03. 2013年8月16日 18:23:50
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焦点:まだら模様の米景気回復、主要小売各社が厳しさ実感 2013年 08月 16日 16:36 JST [16日 ロイター] - 米ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)に米百貨店メーシーズ(M.N)、米マクドナルド(MCD.N)といった小売各社は、まだら模様となっている米国の景気回復の状況の厳しさを実感している。最近発表された多くの小売各社の売上高は勢いに欠ける内容となっており、給与税増税や、ガソリンの値上がり、弱い雇用市場の影響により消費者が抱えるストレスを浮き彫りにした。 ウォルマートの決算を受けて、サスクエハナ・ファイナンシャル・グループのアナリスト、ボブ・サマーズ氏は「彼らの客層をみると、改善がみられないばかりでなく、状況は悪化したと言える」と述べた。 メーシーズは今週、メーシーズの名前で展開する百貨店の既存店売上高が約4年ぶりに減少したと発表した。消費者は比較的高価ではない商品を購入しているという。 こうしたトレンドは、15日に発表されたウォルマートの業績にも表れている。同社の第2・四半期決算では、国内既存店売上高が予想外の0.3%減となった。これにより、同社は通期の純売上高見通しを下方修正した。 ただし、米主要小売各社による7月の既存店売上高は、値引きによる押し上げ効果で、底堅く増加した。 メーシーズは、消費者の多くが自動車や住宅、住宅の修繕に支出を振り向けていると指摘する。 米調査会社オートデータによると、7月の米自動車販売は前年比14%増加した。また米ホームセンター大手ホーム・デポ(HD.N)の既存店売上高が7%増になるというのが市場予想で、トムソン・ロイターがまとめているデータでは、主要小売各社のうちで最も高い伸びとなる見込み。 住宅の修繕や自動車を除く分野では、小売各社の多くが経済状況は理想的とは言えないと指摘している。 7月末時点でガソリンの平均価格が高止まりしているほか、5月時点で食料の配給を受けているのが4760万人となった。これは国民の7人に1人に相当する。前年から110万人、2010年から700万人増加したことになる。 実質賃金も伸びておらず、ウォルマートのチャールズ・ホリー最高財務責任者(CFO)は記者団に対する説明の中で「消費者は必需品以外に費やせる収入がないか、持ち合わせている資金を費やすことをためらっている」と述べた。 <必需品に対する出費> メーシーズは、メーシーズの名前で展開する百貨店の顧客が、必需品以外への出費を控えているとコメントした。今年は売上高の不足分を埋め合わせることができない見込みで、業績見通しを下方修正した。 ウォルマートと米会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセール(COST.O)は共に、電化製品やゲームといった高額の商品販売が振るわないとしている。 消費者は新学期のための商品購入に備えているという見方もある。 今週に発表された決算は、米ディスカウントストア大手ターゲット(TGT.N)や米百貨店大手JCペニー(JCP.N)、米小売大手シアーズ・ホールディングス(SHLD.O)といった小売大手が来週に発表する決算を予期させるものとなるかもしれない。 ターゲットは5月、販売の不振から利益見通しを下方修正した。ウェルズ・ファーゴは今週、ターゲットの利益予想を引き下げ、同社が消費の抑制による影響を免れていない可能性があると指摘していた。 (Phil Wahba記者、Lisa Baertlein記者;翻訳 青山敦子;編集 内田慎一)
