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【経済裏読み】韓国「現代自」苛烈労使対立 “中国人化”する韓国代表企業の悲劇
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130812/frn1308121200003-n1.htm
2013.08.12 夕刊フジ
韓国の自動車最大手、現代自動車が揺れている。賃金交渉をめぐり、経営側と労働組合が対立、労組は13日にも組合員によるストライキの賛否投票を行う。経営側はスト回避につとめるが、労組が求めているのは組合員1人あたり最大1億ウォン(約870万円)の支払い。要求額が膨大なだけに、交渉が妥結しても、決裂しても経営への影響は必至だ。自らが働く会社を無謀な要求で追い詰める現代自の労組について「自分たちのことだけを考えて行動する中国人のようだ」(関係者)との声も聞こえてくる。
ロイター(電子版)によると、現代自動車の労働組合は、約2カ月間におよぶ経営側との賃金交渉に進展がなく、今月6日の交渉でも妥結に至らなかったという。13日にもストをめぐる組合員の投票を実施。可決すれば、17日以降、ストライキに突入する可能性が高い。
日本では、労使間の対立からストに発展するケースは少なくなったが、それでも航空会社、バスや電鉄などではストが取りざたされることはある。しかし、今回の現代自の労使対立が注目されるのは、労組側の要求額の大きさだ。
■無謀な「利益の3割よこせ」要求
韓国紙の中央日報(電子版)が配信した8日付のニュースによると、労組は昨年の現代自の最終利益の30%を成果給として要求。さらに通常賃金の800%の賞与金と61歳定年保障も求めたという。
これらの要求をすべて反映すれば、組合員1人あたりに支払われるのは1億ウォン(約900万円)。中央日報では、現代自の組合員数を約4万4千人としており、単純計算でも邦貨換算で4千億円前後の支払いとなる。
「最終利益の約3割をはき出せ。賞与も月給の約8倍よこせ、というのはむちゃくちゃな話ですね。われわれの常識とは乖離している」。日本の大手自動車メーカーの40代社員はこう述べ、苦笑いする。製造業は国内外問わず利益率がそれほど高くなく、「こんな要求を飲んでいたら経営はすぐに傾く」と指摘する。
現代自の日本法人、ヒュンダイモータージャパンは今回の労使対立、またストが実施されたときの影響について「(現代自の)ストは工場ごとで行っている。当社はバスを販売しているが、バスを生産している工場がストをするという話は聞いていない。正直、詳しいことは分からない。今のところ影響は何も感じていないし、通常通りの営業の予定だ」(担当者)と説明する。
■スト、スト、スト…。労使対立は恒例?
労使間の“健全な対立関係”は企業を成長させるといわれる。だが、現代自の労組が経営側に突きつけているのは“無謀な要求”でしかなく、自らの会社の成長を阻害し、苦境に追いやっているだけだ。なぜ、こうした行動に出るのか。
「現代自動車の労組は労働運動に熱心で、その激しさは有名ですよ」(自動車関係者)。実際、中央日報によると、同労組は1987年に設立され、ストをした年は22年に上り、ストがなかった年はわずか4年だけ。ストによる生産への影響は22年間で120万台に達するという異常さだ。
現代自は、韓国政府の通貨(ウォン)安政策によって成長してきたが、昨年後半からのウォン高基調で海外での自動車販売が急ブレーキ。韓国国内でもトヨタ自動車、独BMWなど輸入車の人気が高まっているほか、昨年11月には米国で燃費表示の改竄(かいざん)が発覚、また約180万台にのぼる大規模リコール(回収・無償修理)が発生するなど、逆風にさらされきた。
■「まるで中国人」自分さえ良ければ…
ここにきてウォン高が一服、中国、米国での販売に力強さが戻り、7月25日に発表された2013年4〜6月期決算では最終利益が過去最高の水準近くにまで回復していた。再び業績が上向き始めた矢先の労使間対立、そして現実味を帯びてきたスト突入…。
現代自の関係者は「ある程度は見込み生産をしている。通常は在庫販売で対応できるはず」と話すが、ストが長期化すれば、生産・販売計画に支障をきたすのは間違いない。事実、昨年はストの影響で在庫が低水準となり、米国などでの販売が一時落ち込んだといわれている。
ある業界関係者は「ストをちらつかせば、会社は金を出す−。過去の労使関係から労組にそう思わせてしまった経営側の責任も大きい」と厳しく指摘する。
その上で、現代自という韓国有数の財閥企業で働く社員(組合員)をこんな風に皮肉る。「韓国でも比較的エリートとされる人たちなら、労組の無謀な要求が続けば経営が立ち行かなくなるのは分かるはずだ。自分さえお金がもらえれば会社が傾いても関係ない、というのは中国人のような発想ですね」
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