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消費税増税の1997年との経済環境の相違
どこまで政府によいしょなのだろうか、それとも単なる馬鹿なのか。
日経新聞の8月12日の論文(経済部次長瀬能繁)を読むと、
1、1997年の消費税引き上げ当時と比べ企業は、人員、負債、設備の3つの過剰を解消している。企業は金あまりで、外的ショックへの耐久力が格段に増したという。
2、また当時と比べ世界の金融資産が3倍の220兆ドルになったそうである。それを崩壊させないために財政再建が必要であるということだ。
しかし1997年当時と大幅に違うものはこれだけではない。それを無視して論じてどうするのだろう。極めて意図的なものを感じる。
1997年当時と大幅に違うものは、消費者の所得が低下し貯蓄のない所帯が増えていることである。そのため消費者側の外的ショックに対する耐久力が格段に弱まっている。
このことを取り上げずに結論を出しているのは如何なものか。
それは、
生活保護所帯の大幅な増加や、非正規雇用の増加が大きな社会問題となっていることから明らかである。
その結果、貯蓄のない低所得層が非常に大きくなっており、中間層や上流がどんどん減少している。その傾向がますます大きくなっており、それがなお先行き不安を大きくし、日本社会全体を活気のないものにしている。
生活保護を受ける人が200万人を越えてしまった。これは1997年当時比べ全く違う深刻な問題になっている。その数が減少していく気配はない。それどころか政府は生活保護費用を削減し、消費をさらに縮小させ、生活保護所帯をさらに増やそうかという意気込みである。
また小泉政権下での、デフレ下における派遣労働の自由化は、正規労働者の減少と非正規労働者の増加を生み、企業は労働費用の総額を抑えることに成功した。
このことも1997年当時と比べ著しい違いがある。
派遣社員や、非正規雇用など当時はまだ一般的な言葉ではなかったのである。
1997年から2千13年までの間に日本の豊かな中間層は崩壊し、低所得層が増大した。現在中間層を支えるのはほとんどが公務員層になってしまった。それは国民の大きな負担になっている。
今なお政府は限定従業員の制度や、特別区による労働の自由化を促し、さらなる所得の低下を目指している。
このように消費者側から見ると、1997年当時と比べ大幅に所得が低下し購買力が低迷しているのがわかる。
デフレは、借金や国民負担が増大し、貯蓄を上回り、企業の生産量に比べ、消費が著しく不足している経済である。
そのため消費額の大きさに生産額(生産量と価格)が合致する構図になっている。
消費税の引き上げが、この脆弱な消費に直接、第一義的に打撃を与えることになる。消費税の引き上げにより、資金が政府に奪われる。その市場からなくなった資金量に等しくなるまで、生産量が波及的に、循環的に縮小する。
この生産量循環的縮小過程が、デフレスパイラルである。大恐慌と言われるものだ。
消費税は直接消費に影響を与えるものであり、企業の借金の減少や、設備過剰の減少、人員過剰の減少などの耐久力の強化など何の意味もない。
消費過小に直撃した消費税引き上げは、一挙に企業の売上減を招き、借金の増大、過剰人員、設備過剰を招くだろう。
さらに当時より深刻なのは、毎年、土地価格の低下が続いており、下げ率が小さくなった言えども、1990年以前の水準になってきている。
それは我々の抵当権が減じており、銀行の貸し出し額は、減じた抵当権に合わさざる負えないため、低金利による銀行信用の拡大など、全くの絵空事である。
そのため消費者の貸し出し限度は大幅に減じている。毎年発表される公的地価が1997年当時と比べると、1990年以前に戻っており、地方や田舎では、昭和50年並のところはざらである。
また多くの企業は、金融円滑法案の廃案により、倒産の危機にさらされており、金が余っているのは、一部の上場企業や、輸出関連企業、あるいは公共投資でいつも潤う企業に過ぎない。
日本企業の生産コストは年々上がっており、損益分岐点が上がっている。これはデフレによる購買力の減少が、企業の販売競争を助長し、低価格競争、過剰サービス競争の結果、利益率を落とし、コスト高になっている。(日本の労働生産力の悪さは、デフレが原因であり、生産量が悪いからデフレになっているのではない。
そのためわずかな売上減が、脆弱な日本企業の体力を奪って行くため、消費税の引き上げのような売上低下に直結する政策は、一挙に大量の廃業倒産、そしてそれに伴う失業者を生むことになる。
企業の耐久力が上がっていると言うこと自体疑問だ。
このように現在日本は、1997年当時より格段に消費者の置かれている立場が弱くなっている。
(全体的に企業も強くなっていると言うのは疑問だ。一部であろう)
そのため消費者の過小消費に大打撃を与える消費税増税による財政再建など、ありえないことだ。
消費税を引き上げることに賛成の御仁であれば、これこれしかじかに消費者の購買力が上がっているから消費税を上げても大丈夫というのが筋である。
企業の体力云々は、消費税の引き上げには2次的なものに過ぎない。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
追記
また債権市場の信任を失うのは、消費税を引き上げ、恐慌が起こり、企業が淘汰された結果、明らかに税金の担い手である企業が著しく減少し、将来1千兆を越える借金を返せないことが明らかになった時だ。
現在日銀の国債引き受けが不審を招いているのである。これをやめさせることが急務である。日本は非常に困難な状況にあり、先行きに対し大きな不安がある。、
しかし今現在消費税を引き上げるよりは、上げない方が国債の信任が長持ちするであろう。消費税の引き上げにより日本の国債が信任されるという理屈はない。
消費税引き上げにより財政再建がなされるという理論はない。消費税引き上げにより、経済が縮小し、国債が信任されなくなるというのが当たり前の理論である。
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