QE3縮小めぐり神経質な市場、根強い資金の米回帰観測 2013年 08月 16日 16:16 JST [東京 16日 ロイター] - 米国株の大幅安を材料に、東京市場は神経質な展開となった。ただ、米経済自体は堅調でパニック感は乏しく、日本株やドル/円は売り一巡後、底堅い展開だ。 米量的緩和第3弾(QE3)縮小についての不透明感は依然強いが、市場が乱高下を繰り返す中で、徐々に織り込みが進んでいるともいえる。6月対米証券投資では、米国外への資金流出の動きが明らかになったが、米経済が相対的な堅調さを維持する限り、マネーは回帰するとの見方が多い。 <一貫してない米株の動き> 米ダウ.DJIが225ドル安、ドル/円も一時97円割れ寸前まで下落と、米株安・円高のダブルパンチが襲った割に日本株は底堅かった。日経平均.N225は寄り付き直後に200円を超える下落となったが、売り一巡後は下げ渋り、後場には一時13円安の水準まで下げ幅を縮小させた。「海外勢とみられる下値での買いも入っている。米株安と円高で売り優勢だが、依然薄商いで方向性は乏しい」(大手証券トレーダー)という。 QE3縮小への不透明感を背景に、値動きが引き続き荒いことから市場参加者は依然神経質だが、センチメントが大きくネガティブに傾いているわけではない。投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数.VIXは15日に14.73ポイントと7月8日以来の水準に上昇したが、6月の17─21レベルと比べれば低い水準にとどまっている。 実際、QE3縮小観測に対する米株の動きは一貫していない。15日は米新規失業保険申請件数や7月の消費者物価指数(CPI)など強い指標に注目が集まり、QE3縮小観測が強まり株安となったが、13日の米市場では、逆の動きを示していた。7月米小売売上高のコア売上高が昨年12月以来7カ月ぶりの大幅な伸びとなったことを好感し、QE3縮小観測の強まったものの、米株は経済指標の強さを素直に評価し、小幅ながらプラスだった。 15日に発表された経済指標は、米新規失業保険申請件数、7月CPI、8月米住宅建設業者指数が堅調だったが、8月米フィラデルフィア地区連銀業況指数と8月ニューヨーク州製造業業況指数、7月米鉱工業生産指数など製造業関連の指標は市場予想を下回るなど「3勝3敗」。 依然として9月17─18日の米連邦市場委員会(FOMC)でQE3縮小が決定されるかは経済指標次第との見方は変わっていない。米株は大幅安になったものの「パニック感はない」(外資系証券)という。米債市場では、金利は序盤上昇したが、引け際にショートスクィーズも入って低下するなど、「市場での潜在的な見方に変化は見られない」(米国在住の大手証券トレーダー)との声が出ていた。 <注目集めた6月対米証券投資、海外勢の売り越し額は190億ドル> 経済指標次第とFRB高官が口をそろえるQE3縮小が決定されるとすれば、それは経済が堅調さを維持できるとの確信が強まったためでもあり、景気自体にマーケットの不安が強まるとはみられていない。 だが、今年5─6月のように、ヘッジファンドなどが流動性縮小懸念から、世界中に広げていたマネーを巻き戻すことで、株安が進む可能性はある。5年にわたる米量的緩和の終了がどのような影響を市場を通じてもたらすかは、まだ見えていないのが現状だ。 この点で注目されたのが15日に米財務省が発表した6月対米証券投資だ。海外投資家による対米証券投資は前月の566億ドルの買い越しから一転190億ドルの売り越しとなり、国外への資金流出の動きが強まったことがわかった。長期有価証券(株式スワップ等除く)は669億ドルの売り越しで、売り越し額は、住宅ローン危機に見舞われた2007年8月以来の大きさとなった。 米国市場は「ターンテーブル」と称されることがある。リスクオン時には、海外投資家が米国資産を購入し、その資金が一転して海外資産に向かうためだ。海外投資家の対米証券投資が縮小すれば、世界に広がるリスクマネーの縮小も懸念される事態になる。実際、6月の米国投資家も米国外への中長期証券投資は110億ドルの売り越しとなっている。 ただ、こうした「マネー委縮」の流れは、バーナンキFRB議長が5月22日の議会証言でQE3縮小を示唆したことが要因だった。