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「消費増税とデフレ脱却は両立する」と発言した黒田日銀総裁。その真意は=8日
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130815/ecn1308150737005-n1.htm
2013.08.15
8日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁は、消費税率が来年度から8%、再来年度から10%と予定通りに引き上げられても、日本経済は十分な成長を達成し、2年後に2%の消費者物価上昇率目標は十分達成できるとの認識を示した。
日銀のホームページで「総裁記者会見要旨」を見ると、黒田総裁は、財政規律が重要であることと、財政規律が緩むことが金融緩和の効果をそぐ場合があることを述べており、政府が判断することだとしながらも、消費税率の予定通りの引き上げに、少なくとも反対してはいない。
「この人は財務省出身だから、消費税率引き上げに賛成なのか」と思ってしまいそうだが、彼の真意はどうなのか。そして、消費税はどうすべきか。
逆の順番で考えよう。デフレからの確実な脱却を目指すなら、消費税率引き上げは、当面、1年先送りするのがいい。
日銀は、消費税率引き上げが予定通りに行われることを前提に、民間やさらに政府よりも、高い成長率見通しを提示して、物価上昇率目標の達成に自信を見せている。
しかし、向こう2年度の景気自体は、それ自体が「増税」である消費税率引き上げを行わない方が「さらに良い」だろう。
前回の税率引き上げが行われた1997年を引き合いに、増税の景気悪化効果が大きいか、それほどでもないか、という議論があるが、「増税した方が景気はいい」と主張する議論はさすがにない。
「予定通り増税した状態」を基準に考えてみよう。消費税率引き上げの先送りは、その間、消費税率3%分(約8兆円)の減税が、賃金上昇にはまだ至っていない多くの勤労者に満遍なく行われることを意味する。これは、仮に景気の回復が物価上昇率目標の達成に対して不十分である場合に、望ましい経済政策だろう。「国土強靭(きょうじん)化」などというお題目の下に、偏った予算の使い方をするよりも、はるかに公平であり、景気対策として筋がいい。
一方、消費税率を上げなかった場合の懸念として喧伝(けんでん)されるのは、国債暴落(長期金利の上昇)の可能性だが、これは、最近、消費税率の先行きが不透明になる中での、長期金利の落ち着きを見るとリアリティーがない。今のインフレ率のまま利回りが上昇するなら、喜んで国債を買う主体(生保、銀行、年金基金など)と資金がいくらもある。
そこで、黒田総裁の真意だが、彼は財務省の力を知っているので、消費税率が予定通り上げられる可能性があると思っているのだろう。「それでも大丈夫だ。むしろ、望ましい」という今回の発言は、その場合のための事前のダメージ・コントロールだろう。もちろん、安倍晋三首相が税率引き上げ先送りを決断できるなら、それが一番よい首相の姿だ。(経済評論家・山崎元)
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