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2013-08-17 ひょう吉の疑問
アベノミクスは「株価本位制」、円安進まず景気停滞も
[東京 16日 ロイター] - 田巻 一彦
2013年後半の日本経済が、アベノミクス効果でどこまで押し上げられるのかを見通すと、株価の比重が相当に大きいという構図に直面する。
日経平均.N225が1万4000円台で上値を重くすれば、期待インフレ率も頭打ちになり、2年間で2%の物価上昇という日銀の目標達成にも黄信号が点灯しかねない。
その株価の行方を大きく左右するのは円相場だ。
米量的緩和縮小開始後も、ドル高/円安があまり進まず、ドル/円が100円に達しなければ、結果として日本経済が再び停滞感の強い状況に陥るリスクがある。
<好調な消費支えるマインド好転>
12日に発表された2013年4─6月期の国内総生産(GDP)をみても、個人消費の堅調さが日本経済の回復エンジンとして大きな役割を果たしていることがわかる。
個人消費は、マインドの好転が起点になっている。
そのマインド好転の原因を探っていくと、最終的に株価上昇に行きつく。
保有株式の含み益増大で購買力が増大した高額所得者だけでなく、中間層も将来の給与上昇に対する期待感が膨らみ、個人消費全体が拡大するメカニズムが動き出しているようだ。
<消費好調で動意づく流通業の設備投資>
株価の上昇は、停滞感を強めていた国内市場の先行きに対する見方も好転させる機能を持ったようで、今後の展開が注目される設備投資では、流通業などの非製造業が製造業に先行しようとしている。
非製造業の設備投資が活発化していけば、関連した製造業の収益を押し上げ、遅ればせながら製造業の設備投資にも活気が戻ってくる可能性が高まるだろう。
このようにみてくると、アベノミクス効果と言われるメカニズムの中で、株価動向が占める役割の大きさが見えてくるだろう。
<円安進まず、株価に停滞感>
ところが、足元で日本株は停滞感を強めている。
16日の日経平均.N225は、米株安などを材料に一時、前日比200円を超える下落となった。
今年初めに甘利明経済再生相が言及して注目された日経平均の1万3000円(甘利ライン)は上回っているものの、国内投資家の多くが期待している1万5000円からは遠い水準で推移している。
米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小をめぐって市場の思惑が交錯するなど、日本株の押し下げ要因としていくつかの材料が意識されている。
だが、日本株の上昇エンジンに変調を来している最大の要因は、ドル/円が円安方向に動かなくなったことだと指摘したい。
最近のドル/円は、95円台から98円台での上下を繰り返し、100円到達を果たしていない。
円安が70円台後半から進んできたことで、日本企業の収益拡大期待が膨らみ、海外マネーの流入を伴って株価を押し上げてきた。
しかし、円が100円を前に円安の歩みを止めると、日経平均の上昇力もめっきり減衰してきている。
<量的緩和縮小でも円安にならないシナリオ>
市場では、FRBの量的緩和縮小と黒田緩和の組み合わせで、ドル/円は中期的にドル高/円安方向に動くと見ている参加者が圧倒的に多い。
もし、予想通りに円安が進めば、再び株価上昇のメカニズムが働き出し、株価上昇エンジンの復活でアベノミクス効果が日本経済を押し上げることになるだろう。
ただ、15日のNY市場の動向をみると、量的緩和縮小の思惑が米長期金利の上昇要因となり、それが米株の下落と連動するというメカニズムの存在にも注意が必要なようだ。
また、量的緩和の縮小と利上げの時期を大幅にずらすことがFRBによって明言された場合、量的緩和縮小というイベントが、ドル高/円安の材料にはならないと見なされる可能性もある。
ドル高/円安方向にドル/円が動き出さないようなら、秋が深まっても日本株の停滞感が払しょくされないリスクが高まると予想する。
<株価停滞なら、期待インフレ率に影響も>
株価上昇のモメンタムが弱まると、物価上昇への期待感にも影響が出てくる可能性がある。
期待インフレ率はブレークイーブン・インフレ率(BEI)などで推し量ることができるが、
BEIは5月23日の株価大幅下落などで2%近くから1%前半までいったん低下しており、 株価の上下が期待インフレ率に影響する可能性を示唆している。
もし、このまま日経平均が1万4000円前後で横ばいとなった場合、期待インフレ率も現状から大きく上昇しないというケースも想定しておくべきだろう。