その後、マーケットは乱高下を繰り返しながらも、徐々にQE3縮小を織り込み始めている。 実際、日本の8月4日―10日の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、国内勢の外債(中長期債)投資は1兆6148億円と3年ぶりの大きな買い越しとなった。買い越しは6週連続で、計5兆2291億円に達している。市場筋によると、銀行がQE3縮小観測が強まった際に減少させた残高を復元するために購入している可能性が高いという。 市場では、QE3縮小観測という「変動要因」があったため、マネーの流れは単月の動きでは判断できないとの指摘が多い。シティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は「世界のなかで米国経済の堅調さは突出している。QE3縮小観測でいったんマネーを巻き戻す動きが強まったとしても、いずれ資金は米国に回帰するのではないか」との見方を示している。 (伊賀 大記 編集:田巻 一彦)
コラム:世界の真の指導者、安倍首相ら3人のみ 2013年 08月 16日 16:56 JST 国際政治学者イアン・ブレマー [15日 ロイター] - この夏、ローマ法王フランシスコがブラジルを訪れ、数百万人の人々を魅了しているのを目にした私は、その光景の希少性に気が付いた。困難の山積する機関を司る人物がここにいて、その彼が支持者を結集させている。 法王はカトリックの基本的信条に立ち返り、しいたげられた人々を支え、犠牲を呼びかけると同時に、例えば同性愛者の問題でより進歩的な立場を取ることによって枠から踏み出し、教会の再建に着手した。人々を刺激し、鼓舞し、結束させる、頼りになる指導者だ。 こうした指導者は珍しくなる一方だ。現在われわれが住むのは、支配的かつ持続性のある世界的リーダーシップを発揮する国や国家連合が存在しない、私が「Gゼロ」と呼ぶ世界であり、その大きな理由は、多くの国々が国内においても確固たる指導力を欠いていることだ。 世界を見渡すと、法王のような主要国指導者は3人しか見当たらない。反対派を抑え込み、より強力な役割を自ら切り開き、困難な改革を遂行しながらも、高い支持率をてこに勢力基盤を固めつつある指導者だ。 日本の安倍晋三首相は昨年首相に返り咲いて以来、絶大な人気を誇っている。2006年から07年にかけての首相任期に失望を誘った安倍氏は、力を蓄えて復活し、アベノミクスと呼ばれる経済計画を推進して日本を「失われた20年」から脱出させ、日本国民を鼓舞している。 今のところ、アベノミクスは幾つかの目覚ましい成果を収めつつある。日本の主要企業の第2・四半期決算は利益が前年同期から倍増。同期の個人消費は年率3.8%増加し、日経平均株価は年初から30%以上上昇した。 安倍氏は若く、カリスマ性があり、政権支持率は時間とともに低下しているとはいえ、就任以来ほぼ60%前後で推移している。参院選で与党自民党が圧勝したことにより、彼の指導力にあらためて信任投票が与えられた格好だ。今のところ、日本国民は安倍首相とその政策について、日本が魔力を取り戻す上で近年にない最高の一打だと受け止めている。 中国の習近平国家主席にも同様のことが言える。私は別のコラムで彼の人気について取り上げた。「中国の夢」と題した高揚感あふれる講和、主席がタクシーで出かけて庶民と語り合ったという出所不明の都市伝説、各国首脳と取り交わす魅力的な即興の会話。最近では、習氏が自分の傘を持ってズボンを膝までたくし上げた姿が写真に収められ、伝説に磨きがかかった。これは無邪気な仕草で、中国市民はその底流に、官僚主義に揺さぶりをかける人となりを垣間見る。中央集権的な政府を盾に、彼は親近感とカリスマ性をない混ぜて人心をつかんでいる。 メキシコでは、ペニャニエト大統領が世界でもあまり類を見ない指導者だ。彼の指導力により、メキシコは過去50年間で発展途上国から先進国に転換した3番目の国・地域になろうとしている。他の2つは台湾と韓国だ。 過去10年間、資源の豊富な多くの新興国を潤してきた資源ブームにメキシコは取り残された。