02. 2013年8月13日 17:12:20
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法人税減税の期待で株高・円安、実現性と効果には疑問も 2013年 08月 13日 16:42 JST [東京 13日 ロイター] - 法人税減税への期待で株高・円安が進んだ。消費税増税が実施された場合の景気圧迫を和らげてくれるとの見方から、リスクオンとなっている。ただ、企業の税負担を軽減する一方で、家計には増税を求めることになるため、実現には紆余曲折がありそうだ。また、消費税増税は8兆円、法人税減税は1兆円程度のマクロ的な影響があるとみられ、ネガティブ・インパクトを相殺するほどではないとの指摘も多い。 <海外勢にアピールしやすい政策> 法人税減税はわかりやすく、海外勢にもアピールしやすい政策だ。政府が6月に決定した成長戦略に盛り込まれなかった際はマーケットで失望が広がり株安・円高が進んだが、13日付日経新聞朝刊で安倍晋三首相が法人税の実効税率の引き下げを検討するよう関係府省に指示したと報道された。 東京市場では、日経平均.N225が300円を超える大幅高となり、ドル/円は97円半ばまで上昇。消費増税の実施による景気腰折れへの懸念が市場で根強いが、法人税減税がマイナスの影響を抑えてくれるとの期待が広がり、株買い・円売りのリスクオンが進んでいる。 東証の主体別売買動向では、アベノミクス相場をけん引してきた海外投資家が直近、2週連続で売り越しとなっているが、「法人税減税など成長戦略を明確に打ち出せれば、海外の長期投資家が日本株買い再開が期待できる」(外銀のアジア担当エコノミスト)との声も多い。 SMBC日興証券の試算では、法人税率を10%引き下げた場合、財政赤字が2.5兆円程度増え、財政負担は国内総生産(GDP)比で0.5%程度悪化するが、GDPは1兆円程度押し上げられる。 野村証券・金融市場調査部チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は、法人税減税は基本的にドル/円の押し上げ材料になると指摘。「海外ヘッジファンド勢は、アベノミクスの成長戦略をドルロング/円ショート保有の根拠としており、なかでも、法人税率の引き下げは最もわかりやすい株高/円安政策だ。一方、市場の織り込み度合いは現時点ではまだ低く、国内で1割以下、海外でも4割以下とみられる」と述べている。 <消費増税のマイナス影響、法人税減税で吸収できないとの声> ただ、法人税減税の実現性や効果には疑問の声も少なくない。「法人税減税は景気や株価にとってポジティブ要因だが、その見返りとして消費税増税が実施されるとしたら、トータルではマイナスだ」とマネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏は、効果について分析している。 日本の法人税の実効税率は国税が23.71%、地方税が11.93%の計35.64%。これに復興特別法人税が加わり、14年度までは38.01%となる。15年度には本則の35.64%に戻るが、14年から減税を実施し、35%程度に引き下げた場合、1兆円程度の減収になるとみられている。 一方、消費税増税は8兆円弱の増収になる見込みであり、税収面では景気へのマイナス影響が依然として大きいことになる。 また、実現までには紆余曲折がありそうだ。法人税減税は消費税増税による景気へのマイナス影響を軽減するが、企業の税負担を軽減する一方で、家計には増税を求めることになるため、政治的には難しい面もある。国内企業が減税で活性化すれば、雇用の増加を通じて家計にもプラス影響が将来的には発生すると期待されるものの、それには時間がかかる。 日本株は反発したが、東証1部売買代金は1兆6391億円と今年2番目に少なかった。「消費税のネガティブ・インパクトを打ち消す政策が今後出てくれば市場も本格的に好感しよう。ただ、法人税減税だけでは依然、景気腰折れの可能性は捨てきれない」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏)と警戒感は根強い。 <効果は期待薄との見方も> 法人税減税の実施で期待できる効果は3つ。企業のキャッシュフローが増えて投資を行いやすくなることと、利益の海外移転を抑制する効果、そして海外企業の国内進出だ。 法人税率は1989年の40%から30%まで段階的に引き下げられているが、それにもかかわらず税収は減少傾向にある。減税で利益の海外移転抑制や海外企業の国内進出を促進しているとは言えない状況だ。また国税庁の調査によると、2011年度では全法人約257万社のうち、7割超の約185万社が赤字を計上し、法人税を納めていない。 実効税率の国際比較では、米国が40.75%と高く、日本が2番目の35.64%(本則)、フランスが33.33%、ドイツが29.55%と続く。中国は25.00%、韓国は24.20%、シンガポールは17.0%とアジアでは低い税率が目立つ。企業の競争条件を均一化することは望ましいが、効果がどれだけあるかは不明だ。 T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は「企業のキャッシュフローは豊富で無借金企業も多い。高度成長期なら効果があったが、いまは減税効果は乏しいだろう。また、国内企業の海外移転は税金が高いからではなく、需要が国内にないからだ」と指摘。国内需要を生み出す政策こそが必要としている。 (伊賀 大記 編集:田巻 一彦)
