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絶好調のサムスンだが、変調の兆しも…
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130816/bsb1308160601001-n1.htm
2013.8.16 06:00 SankeiBiz
パナソニックやシャープなど日本の家電メーカーを蹴散らし、快進撃を続けてきた韓国サムスン電子に暗雲が立ちこめ始めた。今年4〜6月連結業績は過去最高を更新したものの、市場予測を下回る結果に。深刻なのは営業利益の約3分2を稼ぎ出す携帯端末部門が前期比3・5%減と失速していることだ。
サムスンは韓国の国内総生産(GDP)、輸出総額ともに2割超を占めるだけに、その成長神話が崩壊すれば、韓国全体に及ぼすマイナス影響は計り知れない。
■力不足の新モデル「ギャラクシーS4」
大阪・難波。携帯電話ショップの女性店員は「人気はありますが、爆発力には欠けますね。米アップルのiPhone(アイフォーン)に対抗するにはちょっと…」と打ち明ける。
力不足と評されたのはサムスン電子のスマートフォン(高機能携帯電話)新モデル「ギャラクシーS4」。発売以来、世界中で話題を集めるスマホではあるが、「派手な宣伝費との費用対効果を考えると、伸びは予想を下回る」(業界関係者)と指摘され、これがサムスン凋落(ちょうらく)の予兆なのではといわれている理由のひとつだ。
韓国では輸出にブレーキをかけていたウォン高が一服したものの、韓国企業の4〜6月業績はさまざまな要因で製造業を中心に減益決算が相次いだ。しかし、その中でも好決算をたたき出したのがサムスンだ。
7月26日に発表された4〜6月決算によると、連結売上高は前年同期比21%増の57兆4600億ウォン(約5兆1200億円)、本業のもうけを示す営業利益は同48%増の9兆5300億ウォン(約8500億円)と、いずれも過去最高を更新した。
数字だけを見ると、好調そのものだが、実はやや違う。ブルームバーグによると、最終利益はアナリスト24人の予想平均を下回ったという。また、営業利益についても市場予測の平均を下回っている。
■衝撃が走った携帯部門の減益
その要因は、利益全体の約3分の2を占めるといわれる“稼ぎ頭”の携帯端末部門が予想外に低調だったことだ。ロイターによると、携帯端末部門の営業利益は前年同期に比べ52%増加したが、前期から3・5%減少したという。
スマホの新モデル「ギャラクシーS4」を発売したばかりで、しかもスマホ市場は右肩上がりを続けているのにもかかわらず、前期比マイナスに陥った衝撃は決して小さくない。
■浮き沈みの激しい家電業界
携帯端末部門の営業減益を受け、株価も軟調に推移しており、わが世の春を謳歌(おうか)してきたサムスン帝国にわずかながらも変調の兆しがあるのは間違いない。
家電業界に詳しい関係者は「サムスンは半導体や液晶など主な収益源だった時代があり、そこからスマホに移ってきた。時代の流れとともに、ビジネスの内容を柔軟に変えられるのがサムスンの強みでしょう」と説明する。
その上で「サムスンの資金、人材、開発力は相当なもので、携帯端末部門のわずかな減益で経営が傾くことはないだろう。ただ、エレクトロニクス業界ほど商品寿命が短く、浮き沈みの激しい産業はない。典型がシャープやパナソニックであり、方向性を見誤れば、サムスンといえども厳しい状況に追い込まれる可能性はゼロではない」と指摘する。
輸出産業が経済を牽引(けんいん)する韓国は、昨年来のウォン高がここにきて一服。韓国銀行(中央銀行)が7月25日に発表した4〜6月期のGDPは実質で前期比1・1%増と9四半期ぶりに1%台を回復した。
■朴政権を揺るがすサムスンの業績
景気が上向きつつある中で、サムスンが減速すれば韓国経済を揺るがすことにもなりかねない。というのも、サムスンの売上高は韓国全体のGDP、輸出総額のそれぞれ2割強を占めているためだ。
しかも、韓国政府はサムスンや現代自動車など財閥系の大企業を重視する姿勢を続けており、国民の不満は根強い。なかでもサムスンの多角化経営は、個人経営の小売店や中小企業の収益を圧迫しており、その傲慢(ごうまん)ともいえる企業風土とも合わさり、韓国では「最も嫌われている企業」ともいわれている。
ようやく経済に明るい兆しが見え始めた朴槿惠(パク・クネ)政権。そののど元に“傲慢”企業の小さなトゲがひっかかっている。4〜6月決算で浮かび上がった変調をサムスンは事も無げに修正し、快進撃をこのまま続けるのか。それとも急成長してきた収益にブレーキがかかるのか。当面は今秋に発表される7〜9月決算の行方が注目される。(島田耕)
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