どの政権もメキシコ経済の抱える問題に真っ向から対処できなかった。財政悪化、競争力の低下、膨張し非効率化する一方の公的エネルギー部門などだ。 ペニャニエト大統領が就任早々行ったのは、自らの政党と他の2党との間で「メキシコのための合意」を結び、多様な経済改革を通しやすくすることだった。大統領は現在、税制、雇用、エネルギーの面で改革を遂行している。 大統領の支持率が過去3カ月間で約10%ポイント下がったことを指摘する者がいるかもしれない。しかし有権者は今でも概ね、大統領が掲げる改革課題を支持している。 その上、野党は信じられないほど弱体で、与党連合がしっかり権力を握っている。第1・四半期には景気がやや減速したが、今後は回復が見込まれており、大統領の支持率もそれに沿って上向くだろう。 ペニャニエト大統領が目指すのは、経済問題の解決を進め既得権益の力を弱める上で国家の役割を高めるべく、大統領職の権限そのものを再び強化することだ。そして彼はこの高遠な目標を、鋭い政治的勘と十分な国民の支持を武器に達成しようとしている。 そして、これこそが指導者というものだ。「中国の夢」であれ、「メキシコのための合意」であれ「アベノミクスの三本の矢」であれ、一つの大義とはいかないまでも、少なくとも共通のビジョンの下に国民を結集させることだ。 大方の国で財政が底をついている今、これを達成するための最良の道は、謙虚に、そして万人が支持する正しく大胆な賭けを行っていくという一握りのポピュリズム(大衆迎合主義)を持って進むことだ。 フランクリン・ルーズベルト、ロナルド・レーガン、ネルソン・マンデラ、ヘルムート・コールといった歴々がこの教えを施してくれている。初期のトニー・ブレア氏でさえそうだ。彼らよりも近代的な指導者らは、それを学ぶだけの賢明さを備えているだろう。 残念ながら、これらの技能は常に伝授できるとは限らず、その実行もまたしかりだ。Gゼロの世界においては、本来傑出してしかるべき指導者が政治的環境によって手足を縛られ、現状を打破できないということがあまりにも頻繁に起こり得る。 *筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。
アングル:米銀と比べ欧州銀のさえない業績、株価の重しに 2013年 08月 16日 11:36 JST [ロンドン 15日 ロイター] - 欧州大手行の業績がさえず、域内株価の上値を抑えている。STOXX欧州600銀行株指数.SX7Pは、ユーロ圏経済の回復傾向や中銀の緩和政策により、年初来で12%上昇しているものの、主要な米ウォール街の銀行をカバーするS&P500ダイバーシファイド金融株指数.SPLRCDFの27%高をアンダーパフォームしている。 銀行株は欧州域内最大のセクターで、STOXX欧州600指数の22%を占める。 こうした状況は市場トレンドと総じて一致する。米株は過去最高値を更新する一方、欧州株はFTSEユーロファースト300種指数.FTEU3が年初来で8%上昇しているものの、過去最高値から33%も安い水準だ。 欧州銀の第2・四半期業績もアンダーパフォームしており、この状況が終わる兆しもない。 第2・四半期業績を見ると、欧州銀の82%がアナリスト予想を上回った、もしくは予想と一致したが、これは前年の業績が非常に低かったことに伴うベース効果が背景。トムソン・ロイター・スターマインのデータによると、欧州銀の利益は前年同期比3.7%増にとどまり、米銀の28.9%増に遠く及ばない。 こうしたトレンドは続きそうで、アナリストは欧州銀の見通しを引き下げている。一方で、データストリームによると、米銀の利益モメンタムは今年序盤からポジティブとなっており、ウォール街のアナリストは予想を引き上げている。 ステッペンウルフ・キャピタルのチーフトレーダー兼副最高投資責任者(CIO)、エイドリアン・バン・デン・ボック氏は、資本規制を満たすために資本増強が必要であること、ユーロ圏のソブリン債に対するエクスポージャー、というリスクが今後新たな株安要因となる可能性を指摘。