2013年 8月 13日 11:02 JST 米国、歳入増加で財政赤字が縮小 【ワシントン】米財務省が12日に発表した財政収支統計によると、2012年10月〜2013年7月の歳入は累計で2兆2870億ドルとなった。これは前年同期比では14%増、同時期としては過去最高額となる。 7月の財政収支は975億9000万ドルの赤字だった。ダウ・ジョーンズ経済通信がまとめたエコノミスト調査では960億ドルの赤字が見込まれていた。 このところ財政収支は改善傾向にあり、米政府と議会に長期的な財政問題の解決を求める圧力は一時的に弱まり、連邦債務上限によって政府の借入能力が制限される事態もいくらか先延ばしされている。 だが、米与野党は歳出入計画をめぐって完全に意見が分かれており、今年度末(9月30日)以降の政府の資金繰りをどうするのか、あるいは今秋のいずれかの時点で債務上限を引き上げるかどうかについて、いまだに答えが出ていない。 債務上限を引き上げなければ、米政府は最終的に資金が枯渇して債務返済が不可能になるだろう。米政府関係者らは、これが市場の混乱を引き起こし、成長が加速しつつある国内経済に大きな打撃をもたらす恐れがある、と警告している。 財務省関係者は8月初め、米議会はレーバーデー(9月2日)以降まで債務上限引き上げをめぐる合意を先送りする余地があるとの見方を示したが、具体的な時期については明言を避けた。ワシントンのシンクタンク、超党派政策センター(BPC)は、この期限が10月半ばから11月半ばになると見込んでいる。 12日の財政収支統計は、歳入がここ数年間で大幅に改善しており、これが借入需要の低減につながっていることを示した。個人所得税、給与税、法人税の収入はすべて前年を上回っており、個人向け税率の引き上げ効果だけでなく、景気の回復が賃金や利益の拡大に寄与していることも明らかになった。 かつて多額の公的資金が注入された米政府系住宅金融機関(GSE)の連邦抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅金融抵当金庫(フレディマック)は今や、米予算の支出先ではなく収入源となっている。これらの住宅金融機関は7月、財務省に対して約670億ドルの配当を支払った。増収が続いているため、今後もさらに配当が支払われる見通しだ。ファニーメイは先週、米政府に対して公的資金102億ドルを返済すると発表しており、フレディマックも9月末前後に44億ドルの配当を支払う方針を明らかにしている。ただ、これらの発表後も超党派政策センターの債務上限見通しは変わっていない。 他方、歳出の強制削減が行われる中、米政府の歳出は前年よりもやや減少している。 国防と失業給付の2分野は支出が大幅に減少している。国防費の変動は、歳出の強制削減だけでなく、中東での軍事活動縮小を反映している可能性もある。失業給付費も減少しているが、これは就職者の増加や既存手当の期限切れが原因とみられる。 だが、社会保障費やメディケア(高齢者医療保険)などの福祉面の支出は拡大傾向にあり、長年の難題があらためて浮き彫りになっている。 全般的には、米政府は依然として税収をはるかに上回る支出を続けているものの、そのペースは以前よりも緩やかになっている。12年10月〜13年7月までの累計財政赤字は6074億2000万ドルと、前年同期比で38%縮小した。 米議会予算局(CBO)では、通年の赤字額は6420億ドル前後と、前年同期(1兆0870億ドルの赤字)を大きく下回り、2008年(4585億5000万ドルの赤字)以来の低水準を記録すると予想している。
日銀委員「企業部門で前向き循環」 7月会合で 2013/8/13 10:37 保存印刷リプリントこの記事をtwitterでつぶやくこの記事をフェイスブックに追加共有 日銀は13日、7月10〜11日の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。この会合で日銀は景気の基調判断を「緩やかに回復しつつある」に引き上げ、2年半ぶりに「回復」の文言が復活した。議事要旨によると、大方の委員は「企業部門において所得から支出へという前向きの循環メカニズムが次第に働き始めている」との認識を表明。ある委員は「現在の経済活動の水準は過去の景気回復局面並みまで高まっている」と言及した。 決定会合には正副総裁3人と審議委員6人の合計9人が参加する。ある委員は海外経済の不透明感などから「回復という文言を用いるにはもう少し時間をかけて見極めた方がよいのでは」と述べたが、慎重派は少数にとどまった。この結果、委員間で景気認識を共有し、公表文で景気の基調判断を引き上げることを全員一致で決めた。 同会合では4月に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価も実施。大方の委員が2015年度までの見通し期間の後半にかけて、消費者物価の前年比上昇率が「物価安定目標の2%程度に達する可能性が高い」との見方を示した。ただ、複数の委員が「予想物価上昇率の変化が現実の物価上昇率の高まりにつながる点について不確実性が高い」と慎重な見方を示した。 |