアルピアは急落したが、ドル/円への影響は軽微だった。 <株安、米金利低下が重しに> きょうは五・十日ということもあり、仲値公示までは輸入企業の買いが目立っていた。ただ、「実需が買い上げたところを投機筋がショートで入った」(大手邦銀)という。輸出企業のドル売りも観測された。 オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の8月6日の政策理事会議事録が公表され、豪ドル/円が上昇するとドル/円にも再び上昇圧力がかかり、97.87円まで上昇した。 午後になると、ドル/円は日経平均の下げ基調で圧迫された。各国株安でリスクオフムードが高まり、米10年債利回りが急速に低下してドル/円の重しとなった。円買いの余波で、豪ドル/円は下落色を鮮明にした。 アジア市場では、インドネシアルピア、インドルピーが急落した。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小開始が懸念され、新興国の中でも経常赤字国の通貨から資金が流出している。 ただ、大手邦銀の関係者は「ドル/円への影響は軽微」と指摘した。「質への逃避」から円に上昇圧力がかかっているものの、米金利上昇に伴うドル高圧力でドル/円は明確な方向感が出にくくなっているという。 <豪ドル/円に引き続き下落圧力> 豪中銀の議事録によると、理事会は追加利下げの可能性を閉ざすことも、追加利下げを直ちに実施する意図を示すこともすべきではないとの見解で一致した。 焦点の追加利下げについて「両論併記」の形となったが、岡三オンライン証券・投資戦略部の武部力也部長は「9月のRBA理事会に向けて、一段と豪ドル高に対するけん制が出てくる可能性も否めない」と指摘。豪ドル/円には引き続き下方圧力がかかると予想する。 議事録によると、豪中銀は、政策見通しにとって豪ドルの動向が重要になると表明。豪ドルは4月以来大幅に下落しているものの、議事録は「歴史的にみると依然高い」と指摘。その上で、豪ドルは一段と下落する可能性があり、経済が鉱業投資の頭打ちに対応するのを助ける可能性があるとの見解を示した。 岡三オンライン証券の武部氏は、足元で豪ドル/円と日経平均株価の相関係数が低下しており、豪ドル/円と他のクロス円との連動性もないため、ロングポジションの圧縮で豪ドルのみが下落するリスクがあるとみている。 (和田崇彦)
ブラジルレアルが6日続落、当局の対策効果出ず 2013年 08月 20日 12:23 JST [リオデジャネイロ/ブラジリア 19日 ロイター] - ブラジルレアルは19日、6営業日続落となり、2009年3月以来、約4年ぶりの低水準を記録した。 中銀と財務省が協力し、インフレ懸念を強めている通貨安と国債価格の下落の阻止に努めているにもかかわらず、効果はあまり出ていない。 当局者がインフレ抑制に向けて金融引き締めを強化する必要に迫られるかもしれないとの見方から、市場では先物金利が急上昇する一方、ブラジル国債が売られた。その結果、国内のイールドカーブは、主要政策金利が来週75ベーシスポイント(bp)引き上げられる確率を50%と示している。これまで、大半のエコノミストは50bp引き上げを予想していた。 大半の新興国が米緩和策縮小懸念の影響を受けるなか、成長鈍化で投資家の人気を失ったブラジルへの打撃は特に深刻だ。 政府は数々の景気支援策を打ち出してきたが、その大半は裏目に出ている。ブラジル経済の2013年の成長率はわずか2.2%、2014年も2.5%にとどまる、というのが民間エコノミストの平均予想だ。 ブラジル中銀のトンビニ総裁は19日夕、レアル下落を受け声明を発表し、レアルを押し下げる動きに「一方向の取引は損失を被る可能性がある」と警告。世界の為替市場では現在「再調整」が起こっているとの認識を示し、中銀が国内市場の動向を注視していると表明した。 金利市場の動向については、追加の金融引き締め観測は行き過ぎているとの見方を示した。 また、マンテガ財務相も、投資家に対し、レアルのショートポジションを大量に積まないよう促し、財務省と中銀は国内市場の安定化に向け協調していると語った。 財務相は「投資家がもうけたいと思うのは自然なことだが、将来的に損失を被る可能性がある」と述べ、ブラジルは変動相場制を採用しており、相場は「両方向に動く」と指摘した。 トンビニ総裁の声明とマンテガ財務相の発言は、市場の取引終了後に明らかになったため、レアル安を阻止するには間に合わなかった。レアルは0.9%安の1ドル=2.4152レアルで終了。先週は5%超下げていた。 XPインベスティメントス(サンパウロ)のアナリスト、カイオ・ササキ氏は「次の抵抗線は1ドル=2.5レアル前後の水準にある」と指摘。「投資家がブラジルのファンダメンタルズに懐疑的であることが売りの理由だ。米国にはより良い(投資)機会が訪れている」と述べた。 シティのストラテジストらは、一部のアナリストはレアルが年末にかけて1ドル=2.50─2.70レアルまで下落するとすでに見込んでいると指摘。19日付の顧客向けノートで「財政および経済の状況が変わらないなか、(レアルの)先行きは依然不透明だ」と述べた。 中銀はレアル支援に向け、3度にわたる総額35億ドル規模のスワップ入札を行ったが、企業は現在の為替水準でヘッジをすることに消極的で、効果は限定的と多くのアナリストは指摘。スポット市場ではドル需要が拡大しているという。 一方、財務省は、国内金融市場のボラティリティの打撃を受けている国債について、計画外の入札を実施した。 ある政府筋は「ここ3日、レアル安を受け国債流通市場で投資家は非常に高いリターンを求めており、ボラティリティが高まっている」と述べた。 また別の政府筋は、国債流通市場の安定化に向け財務省は必要に応じて桁外れの入札を実施する見通し、と語った。 前出の関係筋は、財務省と中銀は為替・金利市場でボラティリティを鎮める協力している、と述べた。 |