「欧州銀はいまだに資本増強の過程にあり、欧州のソブリンをめぐる不透明感が払しょくされるまで、欧州株がアウトパフォームするはずはない」と指摘する。 ソシエテ・ジェネラルのストラテジストは今週、米企業全体の利益がアウトパフォームしているのは、主に米銀の利益が上昇していることの反映だとするリポートをまとめた。 データストリームのデータによると、欧州銀の利益が依然としてピークを30%下回っているのに対し、米経済の力強さを反映して米銀の利益は2007年のピークを平均で約15%下回る水準となっている。 <バランスシート> 欧州銀の利益は改善し、増配されるとの見方が大勢となっているが、米銀との差がすぐに縮小する可能性は低く、引き続き市場全体の重しとなる見通しだ。 スターマインによると、欧州銀の1株当たり利益は、向こう5年間で年間9.2%上昇する見通しだが、S&P500指数の金融株は同期間で年間11.2%上昇する見込みとなっている。 米銀の業績が比較的堅調なのは、金融危機以降にバランスシートを大きく改善したことが反映されている。欧州銀は依然としてバランスシート調整に取り組んでいる。 例えば、英バークレイズ(BARC.L)は今月、株主割当増資による58億ポンド(90億ドル)の資金調達に関する取り組みを開始。ドイツの銀行の資本状況は現在、調査を受けている段階だ。 Psigmaインベストメント・マネジメントの株式部門責任者、ティム・グレゴリー氏は「ここ数年センチメントを悪化させてきた政治的停滞の継続を懸念し、銀行が資本増強を迫られると予想するなら、おそらく欧州買いに走ろうとは思わないだろう」との見方を示している。
焦点:ユーロ圏の景気回復、失業率押し下げにはなお力不足 2013年 08月 16日 17:17 JST [ロンドン 15日 ロイター] - ユーロ圏は第2・四半期の経済動向だけを切り取ってみれば明るい映像が見えるが、それは金融危機で幕を開けた「ホラー映画」がめでたい結末を迎えるという保証にはならない。
第2・四半期域内総生産(GDP)が前期比でわずか0.3%とはいえ、1年半にわたるマイナス成長からプラスに転換したのは、欧州と世界全体にとって文句のつけようがない好材料といえる。 しかし景気回復は外的ショックに対して脆弱であり、ユーロ圏にずっとのしかかってきた2つの大きな問題、つまり記録的な高失業率と公的および民間の債務の持続性をめぐる状況を好転させるにはまだ力が弱過ぎる。 ユーロ圏の第1位と第2位の経済規模を持つドイツとフランスの第2・四半期成長率はそれぞれ前期比0.7%増と0.5%増で、年率換算では米国の1.7%増よりも高い。だが物価調整後の米国のGDPは2008年第1・四半期を約5%上回り、家計の債務返済が急速に進んで住宅市場が非常に上向いているのに対して、ユーロ圏はなお後塵を拝している。 GDPは5年前のピークより依然として3%低い水準にあり、ジェフリーズによると現在の成長ペースでは5年前のGDPに戻るには最短でも2015年半ばまでの期間が必要となる。経済における供給余力の大きさを反映する形で、失業率は過去最悪の12.1%となっている。 ジェフリーズのエコノミスト、マルチェル・アレクサンドロビッチ氏は「景気サイクルにおいて欧州は米国に大きく後れを取っている。確かに第2・四半期は予想より良かったが、まだ景気回復のごく初期の段階にすぎない」と述べた。 <景気後退が続いているような実感> 第2・四半期のユーロ圏の成長を押し上げた要因の一部は、本質的に短命に終わる性質を持つ。たとえばフランスの成長率の40%を占めた在庫の積み上がりは、最終需要が改善しなければ厄介な重荷になってしまう。 それでも欧州中央銀行(ECB)が推進する実質ゼロ金利や潤沢な資金供給の効果は徐々に波及してきている。増税や歳出削減という財政の足かせも消えつつあり、中国経済の安定や来年の米経済成長加速見通しなどで世界経済の不確実性は薄れている。 シティのエブラヒム・ラハバリ氏は、ユーロ圏は四半期ベースでプラス成長を続けられると楽観する十分な根拠があると指摘。