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将来への不安が募る灼熱の夏 暮らしの改善は見えない【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/syakai/144065
2013年8月16日 日刊ゲンダイ
安倍首相が終戦の日の靖国参拝を見送った。A級戦犯も祀(まつ)られた場所である。中韓両国との関係が冷え込んでいる中、緊張を高める行動は慎むべきだし、足を運ばなかったのは賢明な選択だ。
もっとも国民の不安は、ピリピリした東アジア情勢だけに寄せられているわけではない。右傾化一本やりの態度が軟化しているのは若干の進歩といえるが、国民の暮らしはどうだろう。改善の見込みは乏しいのではないか。
今年4―6月期の実質GDPは、年率換算で2.6%増となった。安倍首相は「順調に景気は上がってきている」と評価したようだが、手放しで喜べる内容ではない。
確かに個人消費は0.8%増と寄与している。だが、この先もプラスが続くという根拠はゼロだ。来年4月の消費税率引き上げを前にした駆け込み需要は、いずれ止まる。それなりに蓄えのある年金暮らしの高齢者も、増税までに大きな買い物を済ませるはずだ。そうなると、消費を支える人たちが見当たらなくなる。
同じく4―6月期の労働力調査では、非正規雇用が過去最多の1881万人となり、雇用者全体の4割近くを占めるようになったそうだ。その上、非正規の中でも増えているのは、契約社員や嘱託社員でなく、給料が安いパートやアルバイトである。こうなると、今後も消費がぐんぐん伸びるという格好は想定できない。
GDPでは公共投資や輸出も伸びた。だが、これらの数字は、大量に国債を発行した結果である。見境なく借金を積み上げ、負担を日銀に押しつけることで、公共事業によるバラマキが可能になり、円安にも誘導できた。アベクロサンバのたまものだが、こんなやり方は、ずっと続けられるわけではない。
だとすれば、GDPのプラスは一時的なものである。景気上昇は張りぼてに過ぎず、しっかりとした回復基調になっているわけではない。この先はかなり危うい状況だろう。
靖国参拝は見送る判断ができたのだ。ほかの課題に対しても、進歩を見せて欲しい。この灼熱(しゃくねつ)の夏に、多くの国民が抱いている将来への不安は募るばかりなのである。
【高橋乗宣】
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