http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/716.html
Tweet |
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52496355.html
2013年08月12日 在野のアナリスト
日本の4-6月期GDPが発表されました。実質で前期比0.6%(年率2.6%)、名目で0.7%(年率2.9%)でした。市場予想は3%台でしたので、期待を裏切った形ですが、その背景としては思ったほど設備投資など、企業マインドの好転が低かったことが大きいものです。伸びへの貢献度は公的需要が0.3%ともっとも大きく、民間需要は0.2%の貢献ですが、個人消費の伸びと在庫の積み上げが相殺した形です。外需は0.2%の貢献と、輸出がそれほど伸びていないことも示しています。
総じて、思っているほど安倍ノミクスは景気への寄与度は低いのではないか? それを想起させる内容です。つまり円安、株高、公共工事が安倍ノミクス3本の矢の本質であり、それが潰えると脆い。様々な指標から、景気は一旦春にピークをつけた、と主張していますが、今は踊り場の状況であることをこのGDPでも示しています。それは円安、株高が腰折れした現在、公共工事が支える構図である、ということになります。4-6月期より円高、株安がすすむ現在、景気全体が腰折れする懸念すら出てきている、それを如実にあらわす数字となってしまったのでしょう。
安倍内閣発足から、そろそろ8ヶ月です。マインドに訴えかける、として発足前から円安、株高に推移してきましたから、そろそろ実体経済への波及がなくてはいけません。3四半期もマインドのみで上げられるほど、経済は気長でいられないからです。その中で気になる数字が、雇用者報酬の伸び率が、前期比で実質0.4%、名目0.3%のびている点です。しかし様々な調査から、賃金のベアをふくむ伸び率は、前年並みということが示されています。一時金は自動車を初めとして、上乗せがあるものの、全産業を押し並べてみれば賃金の伸びは限られているはずです。内閣府の調査は、国民生活に関する世論調査、も同様ですが、どこか国民感覚とのズレを感じてしまいます。
政府の成長戦略にも記載されている、国民総所得(GNI)を1人あたり150万円増やす、としていたそのGNIは、前期比で1.4%の伸びとなりました。これはGDP+海外からの実質純所得+公益利得で示されますが、公益利得はほぼゼロなので、GDPの0.6%をひくと、海外からの実質純所得の上乗せが大きい。逆にいえば、円安寄与が高かった項目です。そしてこれらも今後、円高へと向かえばマイナスに寄与していくかもしれない。年金基金など、運用比率の見直しを発表していますが、これらの動きが海外資産の購入、という形で向かうのなら、プラスを継続できるでしょうが、そうなるとさらに為替変動に弱い国になってしまいます。日本は経常黒字国である以上、円高に向かいやすい。その傾向がつづく限り、海外からの実質純所得、という数字は悩みの種になりそうです。
今回のGDP速報値を、消費税増税の判断基準とする、というのはムリがあるでしょう。増税派、反対派、どちらも都合よく解釈できる数字です。改定値でどう変わるか? というのを待つ必要もありますが、その前に他の指標をよく点検してみるべきでしょう。今後も継続的に景気が回復していく、という期待がそれほど盛り上がっていないことは、幾つも現れています。
しかし一方で、景気対策と称して公共工事をつづければ、財政的には苦境に陥ります。今の安倍政権の景気対策が従来型である以上、ここに不安も生じる。踊り場に入った後、打てる手が限られているのです。安倍ノミクス3本の矢が、もう墜落しそうになっている今、伸び率が低下していることを示すGDPで判断するのは、景気対策をうつかどうか、ということでしかないのでしょうね。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。