「事態がどれだけひどくても、悪性のショックに立て続けに襲われない限り、いつかは底を打つ。そしてここしばらく、欧州には大きなショックが襲来していない。需給ギャップを考えれば、経済サイクルにおける現在の時点では、明確にプラスの成長を生み出すことができるはずだ」と語った。 ただ、ユーロ圏に住む多くの人々は、景気後退が続いているような実感を受けるだろう。企業は多くの余剰設備を保有しており、需給ギャップが解消するまで、新規雇用ないし新規投資をしなくても需要増に対応できるとみられるからだ。雇用が増える前には、まず生産性が上昇する。 ラハバリ氏は「新規雇用を創出するには、成長率がプラスに転じるだけでは十分でなく、GDPの伸びが生産性上昇率を上回る必要がある。企業はより効率化に努める環境にあるので、足元で見られるように成長率がプラスであっても、失業率が下がるとしっかりとは約束されない」としている。 <抜本的な労働市場改革を> 失業率が26%を超えるスペインのケースを考えてみよう。国際通貨基金(IMF)による最近の経済審査によると、同国ではこれまで年間成長率が1.5─2.0%に達しない場合、雇用は決して増加しなかった。そして成長率は中期的にみてもこの水準には届きそうになく、失業率は2018年でもまだ25%を上回る可能性が大きいという。 失業率上昇で社会的、政治的な危険を生み出すばかりか、ユーロ圏においてスペインなど南欧諸国の低成長で、ドイツなどより高い成長が続く欧州北部との分断が一層進む恐れがある。ユーロ圏周縁国の債務管理についての疑念も市場に再び広がりかねない。 そこでユーロ圏の政策担当者にとって今後の課題になるのが、債務ダイナミクスが逆回転し始め、長期の失業者が能力を失って雇用が不可能になる前に、労働市場が回復する道筋を確保することだ。 賃金の抑制は1つの答えになる。IMFによるとスペインでは08年以降で民間雇用が15%も減少しているのに、賃金は10%上がっている。こうした中でラハバリ氏は、各国政府はドイツが打ち出した低賃金労働への助成金などのような積極的な労働市場政策を導入する必要があると主張する。 抜本的な労働市場改革は実施までに何年もかかり、効果が出てくるのはさらに先になる。とはいえ徹底的な改革なしでは、第2・四半期GDPのような良いニュースが一瞬で終わってしまいかねない。 ラハバリ氏は「プラスの経済成長ではなく、需給ギャップの縮小と失業率の低下を基準とすべきであり、そこに行き着くまでは最終的には政策の失敗として事態の大半が説明され続ける」と話した。 (Alan Wheatley, Global Economics Correspondent)
ドイツの今年の輸出額、米国を抜いて世界2位へ=商工会議所 2013年 08月 16日 09:25 JST [ベルリン 15日 ロイター] - ドイツ商工会議所(DIHK)は15日、今年のドイツの輸出額が米国を抜いて中国に次ぐ世界第2位の地位を確保するとの見通しを示した。 DIHKによると、当面はユーロ高ドル安が見込まれ、ドル建てのドイツの輸出額を押し上げることで米国を上回る。チーフエコノミストのフォーカー・トライアー氏は「ドイツには今年、米国をしのいで世界の2位になれる十分な要素がある。それはユーロ高に起因している。なぜなら貿易統計はドル換算だからだ。来年も第2位を維持できるはずだ」と述べた。 DIHKは、今年のユーロ/ドルの平均は1.33ドルと昨年の1.29ドルから上昇し、来年には1.35─1.40ドルまで高くなると予想している。 一方でドイツの輸出の伸びよりも、世界の貿易規模の拡大ペースが高くなるとみられることから、同国が占めるシェアは低下しそうだ。 DIHKが見込むドイツの輸出伸び率は今年が2%と昨年の3.4%から鈍化するのに対して、今年の世界貿易は3.8%拡大する見通し。来年もドイツの輸出が4%増えるが、世界貿易は6%増が予想されている。 このため世界におけるドイツの輸出シェアは昨年の実績見込みの7.5%から今年、来年とも7%に下がるという。 |