期待インフレ率がある水準から上昇しなくなれば、2年で2%の物価上昇という「黒田緩和」の目標達成の可能性にも影響を与えると予想する。
<株価本位制の色彩濃く>
このようにアベノミクス効果に支えられてきた日本経済にとって、株価の占める比重は非常に高い。
ある種の「株価本位制」と呼んでもいいのではないだろうか。
この株価エンジンにとって、円安進展がガソリンの役割を果たしてきた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)をはじめイベント目白押しの9月に入り、ガソリンが給油されるのか、それとも「ガス欠」になるのか。
この動向が今後の日本経済の行方を大きく左右すると予想する。
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【私のコメント】
なぜ円安になったかはともかく(外国人が円を売ったということがよく分からないから)、
円安になれば日本が株高になる、というのは実際その通り。
円が売られて(円安)、株高になる(日本株が買われる)というのも変な話だが、
これは売り買いの主体が日本人ではなく、外国人中心で動いているからだ。
海の向こうのアメリカのヘッジファンドなどから見れば、円安になれば円を買いやすく、円が買いやすければ、日本株も買いやすくなるというわけだ。
アベノミクスの円安株高を日本人が作っていると考えるから話が分からなくなる。
これはアメリカと日本との話だ。
というよりアメリカがどうするかで日本のアベノミクスが決まる。
日本に主体性などないことを良く知っておくべきだ。
だからアメリカがどう動くかが最大のポイントになる。
アメリカが金融緩和縮小に動けば、円高ドル安は続くが、
その一方で、QEを停止するということは、FRBが米国債を買わなくなる、ということであり、
それは米国債の値段が下落することだから、そのことは購入額と満期償還金の差が大きくなることを意味し米国金利が上昇することになる。
そして米国金利が上昇すれば、米国景気回復の腰を折られることになる。
バーナンキは金融緩和縮小と金利の引き上げは別だといっているが、これはつながった問題であり、別であるはずがない。
『円安・株高』ということは、『円安になれば外国人が日本株を買ってくれる』ということだが、
その前提は『外国人が日本株を買う資金の余裕がある』ということである。
しかしアメリカが金融緩和を縮小すれば、その前提が崩れる可能性がある。
アメリカのヘッジファンドの連中が資金を調達できなくなるからだ。
日本のアベノミクスはアメリカの金融緩和の継続を前提としている。
その前提が崩れるわけだから、円安にはなっても株高は維持できなくなる。
今の日本の株高はほとんどドル高(円安)と比例しているが、
アメリカが金融緩和を縮小すれば、その連動が崩れる。
円安にはなっても、アメリカのヘッジファンドが日本株を買わなくなるからだ。
(実際今の日本株の売買高の6割以上は外人投資家によるもの)
まったくアメリカ頼みの株高である。
7月の参院選で実質的にアベノミクスは終わったのだろう。
ではアメリカは何を考えているのか。
景気の腰を折ることがわかっていながら、なぜ金融緩和の縮小をするのか。
そうならないための方策はあるのか。
今までアメリカがお金に困った時に何をしてきたかといえば、それは日本に米国債を売りつけることだった。
これはマスコミ報道は禁止されているようだが、世間では周知の事実だ。
今回もまた日本の米国債を売りつけて、資金を確保するのではないか。
そのための黒田日銀の『異次元』金融緩和ではないか。
安倍晋三は首相に就任するとすぐに米国債の買い付けを行い円安誘導に成功したが、
次には米国債を買い付けて円安を進めても、決して株高にはならない事態が待っている。
アメリカが金融緩和を縮小すれば、アメリカは国内景気を維持するのに精一杯で、日本株を買う余裕がないからである。
アメリカ金融機関は資金不足で、アメリカのヘッジファンドに回す資金が足りなくなるからだ。
つまりアメリカが金融緩和を続けているうちは、その余った資金でヘッジファンドが日本株を買っていたが、
そうでなくなるとアメリカは日本の金融緩和に頼らざるを得ず、日本に米国債を買わせることによってファイナンスするつもりだ。
資金の流れは、
アメリカ → 日本から、
日本 → アメリカへと今までと逆になる。
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